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392 :実験的作品 [sage] :2007/06/15(金) 20:07:46 ID:WMTXN3Wm
「なんでだと思う?」
「死ね!」
…相談する相手を間違えたのだろうか…
目の前には高校時代からの悪友、上杉達也が烏龍茶を片手に睨みつけている。
まぁ、そうだろう。本人は気づかれていないつもりなのだが、上杉も千鶴さんに憧れていた口なのだ。
「そもそも、千鶴さんがいるのにオナニー?
お前が千鶴さんと付き合っているっていうだけで万死に値するってのに……お前、やっぱり死ね。」
「いや、違うだろ。それ(えっち)とこれ(おなにー)とは別だ。」
「つーかさ、そもそもお前が2次元から卒業すればいいだけの話だろ?」
「う…そこまでしないと駄目か?」
「はっはぁん…俺にはわかったね。今のセリフを千鶴さんの前で言えるか?
千鶴さんと2次元どっちを取る?と聞かれて一瞬でも躊躇するお前の姿を千鶴さんに見せられるのか?」
「いや…それは…」
…想像するだに恐ろしい。
『別にいいよ?』
なんて千鶴さんに氷の微笑で言われる場面なんて想像したくないね。
まぁ、とは言うものの、俺だって上杉の意見は当然考えた。
千鶴さんと2次元…なら迷わず千鶴さんを選ぶ…のだが、なんとか両立できないものかと考えてしまう…
もしかすると俺のそんな心を千鶴さんは見抜いているんじゃないだろうか?
…そう考えれば、何となく理解できる部分はあるのだ。
3次元のエロDVDと千鶴さんなら俺は迷わず一片の後悔もなく千鶴さんを選ぶ…
「でも、なんか違うんだよなぁ…千鶴さんのはそーゆーんじゃない気がする。」
「…その根拠は?」
「……ん~…何となくだ。」
「やっぱり、お前は死ね。」

『ねぇねぇ、なんの話をしているの?』

背後から音もなく忍び寄り、話しかけてくるのはやはりというか…千鶴さん!
って…ちょいまった!千鶴さん30分くらい遅れてくるって言ってなかったっけ?
今、待ち合わせの時間から5分しか経過してないんですけど…
『あはは、予定より早く用事が済んじゃってさ…それともなに?私が居るとできない話でもしてたの?』
「えっとだなぁ…」
「P君は黙っててね?」
…うぅ…釘を刺された!まずい!ピンチだ
…どうする?<コマンド >逃げる! …しかし回り込まれてしまった!
こうなったらアイコンタクトだ!届け!俺の電波っ!
(…上杉…とりあえず黙っておいてくれ!)
(いくら出す?)
(ここは俺が奢る!)
(…戦う変身ヒロインがやられちゃうADVと新感覚寝取系アドベンチャーゲーム…もう、お前いらないよな?)
(ちっ…この野郎っ…だが、仕方ない…貸すだけだぞ?)
(まあいい………それで手を打とう!)
…この間、約3秒。伊達に高校時代からの付き合いじゃない!
「いやぁ、こいつ千鶴さんと漫画やゲーム…どっちを取る?って聞いたら一瞬迷いやがるんですよぉ。」
…上杉…お前…さっきのアイコンタクトはなんだったんだぁぁぁぁ!
おそるおそる千鶴さんの顔色を窺う…と、口元でふふんと笑っていた。
「そっかぁ…でも、一瞬でしょ?それに…P君にとって漫画とかゲームは趣味だから…仕方がないんじゃない?」
…あらら…って、まぁ確かに漫画やゲームを止めろ…なんて言われたことはないしなぁ…
気がつけば千鶴さんはビールを注文し、メニューを熱心に眺めていた。
しかし、千鶴さんは『へぇ…で、どっちを選ぶの?』なんて聞かないんだなぁ…
「やっぱ…お前は一回死んで来い」
上杉は呆れ顔でぐぃっとビールを飲み干していた。


393 :実験的作品 [sage] :2007/06/15(金) 20:08:41 ID:WMTXN3Wm
じょぼぼぼぼぼ…じょぼぼぼぼぼ…
便所に響き渡る和音。
「おう『P』よ、おぬしも傾くか!おお、何と立派なイチモツだ!隆々と…」
「お前はそっちのけもあるのかよ!」
「わはははは、だがいいのか?俺にそんな口を聞いて…」
「なんだ?…妙に勿体つけやがって…っと…ぅぅ…ぶるぶる」
「ふっふ~ん…まぁ、聞け。実は千鶴さんから相談を受けたんだわ…と、もちろん千鶴さんには内緒だ…いいか?っと…ぅぅ…」
うんうん、と首を縦に振る。なんだ?千鶴さんがこいつに相談だなんて…うわっ!雫を飛ばすな!
「千鶴さんがな?『Pってどんな女の子が好きなの?』って聞いてきたんだよ。」
「それで…お前はなんて答えたんだ?」
千鶴さんが?…一体何故だ?
「まぁ、むかつくが…『千鶴さんが一番好きなんだと思いますよ?』って答えておいてやったよ…大いに感謝しやがれ」
「それは…素直に感謝だが…それでどうしたんだ?」
「まぁ、焦るな…話にはまだ続きがあるんだ。
『そうじゃなくて…その…漫画とかゲームとかのどんな女の子が好きなのかなって思ってさ…上杉君知ってる?』
…だってさ」
「…お前が千鶴さんの声色を真似るな!気持ち悪いわ!…で?お前はなんて答えたんだ!」
…くそぉ…心臓がばくばくする…まさか…ただの人間には興味がない団長様とか、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス?
或いは、おしるこドリンクを愛飲している運動音痴な潜水艦の艦長?それとも…
「いや?『じゃぁ、今度Pが好きな奴を選んで貸しますよ』って言っておいたから…希望の物品があれば早めに渡しておけよ?」
…上杉…お前…いい奴だな…
「あ、そうそう…報酬はスイス銀行の例の口座に振り込んでおいてくれ…でないと…
ついうっかり、BL(べーこんれたす)系とか、女子色少年のススメ系とかを渡しちまうかもな、」

…全言撤回…お前はやっぱり鬼だ…


394 :実験的作品 [sage] :2007/06/15(金) 20:11:50 ID:WMTXN3Wm
それから数日後、俺は千鶴さんがいないときを見計らって上杉に手渡す物の吟味に余念がなかった。
…いくらなんでもエロゲはまずいよなぁ……ちょいと古いが最近パチンコにもなった…あれあたりは無難か?
うぅむ、とはいえ最近見てもいないしなぁ…となれば、とりあえず、ツンデレ系を入れておくか…?
いやまて、だが注釈を入れずに渡すとなると俺がどれを好きなのか伝わらずに千鶴さんに致命的な誤解を与えてしまうかもしれない。
魔法少年がでてくる、焼き鳥みたいな名前のあれも同じ理由で却下…そう考えると難しいな。いや、深く考えずに渡したほうがいいのか?
そもそも、それを渡したからといって何かが変わるのか?
「いっぺん…死んでみる?」
…それは洒落になってないな…寧ろ
「あ、あんたの為に練習したんじゃないからね!」
これは嬉しいかも…だがそんなことを千鶴さんが言うのか?
「月に代わってお仕置きよ!!」
「えっちなのはいけないと思います!」
「バカばっか」
…ぇぇい!俺は馬鹿か!一体なにを考えているんだ…素直に好きなものを渡せばいいんだ…えっと…えっと…

「で…その結果がこれか?」
…俺が最終的に上杉に渡したのは
『伝記活劇ヴィジュアルノベル』
『携帯からはじまるLoveStories…』
『至上最弱の男が格好いい地域制圧型SLG』
の3本だった。
「…無難な線だと思うんだけどなぁ…駄目か?」
「まぁ…エロゲの中ではエロスはほどほどな部類だからなぁ…
アニメ化されたり、今度されたりだしな。まぁ、お前がいいならいいけどな…」
そういって、上杉は俺の手からその3本が入った紙袋を引ったくり、手を振って横断歩道の向こう側に消えていった…
…言い忘れてたがちゃんと返せよ…

それからというものの、俺は期待と不安に包まれた毎日を送っていたわけだ。
なんでかって?そりゃ彼女が何かに感化されて、俺の写真が携帯の待ち受けになっていたり、
『……駄犬の分際で主人に逆らうなんて。去勢するところだわ、この早漏』
とか言い出したりするのか?と期待したり。或いは我が家にあるその手の物品を
『汚物は消毒よっ~!』
と燃えるゴミの日に捨てられてしまうのではと怯えていたわけだ。
そう…人呼んで、【至上最低の男】とは俺のこと?…
いや、まぁ、要するに審判の日を待っていたわけだ。
しかし、一向に彼女の様子に変化は見られない…
「ん…どうしたの?」
…ベッドに寝転がっておせんべいを齧りながらぴこぴこゲームをする千鶴さん。
千鶴さんは上杉に借りた(正確には俺が貸した)ゲームをプレイしてるのかな…
それでやっぱりえっちなシーンで興奮して、気がつけば千鶴さんの手は下腹部に伸び…
『P君…こんなにえっちなのを見て…おなにーしてるのかなぁ…』
千鶴さんの頬は上気し、指先が秘芯に触れ…

『P?…どしたの?』

うわぁぁぁぁ!べっくりしただぁぁ…。気がつけば目の前で千鶴さんが俺の顔を覗き込んでいた。
…やばい!俺のエクスカリバーがっ…って千鶴さん、気づくの早いです!


395 :実験的作品 [sage] :2007/06/15(金) 20:12:46 ID:WMTXN3Wm
『なんで…大きくなってるのかな?』
…うわぁ…千鶴さん。悪戯っ子モードですか。
うう…もしかして、君が主で執事が俺ですか?いえ、それは望むところなんですけど…
しかし、俺の期待を裏切るかのように千鶴さんは一瞬何かを思い出したかのように、

『…P君がしたいようにしていいよ?』

上目遣いで小首をかしげてそんな可愛いことを言う千鶴さんッ!!?
…えっと…あの、それはどういうことでしょうか?
俺は至上最弱のへタレ野郎の流法(モード)を余すところなく用いていた。
…したいように…俺のしたいようにする…といわれましても、
『わぁい、じゃぁお言葉に甘えてあんなことや、こんなことを…』
なんてできるわけがない。寧ろ、
『そう…そのまま飲み込んで。僕のエクスカリバー…』
とでも、言うほうが男らしいとさえ思うほどのへタレなんだ。
う…うろたえるんじゃないッ!ドイツ軍人はうろたえないッ!いや、俺日本人だし。
そもそも、千鶴さんはどちらかといえば攻撃型奉仕系。そして俺はマグロ系(最低)。
千鶴さんの巧みなリードによってなんとか無事にパイルダーオンできているわけで…
そんな俺がしたいように?…できるわけがない!断言するがAVやエロゲで得た特殊知識は実戦では役に立たない!
だが、まて。まぁ、まて。一体千鶴さんは何故突然こんなことを言い出したのだ?
まさか例のエロゲ?…いや、でも、そんなセリフあったっけ?
いや、ないはずだ。というか、千鶴さんがそんなセリフを覚えるか?
なら、無難に『メイド服を着て「お帰りなさいませ。ご主人様」と言ってもらうか?』駄目だ、メイド服がない!
ならば、ナース服で『お注射してください…』って言ってもらうか?…無理!絶対無理!
そんなことが言えるなら最初に言っている!第一ナース服は千鶴さんの仕事着。
それを持ってきて貰ってご奉仕だなんて…だが、落ちつけ。万が一それが千鶴さんのNGだったら?
流石にそれは変態?第一、エロゲのシチュエーションでえっちしたいだなんて言えるか?
無理。それが原因で別れるなんてなったら目も当てられない!

…ふと、気がつけばベッドに戻り、またぴこぴことゲームに忙しそうな千鶴さんの姿。
あら?…投影した俺のエクスカリバーが消えている…夢?
いやいや、えっと…千鶴さぁん…
「?…なに?」
…いえ…なんでもないです。