新メニュー開拓

(ID島ルーレットスレ掲載分から転載 2009-06-15)                    

ニセちゃんが休憩時間に長屋バーの長椅子でごろ寝しています
閑古鳥とまではいきませんが繁盛は決してしていません
「ちくわばっかりのメニューだし仕方ないのかなぁ」
賄いで食えるだけマシ、そう思って必死に耐えるニセちゃん

カソカソとカソリが店の中を徘徊しています
「またお前たちか!来るな!店が過疎る!」
気がつくと数匹のカソリが集まってきている現状
五月雨ちゃんは竹輪の材料のなると魚を仕入れに港に行ってます

尻尾に注意して一匹を捕まえてしげしげと眺めながら
コイツ等を焼きカソリ以外に利用できないか知恵を絞ります
串の魔法を使い、空間から取り出した串を刺しつつ
何度か繰り返すと凡そ10匹程のカソリが集まりました

なると魚の切り身を冷蔵庫から取り出してすり鉢で擂りつつ
尻尾を切ったカソリを殻の固い部分を外して入れ、更にごりごり
それを竹串に刺して炭火でじっくりと焼き上げる

海老竹輪をアレンジしたカソリ竹輪の完成だ
ニセちゃんが食べてみると意外に食える
これは悪くない新メニューだ

「そうだった!、確か……」
そしてある事を思い出し、酒棚を漁り、その隠し棚を開ける
前にカソリが来た時に捕まえたのを甕焼酎に入れておいた奴だ
スコルピオウォッカと理論は同じ、実験したのをすっかり忘れてた

柄杓でお椀に入れてみると、淡い匂いが鼻腔を擽った
入れた量も少ない事だし、意を決して一口で飲み干す
「ふはーっ!」
思わず声が出るのを抑えられなかった
味がピュアになっている、まるで余計な物を全て取り去った後の様に
「これも良いわね、売れるわ!」

レトロな受話器の前に行くと、徐に電話を掛け始めるニセちゃん
カソリ退治をして遊ぶとしあき軍団に連絡を入れると
数分後にはカソリ退治ゲームで倒したカソリが何十匹も集まった

過疎4大地方の一角であるこの島には娯楽が殆どなく
最も大きいふたばタウンのゲームコーナーですら
未だにエレメカやテーブル筐体のゲームが現役状態

そんな暇を弄んでいる住民にとっては
カソリ退治は連日続いているイベントであり
大概盛り上がっている

「20匹ほど持ってきたぞ俺」
籠に入った生け捕りにされたカソリ達
「これ代金、一応数えて」
金を支払うニセちゃん
「問題なかったぞ俺、また獲るからこれからも注文してくれ俺」
代金を受けとったとしあきはさっさと去っていった

「さーて、何を作ろうかなぁ」
籠を机の上に置き、厨房に戻って
色々と材料を物色し始めるニセちゃん

刹那、異様な気配を感じ、その方向に大きな串を出現させて飛ばす
「何者!」

ドス!
 ドス!
  ドス!

三本の串が侵入者を捕らえる
「あ……っ」
それはカソリーヌだった
震えながらニセちゃんと籠の中のカソリを交互に見ているカソリーヌ

「へぇ……かわいい侵入者がいたわ」
ニセちゃんは笑いながらカソリーヌを見下した

尻尾には串が刺してあるから思う様に動けない
「これを起動する事になるみたいね」
経費節減の為にスイッチを切っていたニセロボの電源を入れる

「マスター!メイレイヲシテクレニセ!」
まるでハロゲンヒーターを思わせる顔に光が宿る

「そこの樽の中にその子を座らせなさい
そして、胸の辺りまでビールを注いでやるのよ!」

「やめて……じゃないと刺しますよ!」
震えを抑えつつも必死に暴れ、尻尾をニセロボに刺す
だが金属の肉体には全然歯が立たない

「タルニイレルニセ、ビールヲソソグニセ」
忽ちカソリーヌは樽の中に入れられ、ビールが注がれ始める
「な……なんでこんな事を」

「新製品開発の為よ、でも可哀想だから命は助けてあげる
美味しくなれば御の字、もしも失敗しても
キュートなあなたのエキスが入ったビールなら
飲みたがる変態としあきらに高く売れると思わない?」
わざと意地悪な事を言ってしまい
その怯える表情を楽しむニセちゃん

でも、なんだかんだでニセちゃんは根本は優しい子なので
カソリーヌを食べたりはする気はなく、ましてや殺したりはしません
不法侵入の罰として半日だけ酒漬けにするつもりでした
ここ暫く意地悪をしてない(正確には失敗している)ので
この相手なら意地悪できるかなと思った部分もあるのでしょう

「さてと、五月雨に見つからない様に蓋をして、倉庫に隠すわよ
一晩寝かせればきっと美味しくなるわ
樽を持ったニセロボと一緒に倉庫に向かう

ごとん

倉庫の隅っこに樽が置かれました
「これでよし、後は戻ってカソリ料理の続きを作りましょ
急がないと、もう少しで五月雨が戻ってくる」
長屋バーに戻って、ニセロボのスイッチを切ると
五月雨に知られないように新メニュー作りの続きです

ドーン!

暫く色々と考えていると倉庫の方から大音響が
「な!、何!、何があったの?」
慌てて倉庫の方に向かうニセちゃん

「と言う訳で、ガイシャは彼方此方に毒針を刺されてこの状態に」
「しかしこの子は運が良いのか悪いのか」
「両方でしょう、ここに犯行声明とダイイングメッセージがセットで!」
島ぽりすとカマキリ巡査長もこのやりとりに段々慣れてきている

”カソリ達の恨み……”
”奴は五月雨ちゃんに匹敵する酒癖の悪さ!”
床にはそう書かれている

A「今回は変な色の竹輪を色々な穴に挿されてるぞ俺」
B「太くて固くて長い物で全身を挿されたぞ俺」
C「すっかりあの子もロリビッチ属性だぞ俺、大好物だぞ俺」
またとんでもない事を駄弁りあうとしあき達

そこに話を聞いた五月雨ちゃんが戻ってきました
(ちゃんとなると魚を何匹も抱えてたのは流石)

「な、なんて事なの、これは……」
「五月雨さん、ショックでしょうが気を強く持って下さい」
わなわなと震える五月雨ちゃんに、島ぽりすが声を掛ける

「おいしそうなちくわー!」
早速ニセちゃんに刺さっているそれらにガツガツと喰らい付く
周りの視線なぞどこ吹く風である、ある意味凄いエロイ光景だ
野次馬のとしあきたちも大興奮である

「さて、これで彼女も助かるし、我々も帰るとするか」
カマキリ巡査長が島ぽりすに声を掛ける
「でも彼女の容態は……って、ええ?」

五月雨ちゃんがカソリ竹輪を齧る合間合間にに医療行為を行っている
それはそれは凄い速度で、更に見事な腕、まるで漫画の様だった

「な?五月雨ちゃんが、あの竹輪の製法を知っている
彼女を助けない訳が無いだろう?」
「了解です」
パトカーはまた平和になった島を巡回し始めるのでした

おしまい                    


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最終更新:2009年06月15日 17:54
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