狩る者、狩られる者


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(ID島ルーレットスレ掲載分から転載 2009-06-21)                    

「ギャオーム!」
大気がビリビリと震える巨大な咆哮が、虹井戸島に響き渡る
ドスドスと大きな足音をたて駆ける、えいかいわLV4
それを追うかりうど、虹井戸島では最早日常となっている光景です

あいでぃちゃんは不思議でなりませんでした
何故えいかいわは本格的に反撃をしないのでしょう?
圧倒的体格差があり、槍程度の武装じゃどう考えても不利だと思ったのです

まずは、かりうどに会話を試みてみる事にしました
「どうして貴方はえいかいわを追っているの?
もっと狩りやすい相手はこの島にごろごろいるのに」

「!!!???」
どうやらかりうどは答えてくれません
そもそも言葉が判らない様です

「判ったわ、意志疎通の魔法~!」
そう言うとく葉ぁ(杖の名前)を振るいます
光があいでぃちゃんとかりうどを包みました

「おお、話せるぞ、お前も精霊の力を使うシャーマンなのか?」

「うーん、ちょっと違うかな?……じゃあもう一度聞くね」
再び質問してみます

「絶対に勝てる相手は狩りじゃない
大婆様がここに獲物が居るって占った、狩って私は大人になる」
聞いた話を纏めてみると、彼女らの部族はある年になると占いを行い
その相手を狩れたら無事成人と認められるそうです

大概はその後数年の修行を経て、獲物を狩りに出発します
彼女はまだ幼い為に、家族が”まだ早い”と止めていましたが
ある日水の補充に立ち寄った測量船に密航、紆余曲折の末に
この島に寄った時にこっそり逃げたとの事です

「成る程ね、ありがとう、無事狩れるといいね」
虹井戸島に家を作って住んではいますが
時々ぶらりと虹裏世界を巡回しているあいでぃちゃん
こないだはとある村の記念行事で傘を貰って帰ってきたり
その前は別の村から来たスパイと情報交換をしたり
魔法使いの例に漏れず、知的好奇心は非常に高いのです

彼女はかりうどと別れると
スケベ椅子に乗って大空へ飛び立ちました
「あ、居た居た、しかも運が良い事に寝ているみたい」

あいでぃちゃんは大木の裏側に着地すると、呪文を唱えます
「夢の中を覗く魔法~!」
再び呪文を唱え、えいかいわLV4の夢の中を覗きます

……
 ……!

……?
 ……!!

「え……どうして?なんで……なの!」
まるで信じられない物を見た様な表情のあいでぃちゃん

「それは俺が説明するよ、危害は加えないから、こっちにおいで」
大木の裏側から話しかける声がします
あいでぃちゃんがそっちにおずおずと行ってみると
えいかいわLV4の上の顔は眠っていますが、下の顔は起きています

「あ、あの……」
「彼女の夢の中を覗いたんだろう?一心同体だからな、判るんだよ」
そう言って上の顔を指します
「別に怒ってないさ、この島に来てからあの子、友達とか居なかったから
さっき君が話し掛けてくれて、ちょっと嬉しそうにしてたよ」
どうやらかりうどの事で間違いないようです

「驚いただろう?君が覗いた通り、僕と今寝ている彼女はあの子の祖先
僕達の部族は死んだ後、部族の若い者の試練となる為に
たまにこうやって天上から地上に降りてきて、その獲物に憑り付くんだ」

「そうなのですか、でも何の為に?」
判り易く説明してくれるので安心して質問を続けるあいでぃちゃん
「あの子がちゃんと自分達と戦える様になるまでは
練習がてらに戦っていくのさ、段々と厳しくはしていくけどね」

「じゃあ、いずれは負けてあげるつもりなんですか?」
手加減していると判って安心するあいでぃちゃん
「いや、最期の戦いの時は本気でやる、もっとキッチリ言えば……」

「言えば?」
「殺すつもりでやる」

……数十分後

あいでぃちゃんはしょんぼりした顔で家に帰ってきました
「じゃないと失礼だし、それを乗り越えるぐらいでないと
あの子も酋長の跡取りになれないからね、君にお願いがあるんだ」

「……お願いですか?」

「この事は他言無用で頼む、他にもう一つ、都合の良い頼みと思うが
もしも彼女が酋長の跡取りと判ったら、狙う悪い奴が出てくる
彼女が狙われたら護って欲しい、礼は払うからさ」

「……」

「あ、もう少しで彼女が起きる時間だ、それじゃあバイバイ」

彼女は帳面を開き、今日の事を誰にも読ませないように
ルーン文字で書き込み始めます
「一部を暈して書かないと……ぐすっ」
暈す以前に涙で視界がぼやけています

虹裏世界と言えども、厳しい世界はある事を彼女は知りました
クィーンいもぎが心配そうな表情であいでぃちゃんを見ています

「うん、大丈夫よ、私も素晴らしい魔女になる為には
色々乗り越えないといけない事があるんだしね」
いもぎを抱き、まるで自分にも言い聞かせるように語るあいでぃちゃん

いもぎは壁にぶつかって悩んでいるあいでぃちゃんの頬を
優しく耳で撫で、涙を拭ってやるのでした

おしまい                    


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