174 :題名未定 ◆WBRXcNtpf. [sage] :2007/03/30(金) 20:56:06 ID:VkcjW4hz
第4章 Side真紀

健一がまた馬鹿なことを考えてる。
私の呟きを聞いた健一が幸せそうに蕩けている。
『かわいい・・・』
素直にそう思う。
まったくこいつは馬鹿である。しかも結構エロい
だがそれ以上に純真で繊細だ。

初めて知り合った時同じのゼミのお調子者といった程度の認識だった。
だがたまに二人で遊んでみたりして健一は周りが思っている以上に純真で
繊細だということに気づいてきた。
それがはっきり分かったのは健一が株で相当な大金を稼いだと聞いたときだった。
それまでいつも笑っていたのに急に無表情になっていった。
たまに一緒に遊んでも異様に口数が少ない。
『あれ?こいつこんなに静かだったかな?』
いつも必要以上に明るい奴が急に周りを拒絶していった。
心配になり
「なんかあったの?」
と聞いても別に・・・と酷くつっけんどんに返される。
いい加減頭にきた私は
「ちょっと何なの?!いい加減にして?私なんか言った!?」
と怒鳴り声をあげていた。
すると向こうも負けじと怒鳴り声で
「どうせ心配してくるのは俺の金目当てなんだろ?!」
「金がなくなれば水が引くみたいにいなくなるくせに!」
と叫んでいる。それを聞き私は

あたまがまっしろになった。

なぜだかほほにつめたいものがつたっていくのをかんじた。

てをつめがくいこむほどにぎりしめている。

『わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない
・・・わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない
・・・わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない
・・・わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない・・・わたしのことをしんじてくれない・・・』

気が付いたら健一のことを無茶苦茶に殴っていた。
手から血が流れている。
健一の血なのか私の血なのかすらわからない。
私は泣きながら健一のことを殴っていた。
刹那、我に返ると血まみれの健一が下を向いていた。
訳が分からず本心とは逆の言葉が口から飛び出す。
「・・・そう、思われてたんだ、さよなら、もう、はなしかけない」
とだけ呟いきその場から一時でも早く逃げようとした。
その時、強い力で腕を握られ体を引き寄せられる。
次の瞬間唇に何か当たった。



175 :題名未定 ◆WBRXcNtpf. [sage] :2007/03/30(金) 20:58:26 ID:VkcjW4hz
何が起きたか理解できず必死にもがいて健一の体を押し返した。
するといきなり

「好きだ!付き合ってくれ!」

今度こそ本当に何が起きたのかまったく理解できなかった。
時が止まったように感じた。
カレが次の言葉をつむぐのを待っていると少しばつが悪そうに
「し・しんけんだぞ!結構マジな告白だ!さっきは心にも無いことを言った!
反省している。付き合ってください!」
その少し間の抜けた様子に思わず笑いがこみ上げてきた。
それを見てカレはポカンとしている。
その様子を見てこちらも気を取り直し
「私も・・・健一のこと好きだよ・・・だから・・・さっきの言葉は傷ついた。」
と本当の気持ちを伝えた。
するといきなりカレは物凄い勢いで土下座をし始め必死に謝ってきた
そんな姿に無性に愛しさを覚えまた笑いがこみ上げてくる。

私の中にあったさっきまでの絶望が嘘みたいに晴れていった
『健一はあんなに酷いことをした私のことを信じてくれている』
そう思うと体の芯のほうからゾクッとしたものがこみ上げてくる。

それから私は健一を全てのゴミから守ってきた。
余計なものを引き寄せる金は施設に寄付させた。
それでも寄ってくるゴミから健一を守る為残った金で家を買うよう薦めた。
もちろん私と健一の愛の巣にする為に。

だから正直さっき健一が私と一緒に居るならどこでも良いと言ってくれた時は飛び上がって喜びたかった。
心のそこからうれしかった。
もうすぐ健一と一緒に暮らせる。
もうすぐ健一と同じ時を過ごせる。
もうすぐ健一の全てが私のものになる。

だけどそうはやる心を押し殺す為わざと冷たくあしらってみる。
そんな私を見てしょげる健一が可愛くてしょうがない。
もう少しいじめてみたい気もするが少しフォローを入れてあげた。
今度は蕩けそうな顔で何かを思い浮かべている。
その姿も可愛くてしょうがない
『だめだ・・・このまま押し倒しちゃいたい・・・』
そう私の中の何かが訴えるのを必死でなだめ引越しの続きをすることにした。

第4章終
最終更新:2019年01月15日 10:01