Dの悲劇(エロなし・622氏)

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2007/06/24(日) 22:09:23 ID:CKTQKUwo 「ヒック・・・どぅーがー飲んでるかー・・・ヒック・・・」 「ああ、飲んでるよ・・・って、何でおめえが飲んでんだよシリル!」 戦いの合間、たまには休息も必要だとばかりに開かれた宴会にて。 メーベルから何とか死守したイノブタの丸焼きをつまみに飲んでいたドゥーガに、 酔っ払ったシリルが背後から飛びついた。 酒臭い問いかけに驚き、振り向いたドゥーガの目に飛び込む真っ赤になったシリルの顔。 目が完全に座っている。 ドゥーガの叫びには答えず、 シリルはご機嫌といった感じでクスクス笑いながらだらりと寄り掛かる。 どうしたものかと周囲に助けを求めるドゥーガだが、既に他のメンバーの中に頼れそうなのは誰も居なかった。 トウマは宴会が始まってすぐにメーベルにつき合わされ、 早々に床と親睦を深めてる最中だし、 ガドフォールの旦那はアバロンと一緒に出来上がっている。 時折感涙咽び暑苦しいことこの上ない。 メーベルはこちらを見てころころと笑いながら酒を煽っていた。 頼りになりそうにないし、それ以前にメーベルの横に置かれた皿やコップを見るにシリルを酔っ払わせた元凶のようだ。 いつもはしつこいくらいこちらにまとわりついて来る魔族のちびっ子はと言うと、 間違えて酒の入ったコップを一気飲みしてしまいファークリンが慌てて介抱をしている真っ最中。 ……まあ、もともと戦力外ではあるが。 アダムとガリュウは居ることは居るが、 防衛戦では頼もしくともこの状況を打開するような面子ではなかった。 孤立無援、このところ激化していく戦闘でもこんな窮状に陥ったことは無い。 ともかく、ドゥーガは骨の無い軟体動物みたいにぐでんぐでんになったシリルの体を支えて立ち上がらせようとした。 「ったく、俺がいくらイイ男だからって本命の前で口説くのは感心しねえぜ?」 「ヒック・・・ホン・・・メイ? ホウ・・・メイ? ・・・ンフフッ、クスクス」 いつもなら激昂してアバロンノヴァでもぶちかましそうな物言いにも、 シリルは動じるどころか意味もなく繰り返しておかしそうに笑った。 支えようと伸ばしたドゥーガの腕を千鳥足でふらふらとかわして、 彼の前に並べられた酒や肴の上に倒れこむ。 「お、おいおい、ちっと飲み過ぎだろ。大丈夫か?」 「んー・・・?」 危うく大惨事になる寸前にシリルを引き寄せて何とか救出に成功させるドゥーガ。 女が恋人にしな垂れかかるような体勢でドゥーガに寄りかかりながら呻くシリル。 どうも自分がどうなったのかも理解していないようで、不思議そうに目を瞬きさせて自身の周囲を見回し、 そして眼前にあるドゥーガの胸板に気付き自分の置かれた状況をぼんやりと理解する。 「ん、んんっ・・・? ・・・お、おお?」 「お、おい!?」 しかし、酔っ払った頭ではその状況が自分にどう作用するかなど思考が及ぶ訳も無く、 普段のシリルであればまずしないような突飛な行動に出るのも致し方なし。 手に触れるドゥーガの毛並みの感触の物珍しさに、手を最初は遠慮がちに、次第に大胆に動かしてその感触を味わい始めた。 当然ながら、普段ならまずしないような彼女の意外な行動にうろたえるドゥーガ。 真っ赤な顔に穢れ無き子どものような喜悦を浮かべるシリルをいさめようとするのだが、 変な体勢で彼女を受け止めたせいで上手く引き剥がせない。 流石に相手がシリルだけあって羞恥を感じる訳ではないが、 それでもドゥーガも男だけあって、そしていくら『足りない』と以前称した相手であれ女は女、 密着した部分に感じる女らしいやわらかさとか、至近距離まで近づくことでようやく感じる微かな香水の匂い(宴会の為に軽く化粧をしてたらしい)とかに、 あっさり本能は反応しちゃってたりするからなんともかんとも。 それでもいい歳した大人の男、見栄とか矜持とかプライドとか男の威厳その他諸々の為に引き剥がしに掛かるのだが、 「あぁ~~~!」 唐突に響く甲高い声にびくりと体を震わせる。 青い獣毛がたっぷり生えた尻尾がビンと立った。 見れば酒にノックアウトされていたはずのアミタリリが起き上がり、盛大に悲鳴を上げていた。 彼女を介抱していたはずのファークリンは、 近くの壁に頭をぶつけて悶絶していた。 起き上がった際に吹っ飛ばされてしまったらしい。 「うう~アミちゃんひどいよ~」 「あ、あたひというものがありならら~」 呻くファークリンの言葉を無視してアミタリリは顔色を変え(比ゆ表現・色は真っ赤なまま)、 どしどしと大股で近寄ってきた。 いかにも怒っているといった様子ではあるが、 喋る言葉はろれつがいまいち回っていなかったりする。 「どぅーがのうわきもの~」 「だ、馬鹿、止めろひっぱんなっ!」 「しりるもしりるよ、とうまがいるからあんしんらとおもってたろり!  ひとのおとこにてをだすなんていいどきょーしてるらないっ!!」 「ん~♪ ふわふあ~♪」 ドゥーガの頭髪をつかんで引っ張るアミタリリに堪らず立ち上がり、 まとわりつく少女二人を引き剥がそうとするが、酔っ払って妙な怪力を発揮する二人に戸惑うドゥーガ。 シリルはドゥーガの毛並みの手触りが気に入ったのか、しがみつきながらおさわりタイムを継続中。 周りには助け舟を出す者は居らず、 ドゥーガの周囲だけで阿鼻叫喚が繰り広げられる。 いや、一人だけ、その光景を見つめていた者が居た。 「・・・もう、だめ!」「あ?」 「な~?」 「ん~♪」 三人がそれぞれの疑問符を浮かべる。 今度は先ほどから楽しそうに眺めていたメーベルが突然立ち上がり、 三人の下へずかずかと歩いてきたのだ。 沈黙する三人の中、ドゥーガはさながら浮気現場を見られた駄目夫みたいな状況に置かれ、 だらだらと冷や汗が流れるのを感じた。 思い出すのは以前二人で酒盛りをした時の事。 思い出すだけでげっそりするようなあれこれが脳裏に過ぎり、  戦場でも滅多に感じることの無い死の予感がびりびりと背筋を駆けた。 何も言わぬ三人を前にメーベルは酒気を帯びた眼光で睨み付けてくる。 「ドゥーガは私の・・・」 一人息を呑むドゥーガ。 「『ペット』なんだから~♪」 「ぶふっ・・・! や、やめ・・・!!」 ※メーベルは以前ケルベロスを飼っていました。 飛び上がって抱きついてくるメーベル。 前に感じるむにゅ~といった感触の福音と、 背中に忍び寄るぎゅ~とした死の宣告に板ばさみにされ、 遠のいていく意識を感じながらドゥーガはジオフォートの床に倒れ臥した。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 「ねえ、ゼナス。助けなくいいの?」 宴会場の隅、ジラは宴会に出されていた甘い焼き菓子を相伴に与りながら、 同じく隅っこでお座りの体勢のまま傍観を続ける守護者の相方にたずねた。 「生き物と言うものは、異性と密着しあうことで快感を得たりや絆を深めるものだろう。 現在確かに物理的ダメージの発生を確認しているが、 それによって更なる効果が望める者も居ることは私も知っている。問題はない」 それに、とゼナスは続けた。 「彼の救出より私は自己の保存を優先するべきだと判断した」 「・・・まあ、別にいいけどね」  * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ドゥーガ、全治一週間。 ジオフォートの脅威的テクノロジーを以ってしても、 彼が肋骨に受けた深刻なダメージを全快させるのは出来なかったようだ。 その後、宴会での失態をメーベルから聞かされたシリルが彼への謝罪のために特製病人食を張り切って作り、 ジオフォートを揺るがす大騒動に発展するのだがそれはまた別の話。  

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