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400 :もう何も信じない 第4話 [sage] :2008/09/23(火) 15:22:14 ID:tQKLbVg3
その日俺は放課後の図書室にいた。光には前もって自宅に帰ってるよう言っておいた。
…誤解があるようだが、同棲してる訳じゃない。ただ晩飯を作ってもらい、
食ったら帰す。それだけの仲だ。それでも以前の俺ならまったく考えられない話だが。

「佐橋くん、次はこの棚にお願いね。」
「はいはい、わかりましたよ。」

俺は今、図書委員会の仕事をこなしている。やりたくてやった訳じゃない。担任が
「全員、必ず何かしらの仕事をしろ」
といったもんで、仕方なく一番楽そうな図書委員に入ったんだ。
…なぜか光には反対されたが。
で、今日は月一度の集まり。
が、来ているのは二人だけ。俺と、2年の女子だ。他は多分サボりだな。ったく…
どんなやつらだよ。

「真面目に来てくれたのは君が初めてかもね。」
「別に。仕事っすから。」
「ええ、そうね。でもうれしいわ。正直一人じゃしんどいもの。」

この先輩―――環 左京―――の話によると、他の図書委員は俺みたく仕方なく入
って来るような奴だらけだったらしい。
だから誰も来ないのか。確かに面倒ではあるが…こんな静かな空間で黙々と
仕事をする…俺にとっては理想の空間だ。


ようやく仕事が終わり、帰り支度を始めたのが7時。
腹減ったな。今日は光はいないからマックかなんかで済ますか。
と思っていると――――

「佐橋くん、こんな遅くまで付き合わせて悪いわね。」
「…いえ、問題ないですよ。」
「そう…佐橋くん、このあと空いてる?もしよければお茶でもどうかしら?」

…いきなりなにを言うんだこの人は…。
まあでも、どうせ独りだ。構わないだろう。

「いいですよ。」


環先輩との話はことのほか面白かった。
好きな音楽や、趣味や、食べ物。いろんなことで気が合った。
喫茶店で軽い食事までご馳走になった。それくらい出すと言ったのに、
「気にしなくていいの♪」
と言われれば引っ込むしかなかろうが。

今は8時半。あとは帰って寝よう。



401 :もう何も信じない 第4話 [sage] :2008/09/23(火) 15:22:46 ID:tQKLbVg3
がちゃり。

鍵を開け、部屋に入る。

「…………光。どうして―――」

俺のベッドで光が眠っていた。
実に気持ち良さそうに寝息をたてて…いや、目を覚ました。

「ん…ぁあ、歩か、お帰り。ごめんね、寝ちゃったみたい」
「帰ったんじゃなかったのか!?」
「君と話がしたかったんだよ。だから、待ってたんだ。」

よく見るとその頬には涙のあと。

「………なんだ? 」


「君はひどい奴だよ。僕というものがいながら、他の女にかまけるなんて。」
「いや、だから意味が」
「もちろん、君にも僕にとっても喜ぶべきことだよ。今まで他人を拒絶してきた
君が普通にひとと接することができるようになってきたんだから…。でも…」

はぁ、と息継ぎをし、光は続けた。

「君が僕以外の女と話するところなんて………見たくなかったよ。
ショックだったよ。僕はもう君には必要ないのかい!?」
「…違う。そうじゃないよ。」
「ならどうして!僕の気持ちは分かってるだろう!?嫌だよ!君を奪われたくなんかないよ!
僕には歩が必要なんだ。好き…なんだ……でも、君が必要としてくれないなら……ひぐっ…」


気が付いたら、光を抱き締めていた。

「すまない…光。お前、そんなにまで俺を想っててくれてたんだな…。」
「そうだよ…僕は、ずっと君を想ってた。君に会えない3年間は辛かったよ。死ん
でしまいたいくらいにね…。」

「…なあ光…、お前が嫌だというなら、もう環先輩とは会わないよ。」
「……………約束だよ?信じてるからね。もし破ったら……………」
「?」
「ううん、なんでもないよ。」


君が必要としてくれないなら、僕は生きてる意味はないんだよ……?

約束だよ、歩。もし破ったら……………
その女、殺しちゃうから。