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191 :??? 1/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:14:25 ID:TLvbeUqe



 マガジン編集部。
 ここにはある特殊な使命を帯びた者達がいる。
 それがマガジンミステリー調査班、通称MMRだ。
 彼らは少年マガジン編集者で作られた組織であり、その活動目的は人類滅亡の可能性を調査し、
 それをマガジンに載せることで読者に警告することにある。
 しかし、そんな彼らの活動を良く思わない連中も居たことも事実である。
 宇宙人に誘拐されたこともあった。
 秘密結社の妨害にも遭い、隊員の命を狙われたこともあった。
 1999年には、人類が滅亡しなかったじゃないかという、抗議の電話が来たこともあった。
 裁判に掛けられ、サイバンチョに有罪にされそうになったこともあった。
 しかし、そんな様々な妨害にも屈せず、今日も彼らはあきらめない。
 それが唯一の戦い方なのだから。





192 :??? 2/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:15:21 ID:TLvbeUqe



人類滅亡の恐怖は未だに終わっていない――――。

にもかかわらずヨネムラ率いる新MMRの発足に伴い、闇に消えてしまった旧MMR。

キバヤシ達に何があったのか、今こそ真相を伝えなければならない!!





                緊急報告


           「MMR マガジンミステリー調査班」


 『14.マガジンデイズ  ~~ヤンデレブームの裏に潜む陰謀を暴け!!!~~ 』








193 :マガジンデイズ 3/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:19:10 ID:TLvbeUqe


――  2008年2月 講談社本社ビル内 マガジン編集部  ――


 とある昼下がり。
 ここが職場であろうと、世間がいかに忙しかろうと、今日もマガジン編集部には暇人が集う。
 しかし、その中でもこの男は格別であった。

「やはり、由乃はかわいいな。僕の担当の漫画家に無理矢理ヤンデレキャラを書かせてみるか」
 彼は一心不乱に漫画を読んでいる。
 よほどその漫画のキャラクターに心の底まで骨抜きにされているらしい。
 緩みきった顔で、漫画を読みながら独り言を呟いている。
 周囲には、まるでイチャイチャしている新婚のカップルのような、
 シロップより甘い空気が漂っていた。

 彼の名はイケダ。
 MMRの隊員の一人である。

 そんなイケダの呟きを聞いた、ある眼鏡の男が居た。
 彼はイケダの様子に興味を持ち、声を掛ける。
「なんだ、その漫画は?」
「ん、ああ。キバヤシさん。」

 イケダに声をかけたのが、MMRのリーダー、キバヤシだ。
 身長182cm、体重は77kg、血液型O型。
 眼鏡を掛け聡明な印象を与える姿をしているが、それに負けないだけの知性を備えている。
 IQ170の超天才であるばかりでなく、日本語・英語・フランス語の三ヶ国語を扱える。
 しかし彼が何よりも得意としているのは、超常現象・ノストラダムス解釈などの知識を生かし、
 人類滅亡の可能性を探ることである。

 キバヤシの質問にイケダが答える。
「これ、角川書店の月刊エースに連載している、未来日記ですよ。
 今はやりのヤンデレヒロインが登場する漫画なんです。」
「ヤンデレ?ああ、確かひぐらしのレナとかの刃物持って暴れるような、病んでるヒロインだったか?」
「違います!」
 突然、イケダが大声で怒鳴り散らす。
 その反応に、キバヤシは驚愕した。
「レナなんて全然違いますよ!何言ってるんですか!デレの部分がないじゃないですか!
 いいですか!?病んだ愛情表現を行うヒロインのことです!
 最近は2ちゃんのヤンデレ関係のスレでも、レナがヤンデレとか言う奴が現れてスレが荒れるし、
 これだから素人は」
「病んだ愛情表現?」
 キバヤシは、なんでイケダ如きに怒鳴られなきゃいけないんだと内心思いつつも、
 イケダの迫力に屈して、ただ聞き返すしか出来なかった。
 
 ここで、キバヤシに声をかけるものが現れた。
 


194 :マガジンデイズ 4/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:21:29 ID:TLvbeUqe

「そうだって、キバヤシ。」
 
 敬語ではなくタメ口でキバヤシに声を掛けたのは、
 同じくマガジン編集部員で、女好きのナワヤだ。
 彼もまたMMRの隊員であり、MMRの副リーダー格である。

 ナワヤはキバヤシに問い掛ける。
「スクールデイズって知ってるか?」
「いや、知らん。俺はヤンデレなんかに興味はないからな。」
「一応俺達は漫画編集者ってことになってるんだぞ。そんな最近の有名作品も知らないのか?
一昔前のマガジンはDQN向け漫画の掲載誌だったが、今はオタク向けの作品が増えてるし、
そういう所も勉強しとけよ。」
「俺は人類滅亡の調査で忙しいんだよ…………。」

 ナワヤにも馬鹿にされたと、キバヤシが落胆していると、
 ここでまたキバヤシに声をかける者が現れた。

「キバヤシさん。今、みんなヤンデレにハマッているんですよ。」
 もう一人のMMR隊員、タナカだ。

「スクールデイズっていうのはですね。
 まあ簡単に説明しますと、ゲロ以下のクズ、伊藤誠が
 ヤンデレさせる、ヒロインの桂言葉が有名なんですよ。
 18禁のゲーム版のみならずアニメ版まで容赦がない展開で、
 特に最後あたりが凄かったですよ。」
「最後?」
「ええ、生首抱えて、夕陽に向かって船を進める。正気とは思えない展開でしたね。」
 タナカは軽く笑いを浮かべながら話した。
 しかしタナカのこの言葉を聞いた途端、何故か突然キバヤシの顔色が変わった。
 先程までの興味なさそうに弛緩しきった顔が、みるみるうちに思いつめた真剣な表情に変わってゆく。
「あれ?キバヤシさん、どうかしましたか?」
「船に乗って夕陽へ…………。
 なあ、そのアニメを見てみたいんだが、ここにあるか?
「ああ、キバヤシさんも見ますか?ちょっと待って下さい。」

 タナカは自分の机の所まで行くと、一番下の引き出しからアニメのDVDボックスと、ゲームの箱を持ってきた。
 
「じゃあこのDVDを貸しますね。あと、こっちのゲーム版の方はキバヤシさんにあげますからやってみて下さい。」



195 :マガジンデイズ 前編 5/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:25:48 ID:TLvbeUqe




―― 数日後 マガジン編集部 ―― 

「ああ、もう!また、2ちゃんのヤンデレ関連のスレでレナはヤンデレとか、
 朝倉涼子はヤンデレとか抜かしている奴が居る!
 お前らみたいな、勘違いがスレを荒らすんじゃない!」
 イケダはモニターに対して罵詈雑言をがなり立てている。その横の机で、ふとナワヤが呟いた。
「ここんとこ、キバヤシが出社しねえな。何かあったのか?」
 ふと漏らしたボヤキに、タナカが答える。
「そうですね。もしかしてこないだ、僕が貸したスクールデイズに嵌ったのかも。」
 続いて先程からモニターに当たり散らしていたイケダも、自身の苛つきをぶつけるように口を開いた。
「そもそも、キバヤシさんはとっくの昔に講談社をやめてフリーライター…………おっと。」
 イケダは悪気も無さそうに口を押さえる。
 この行動につられるかのようにナワヤもキバヤシをからかう発言を始める。
「まあ、あいつなら嵌るだろ。
 ほら。ひぐらしの竜騎士が、何もわかって無い記者にレナはヤンデレですかと聞かれた時、こう答えていたろ。
 プライドの下がりきった男性が、自分無しでは生きていけない「恋愛依存症の女の子」
 を求めた結果がヤンデレであるってさ。
 キバヤシの奴、さんざん1999年に人類滅亡すると煽っといてあの有様だからな。
 抗議の電話が来た時なんか『何も起こらなくて良かったですね』と堂々と答えたり、
 動揺してないように見えたけど、
 内心は凄く堪えてたんだろ。で、誰かに認めてもらいたいって
 願望がついにヤンデレ好きという性癖になったわけだ。」
「…………い。」
「プライドの下がりきったキバヤシはヤンデレに愛されるのが嬉しくてたまらなかったってことだな。」
「……おい。」
「これで自信をつけたら、また滅茶苦茶な事を言い出すんじゃねーの、ははは。」
 ん? お前らどうかしたのか?」
 気が付けば、何故かイケダとタナカは気まずそうに頬を引きつらせていた。
 ナワヤは少しの間彼らを見続けて、ようやく彼らが自分の後ろを見ていることに気付き、
 ゆっくりと振り返った。


196 :マガジンデイズ 前編 6/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:27:43 ID:TLvbeUqe

「………………うおっ!!!!」
「おい、ナワヤ。」

 キバヤシだ。
 鬼気迫る表情のキバヤシが、そこに居た。
 何日も徹夜したのか、充血しきった目の下には大きな隈が出来ている。

「な、なんだ、来てたのか!?急に現れるなよ!」
 ナワヤは、自分が言った事を聞かれた為にキバヤシが怒っていると思い、気が気ではない。
 しかし次にキバヤシの口から出たのは、予想していた咎めの言葉ではなかった。

「ナワヤ、タナカ、イケダ。今から取材に行くぞ。既にアポは取ってある。MMR出動だ!」
「え、MMR出動って…………取材ってどこに?」
「スクールデイズの制作会社、オーバーフローだ。」



197 :マガジンデイズ 前編 7/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:30:33 ID:TLvbeUqe



―― 数時間後 オーバーフロー本社前 ――


「全く、キバヤシさんは何でこんな所に取材する気になったんだろ?
 人類滅亡にでもなんか関係があるんですかね?」
 オーバーフローの社屋を見ながら、イケダが愚痴をこぼす。
 するとナワヤが、手を叩いた。
「あっ、そうか。あいつもヤンデレにハマッたんだよ。
 だから取材って名目で、色々聞いてみたくなったんだよ。」

 少し遠くで、オーバーフロー本社を見上げているキバヤシを指差して、
 ナワヤはほくそ笑む。
 しかし、そんなナワヤに意義を唱える者があった。
 
「それは違うと思います。」
 タナカだ。

「思い出して下さい。キバヤシさんはMMR出動だって言ってました。
 つまり今回の取材は人類滅亡に関することでしょう。それに」
 タナカがオーバーフロー本社へ向き直り、ビルを見上げた。
 この新宿の高層ビル群にそびえたつ威風堂々した数十階立てのビルは、
 天高くそびえ立ち、威圧するようにこちらを見下ろしている。
「以前、アニメ放送中止の危機の時にオーバーフローの建物で試写会やりましたよね?
 スクールデイズの新品をまた買わせようって言うのかと、さんざん叩かれた奴です。
 実はその時、僕は試写会に行ったんです。しかし」
「試写会って、お前まさか、わざわざ新品のスクールデイズ買ったのか?
 って、もしかしてキバヤシにあげたのがそれか?」
 ナワヤの指摘に、タナカは少し恥ずかしそうに笑った。
「ええ、実は。で、その時オーバーフローの会社に行ったんですが、
 ここじゃなくてもっと普通のアダルトゲームの会社と同様で、小さい建物でしたよ。
 それなのにほら。」
 ビルの前の、トマルが指差した場所には看板がある。そこにはオーバーフロー本社ビルと書かれていた。
「数日前にこのビルに引っ越したらしいですが、
 今じゃこの巨大なビルが、全て丸ごとオーバーフローの本社ですよ。
 なにかアダルトゲーム以外の巨額な収入があるとしか思えません。」
「まあ、確かにな。」
 ナワヤが呟くと、他のMMRメンバーもただ黙ってビルをじっと見上げた。



198 :マガジンデイズ 前編 8/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:33:36 ID:TLvbeUqe




―― 数分後 オーバーフロー本社 応接室 ――

「どうもこんにちわ。メイザーズぬまきちです。」
「マガジン編集部のキバヤシです、取材にご協力頂き、ありがとうございます。」
「なんでも、ヤンデレについての話をお聞きしたいとか。」
「はい。それなら昨今のヤンデレブームの発端であるスクールデイズのシナリオを書いた、
 あなたに聞くのが最善と思いまして。」
「なるほど。では何から話しましょうかね…………。」

 通された部屋は、こじんまりとした応接室だった。
 MMRの5人のメンバーと取材相手のぬまきちが丁度入れるぐらいの大きさである。
 しかし、ここに通されるまでに見た会社の様子は想像以上だった。
 引っ越し直後のためか、社内には未開封のダンボールが置いてあったりと雑多であるものの、
 まるで大企業にすら思える程の数の社員が働いており、とてもアダルトゲーム会社とは思えない活気である。
 普通アダルトゲームの会社など、社員がせいぜい10人居ればいい方であるのにだ。

 インタビューは長い間、続いた。
 ぬまきちの応対は丁寧で、好感が持てるものだった。
 MMRのメンバーも取材とは名ばかりで、各自聞きたい事を質問している。
 この場にいる誰もが笑みを絶やさず、和やかな雰囲気がこの場に満ちていた。
 ただ一人、浮かない顔をしているキバヤシを除いては。

 そのキバヤシが、ふと言葉を発した。
「あの。質問させてもらっても構いませんか?」
「ああ、キバヤシさん、でしたね。なんですか?」
 キバヤシは詰問するような眼差しで、ぬまきちを見据えた。
「あなたの考えをお聞きしたいんですが、
 昨今のヤンデレブームって、もしかして誰かが仕組んだものだとは思いませんか?」
「な、何を言ってるんですか。」
 それまでの和やかな談笑の場に、唐突に放たれた疑念の篭ったキバヤシの声。
 気圧されたのか、ぬまきちの顔に若干の焦りが浮かぶ。
「それにもう一つ聞きたいんですが、この会社の事業、本当にアダルトゲームだけなんですか?
 最近になって、急にこんな大きなビルに引っ越して従業員を大量に増やしたりしてますよね。
 もしかして、この会社は他に何か巨額の収入が得られる事業でも始めるんじゃないですか?」
「……っ!!」

ぬまきちは顔を暗くしたまま、沈黙する。
居たたまれなくなるような重い空気が場に満ちていく。
それがしばらく続いた後、ぬまきちは顔を背けたままポツリと呟いた。



199 :マガジンデイズ 前編 9/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:35:31 ID:TLvbeUqe

「…………帰ってくれ。あんたらに話すことはもう無い。」
「しかし――」
「この後に用事があるんだ。これ以上話す時間は無い!!!」

 ぬまきちは大声で怒鳴ると、力任せに扉を閉め、出て行った。

 その場に居る誰もが沈黙し続け、しばらく経った後、ようやく各々が口を開き始めた。
「キバヤシさん。さっきの発言で怒らせちゃいましたかね。」
「キバヤシ!お前のせいだぞ!もっと聞きたいことあったのに!」
「それにしたって、急にあんなに怒ったりして…………妙ですね。
 キバヤシさん。ぬまきちさんって、もしかしてなにか隠しているんですかね。」
 MMRの面々は口々にキバヤシに対して言いたい事を口にする。
 しかしキバヤシはそのどれも意に介さずに言った。

「確か、さっきのインタビューの最中にぬまきちはこう言っていたな。
 このビルに移ってからは、開発室の自分の机の他に、自分専用の仮眠室があると。」
「ああ、さっき確かに言ってたが。どうかしたのか、キバヤシ?」


200 :マガジンデイズ 前編 10/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:38:21 ID:TLvbeUqe


―― 十数分後 ぬまきちの仮眠室 ――


「まずくないか、キバヤシ!?
 勝手に入っちゃって…………。」
 怯えた声でナワヤが言った。
 
 先程のインタビューの後キバヤシが、ぬまきちの部屋を調べてみようと言い出したのだ。
 そして勝手に社内を歩き回り、ぬまきちの仮眠室を見つけ出したキバヤシ達は、
 ぬまきちが居ないのを確認したのち、室内に入った。
 小ざっぱりとした室内を見渡すと、そこにあるのは仮眠用らしきベッドとパソコンの置かれたデスクだけ。
 タナカが言う。
「ここにあるのはパソコンくらいのようですね。キバヤシさん、ちょっと調べてみましょうか?」
「ああ。」
 キバヤシの同意を聞くと、タナカは椅子に座り、パソコンの電源を入れた。
 セキュリティ意識が甘いのかパスワードも設定されていなかったために、
 あっけなくデスクトップの画面が映る。
「随分あっけないな。」
「外側からのハッキング等は警戒しても、こうやって直接進入されるのを警戒しない人間は多いですからね。
 じゃあ、とりあえず…………メールから調べてみましょうか。」
 タナカはマウスを動かすと、メールソフトを立ち上げた。
「まずは、送信済みトレイから…………お。今日送ったメールがあるな。
 じゃあこれから開いて…………ん、なんだこれは?
最新のメールには件名が書かれておらず、送信者が『RS』とだけ書かれていた。
本文にはこう書かれている。

『明日、言葉の会議には出席する。5時にはそちらに着く。』

「『言葉の会議』? なんですかね、この予定。この『言葉』ってやっぱり言葉様のことですかね?
 もしかして言葉様ファンの集会に招かれたとか?」

タナカの指摘にMMRの面々はその意味を考え込む。
そのため、メンバーの中に気付いた者は一人もいなかった。

彼らの後ろで、画面を食い入るように見つめながら青ざめているキバヤシの様子に。



201 :マガジンデイズ 前編 11/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:42:09 ID:TLvbeUqe
「まあそれはそれとして、まずメールの宛先を調べてみましょう。
 えーっと、宛先は……あれ? アドレスの末尾が .go.jpになってますよ。
 宛先は日本の政府機関ですね。」
「政府機関?」
 ナワヤが聞き返す。
「ええ。メールアドレスの末尾で属性がわかるんです。例えば .coなら通常の株式会社
 .acなら学校等の教育機関。で、.goなら国の機関です。
 まあ、とりあえずググってみましょう。」
 
 イケダはマウスを握ると、グーグルを開き、メールアドレスの@マークから後ろ、
 ドメインの部分を検索にかける。
 一瞬の後に検索結果が表示された。
 一番上のサイトをキャッシュで開く。
 Webサイトの画面に切り替わり、徐々に全体が表示されていく。
 病院等のWebサイトに主によくみられる、白を基調とした清潔感を感じさせるページだ。
 一番上には、こう書かれていた。

 国立遺伝子研究所、と。

「国立遺伝子研究所?」

 タナカはマウスを動かし、画面を下の方にスクロールさせる。
 検索したドメインと一致した部分が、色が変わって表示されていた。
 問い合わせ用と書かれた、メールアドレスの部分だ。
「ここの問い合わせ用のメールアドレスと、ぬまきちさんのメールの宛先のアドレスは
 ドメインの部分が一緒ですね……。
 つまりあのメールは、この研究所の人間に向けて送ったものでしょうね。
 まあ、誰に宛てて送ったのかはわかりませんがね。」
「ますます、『言葉の会議』の意味がわからねえな。
 理系の研究者とかってオタが多いとはいえ、
 まさかここでファンの集会なんかやるわけないよな。」
「まあ、考えても埒があきませんし、他のメールもありますから、そっちを読んでみましょうよ。」
 タナカはナワヤとの会話を打ち切り、別のメールを開いてみようとする。
 だが、そうされることは無かった。
 彼の後ろに居るキバヤシの携帯電話が、突然鳴ったからだ。

 キバヤシは誰からの電話なのか、確認もせずにすぐに電話に出た。
「イケダか?」
「キバヤシさん、ぬまきちさんが戻ってきました!」
「わかった!」
 ぬまきちが戻ってくることを警戒して、エレベーターの見える所で見張りをさせていたイケダ
 からの連絡だった。
 キバヤシはすぐに電話の内容をメンバー全員に告げる。

「ぬまきちが来た! 気づかれる前に非常階段から逃げるぞ!」



202 :マガジンデイズ 前編 12/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:49:56 ID:TLvbeUqe




ビルの合間の路地裏で、全員が大きく呼吸し、必死に酸素を取り込んでいる。
どこをどう走ったのかは、分からない。
気がつけば全員がオーバーフロー本社から遠く離れた場所の、この路地裏に居た。
追っ手の姿は無い。
どうやら無事に逃げ切れたようだ。
タナカが口を開く。

「はぁ……なんとか逃げられたみたいですね。
 あれ、キバヤシさん?」
 不審な様子のキバヤシにタナカが声を掛けたが、
 地面を見つめたまま全く意に介そうともしない。
 そのままの姿勢で、言った。
「そうか……そういうことだったのか。」
「え? どうしたんだ、キバヤシ?」

キバヤシは顔を上げ、メンバーの方を見据る。
そしてありったけの大声を言い放ち、断言した。

「やはり間違いない!人類滅亡の危機はまだ終わっていなかったんだ!
 昨今ヤンデレという言葉が生み出されたのは、ただの偶然じゃない!
 影で恐ろしい陰謀が進められていたんだよ!」

恐ろしい陰謀!?
MMRのメンバー全員の頭の中で、キバヤシの言葉がこだまする。

そんな彼らの姿を、頭上のビルの監視カメラは、ただひたすらに凝視していた。



203 :マガジンデイズ 前編 13/13  ◆AZUNJTAzwE [sage] :2008/09/13(土) 03:51:03 ID:TLvbeUqe



ヤンデレブームの陰で暗躍する、恐るべき者達――――。

真相に辿り着いた我らMMRに、戦慄の結末が訪れる!




★次号(後編)に続く★