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370 :一週間 金曜日 ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/07/21(土) 12:19:21 ID:GEl7EzNH
 仕事を終えて、我が家へ帰ってくると。
 僕の部屋の前に、先輩が居た。ドアに体をもたれさせて、僕の帰りをずっとずっと待っていたようだ。
「みぃーくん……」
「先輩……」
 先輩はスーツ姿で、長い黒髪を纏めもせず垂らしたまま、出入り口である階段のあたりをじっと見つめていたようだ。
 僕の姿が見えた途端、この世の終わりのように沈んでいた顔がぱぁっと明るくなる。ころころと変わるサイコロのような変化。
「やっと。やっと帰ってきたんだねぇ。おかえりぃ」
「た、ただいまです」
 先輩はゆっくりと立ち上がる。そしてふらりふらりとこちらへ寄ってきた。足元はおぼつかず、僕のほうを見ながら少しずつ少しづつ距離を縮めてきて。
「みぃーくんんんっ」
 はぐぅっ。
 両手を広げて、大きくハグされたのだ。
「わっ。先輩!」
「ひさしぶりぃ。みぃーくんの温もりだぁ……。すっごいよぉ……」
 まるで、薬物常習者のように意識が飛ばした囁き。先輩の体が僕に向かって押し付けられる。胸、腰、腕。僕の匂いを自分にこすりつけるように蠢く先輩の体。
「酷いよぉ、みぃーくん。電話も禁止だって……本当に出ないんだもの。私、あの後なんにも考えられなくなっちゃったんだよぉ……」
 僕の肩に鼻と口を押さえつけて、すーはーすはーくんかくんかくんかくんかと汗を吸うようにぐりぐりとする先輩。
「みぃーくんみぃーくん。みぃーくんの汗のにおい……すっごくいいよぉ。」
 まるで、なにかにとりつかれたように囁きながら、僕の体に体重を乗せていく。
「先輩。先輩っ!」
 僕は慌てて声を出して。先輩の肩を掴み、体を離した。先輩の体は軽く、僕の行動にも抵抗しなかった。いや、肩をつかまれたことにより別のことを期待したようで。
「んー~……」
「唇を突き出さないでください」
 僕は先輩を離すと、先輩はふえぇぇと崩れ落ちた。僕と逢って安心して脱力したよう。ふにゃふにゃ笑って、こっちを期待を込めた目で見つめる。
 潤んだ瞳と赤く染まった頬。口元は儚げに揺れてとろんとした桃色の唇から一筋の液体がたらりと流れていた。
「先輩。大丈夫ですか?」
「えへへ。みぃーくんに逢えたら、安心しちゃった……」
「とりあえず、ここ廊下ですから。廊下で抱きつくのは止めてください」
「うんっ」
 僕が手を伸ばすと、先輩はそれを掴み体を起こす。先輩の手は強く握られ指の一本一本まで絡められる。
「えへへ。入ろう。これから逢えなかった分。全部返してもらうから♪」
 もじもじと何かを期待するように下腹部を抑えながら、僕に向かって期待した目で微笑む先輩。頭の中では、今からこの部屋に入って、僕を押し倒しうにゃんうにゃんする映像が流れてるに違いない。
 しかし、僕の返す言葉は決まっている。
「は? 何言ってるんですか。禁欲期間は今日までですよ?」
「え」
 先輩がはとが豆鉄砲を食らったような顔になる。そして、明らかにわかるほど狼狽し始めた。
「先輩。3日間逢わないって言いましたよね。今日は金曜日ですからその三日目ですよ」
「………いやいやいや」
 先輩。ないないといった風な顔は止めてください。
「だから、明日です。明日で終わりですよ」
「……じゃじゃあ。日付が変わるまであと3時間だからっ、それまで待つわ!」
「ダメです。ちょうど3日間、72時間だから明日の夜までですよっ」


371 :一週間 金曜日 ◆oEsZ2QR/bg [sage] :2007/07/21(土) 12:20:02 ID:GEl7EzNH
「そ、そんなぁ」
 本当は別に今日でもよかった。しかし、先輩のこの禁欲期間に対する意図をわかってもらえないことには、この3日間の意味がないのだ。
 だから、僕は心を鬼にして言っているのだ。けして見ずに溜めていたAVを消化するのに間に合わないのが理由だからでは無いっ。……本当だよ?
「ねぇ、今日でもいいじゃないっ。もう私、今日で終わりだと思って……我慢に我慢を重ねてるんだからぁ!」
 先輩の瞳からぽろぽろと涙が溢れていく。心が痛むが、これも今後の関係のためだ。
「ダメですよっ。先輩、それよりも何のためにこの禁欲期間を設けたか、先輩はわかってます?」
「……同僚から聞いたわ。何日か溜めたほうが極上の気持ちよさになるって!!」
 焦らしてるんじゃないんですってば!
「だから、いっぱいいっぱい我慢したよ! それに普段恥ずかしくて出来なかったことも使用と思って、いっぱい持ってきたのに……!」
 い、いっぱい持ってきたって……。
「ムチにローソクにロープにラップに動くアレにぬるぬるするヤツに妹の電話番号に……」
 最後のは何に使うんですか! というか誰の妹ですかそれ!?
「……えへへ。ねぇ、みぃーくんは姉妹丼とか興味あるかな?」
「やめーい!」
 さすがに、僕も我慢の限界だ。先輩の手を振り切るっ。
「先輩! いい加減にしてください! こうなったらもう一日追加です!」
「ええええ!」
「期間は明後日、日曜日まで延長ですっ。いいですね!」
「そんなぁっ。みぃーくん、勘弁してよっ! 私、もうだめなのぉ! みぃーくんとエッチしたくてしたくて、ほら! 見て、ここ!」
 先輩がスカートをたくし上げる。露わになる先輩のショーツ。縞々のショーツはぐっちょりと濡れていて、溢れる涙と同じように湿らせている。
しかも、その三角の先端部分はなにかを仕込んだかのようにぷくりと膨らんでいて、心なしかぶぶぶぶぶと音を立てて振動しているような……。
「ダメです! ダメですっ! ダメですっ!! おやすみなさい!」
 僕はすばやく体をひねり、自室のドアを開ける。そして、すばやく閉めて鍵をかけた。
「みぃーくん! みぃーくん! みぃーくぅぅぅん!!」
 ガンガンとドアを叩く先輩。僕は心を鬼にして全力で聞こえないフリをする。
 先輩の声はしばらく響いたが、やがてダメだと悟ったのか。先輩の声は止み、静かになった。
「……先輩」
 もしかしたら、先輩とはもっと距離をとったほうがいいのかもしれない。
(続く)