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218 :溶けない雪 [sage] :2007/10/01(月) 18:44:51 ID:lnCyGbRC
4

朝、8時頃に目を覚ました。
普通の学生の場合ならここで遅刻だと朝から騒ぐ時間帯なのだろうが、
自分にはさほど問題無い時間だ。
顔を洗い、服を着替えて、朝食を食べ、歯を磨き家を出た。
今日は曇りなので傘を持っていこうとも思ったが、
結局、降らなかった場合は邪魔になるので持っていくのをやめた。
学校に着いた時間は8時23分。
ちなみに、学校は8時30分からだ。
遅刻はしてないとはいえ、もう直ぐで授業が始まる時間なので、
教室には既に大体の生徒が揃っている。
「おはよう」
席に着くと水無月さんに挨拶をされた。
驚かなかった、と言えば嘘になる。
多少話しただけで女子と挨拶しあうような間柄になるとは思ってなかったからだ。
でも昨日の自己紹介の事を思い出すと、きっとこんな子なのだろう。
「あぁ、おはよう」
少しだけ遅れたが、こちらも返事を返す。
席に鞄を置き、昨日同様、黒板の横で輪になっている雲海達の所に行く。
「やぁ、ニブチン君」
いきなり友人Aに変な呼び方をされた。
ニブチンと言われても直ぐには分からなかったが、
少し考えると昨日の事を引っ張ってきたのに気付いた。
まだ会って2日目で友人からあだ名で呼ばれるのは、
上手く行っている事の現れなのだろうが、あだ名があだ名なので複雑な心境だ。
「やあ、皆おはよう」
とりあえず複雑なのでスルーした。
「おはよー」
既に挨拶をした友人A以外から返事の挨拶がきた。
「スルーですか・・・・・・・・・」
「残念ながら、僕はあまりリアクションを取りずらいのにはスルーするのだよ」
実際に、前フリ無しでいきなり変なあだ名で呼ばれてもリアクションに困るだけだ。
数分程、雑談をしていると、教師が来たので席に着いた。
来るのが早く感じたが、7分しか時間がなかったので早いのは当たり前である。
2日目からいきなり授業に入ったので、
なんかいやだなーとか思ったが、まだ授業は初日で、
雑談ばかりで授業と呼べるものは全くなかったので問題はなかった。
正直、授業をしないまま昼休みに突入した。
教科書を鞄に入れると、雲海と他数名がこちらにやってきた。
「遂にきたな」
「うん、遂にきたね」
いきなり主語がない言葉を雲海に掛けられたが、
何の事か分かっていたので会話は成り立った。
「念のため、それなりに持ってきたな?」
「うん、持ってきた」
また主語がないが、前述した通り、何の事かちゃんと分かっている。
「では………………食堂に行こうか」



219 :溶けない雪 [sage] :2007/10/01(月) 18:47:19 ID:lnCyGbRC
そう、食堂である。
実は昨日、この高校には食堂があるので、
グループ内の皆で行こうと話していたのである。
別に、日常化すればどうでもよくなくなるとは思うが、
初めて行くとなると話は変わってくる。
ちなみにそれなりに持ってきたか?とは財布の中身の事である。
値段が分からないので、念のために多めに持ってこようという事になっていた。
いくら位か調べてこようか?と聞いたが、
無粋な真似をするんじゃねぇ!と何故か怒鳴られた。
そんなわけで、友人達で食堂に向かった。
多少迷った。
食堂に着いた瞬間、あれ?と思った。
食堂というのは漫画とか小説みたいにかなり混雑している、
というイメージがあったのだが、他の食堂はどうなのかは置いといて、
ここの食堂は大して混雑していなかった。人はそれなりに居るが、
それでも席はそれなりに空いているし、
券売機の前に人が列を成しているというわけでもなかった。
友人達も同じ事を考えていたようで、呆気にとられていた。
所詮は作り話か・・・・・・・・・・・食堂としても、
入ってきた人の勝手な思い込みで、
まじかよみたいな顔をされるなんてたまったもんじゃないだろう。
食堂の入り口にいつまでも立ち尽くしていたら良い迷惑だ。
僕が皆に促し、取り敢えずは券売機で券を買う事にした。
人が混雑してないのは値段が少し高いからじゃないか?と少し焦っていたが、
別に高くはなく、そこらの食堂より値段が少し安い位だ。
ほっとするのと同時に今度は不味いんじゃないか?という懸念が湧いてきた。
ここは安全性を考え、カレーにした。
値段も400とよく見る値段だし、カレーなら滅多に変な作りじゃないかぎり、
普通に食えるレベルだろう。やはり僕には冒険心がないのだろうか?
他の友人達も券を買った。僕と同じで無難にカレーにするもの。
俺は敢えてカレーより高い、カツカレーで行くぜといってカツカレーにするもの、
ここはA定食だな、と冒険するもの等。
ここに券は揃った。
券を出し、食べ物を受け取り、各々が席に座った。
それにしても僕含め、皆テンション上がってるな。
「じゃあ………食べましょうか」
雲海の食事の定番挨拶で、皆が食べ始めた。さて、味はどうなのだろう・・・・・・・


「・・・・・・・・・・美味い」
不意打ちだった。そう、美味いのだ。
さすがにちゃんとしたレストランとかに及ぶレベルとは言い難いが、
充分に美味いと言えるレベルだ。
カレーだから美味いのかもしれないと、他の面々を見たが、
皆うまくね?と口々に言いながら食べている所を見ると、
カレーだからというわけではないみたいだ。



220 :溶けない雪 [sage] :2007/10/01(月) 18:50:05 ID:lnCyGbRC
想定外の味に、スプーンは進み、直ぐに完食した。
値段といい、味といい申し分ないが、では何で、人の数が微妙なのだろうか?
食堂とは案外こんなものなのだろうか。
午後の授業は不覚にも、眠くなってしまったので、
睡魔に抵抗などせずに、大人しく寝る事にした。
どうせ授業じゃないだおうししね。
5、6限を寝てすごし、さぁ、帰るかとなった時に、
「放課後は委員会があるので、属する者は全員、
指定の教室に向かうように。
サボるのは構わないが内申にかなり響くとだけ、アドバイスをしとくぞ」
先生からの連絡があった。
確か昨日も、同じ連絡をしていたような気がする。
僕は保健委員なので・・・・・・・やっぱりというか保健室か。
鞄を持ち、保健室に向かおうとしたところで、肩を叩かれた。
誰かと思い、振り向くとそこには水無月さんが居た。
あぁ、そういえば彼女も僕と同じ保健委員だったっけ。
「私達は保健室だね。早く行こう」
僕と水無月さんで保健室に向かう。
保健室は校舎の1階、僕達の教室が3階なので、その分歩く必要がある。
当然なのかもしれないが、歩いている間、会話等ない。
元々、初対面の人に話を掛けられないのがきっかけで、話をした人なのだ。

今更感があるが、何で水無月さんも保健委員になったのだろう。
男子で知り合いは僕しかいないからとかなのかな?
まぁ、やはりなんとなく、とかの確率の方が高い気もする。
どうせ会話もないまま、気まずい雰囲気なのだから聞いてみよう。
「あのさ、何で水無月さんは保健委員になったのかな?」
「え?」
いきなり話掛けたので、驚いたからなのだろう、質問に対する返答は返ってこなかった。
「僕が決まってから立候補したからさ。何でなのかな?って、思ってさ。
保健委員に始めからなりたかったんなら、
最初から立候補したと思うし、やっぱりなんとなくとか?」
前ふりなしのその質問に、水無月さんは
「んー・・・・・・・・・まぁ簡単に言うと興味が湧いた、ってだけだよ」
「興味?」
はて、興味を持つ様な事なんかあったかな?
「興味って、何が?」
「坂田くんに興味が湧いたのよ」
僕!?
「興味が湧くような事僕したっけ?」
「それは人によって違うのだろうけど、
私にとっては興味が湧く事を、坂田くんはしたわね」
「僕の、どこが水無月さんの興味を引かせたんだい?」
「私に話掛けた事だよ」
声を掛けたから?
「えっと・・・・・・・・・・水無月さんに僕が話掛けただけで?」
「そうだよ。」
そんなものなのだろうか?
水無月さん程に美人なら声を掛けられる事なんて普通だと思うのだけど。
深く考えようとしたが、既に保健室の前に着いていた。
薬臭い室内、授業中になると何故か使用率が上がるベッド、
グラウンドが一望出来る窓。現在、保健室に居る。
図書室や、放送室、普通の教室等は、小学校から中学校、
中学校から高校に変わる度に部屋ががらりと変わるものだが、
保健室になると大した違いは生まれてこないのは何故なのだろうか?
保健室で委員会が開かれてはいるが、保健室はなにぶん道具等が多いので、
人数分の椅子を並べる事が出来ないので委員全員が地べたで開かれている。
でも何で先生だけは椅子に座っているんだろうね?



221 :溶けない雪 [sage] :2007/10/01(月) 18:52:21 ID:lnCyGbRC



別に立候補はしたが、積極的に保健委員の仕事はするわけでなく、
また、どうせやる事と言っても、今までと大差はないと思うので、
委員会での話は聞きながしていた。聞きながしながら、
僕は先程の水無月さんとの会話を思い出していた。
水無月さんは保健委員に入った事を、僕に興味を持ったからだと答えた。
それも、興味が湧いた理由が、話掛けられたから。
何でそんな理由で?本当に分からない。
何故そんな事で興味が湧くのかが、
やはり、人の考えてる事を当てるなんて僕には土台無理な話だったか。
この委員会が終わったら詳しい事を水無月さんに聞いてみる事にしよう。

最後に、独身の女性の先生のよくあるような台詞で委員会が終わった。
解散と共に直ぐに教室を出て、帰宅やら部活に向かう人達の中、
「水無月さん、ちょっといいかな?」
「ええ、いいですよ」
思えば、最初に声を掛けて直ぐにちゃんとした返事が返ってきたのは初めてだな。
まぁそれは置いといて、
「さっきから水無月さんの言っていた事を考えていたんだけどさ、
やっぱり僕の考えじゃ何も分かる事なんてなかったんだよね。
だから聞きたいんだけど、何で話掛けらたからなのかな?」
自分で言っといてなんだけど、さすがにしつこい気がする。
傍目には、美人に興味が湧いたと言われて、浮ついたやつに見えるだろう。
別に僕が浮ついているわけではないが。
「ごく、普通に声を掛けてきたから・・・・・・」
「え?普通?」
声を掛けるのに普通とかがあるのだろうか?



222 :溶けない雪 [sage] :2007/10/01(月) 18:54:05 ID:lnCyGbRC
「なんというか、何も考えないで、声を掛けてきた男の人は初めてだったんだよ。
確かに、町を歩いてると声なんかよく知らない人に掛けられるし、
中学でもそうだった。
そんな男の人達は決まって、私に少なからず下心を抱いていたり、
私の容姿に興味本位だったの。でも、あなたは違う。
声を掛けたのも、私がクラスで浮き気味だったからだったし、
別に私と親しくなりたいという感じでもなかった。
だから私は坂田くんに興味が湧いたの。
初めて、私の容姿や、
興味なんて関係なしにはなしてきた坂田くんに」
言われてみれば、そうなるのかもしれない。
美人と話が出来る事を若干喜びもしたが、別に水無月さんが、
クラスに馴染んでいなかったら、多分話掛けるなんて考えもしなかっただろうし、
髪の事もただの感想、名前の交換で喜びはしたが、
それ以上親しくなろうなんて思いもしなかった。
現に朝、挨拶をされて僕は驚いた。
確かにそうなる。
初めて自分への接し方が違う人に会えば、興味が湧くのも分かる気がする。
それだけでわざわざ委員会を同じにする必要があるのかとも思うが、そこらへんは人によるだろう。
何はともあれ、これで理由は分かった。
「あぁ、なるほど。そういう事か」
「えぇ、そういう事です」
しかし、何でかと考えている間は思わなかったが、
今考えると、興味を持たれたと言われても複雑だ。
自分から話の出所をふったのだが。
「ええっと・・・・・・・・・では聞きたい事は聞けたのでこれで」
結局、どう言えばいいか分からず、帰る事にした
「あ、ちょっと待って」
「はい?」
「あの・・・・・・・・そういうわけだからメアドを教えてほしいんだけど?」
そういうわけってどういうわけなんだろう?でも、これといって否定する必要もない
「あぁ、いいよ」
こうして、水無月さんとメアドの交換をした。
「それじゃあ、これで」
「えぇ、また明日」
水無月さんとは、高校から出る門から、帰路が違うみたいなので、
玄関を出てから直ぐに別れた。
まさか、水無月さんとメアドの交換をするとは思いもよらなかったが、
感想を言うと嬉しかったりした。それなりの年頃の男子なら、
女子とメアドの交換が出来て、嫌な気分になる人間などあまり居ないだろう。



223 :溶けない雪 [sage] :2007/10/01(月) 18:57:41 ID:lnCyGbRC


不意に、水無月さんの言っていた興味が湧いた、と言う言葉を思い出した。
「興味が湧いた・・・・・・・・か」
誰にでも言うでもなく、呟いた。
声を掛けられたから湧いたと彼女は答えた。
今思うと、自分でも不思議だ。
自分から女子に声を掛けるなんて、今までで言ったら、夏夢位なものだった。
では、何で自分は声を掛けたのだろう。
気まぐれ?
気まぐれとは違う気がする。
ではやはり美人だから?
そういうわけでもない。
優しいから?
今まで他人に、優しいねなんて言われる位に、他人に貢献した事などない。
では何で?
分からない・・・・・・・・
彼女は声を掛けた僕に興味が湧いたと答えた。
それと同じで、僕も、その時の自分に興味を持った。
何で、声を掛けたのだろう?