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31 :奏でる旋律は哀しみの音 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:13:25 ID:5QB8COJA
僕が音楽を始めたきっかけは、中学時代にとあるバンドとの衝撃的な出会いを果たしたことだった。
そのバンドは90年代でもっとも輝いたとされる有名なグループだった。友人から、余分にとったというチケットをもらい、彼らのライブに赴いた。
そこで初めて聞いた生の音に、力強いヴォーカルに僕は一瞬で魅了された。
それからは、必死に音楽を学んだ。が、当時金がなかった僕はギターなど買うことができず、軽音楽部ではヴォーカルに割り当てられたのもある意味必然だった。
結局、中学時代の僕のバンド活動は高校受験の前に日の目を見ることはなかった。しかし高校入学を果たしてからはひたすらバイトと部活に明け暮れた。
たびたび先輩にカラオケに連れていってもらったこともあった。その時歌ったのはもちろんあのバンドの曲。
先輩曰く、「カラオケの採点なんかあてになりゃしない。お前はいいものを持ってるから、自信を持て」だそうだ。

高校最後の文化祭でようやく僕たちは舞台に立った。コピーバンドとしての登場だったが、オリジナルもいくつか交えた。
観客の反応は僕の予想をはるかに上回り熱狂し、ホールは今までにない最高潮の盛り上がりをみせた。
あの時の感動が忘れられず、僕たちは同じ夢を追い続けてきた。


僕らは皆同じ大学に入り、同じようにバンドを続けていた。コピーバンドはとうに卒業し、オリジナルだけを手掛けた。
そんな中、大学最初の夏にとある無名のレコード会社と契約をした。それからはたびたびライブを行ってきた。
回数を重ねる度にファンも増えていき、初めての単独ライブのころには1万人もの観客を動員した。
その1ヶ月後には念願のメジャーデビューを果たし、シングルは初登場第1位に輝いた。

それから1年が経ったところからこの物語は始まる。
僕の名は、柏木 冬真。ロックバンド"fourth×force"通称「フォース」のヴォーカルだ.



32 :奏でる旋律は哀しみの音 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:14:34 ID:5QB8COJA
最近僕はあることに悩まされていた。それは、一部の狂信的なファンのことだ。
デビューしてから、ファンレターの量はは何倍にも増えた。量だけじゃなく、質も重く、苦しいものが多々見られるようになった。

マネージャー兼ファーストギター担当で4人の中で紅一点の赤城 羅刹によると、髪の毛入りの手紙やら怪しさ満点の手作り菓子、果ては小瓶いっぱいにつまった
…な液体と、とても僕には理解できない物ばかりだそうた。そういったものはマネージャーである羅刹が処分しているので実際にお目にかかったことはあまりないが…。

「ほんっと、どうかしてるわ。いつもいつも懲りずにこんなもん送ってきて…そう思わない?冬真。」
「…そうだね、羅刹。応援してくれるのは嬉しいけど、さすがにこれはちょっと…」
「ええ。それにしても、あんたって本当にもてるわね…。ファンレターの半分以上が冬真宛てよ?
まあ、冬真は歌うまいし、かっこいいし。なんとなくわかる気もするわ…。」
「おだてたって何も出ないよ、羅刹。」

羅刹とは、中学の時以来の付き合いだ。僕が軽音部に入部したのと同時期に入ってきた子だ。
当時から何度かふたりで話をしたことがあった。彼女もまた、あのバンドのファンだというのだ。
お互いよく気が合い、息も合い、辛いときも支えあった。僕の歌…いや、夢は彼女に支えてもらったと言っても過言ではないくらいだ。
言っておくが、羅刹は恋人とかそういうんじゃない。一応フォースはグループ内の恋愛は禁止となっている。
まあ、ドラム担当のノリトもベーシストのソウジも外に恋人を作ってるからもしそうだとしても問題はないのだが…ちなみにこの事は超企業秘密だ。

「ところで冬真、クリスマスのライブだけどプログラムどうするの?」
「うーん…やっぱノリトたちと相談しないとな…ん?」

ふと僕は、テレビのニュースに気をとられてしまった。
内容は、最近多発している連続殺人。
その事件は半年前から起きている。ターゲットはみな女性だ。そして、もうひとつ共通項があった。
それは、被害者はみんなフォースのファンだということ。これに気付いているのは僕らと、おそらくファン達の同盟だけだろう。
なぜ気付いたかというと、彼女たちはいつも最前列を競っている常連だからだ。だから必然的に顔も覚える。
ニュースは、8人目の被害者が出た事を告げていた。被害者は全員、左耳から右耳に向けて鋭利な刃物で貫かれて殺されていた。今回も同じ手口だそうだ。


33 :奏でる旋律は哀しみの音 前編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:15:13 ID:5QB8COJA
「ひどいな…また被害者が出たのか。」
「…そうね。気分が悪いわ。」

そう言って羅刹はチャンネルを変えた。番組は、「人気ラーメン店特集!in東京」なるものだった。ん?このパターンは…

「あー!これおいしそー!ねえ冬真!今度一緒に食べに行こうよ!」
「う、うん…そだね。」 やっぱり。

羅刹は、極度のラーメン好きなのだ。今までも何度か連れてかれたことがある。
普段クールな彼女も、この時は子どものように無邪気にはしゃぐ。そして僕は、そんな羅刹が好き(父性愛に近い意味で)なのでいつも断れないのだ。


休日、僕らは例のラーメン屋に来ていた。"僕ら"とはフォース全員を指している。カウンター席の右から順に松田 創路、桜庭 祝詞、羅刹、僕だ。
あのあとプログラムについてノリトたちと電話したら、いつの間にか一緒にラーメン屋に行くことになったのだ。羅刹は「目立つ」とか言って機嫌を損ねていたが。

「ちぇっ…せっかく二人きりだったのに…ぶつぶつ…」
「ん、どうかした?羅刹。」
「…なんでもないもん!」
「ラセツは一途だからな。邪魔したかな?」
「ソウジ、どういう意味だ?」
「…ほんっと鈍いよなトーマは。クスクス…」
「ノリトまで…いったい?」

よく分かんない。僕は再び麺をすすり出した。あれ、チャーシューが一枚ないや。こういう時は大抵…


34 :奏でる旋律は哀しみの音 前編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:16:06 ID:5QB8COJA
「羅刹、おいしい?僕のチャーシュー。」

びくっ、と羅刹が震えた。顔が茹でたこのように真っ赤だ。

「欲しかったらあげるよ、ほら。」

僕はもう一枚のチャーシューを差し出した。

「…ありがと。」

羅刹はチャーシューにスープをよく絡め、食べた。さらに顔が赤くなっていく。
そんなにチャーシューが好きだったのか。ならチャーシュー麺にすればよかったのに。

「ほどほどにしとけよトーマ。ラセツが死んじゃうぞ?」とソウジが言った。
「チャーシューで人が死んだらなんにも食えなくなるよ。」
「トーマ…鈍感もそこまでいくと犯罪だぞ?」
「え、なにが?」
「…はぁぁ。まあがんばれ。」

みんなして、今日は変なことばかり。いったい、どうしたんだろうか?


35 :奏でる旋律は哀しみの音 前編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:17:51 ID:5QB8COJA
ラーメン屋をあとにした僕らはゲーセンに来ていた。みんなはサングラスや帽子をつけている。僕の場合は、染めた銀髪を隠すためのかつらだ。案外、ばれないものだな。

ノリトは早速太鼓のゲームに手をかけた。さすがドラマーだけあって、相変わらずすごい。

羅刹は、UFOキャッチャーに夢中だ。実は羅刹はこれが妙にうまい。僕の知る限り、ミスをしたことはない。

僕とソウジはアーケードゲームをすることにした。出た当時は青いロボットがタイトルだったのに、
最近は白いロボットが長いライフルを構えるものになってしまったのが残念だ。あの青いの、好きだったのになあ。

僕らが20戦目でようやく敗退したころ、切り上げることにした。ノリトとソウジは北側、僕と羅刹は南側に別れて解散した。

「じゃあ冬真、私はこの辺で。」
「うん。またね、羅刹。」

羅刹とも別れた。僕は1人で家路につく。今日は楽しかったな。羅刹も、あんな
一面があるなんて…かわいいやつ。

でも、この幸せは長くは続かなかった。



翌日、ソウジが死んだと連絡を受けた。


37 :奏でる旋律は哀しみの音 中編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:20:38 ID:5QB8COJA
ソウジが死んだ。いや、殺された。耳を貫かれて。
連絡を受けた僕はすぐに警察に向かった。別れたあと、あるいはその前の詳しい状況を訊かれたが、それでも、いつもと変わらなかったとしか答えるほかなかった。
羅刹とノリトの事情聴取は先に済んでいたようだ。

僕らは、深く悲しんだ。高校時代からの大切な仲間を失ったことは、計り知れない無念さと、悲しさをもたらした。


クリスマスのライブは…中止にしようか。僕はそう切り出した。すると…

「だめよ!ソウジのためにも、ライブはやるわ…!」
「でも、そんなこと…」
「わたしからもお願いします。」

声のした方へ振り向いた先には、1人の女性がいた。たしか彼女はソウジの……
「創路くんと…この子のためにも、歌ってください!」
お腹に手をあててそういう彼女。ソウジ…そうだったのか。

「わかりました…ライブは、必ず成功させます。」

僕は、歌う決意をした。


38 :奏でる旋律は哀しみの音 中編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:22:11 ID:5QB8COJA
当日、観客はいつもの何倍もの動員数だった。前売り券はネット上では2秒で売り切れ、チケット売り場には2日前から列ができていた。
武道館というあまりに広い空間で立ち見が続出している。こんなことは今までなかった。

僕は精一杯歌った。いつも傍らで心地よく響いていた重低音は、今日は僕の手元から聞こえる。ソウジの愛用していたベースで、僕が弾いていたからだ。
ソウジのテクニックには遠く敵わないが、それでも力の限り弾き、歌った。

最後の曲は、ソウジが作詞作曲を手掛けたバラードにした。不思議と、今日はいつもより声が出た。ソウジが支えてくれているからかな。
ふと、羅刹の方をちらっと見る。羅刹は…涙を流しながらギターソロを弾いていた。

観客もみな、涙したようだ。僕らの歌をただ静かに聞き入っている。演奏が終わると凄まじいまでのスタンディングオベーションが沸いた。
その中には、ソウジの彼女もいた。

なあソウジ、これでよかったんだよな。僕は青のベースギターにそう問いかけた。


ステージを終え、僕らはミーティングをした。その席でノリトがこう言った。

「…解散しないか。」

言うまでもないが、僕もそう思っていた。ソウジがいない今、実質フォースをやっていくのは難しいし、なによりソウジの存在が大きかった。
この哀しみは消えないだろう。歌うたびに、僕の手の中でベースが踊るたびにそれを痛いほど実感した。でも…

「…いや。」


39 :奏でる旋律は哀しみの音 中編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:24:37 ID:5QB8COJA
羅刹は反対した。

「羅刹…悪いけど僕も同じ気持ちだ。…解散しよう。」
「いやよ!今までだってずっとやってこれたじゃない!冬真が弾かないなら私が弾いたっていい!だから…おねがい、解散だなんて…言わないで…!」
「ラセツ…ソウジの代わりなんて誰にもできないよ。」
ノリトは羅刹にそう言った。

「いや!私は…私にはフォースが全てなの!ねえ冬真…続けるよね…?なんとかいってよ…冬真……。」
「…ごめん。僕はもう、歌えないよ。次のライブで終わりにしよう。」


羅刹は、その場にへたりと崩れ落ち、泣いた。僕は、そんな羅刹を抱き締めてやった。

「ごめん…羅刹。」



あれから一週間。その間僕は部屋にこもりっきりで、フォースの最後を締めくくる楽曲を書いていた。そしてついさっきようやく書き終え、久しぶりに部屋を出て風呂に入ったところだ。
タオルで水滴を拭い、衣服を身に付け部屋に戻ったとき携帯が鳴った。―――会社からだ。

「はい、冬真ですけど…」


41 :奏でる旋律は哀しみの音 中編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:25:51 ID:5QB8COJA
「トーマくん、落ち着いて聞いてくれ…。ノリトが…殺された。」

―――その言葉の意味を理解するのに数秒かかった。
「例の殺人犯だろう…ノリトもまた耳を刃物で貫かれて死んでいたそうだ。それで……」
そこから先は聞き取れなかった。ただ僕は意味も分からないまま相槌をうち、電話を閉じた。

あれから何時間が経ったろう。僕はただ呆然としてベッドに腰かけていた。何も考えず、屍のように存在していた。

ふいに、ドアのチャイムが鳴った。誰だろう。…誰でもいいや。もし殺人犯ならむしろ歓迎したい。もう疲れた。殺すならさっさと殺してくれ。

そんな気持ちでドアを開く。が、客人は殺人犯ではなかった。それは、とても良く見知った顔。灰色をしたとても長い髪の、女の子。…羅刹だった。

「…電話、聞いたわね。心配だから来てあげたわ。」
「羅刹…っ!僕は…」
「いいから…ほら。」

そう言って羅刹は、僕を抱き締めてくれた。温かかった。そこでようやく僕は泣いた。羅刹の胸の中で、涙が枯れそうなほどに。



42 :奏でる旋律は哀しみの音 中編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:26:51 ID:5QB8COJA
「冬真…いま、楽にしてあげるから…。」

ふと、羅刹はいきなり服を脱ぎ出した。僕はそれを止めるでもなく、ただ見とれていた。
綺麗だった。白い肌に灰の髪、まるでこの世のものでないようだった。
―――この世のものでない。そう思ったとき、僕はある恐れを抱いた。
羅刹まで、いなくなるのだろうか?僕を独りぼっちにして。
思い始めたら止まらない。自分でも体の震えが増していくのがよくわかった。

「大丈夫よ、冬真。私はいなくならないから。だから…おいで?」

その言葉はまるで天使の囁きのようだった。僕は言われるままに羅刹のもとへ行き、その体を求めた。



羅刹は純潔だった。それを、下腹部から滲み出たかすかな鮮血が証明していた。
でも、今の僕は羅刹を気遣うことなんかできなかった。ただ自分の欲望のままに、乱暴に抱いた。羅刹は、目尻に涙を浮かべて歯を食い縛っている。それでも決して、痛みを訴えることはなかった。


43 :奏でる旋律は哀しみの音 中編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:28:05 ID:5QB8COJA
与えられる一方通行の快楽に、僕はついに限界を迎えた。その全てを、羅刹は受け止めてくれた。

「はぁ…はぁ…冬真…気持ちよかった…?」
「羅刹っ…ごめん…僕は…」
「いいのよ…私も、冬真とひとつになれて嬉しかったから…おあいこよ。」
「え…?それってどういう…んっ」

言葉は、途中で遮られた。唇を塞がれ、羅刹の舌がなかに入ってくる。僕も同じように返す。

「私、冬真が好きなの。だから…冬真の全てが欲しかった。冬真の歌声をずっと間近で聞いていたかったの。私には、冬真が全て。だから…」
「…わかってる。次のライブ、二人のためにも最高のものにしよう。」


葬式を終えた僕らは、その次の日から打ち込みの製作に入った。ドラムとベースの穴をふさぐためにどうしても必要だった。
不思議と、もう悲しくはなかった。今は羅刹がずっとそばにいる。それがこんなにも心強いなんて。
夜になれば僕らは互いに求めあった。傷を舐めあうような行為だが、僕らはそれで満足だった。

そして僕らはついに、fourth×force最後のライブの日を迎えた。


46 :奏でる旋律は哀しみの音 中編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:31:59 ID:5QB8COJA
ステージには主を失ったドラムとベースが置かれている。今のfourth×forceは、僕と羅刹の二人だけだった。それでも、観客は前回のライブの倍はいた。
僕はそんな観客たちに応えるべく切り出した。

「こんばんは、フォースです。」

瞬間、歓声が沸いた。そのまま僕は舞台裏のスタッフに合図を送り、打ち込みの音を流した。この前まではシンセサイザーとセカンドギターのみ。
今日は、新たにドラムとベースの音が加わっているものだ。
やはり物足りない。が、その空虚さは羅刹のギターが埋めてくれた。そうして、順にプログラム通りに曲をこなしていく。
今日はあえて二人の作った曲を多めにプログラムに入れた。観客は、たびたび涙した。

最後は、僕が先日書き下ろした曲。観客は今だかつてないほどに歓喜し、感動していた。

「みんな、今までありがとう!」

僕は観客に向けてそう言った。凄まじい密度の拍手の海に僕らは見送られた。


ライブが終わったあと羅刹は、用事があるとかで外していた。なので僕は、1人で先に家に帰った。
あの日以来、羅刹と二人で過ごしている。ここは僕の家であり、羅刹の家でもあるのだ。


47 :奏でる旋律は哀しみの音 後編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:34:51 ID:5QB8COJA
ベッドに横たわり、今日のライブを思い返す。
羅刹…今日はすごく調子よかったみたいだ。やっぱり最後だからかな…?表情も心なしか上気したみたいだったし…そんなこと言ったら怒られるかな。


呼び鈴が鳴る。僕はベッドを降り、ドアのスコープを覗く。羅刹だ。
すぐに鍵を開けてやった。

「おかえり……え…?」
「ただいま、冬真。」

そう言った羅刹。しかし僕はその姿に言葉を失った。
羅刹は、全身血まみれだった。手には長いナイフが握られている。そう、ちょうど人間の顔を横から貫通させることができそうな…。

「ら…せつ…?いったい…なにが…?」
「なにって…ああ、心配しなくていいよ。発情期の雌猫を2、3匹駆逐しただけだから。」
「めす…ねこ…?」
「そう、雌猫。あんなやつらに冬真の歌を聴く資格なんてないわ。だから、何も聞こえなくしてやったの。あはははっ…」
それこそ歌うように嬉々として話す羅刹。

「まさか…連続殺人犯って…羅刹が?」
「人聞きが悪いわね。あくまで雌猫を駆除しただけよ?ふふ…」
「ノリトも…ソウジも何で殺した!?」
「だってノリトったら、私と冬真を引き裂こうとしたんだもん…当然よ。ソウジは、冬真の隣にずうずうしく座ってたのがいけないの。
冬真のそばにいていいのは私だけなんだよ?」

―――羅刹は、狂っていた。少なくとも、僕にはそう見えた。


48 :奏でる旋律は哀しみの音 後編 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/12(日) 23:36:04 ID:5QB8COJA
「ねえ…これからは私のためだけに歌ってね?ほら…今日だって、冬真の歌を聞いてたらここもこんなになっちゃったんだからぁ…。」

スカートをめくり、下着のなかに僕の手を導きながらそう言う羅刹。手には、ぬるぬるとした感触があった。
それも、半端な量じゃない。まるで粗相をしたかのようだった。

今度こそ何も考えられなくなった。そんな僕を羅刹はゆっくりと床に押し倒し、唇を奪ってきた。

「―――…。――――。――――………」

羅刹が何か言っている。でも、もう何も聞こえない。僕は少しずつ、しかし確実に羅刹に犯され、侵されていった。


無意識のうちに、僕は歌を口ずさんでいた。それは、僕がはじめて聞いた彼らの曲。

"僕はあなたを照らしたい、あの輝ける太陽のように。僕が貴方を守ろう、すべての暗闇から。それは心からの真実――――"