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437 :実験的作品 [sage] :2007/06/18(月) 20:10:54 ID:SV3zZ8/2
職員室に呼ばれて教師にお説教されるなんて何年ぶりだろう?
長い沈黙に思わずそんなことを考えていた。
目の前には無言でコーヒーを啜るコーネリアさん。
「ええと…今日はいい天気ですね。」
「…ああ、そうだな。」
うわっ…むっちゃ機嫌悪っ!俺なんかしたか?
と、言っても、まぁ、99%千鶴さん関係の話で間違いないだろう。
千鶴さんとコーネリアさんは同じ職場の同僚でもあるわけだから自然と会話を交わすこともあるだろうし、その中で千鶴さんがコーネリアさんに何か俺に関する悩み事や愚痴…しかも、直接俺に言いにくい類の相談をしたとしても不思議ではないだろう。
その上、コーネリアさんは見た目こそどこかの国のお姫様や女王様の類なのだが、中身は案外というか意外と乙女ちっくな女の子なのだ。普段のつんとした少しお高く見える仮面の裏側には甲斐甲斐しい可愛い女の子の内面に
「コーネリアさんって犬気質よね。ほら番犬みたいに外に向かっては吼えるけど、ご主人様には忠義を尽くすって感じの…P君にわかりやすく言えばツンデレ?」
…いや、それはなんとなくツンデレじゃない気もしないでもないこともないのだが…
まぁ、そんなコーネリアさんは面倒見もよく千鶴さんの世話や、俺なんかの相談相手にもなってくれるみんなのお姉さん的存在だった。
 その少し怖いお姉さんからの呼び出し。おまけに隣に千鶴さんがいないとくれば、もう、これは高確率でお説教。そこは凄みのあるお方。黙っていると、どこぞのウォーマニアックな大尉みたいな迫力がある。
「Pさん…千鶴とは上手くいってるの?」
「え…!?ぇ…ええ…」
突然の質問に脊髄反射的に答える。思わず、『サー!イェス サー!』と立ち上がり、此処がホテルの喫茶店であることを忘れて返事しそうになるのを押さえ、辛うじて肯定の意を促す。うわぁ…既に心臓がばくばくと鳴っている…
「セックスは週に何回?」
「え…ぇえええ?」
『何でコーネリアさんにそんなことを言わなくちゃいけないんですかっ!!!』
喉の奥まで出掛かったそれをごくんと嚥下する。
「何回?」
「…今は…3回くらいです。」
「ほぉぉ…」
少し意外そうな表情を浮かべながらタバコを咥え、それを上下に動かしながら
「思ったよりはしてるのね。それに今はってことは、以前はもう少ししていたわけだし…
若いっていいわねぇ。」


438 :実験的作品 [sage] :2007/06/18(月) 20:15:57 ID:SV3zZ8/2
…いや、コーネリアさん俺たちと同い年じゃないですか…などと突っ込みは恐ろしくて言えない。
コーネリアさんはどうも、男運が悪いのか寄って来るのは「女王様~もっと罵ってください」というような類か、
渋い叔父様(家庭持ち)である場合が多い。
その内、付き合うことになるのは後者らしいのだが、どうも、と言うか、やっぱりというか長続きはしないらしい。
千鶴さんに言わせれば「コーネリアさんは理想が高すぎるのよ」…らしいのだが。
まぁ、そのあたりは俺にはよくわからない話だ。
「まぁ、率直に言えばどうも千鶴の様子がおかしい、というか落ち込んでいる、というか悩んでるような感じなのよね。
本人に聞いてもなんでもないって笑って言うだけだしね。それでPさんに何か心当たりがあるかなって思ったんだけど?」
そりゃそうだろ。千鶴さんは案外頑固であまり人には弱みを見せたがらないタイプだ。
作業や段取りなど自分が知らないことについては率直に聞いてくるのだが、自分の考えていることなどはあまり人に話したがらない。
逆に言えば千鶴さんがそれだけ物事をそつなくこなしているってことなのだが。
まぁ、要するにコーネリアさんはそういった千鶴さんの異変をいち早く察知し、俺にその事実を伝えてくれた。
さらにあわよくば千鶴さんの悩みを解決してあげたい…と、そういうことなんだろうなぁ…。
自分の胸に手を当てて考えてみる…なんだろう…そう、考えると思い当たる節があった。
「…違うかもしれないですけど…」
「ふむ、心当たりはあるようね。」
「はい…」
確かにコーネリアさんも心配をしてくれているのはわかる。
しかし、二人の話をそこまで赤裸々に話してもいいものだろうか。
とはいえ、親切心で千鶴さんが何か悩みを抱えていることを教えてくれたんだし…
「たぶん、ですけど。この間、そのえっちできなくって…」
「あら…勃たなかったの?」
「いえ、寧ろ勃っていたんですけど…その、千鶴さんが『したいようにしていいよ』って言ってくれて…
それでなんていうか…パニックになっちゃって…それで…」
「へぇぇ…千鶴が?したいようにしていいって?」
「はい…」
「それでPさんがあまりにも変態的なことを要求したの?」
「そんなことしませんよ!…あ…すみません。いえ、そうじゃなくて…頭のなかが真っ白になっちゃって、
それで何もできなくって。」
「はぁぁぁぁ…な・る・ほ・ど・ねぇ…」
コーネリアさんは咥えたタバコを灰皿に置くと、なんと言うか犯人がわかったベルギーのちょび髭探偵のように俺の顔を見ると。
「そりゃぁ…千鶴もへこむわぁ…でも、あの千鶴がねぇ…くくっ…」
俺の頭の上には『?』マークが天使の輪のようにくるくると回っていた。え…なんで千鶴さんがへこむ?…Why?…
「え?…それって…なんでなんですか?」
訳のわからない俺の様子に、コーネリアさんはまるで教師のような見下ろすような視線を投げかけてきた。


439 :実験的作品 [sage] :2007/06/18(月) 20:18:28 ID:SV3zZ8/2
「Pさん…あなたは千鶴のこと…どんな女だと思ってるの?」
千鶴さん…綺麗で可愛くて気が強くて優しくて…料理も上手で掃除とか細かいところも気がついて、
少し変わったところもあるけど、ちょっとえっちな女の子…
「千鶴はさぁ…どっちかといえば猫気質?…というか虎気質なの。気位は高いし、我がままで気分屋…
それにいざとなったらがぶぅって噛み付く牙や爪だってある。なんていうか…
手負いの虎って表現がぴったり合うような気がするかな?」
…そういうあなただって、千鶴さんは犬気質って言ってましたけど…どっちかといえばドーベルマン…
いや…狼とかヘルハウンド、或いはケルベロスみたいな人間には変えない類の犬気質っぽいんですけど…
などと思っていることは言えずにコーネリアさんの言葉に耳を傾ける。
「その…千鶴が甲斐甲斐しく尽くしているっていうだけでも驚きなんだけど、えっちの時に相手にしたいようにしていい…
そんなことを言った事自体が驚きなんだけど?」
そう言われれば千鶴さんはえっちがしたくなったら、俺の意思とは関係なく自分から誘う…というか始めることが多かったなぁ。
いや、マグロな俺から誘ったことってもしかして一回も無いんじゃぁ…
「な・の・に……あの千鶴が勇気を振り絞って赤面しながら誘ったのに…何もしないんじゃぁ…そりゃ怒るし拗ねるし落ち込むって。」
…そうなのか?千鶴さんはあのときに何もできなかった俺を責めているのか?って、別に変わった様子もなかったけど…
でも、コーネリアさんがそういうなら間違いないだろうなぁ…えぇぇぇ…どうしよう、どうしよう…
「どうしたらいいんでしょうか…」
思わず、口をついて出る本音。
「ん…とりあえず謝ってみるとか?まぁ、あとは何を想像して固まったか知らないけど、
『したいようにしていい』って言ってくれているんだからしたいことを考えておいたら?
緊縛の仕方とか、そういう特殊プレイで使う道具とかが必要だったら安く分けてあげるけど?」
「え…ぁ、それはまた改めて…」
ふぅ…と安心したのか全身から力が抜ける。それにしても…千鶴さんがそんなことで悩んでいたなんて気がつかなかったなぁ…
でも、俺のしたいこと?…したいことってなんだろう…第一していいって言われたからって…言えないことだってあるよなぁ…
とりあえず、今日会ったら…謝るか…

その時はまだ、俺はそんな風に安易に考えていた。