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105 : ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/15(水) 00:20:25 ID:Oz0i9diC
俺の名は、神坂 飛鳥。成績は中の下、ルックスも普通。悪くもないが、飛びぬけていいわけではない。多分。そんな、ありふれたごく普通の高校生だ。
そして今俺は、ある女子に呼び出されていた。放課後に体育館裏という、あまりにベタなシチュエーションだ。

「好きです。付き合ってください!」
―――やはり。が、俺の返事は決まっていた。
「ごめん。」


そいつは、名を確か………なんだっけ?まあいいや。そいつは決してぶさいくとかそういうわけではない。むしろ、間違いなく美少女の類に入るだろう。そして俺はその美少

女に告白されているわけ。

「そんな……なんでよ!わたしはこんなにあなたが好きなのに……」
「……あのさあ、いい加減諦めてくれないかなあ?もう何度目だよ?」
「……87回目?飛鳥くんこそ、いい加減わたしのものになってよ!」
「だから、無理だって。」

そう、俺は今までこいつに幾度となく告白されている。そして、全て断っている。……は?美少女に告白されて振るやつがあるかって?なら、あんたならどうだ?

毎朝、モーニングコールが50回も来たり。
学校に来てみれば得体の知れない弁当箱が自分の下駄箱に入ってたり。
四六時中、俺が家に帰るまであとを付きまとったり。
家に帰れば寝るまでに着歴が30件。恐らく、表示しきれないくらい電話がキテる。
そしてこうして毎日のように、告白されたり。

俺なら、絶対ごめんだね。そもそもこいつと出会ったのが運の尽きだったのか…?さて、今回はどうやって断ろうか………よし。

「あのさ……みんなには言わないでくれるかな?」
「なによ……?」
「俺…………実はゲイなんだ。だから君とは付き合えない。」

これなら間違いなくドン引きだろう。我ながら完璧だな。はっはっはっはっは。………あれ?


106 :天使のような悪魔たち 第一話 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/15(水) 00:21:27 ID:Oz0i9diC
「………飛鳥くん……だめだよ、男の子なんて。わたしの飛鳥くんが…汚されちゃうよ……。今なら間に合うよ……。わたしが、飛鳥くんをまっとうな道に戻してあげるから

……ね?」

そうつぶやきながら、この上なく素敵な笑顔でいきなり服を脱ぎだすバカ1名。

―――しまった。こいつにこの手は効かないんだった。
以前、「実はつるぺたロリっ娘が好き」となんちゃってカミングアウトしたときも、
「巨乳の方が絶対いいに決まってるんだから!」
とかいって胸を押し付けられたことがあったのを忘れてた。俺としたことが、戦いの中で、戦いを忘れたか……不覚!

「俺は、逃げる!」
「あっ、待ってよ―――!」
「頼むから上にブラ一枚だけで走るのはやめてくれぇぇぇぇ!」



結局、やつを撒くのに小1時間かけ、ようやく家へと帰った俺。疲れた。もう何も考えたくない。俺は力なく自宅の鍵を回し開け、中へと入った。

「はぁ……ただいま。」
「お帰り。兄貴……また、なのね……」
「ああ。」

こいつは、俺の妹の明日香。どういうわけか、兄妹そろって"あすか"だ。
別に、極度のブラコンとかそういうんじゃない。生まれつきの茶髪をツインテールにまとめた、身内であることを差し引いても余りあるくらい可愛らしい容姿をしている。
まあ年齢の割にはだいぶ、いやかなり幼い体つきをしているが。俺と一歳しか変わらないのに映画館に余裕で小学生料金で入ることができるくらいだと言えばお分かりだろう


それ以外はいたって普通の妹だ。料理も上手いし、家事もほとんどこなせる。成績も、常にトップクラスらしい。

「ごはん、できてるよ。先食べる?」
「そうするよ、悪いな。」

―――♪♪♪♪♪

俺の好きな、某神の集団の着うたが流れる。―――始まったか。
俺はすかさず、マナーモードに切り替え、充電器をさし、放置する。何で電源を切らないかって?そうしたら家の電話に着信が来るからさ。

「なんか、悪いな明日香。」
「いいって。でも、いい加減諦めればいいのにね?」
「ああ。今日なんか、実はゲイですって言ったのに効き目なかったからなぁ。…もう駄目なのか?」
「駄目だよ!兄貴が諦めちゃ!絶対ダメ!あんな雌猫に盗られるぐらいならいっそ………」
「……なあ、最後のくだりがとてつもなく気になるんだが……?」
「な、なんでもないよ!さ、ご飯にしよ!?」

極度のブラコンとかそういうんじゃない……よな?


こうして、ぶるぶると振動する携帯を傍らに夜は更けていった。明日も弁当箱が入ってるのかなぁ……憂鬱だ。
変なものさえ入ってなければ食ってもいいんだけど………絶対入ってるよな……。主に唾液とか髪の毛とか。うん。間違いない。


107 :天使のような悪魔たち 第一話 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/15(水) 00:22:51 ID:Oz0i9diC
翌朝―――今日も下駄箱に弁当箱が入っていた。俺の一日は、この弁当箱の中身を捨てることから始まる。放っておいたら腐るからな。
どうせ、あいつが見ているだろう。構うもんか。そうだ、俺はひどい男なんだ。そんでもって、ゲイでロリコンで(無論嘘だが)。

そして俺は親しい友人の一人、斎木 隼(♂)に昨日の顛末を話す。

「っっ……ひゃはははははっ!は、腹いてぇ!くくく……あっはははははは!」
「……そこまで笑うか?ほんと、他人事だよな、お前。」
「だ、だってよぉ……ゲイですって言われて服脱ぐなんて……ぷっ、ははははは!」
「あやうく俺が変質者になるとこだったんだぞ……ったく。」
「はっはっはっは……ふぅ…なあ、飛鳥ちゃん?もう諦めたらどうなんだ?ぶさいくならまだしも、結意ちゃんは充分かわいいじゃないか。
きっと飛鳥ちゃんがいてやれば、こんな痛いことしないって。」

―――結意。そうだ、織原 結意(ゆい)だ。

「…やっと思い出したよ。」
「――ん、何を?」
「名前だよ。今まで忘れてた。」
「……飛鳥ちゃん…それはひどいって。」

思えば、織原 結意との出会いは突然だった。
彼女は、しょーもないチンピラ共に絡まれていた。そこを俺が通りかかったんだ。通りかかって………スルーした。すると、

「ちょっと、た、助けてよ!おねがいぃ!」

声かけんなよ。面倒くさいな。まあ、仕方ない――――
数秒後、チンピラ3人は地面にフレンチキスをする格好で突っ伏していた。

「ありがとうございます!あの、私、織原 結意って言いま―――ちょ、ちょっと!どこ行くの!」
「どこって…帰るんだが?」
「待って!お礼くらいさせてよ!」
「遠慮しとく。」
「そ、そんなぁ―――――!」

で、次の日学校に行ったら、結意と出くわしたわけだ。まさか、同じ学校だったとは……。

「おはよう、飛鳥くん――って、無視しないでよ!」
「ええと……あんた誰だっけ?」
「織原 結意です!昨日助けていただいた!」
「………ああ、あんたか。で、何の用だ?」
「んと……メルアド交換しましょう!って、待ってよぉぉ!置いてかないで――――!」
「………はぁ。」

結局、結意はメアドを交換するまで離れなかった。なぜかとても魅力的な笑顔で喜んでいたな。それからだ。今の悪夢が始まったのは。
でも、これから先さらなる悪夢が俺を襲うことになろうとは、このときはまだ思ってもいなかった。


108 :天使のような悪魔たち 第一話 ◆KG67S9WNlw [sage] :2008/10/15(水) 00:23:46 ID:Oz0i9diC
教室のドアが開け放たれ、人が入ってくる。ん…?

げっ、結意だ。

「飛鳥くん!大事なお話があるの。ちょっとついて来てくれる?」
「いーやーだー」
「いいから!きてってば!」
「唾液入りの弁当ならいらんぞ。」
「そんなんじゃないってば!もう!」
「飛鳥ちゃん、ふぁいと!」
「おい隼!俺を見捨てるのか!…後で覚えてろ!」

情けないことにそのまま結意にずるずると引っ張ってかれた俺。連れて来られたのは、人気のない旧校舎の空き教室。

「で、話って何だ。」
「昨日のことだけど……飛鳥くんがゲイだって。」
「ああ、あれか。あれは―――」
「飛鳥くんはおしりが好きってことだよね!」

―――――(゚Д゚)ハァ? 何言っちゃってんのこいつ。

「いや、だからあれは」
「わたしのおしりでよかったら、好きにしていいから!ね!?ほら!」

そう言ってスカートをめくる結意。…白牌。―――――ぶはぁっ!なんてもん見せやがるこのバカ!思わず鼻血が出そうになったじゃねえか!

「飛鳥くん、顔赤いよ…?やっぱり前がいいの?もう…えっち♪」
「3回生まれ変わって来いこの真性バカ痴女めが!」
「あっ、ちょ、待ってよ!」
「ノーパンで走るな変態ぃぃ!」

全力で逃げる俺。不覚、実に不覚だ。
まさかあんな変態相手に――――反応するなんて。俺、クライマックス……!?

「ちがぁぁぁう!これはなにかのまちがいだぁぁぁ!!」

むなしい叫びが、空に消えた。