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182 :帰り道 ◆UHh3YBA8aM [sage] :2007/03/30(金) 23:04:54 ID:hQz4Jvy2

「彼女が出来たんだ」

学校からの帰り道。僕は裕未(ゆみ)にそう告げた。
「え・・・・・・・」
ずっと傍にいた幼馴染は、虚を突かれたように――呆けた顔をした。
「B組の七霧(なぎり)さん。裕未も知ってるだろう?」
「・・・・・恭(きょう)・・・・くん・・・・・・?」
呆けた様な貌のまま、裕未は僕に振り返った。
「一年のときから・・・・ずっと好きだったんだ。で、ほら、オレってヘタレだろ?
だからさ、想いを伝えるのに・・・・こんなに時間掛かっちまってさ。でも、覚悟を決めて
告白したんだ。そしたら、オレなんかを受け入れてくれてさ」
思い出すと、顔が熱くなる。
はにかみながら、頷いてくれた七霧さんの笑顔。
「自分でもまだ信じらんねーよ。あんなに可愛い子がオレなんかと、な」
思わずにやけてしまう。
「でさ。お前とも付き合い長いし、一番の親友だからな。最初に云っておこうと思ったんだ」
「・・・・・・・・・・・・」
裕未は何も答えない。
ゆらゆらと、瞳孔が蠢いていた。
「裕未?」
「・・・・・恭、くん・・・・」
ゆらゆらと。
見たことのない貌で。
幼馴染は僕の前に立った。
「いくらなんでも・・・その、じょ、うだん、は、・・・・ないんじゃないかな・・・?」
「え?いや、冗談なんかじゃねーよ」
「恭くんは優しいけど、たまに意地悪とか、悪戯するよね?私、そう云うの今まで気にして
なかったけど・・・・これは酷すぎるよ」
「いや、だから、」
「駄目だよ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ゆ、裕未・・・」
大きな声だった。腹の底から搾り出すような感情の発露。
「恭くん、そんな冗談は駄目!!!絶対に駄目!!!!!駄目なの!!!!!」
裕未の細い手が僕を掴んだ、信じられないくらい力強く。
「いっ・・・・・つ・・・」
思わず声を上げた。
「ねえ!?なんでそんな意地悪するの!?裕未なにか悪いことした!!!!!???
そんな冗談云っちゃだめなんだよ!!!???」
「お、落ち着けよ・・・!」
僕は裕未を振り払った。


183 :帰り道 ◆UHh3YBA8aM [sage] :2007/03/30(金) 23:07:00 ID:hQz4Jvy2
「確かにオレは悪戯とかするけどよ、これはそんなんじゃねーって。
オレはホントに七霧さんを好きで、付き合うことになったんだ」
「どうして・・・!?どうしてまだそんな冗談言うの!?駄目だよ!
だめ、ダメ、駄目、駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目
駄目なんだからぁ!!!!!!」
裕未が叫んだ。鬼のような形相で。
僕は何も云えない。
どうして冗談だと思うのか?
なんでここまで怒るのか?
疑問はあったが、質するのは躊躇われた。
否――単純に、今の裕未が恐ろしかったのだ。
「ねえ、恭くん」
笑った。
口元だけ。
「もう一度だけ聞くね?」
一歩。
僕に近づく。
「七霧・・・・・さんと付き合うって、嘘、だよね・・・・?」
怖かった。頷いてしまうほうが楽かと思えるほど。
けれど、ここで頷くわけにはいかなかった。七霧さんを裏切りたくなかったからだ。
「――――本当だ」
「・・・・あ」
裕未の動きが止まった。
「あ、は、」
途端――
「あはははははははははははははははっははははははははあはははあはっははははっはは
ははははははははははははははははははははっははははははあはっははははっはははは」
声を上げて幼馴染が笑う。
「そう!そうなんだ!そういうことなんだ!わかった!わかったよ恭くん!!!
“つけこまれた”んでしょ?そうだよ。そうに決まってるよね?恭くん優しいもん。
あの女に騙されてるんだね?」
「お前・・・なに云って・・・・・・」
「大丈夫。大丈夫だよ!恭くんは裕未が護ってあげるから!!!あの薄汚い女から、
絶対に助けてあげるから!!」
「裕未、なに云ってるんだよ!?オレは騙されてなんて、」




「   黙         れ           よ  」




「・・・・・・・っ」
息を呑んだ。
裕未が、こんな言葉を口にしたことはなかったはずだ。
裕未は笑顔。
すごく眩しい、向日葵のような笑顔をつくる。
「恭くん。すぐになんとかするからね?」
僕はなにも云えなかった。

翌日―――七霧さんは、事故死した