アダム(シリアス・381氏)1


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2007/09/02(日) 05:53:28 ID:8HDOec8C

遥か昔、贄神と戦うために造られた七機のロボがいた。
七機にはそれぞれ愛称が与えられ、造られた順に、
G型識別番号01『アダム』
G型識別番号02『トール』
G型識別番号03『グランド』
G型識別番号04『バロン』
G型識別番号05『ファーズ』
G型識別番号06『ディオ』
G型識別番号07『バベル』
と呼ばれていた。
その中で、アダムのみが聖剣シャイニングフォースの主に同行し、残りの六機は地上からジオフォート級機動要塞を操り、アダムと勇者を援護した。
しかし、健闘も虚しく、六機は全機敗れ去った。
ディオも、
グランドも、
バベルも、
トールも、
バロンも、
跡形無く消し飛んだ。
そんな中、ファーズの機動要塞だけは大破した。
大破、で済んでいた。
大破したファーズの機動要塞はほとんどの機能を失い、長い年月をかけて砂に埋もれていった。
誰にも知られることはなく、ただ、ファーズの存在は時間と共に忘れ去られ……
全てがただのデータとしてしか知られなくなった頃、歴史の闇に消えていった彼らはいきなり息を吹き返した。

事の始まりはアダムが謎の救難信号を受信してからだった。



「SOS信号受信中………」
突然、アダムがそんな事を言い出した。
贄神との決戦から早三ヵ月、トウマがここ最近何事もなくしみじみと「平和になったなー」と思っていた時の事だった。
明後日の方向を向いてひたすらに同じ言葉を繰り返すアダムの周りには何機かの警備ロボがいるが、

「信号受信デキマセン」

と全機同じ答えを出している。
どうやら、アダムだけがかろうじて受信することのできるくらいの微弱な信号が発信されているらしい。

「本当に救難信号なんて発信されてんのか?」

そう言ってトウマがゼナスに確認を取ると、

「間違いない。正確な位置までは把握できないが、ジオフォートもアダムのものと同じと思われる信号を受信している」

との答えが返ってきた。

「どうする、マスタートウマ?」
「いや、どうするって……」

ゼナスからの問いかけの返事に困って、トウマはアダムに歩み寄り、

「アダムはどう思うんだ?」

といって喋りかけると今までじっと明後日の方向を向いていたアダムはようやく振り向いて、

「発信源の調査は無意味ではないと思います」

とだけ返した。
いつもは言わなくていいことまで淡々と喋りあげるアダムの口数がこれだけ少ないのも珍しいことだ。
怪しいとまでは思わないが、何か感じるものでもあるのだろうか?
それに、トウマには何故かアダムが………何かを我慢しているかのような、本当は行きたくて仕方がないのにそれを隠して振る舞っているかのように見えた。
トウマはそれをただの思い違いだろうと思った。
が、どうせ最近は暇を持て余していたのだ、ここで行っても何の問題も無かろう。

結局、何故かアダムが調査の必要性を推してきたせいもあり、流れに任せて救難信号の調査に向かうことにした。
ジオフォート意外で唯一信号を受信できるアダムは必須で、それにトウマとシリルが同行する。
目的地はフィアランドの砂漠にある。



「やっぱ暑ぃ〜……」

いつ来てもこの砂漠には慣れないもので、トウマとシリルは早くも疲れきっていた。
しかしアダムはそんな二人にはかまわずに、

「SOS信号受信中………」

と言いながら反応目指し一直線に進んでいく。
さすがに置き去りにするようなまねはしなかったが障害物を見つけては勝手にカノン砲を撃ったりと半ば強引に進み続け、そうしてたどり着いたのは『ディアヴォロの掌』という砂漠の中でも特に辺境の地だ。
ディアヴォロの掌は東西南北全方位を岩に囲まれた特殊な地形をしている。
アダムはそのディアヴォロの掌の外周を岩沿いに歩き、そして途中でふと立ち止まり、腕で何かを確かめるかのように岩を軽く叩きながら、

「救難信号はこの中からです」

と言った。

「この中って……?」
「少し下がってください。 今から入り口を開きます」

シリルからの問いかけにそう返すと、アダムは両手を地面について四つん這いになり、そして、

「発射します」

と、いきなり岩に向けて砲撃した。

「うおぅ!?」
「っきゃ!?」

いきなりの砲撃に疲れきっていた二人は対応できず、爆風に押されて体勢を崩して二人同時に尻餅をついた。
シリルは砂を払い落として立ち上がりながら、

「………ねぇアダム、少し乱暴すぎないかしら?」

と文句を言うが、砂煙が晴れてからアダムの砲撃を受けて岩の中から姿を現した物を目の当たりにして、

「………何これ…」

と驚愕した。
岩に埋もれていたのは金属質の「壁」だった。
そして、トウマとシリルには何故か見覚えがあるような感じがした。
それはジオフォートの壁と非常によく似ているのだ。
二人は驚愕の表情でその壁を眺めていたが、

「申し訳ありません。 一撃では破壊しきれませんでした」

というアダムの声に反応して視線をアダムに移す。
そして………

「発射します」

「「え?」」

二度目の砲撃が放たれる。
爆風は再び容赦なく二人を襲い……

「うわああぁぁっ!」
「いやああぁぁっ!」

二人そろってまた尻餅をついた。



「酷い目に遭ったな……」

と愚痴りながらトウマ達はアダムが破壊した壁の中に入り込む。
中は外とは打って変わってひんやりとしており、ほこりっぽいのが気になるが外よりは大分過ごしやすい。
それに、シリルは内部は真っ暗だろうと予想して光属性の魔法を使えるように準備していたのだが、壁や天井など至る所が僅かながらほんのりとした光を放っていたため、薄暗いがライトがなくとも内部は見まわせる。
そうして見まわすと、辺りが瓦礫だらけであることがよく分かった。
機械の破片らしき物が特に多く、注意深く見ると内部を照らす明かりの正体がまだ壊れきっていない機械のディスプレイや壁の警告灯であることもうかがえる。
そして、ジオフォートにいたものと同じ型の防衛ロボたちの残骸もそこかしこに転がっている。

「間違いありません。 ここは過去に破壊されたジオフォート級機動要塞の一つの内部です」

そのアダムの言葉を聴いてトウマとシリルは顔を見合わせる。

「記録では全て消滅したとされていたのですが、ここはその例外なのでしょう」

そう、今トウマ達がいるのは、ジオフォートで言えばアバロンの部屋の前にあたる場所だ。
つまりは偶然か何かで破壊されそこなった古の機動要塞がディアヴォロの掌に埋もれていたのだ。

「…とにかく内部を見て回ろう」

そう言ってトウマが歩きだそうとすると、

「待ってください、マスタートウマ」

とアダムに止められた。
何だ、とトウマが振り返る。

「現在、我々以外にこの中にエネルギー反応が四つあります。 その内の一つがこちらに向かってきています」
「え?」

何故、とシリルが言おうとした直前に遠くの廊下の角から何かが姿を現した。

「あれは……」

シリルが目を凝らす。
それは、床に転がっているものと同じ、ジオフォートにもいる防衛ロボだった。
どうやら他の機体と比べて損傷が軽く、起動状態に支障は無いようだ。
その防衛ロボはゆっくりとトウマ達に近寄り、武器を構えるトウマの射程のぎりぎり外で止まって、

「ヨウコソオイデクダサイマシタ、ワタシハD−05トモウシマス」

と、礼儀正しく挨拶をした。
戦闘の必要が無いと理解して武器を下ろすトウマ達を見つめながら、その防衛ロボは

「ホントウニ………ヨク、キテクダサイマシタ……」

と、小さく呟くように言った。



D−05に案内されて居住エリアのホールまで進むと、アダムの言うエネルギー反応の二つ目と三つ目の正体が解った。
一つは何だかよくわからない機械の塊で、まるで本々別々だった物をコードで無理矢理つなぎ合わせたかのような見た目で、今も低い「ヴゥゥゥ………」という音を出している。
そして、もう一つは……

…ザッ…ザ……ザァァァァ…………

という壊れたスピーカーのような音を出しながら制御ルームに続く階段の前でただ立っているだけの防衛ロボだ。
こちらは「ただ停止していない」というだけで、もう既に壊れてしまっていることは明白だ。
その壊れたロボの前まで来て、D−05はふと立ち止まって振り返り、

「ミナサンニオネガイガアリマス。 コノカイダンヲノボッテ『カレ』ニアッテクダサイ」

と言ってきた。

「『カレ』って?」

シリルがそう問いかけるがD−05は何も答えず、更に問いかけようとしたシリルを、

「行きましょう、マスターシリル、マスタートウマ」

と言ってアダムが止めた。

「……………」

シリルはそれ以上は何も言わず、先に階段を上り始めたトウマに続いて階段を上り始める。
残ったアダムにD−05は、

「『カレ』ヲ……オネガイシマス…」

と言った。
アダムはそれには何も答えずに一瞬だけ立ち止まり……すぐにトウマ達の後を追って階段を上っていく。

「最後のエネルギー反応はこの上です」

階段を上りながらアダムがそう言った。
その正体を確かめようと、トウマが制御ルームまで上って発見したものは………

「…え?」

思わずそう声に出してしまう。
それはシリルも同じだった。
だって、中央のモニターの前に陣取っているそいつは……

「……アダム……?」

…………そう、アダムとまったく同じ外見の機体が座りこんでいるのだ。

「いいえ、『カレ』は私と同時期にロールアウトされた私の同系機です」

そのアダムの言葉にシリルとトウマは同時にアダムに視線を向ける。

「久しぶりですね……ファーズ」

そのアダムの言葉に反応したのだろうか、『カレ』ことファーズはゆっくりと立ち上がり、

「敵目視。 直ちに排除します」

と言って、アダム達をその視界に捉えた。



ファーズの頭部が開き、中からブラスター砲が現れた。
ブラスター砲の砲身はトウマに向けられ、ファーズは迷うことなく、

「Fire」

と言って砲撃してきた。

―――マズいっ!

先ほどアダムのブラスター砲の爆風を二度も受けたトウマには分かる。
爆風ですらあれほどの威力なのに、もし直撃を受けたら………
……が、回避するにはもう遅い。
トウマは目を見開いて自分に向かって放たれたブラスター砲を凝視する。

「っ!? トウマぁぁぁぁぁぁっ!!」

シリルが叫びながらトウマに走り寄る。
トウマは自分の死を覚悟して………

「発射します」

立ったまま、いきなり放たれたアダムからの砲撃。
アダムの放った砲撃とファーズの放った砲撃の射線は交差し―――

爆音!

二つの砲弾が空中でぶつかり合い、爆発する。
単発の爆風と違って二発分の爆風がトウマ達を包み込み、

「シリルーーーっ!!」
「―――っ!?」

トウマが走り寄ってきたシリルを庇うが二人とも勢いよく吹き飛ばされる。
吹き飛ばされながらもトウマは空中でシリルを抱き寄せ、特にシリルの頭部を強く抱いて……

「っがぁ!!」

壁に叩きつけられる。
シリルのクッションとなり、背中の全面を強打したトウマがぐったりと崩れ落ちた。

「トウマっ!? しっかりしてっ! お願いだから……」

そんなシリルの呼びかけにトウマはまったく反応しない。

「申し訳ありません、マスターシリルはマスタートウマに付き添っていて下さい」

泣きながらトウマを抱きかかえるシリルにそう言うと、アダムはその視線をファーズへと移し、

「本来マスターを護るべき我々がマスターを攻撃するということは断じて許されることではありません。よってG型識別番号05、通称ファーズを故障と判断し、マスターへの反乱の罪により―――」

そこでアダムはほんの一瞬だけ黙り込み、そしてすぐに、

「―――ファーズを敵と認識し、破壊します」

とファーズに向けてブラスター砲を発射した。
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