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170 :題名未定 ◆WBRXcNtpf. [sage] :2007/03/30(金) 20:47:37 ID:VkcjW4hz
第3章 Side健一

「あぢー・・・もう駄目だわ・・・俺死ぬ」
そう真紀に呟くと俺は少しでも冷たい場所を求めてフローリングの床を這いずり回った。
「・・・」
何も言わずに何か哀れなものを見るような目つきで俺を見る真紀
「そんな目つきで視姦されると俺濡れちゃう!」

・・・ごふ

いきなり鳩尾に蹴りが飛んできた。
プロレスでいうサッカーボールキックだ。
あ・・・頭にも・・・あ・・・もう・・・だめ・・・
そのまま俺は深い闇の中へ落ちていった。

目を覚ますとそこは知らない部屋だった・・・
いや・・・違う・・・そういえば今日この家に引っ越してきて・・・
あれ?俺なんで寝てるんだ?まだ引越しの荷も解ききってないのに
たしか真紀と一緒に来て・・・掃除をしていて・・・暑さに負けてフローリングを這っていたはずだ。
真紀はどこだと探すと部屋の隅で扇風機に向かって「あ”~~~」なんてやってる。
「おーい、真紀さーん。俺なんで寝てたんだ?」
我ながら間の抜けた質問をしてみると真紀は扇風機に向かったまま
「じら”な”-い、あ”づざに脳でも”や”ら”れ”だんじゃないー?」
と返ってきた。
「????」
どうも腑に落ちないがとりあえず目の前のダンボールの山をなんとかしなければならない。
「真紀さーん手伝えー。・・・・てか手伝ってください。ほんとすいませんごめんなさい調子乗ってました。」
ギロリと一睨みされ狼におびえる羊のようにぷるぷる震えながら手伝いを頼む。
うん!我ながらいい情けなさだ!
そんな俺白坂健一が斉藤真紀と知り合ったのは3年前だ
同じ大学に通う真紀とはゼミが一緒でそこで出会った。
『うひょ!セミロング!しかも清純派肉体(悪く言えば幼児体系)!てか巫女服着てほしー!』
などと初対面の時とりとめも無い妄想をしていたことは今でもいえない。
普通に高校に通い普通に大学に入学した普通の俺がこんな可愛い女の子と知り合いになれる
この時ほど俺はこの大学に入学できたことを感謝した時は無かった。
それからはちょくちょく一緒に飯を食ったり午前の講座が無い日はゲーセン行ったりと
夢に描いたようなキャンパスライフを送っていた。

そういう普通を絵にしたような俺が少しだけ普通でなくなった日が来た。
趣味でやっていた株取引である日どこぞの証券会社が数千億単位の誤発注を出したのだ。
しっかりその尻馬に乗った俺は一夜にして数億の金を手にした。
だが喜んだのも束の間だった。
それから先はあまり思い出したくない。
お決まりな事にやたら親戚・親友・同級生が増えた。
どこから嗅ぎ付けたのか分からないが中には幼稚園の同級生なんて名乗る奴も居た。

そんなこともあってか俺はすっかり人間不信になり
密かに恋心を抱いている真紀にまで心にも無いことを言っていた。
「どうせ俺の金目当てなんだろ?!」
「金がなくなれば水が引くみたいにいなくなるくせに!」


171 :題名未定 ◆WBRXcNtpf. [sage] :2007/03/30(金) 20:48:48 ID:VkcjW4hz

そう言い放った俺の頬に突然鈍い衝撃が走る

見ると真紀が綺麗な右フックを入れてきたのだ。
そのまま反動で次は左フック・・・右・左・右・・・
『え?デンプシー?え?え?』
痛みと目の前の可憐な少女が振るう某ボクシング漫画主人公の技に頭を混乱させていた。
猛ラッシュが止み何が起きたのか確かめようと頭を上げると
真紀が泣いていた。俺はさらに混乱していると真紀は
「・・・そう、思われてたんだ、さよなら、もう、はなしかけない」
とだけ告げその場を立ち去ろうとしてる。
それを聞きもう混乱ってレベルじゃなくカオスの状態となった俺は
その手を取り体を引き寄せなぜか口付けをしていた。

次の瞬間体を押され引き離された俺は何故か
「好きだ!付き合ってくれ!」
と愛の告白をした。
自分でも何故この場で告白なんてしたのか未だに分からない
当然場の空気が妙な空気になる。

俺はなんとなく居心地が悪くて
「し・しんけんだぞ!結構マジな告白だ!さっきは心にも無いことを言った!
反省している。付き合ってください!」
ともう一度告白した。
すると真紀は小さくクスクスと笑い出した。が、すぐに真剣な表情になり
「私も・・・健一のこと好きだよ・・・だから・・・さっきの言葉は傷ついた。」
と返してきた。
それを聞き俺は大地に向かって頭をこすり付けた。
「ごめんなさい!」
こすり付けるというか大地に向かって頭突きをしていた。
例えていうなら大地オンヘッドな状態で文字通り全身全霊を使って謝罪の意を伝えた。
それを見た真紀はまた小さく笑い
「もう2度と人を傷つけたりしない?」
と聞き俺は
「もう2度としません!!」
と誓った。

それから俺は少しずつだが人間不信が治っていった。
もちろんそれは真紀の力があったからこそだ。
金のほとんどを福祉施設へ寄付すると周りの自称親戚等もあっという間に去っていったが
俺は再び人間不信に陥ることはなかった。
残った金を使い家を買って一人暮らしをすることを薦めてくれたのも真紀だった。
「環境を変えてリセットするのもいいかもしれないよ」
と言ってこの物件を紹介してくれた。
それから実家を出てこの家に引っ越してきたのだ。

荷解きも一段落し俺は真紀にちょっと気になっていたことを聞いてみた。
「なぁ・・・越してきていまさら何なんだが」
「ん?何?」


172 :題名未定 ◆WBRXcNtpf. [sage] :2007/03/30(金) 20:51:26 ID:VkcjW4hz
「どうして一軒家なんだ?学生なら普通良くてマンションとかじゃね?」
俺のここに引っ越してくる前からの疑問に
「そりゃ・・・もし健一が結婚とかして子供ができて、いざ一軒家を買おうって時に肝心のお金がなくなってるかもしれないじゃない。先行投資よ。先行投資。」
と返してきた。
「俺としては真紀とだったらどこでもいいんだけど・・・」
「馬鹿言ってないで早く片付けるよ!ご近所さんへの挨拶回りもしなくちゃいけないんだし!」
と軽く流されてしまう。それを聞き
『ウツダシノウ』
とへこんでいると
「私の子供は庭付き一戸建ての中で育てたいしね・・・」
と小さく呟く。

脳内にたちまちお花畑が浮かんできた。
『AHAHAHAHAHAHAHA』

第3章終