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401 :天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] :2008/10/27(月) 13:20:52 ID:m4u6lA7+
翌朝、俺は拘束しっぱなしだった結意を迎えに行っていた。
明日香はまだ部屋から出てこない。俺に拒絶されたことでかなりのダメージを負っていたようだ。
…正直、とても心配だ。できるならそばについていてやりたい。だけど俺がそばにいたって傷は癒えないだろう。むしろ抉るようなものだ。


「ねぇ飛鳥くん、ごほうびは?」
「…今やるよ。」

こういうときでも結意は結意のままだ。逆に救われるよ。…事情を知らないから当然だけどな。
とりあえず、結意に"ごほうび"をあげた。といってもただのキスだけど。

「ん…飛鳥くん、もっとぉ…」
「悪いが今日はここまでだ。」
「えぇっ…そんなぁ…」
「俺の身にもなってくれよ。これ以上シたら使い物にならなくなる。」

昨日から立て続けに抜かれたからなあ…本気で辛いんだ。わかるだろう?なんつうか…そういうときに勃つと痛い。

「そう。飛鳥くん、そうなんだ。」
「わかってくれたか?」
「うん…昨日は使い物にならなくなるほど他の女としたんだ…。」
「っ!?」
「いったでしょ?飛鳥くんの事ならなんでもわかるって。相手は…あの生意気な妹ちゃん?」
「ち…ちが…」
「今日はもういいよ。使い物になんなくなったら困るから。だから、明日は…ね?」

相変わらずのエンジェルスマイルでなにやら恐ろしいことを言う結意。こいつと付き合うにはそれ相応の覚悟が必要そうだな…と、今になってそれを実感した。


402 :天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] :2008/10/27(月) 13:21:57 ID:m4u6lA7+
朝のホームルームを終えた俺は、隼と屋上に来ていた。
一時間目は数学。聞いてて眠くなるようなこの授業をサボるのはもはや日課だった。同じ眠るならうるさい教師がいないほうがいい。

「で飛鳥ちゃん!昨日はあのあとどうしちゃったのかなー?」
「…なあ隼。遺書の書き方、知ってるか?」
「―――飛鳥ちゃん!?早まるなよ!?」
「いや、書くのはお前だ。」
「って俺かよ!勝手に死なすな!…で?」
「なんだ。手短に済ませ。ただし昨日のことは訊くな。」
「じゃあ単刀直入に…」

一拍置いて隼は切り出した。

「飛鳥ちゃん…結意ちゃんとデキたな?」
「…ああ。」

反論はしない。朝学校に一緒に来た時点で俺たちを知る大勢はそう思った筈だからな…今更無駄な抵抗、だ。

「そーかそーか。これで俺の努力も…」

ん?何か今、聞き捨てならない言葉を聞いたような……
それをいった本人はなにやらばつの悪そうな顔をして、こう続けた。

「…いや、何でもないよ?」
「隼。今度は俺が詳しく話を聞こうか…。」
「まてっ!俺が何をした!?」
「それを今から訊くんじゃないか…ふふ、はははははっ!」
「ひぃぃぃぃっ!?」

―――なんてこった。隼の野郎…結意と裏でグルになってやがった。俺の趣味やら食べ物の好みやらその他色々全部結意にリークしていたんだ。
問題は……なぜこんな真似をしたか、だ。

「さあ隼…なんでこんなことしたか言ってもらおうか。」
「…わぁったよ。でも、結意ちゃんに言うなよ?」
「わかってる。」

俺の返事を聞いた隼はとうとう諦めたような顔をし、語り始めた。



403 :天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] :2008/10/27(月) 13:22:42 ID:m4u6lA7+
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今から2ヶ月…いや、もうちょい前かな。結意ちゃんを見かけたのは。
結意ちゃん、泣いてたんだよ。空の弁当箱を持って。それこそ、今にも死んでしまいそうなくらい絶望し
ていた…そう見えた。気になったから、俺は次の日朝早く来て様子を見てたんだ。そうしたら…

「えへへ…今日は肉団子と卵焼きとね、うさちゃんりんごも入れてみたんだ。たくさん食べてね?」

そう言いながら、飛鳥ちゃんの下駄箱に弁当箱を入れてたんだ。
それだけでもうわかったよ、前日の涙のわけを。

それから一時間後くらいかな、飛鳥ちゃんはいつものように登校し、いつものように下駄箱を開け…もうわかるだろ?

「飛鳥くん、肉団子きらいだったの?ごめんね…気づかなくて……ごめん…ね…」

結意ちゃんはただ泣いていたよ。飛鳥ちゃんを恨むでもなく、ただひたすら自分を責めてた。
普通に考えたら、結意ちゃんの行動はあまりに的外れだよな。でも、俺は知ってたからさ。そうまでして好きな人に尽くしたいっていう気持ちを。たとえ何度踏みにじられよ
うと、な。

だから俺は結意ちゃんに協力したんだ。飛鳥ちゃんの情報を教えたりしてな。…弁当はやめとけって言ったんだけど、

「飛鳥くんにどうしても食べてほしいの。」

と言って聞かなかったよ。そして毎日、あまりにきれいすぎる弁当箱を抱えて泣いてた。さすがに我慢できなくてな、明くる日ついに切り出したんだ。

「なあ…あいつの友人である俺がこんなこと言うのもなんなんだけどよ…もうやめたらどうだ?」
「…なにいってるの、隼くん?」
「もう見てらんないんだよ。そうやっていつまでも裏切られて、それでも尽くして尽くして…結意ちゃん、あんなやつのどこがいいんだよ?」

そうしたら結意ちゃん、なんて言ったと思う?

「飛鳥くんはね…私のすべてなの。飛鳥くんになら何度踏みにじられても、たとえ乱暴に犯されても、たとえ殺されたとしても…私はそれで幸せ。だからいっぱい尽くすの。

そしたらいつか、私の方を見てくれるよね?そして、ありったけの汚い言葉で罵ってくれるのを待ってるの。本当に、それだけでいいの…。」

そう、笑って言ったんだ。目にはたっぷり涙を溜めてな……。ほんと、見てらんなかった。だから言ったんだ。
俺がなんとかしてやるって。

それがついこないだ。飛鳥ちゃんのゲイ発言の少し前くらいかな。



404 :天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA [sage] :2008/10/27(月) 13:24:17 ID:m4u6lA7+
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そこまで話して隼は一息ついた。
…何も言い返せなかった。結意を諦めさせるために今まで俺がしてきたことがどれほど残酷だったかを思い知らされたからだ。

「察しの通り、昨日のアレは俺のアイデアだ。飛鳥ちゃんは昔から鬼ごっこのときも隠れるくせがあったからね。」
「隼…。」
「おっと…俺を殴りたきゃ好きにしろ。だけど…わかってるだろうな?飛鳥ちゃんが今までしてきたことを……それでもあの子は飛鳥ちゃんを慕ってるんだ。…もう結意ちゃんを傷つけるなよ?」

わかってる。俺は結意を選んだんだ。だったらそれは当然のことだ。

「…その時は、俺を殺せばいいさ。」
「…しっかり頼むぜ、俺のぶんまで。」

それだけ言い終えて隼は屋上を去った。……あいつはほんと、昔からいいやつだよ。

放課後、俺と結意は一緒に歩いていた。それだけでも結意は本当に幸せそうだった。俺と今こうしていられることがそんなに嬉しいのか…。
正直なところ、未だにわからないんだ。どうして結意はこんな俺を好きなんだ?

でも、とりあえずひとつだけ決めたことがある。

「なあ…明日さ、弁当作ってくれないか?」

今度は、俺が結意に応える番だ。

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夜の帳が落ち、星が見え始めたころ、少女はようやくこの街に降り立った。

「やっとみつけた。アスカ、待っててね?今すぐ行くから。」

再び歩みを進める。もう追っ手を恐れる必要はなかった。やつらはこの街では問題を起こしたがらない。それに、行く先もおそらくわかってるはず。
たぶん、隠密に先回りしてる。それでも行かなきゃいけない。虎穴に入らずんばなんとやら、だ。

「待っててね…お姉ちゃん、もうすぐ帰るから、ね?」

少女の名は、亜朱架といった。