第1章エピローグ6「オヤスミナサイ、でも眠れない」

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執筆者:岡島 19:45 住宅街 草加雅菜と別れた後、しばらく一人で歩いていた比良埼藍であるが、彼女は突如口元に笑みを浮かべながら 「らしくない・・・・・・・らしくないですわ」 と呟いた 22:30 当麻家 志保の家から少し離れた場所に一軒の大きな家がある。見たところ歴史がある建物だ。 ここが、当麻詩姫の家である。 その一室に詩姫の姿があった。その部屋は彼女の自室だ。 13号の捜索が打ち切られた後、この街に派遣されてきたエージェント達は宿泊施設がある雑居ビル内の支部に戻ったが 詩姫と真姫のように地元に住んでいるエージェント(今回は真姫と詩姫の二人しかいない)は自宅に戻った。 家に戻ると詩姫は直ぐに自室のベッドに横になって目を閉じ、今日の出来事を思い返していた。 (まさか、彼女があんな事になってるなんて) まず最初に思い出すのは、支部での意外な人物との出会いだった。 朝、その人物と出合った時は、詳しい話が聞けなかったのだが、昼過ぎに支部に戻る機会があり その際に、その人物か抱えている事情を知る事となった。 (志保が知ったら・・・・・・・いや、多分知ることはないと思うけど、でも・・・・・・・) 彼女は、目を開き、悲しそうな表情をみせると (最悪、志保が彼女と会うことはもう・・・・・・・・・・・つらいだろうな二人とも) 23:00 蒼月家 ボード学園から少し離れたところにある一軒家、特別に大きいとも小さいとも言えないそこそこの大きさの家 そこが真姫の家である。彼女は現在この家で一人暮らしをしている。 真姫は、家に帰るやいなや、直ぐに風呂に入り、今はパジャマ着て、髪をおろした姿でベッドに横になり。 「ふう・・・・・・・・」 と一息つき、彼女もまた今日の出来事を思い帰す (それにしても、誰が13号を・・・・・やっぱり噂の仮面ライダーなのかな・・・・・・) すると彼女は笑みを浮かべ (まあ、私も一応仮面ライダーなんだけどね。でも誰なんだろう) しばしして、彼女の顔から笑みはなくなり (それとあの下水道、いったい何なの?あのいやな感じ、みんなも感じていたみたいだし しかもトオル君は、それで倒れちゃったみたいだし) 真姫と詩姫もまた他のエージェント達と共に下水道に降りて行き13号の探索を行った。 結果として13号は見つからず、捜索は一旦打ち切りとなったが 真姫を含め探索に参加したエージェントの全員が口々に 「いやな感じがする」 と言い出したのである。その感じ方に大小はあるものの、全員が似たようなものを感じたというのは異常な状況だった。 なので真姫は、13号の事よりもこっちの方が気になっていたのである。 (13号を倒せば、とりあえず任務は終わりだけど、それだけで終わるのかな) と不安のようなものを感じていた。 (もし、状況が酷くなって、増員とかになって) もっとも彼女が不安なのは、状況の悪化にともなうエージェントの増援についてであり (あの人がやってきたら・・・・・・・・・・) その際に、彼女がもっとも恐れるエージェントがやってくるのではないかという事である。 (まあ、増援で必ずあの人が来るわけじゃないし、それ以前に増援が必要になるとも限らないしね) と、それ以上考える事をやめ、彼女はそのまま眠ってしまった。 しかし、彼女の不安は後に的中するのである。 同時刻、凛堂家 街の郊外にある小さな日本家屋、その家がサーチャーこと、凛堂暦の住む家である。 「ただいま」 サーチャーが帰ってきた。だが返事はない。そう彼女は、何年もこの家で一人暮らしをしている。 彼女自身、返事がない事はわかっている。それでも「ただいま」と言ってしまうのは彼女の癖だ。 13号が発見後、千里眼の使いすぎが原因で彼女はしばらく医務室で休んでいた。 捜索が打ち切りとなった後も、このまま支部に泊まっていく事を打診されたが、 彼女は 「私はもうエージェントではありませんから、これ以上ご迷惑はかけられません」 と断り、家へと帰宅した。 そして、帰宅した彼女がまず先に行ったのは、留守電の確認だった。 「新しいメッセージは2件です。用件1」 とのアナウンスの後、流れたメッセージの一件目は、同僚の司書からだった 相手は、図書室に大量の本の寄贈があった事を述べた後 「・・・・・・という訳で図書の受け入れ作業が大変なんです。お願いです明日には学校に来てください あなたの力が必要なんです。」 と焦りが感じられる声で言って、電話は切れ、後は何時に着信があったかを教えるアナウンスが流れる (明日には学校に行かなければなりませんね) そして 「用件2」 のアナウンスの後、流れたメッセージは 「サーチャー、佐由里だけど」 2件目のメッセージは佐由里からだった 「『運命』が目覚めたかもしれない」 「えっ」 その言葉に、サーチャーは驚いた様子で、目を大きく見開く。 「もし、これ聞いたなら直ぐに連絡をして、たとえ夜遅くでも構わない。待ってるから」 そして、メッセージの再生が終わると、サーチャーは直ぐに、佐由里に電話をかけた。 時刻不明 ??? 現在、A・N、ウィザソーダー、デスサイズが通信機で、情報交換や今日の事についての会話をしている。 幾つかの会話が交わされたのち、ウィザソーダーが 「今日の収穫は、A・Nが三人、デスサイズが同じくで、そして」 自嘲気味に 「僕は0だ」 と言った。するとA・Nが穏やかな口調で 「まあ、分身からの引き継ぎを含めると、0ではないわね」 ウィザソーダーは、まだ自嘲気味な口調で 「あれは、デスサイズのものだから数には入らないよ。」 この会話は、三人が集めた仮面ライダーのデータに関する事である。 ちなみに、デルティに関しては、ラビリンスが既に情報を持っているので数に入っていない。 「まあ、今日は初日だから明日からがんばればいいこと。あとフロストも一人見つけたみたいよ」 とA・Nが話の話題を変える 「蒼崎志保、フェイトの事だね」 「彼女には、何かあると思っていたけど、まさかフェイトだったなんて」 「僕も、なにか因縁めいたものを感じるよ。特に蒼崎志保には」 とウィザソーダーは、どこか真剣な口調で言った。 ここでずっと黙っていたデスサイズが 「蒼崎志保とは・・・・・・・・・戦えない・・・・・・」 相変わらず感情のこもらない声で言った。 「戦い難い相手ではあるわね」 A・Nは穏やかな口調のまま言う 「確かに・・・・・だが、最終的には戦わなければならない。そうだろ?」 とウィザソーダーは問う。それに対しA・Nは逆に問いを突き付ける 「あなたは戦えるの?」 その問いに対しウィザソーダーは答える 「首領の命令があればね。それがなければ戦えない・・・・・」 デスサイズも、その言葉に同調するように 「命令なら・・・・・・・・戦う・・・・・・・・・」 最後にA・Nが、 「同じく、命令があればね・・・・・・・」 そして、願うようにウィザソーダーは言った 「僕としては、フェイトには『インビジブル』との戦いでいなくなってほしい」 この三名が、何故、蒼崎志保との戦いを苦手とするのか、それはここで語るべきことではない。 そして、この後も、話題を変えつつ、三人の会話は続いた 21:45 ラビリンス、研究室 フロストは、13号の監視を一時中断し、ここへと来ていた。首領の命令を遂行するために必要な物をここに取りに来たのだ。 「失礼します」 と言いながら彼女が研究室に入ると、煙が漂い肉を焼くにおいがした。 「焼肉ですか・・・・・」 とフロストは表情を一つ変えず、しかしながらどこか含みのあるように呟く そして研究室には、ポニーテールの髪型に、顔には眼鏡を着用し、体には白衣をまとい 全体的にはどこか知的な雰囲気を醸し出す女性がいた。 彼女は室内にホットプレートを持ち込み焼肉をしている。なお彼女のそばには小瓶と注射器が置いてある。 「来たのねフロスト、あなたもどう?」 と女性はフロストに焼肉を勧めるが、フロストは淡々とした口調で言った 「結構です。ネクロマンサー」 白衣の女性の名はネクロマンサー、正規メンバーの一人でラビリンス兵器開発部の責任者。 これまで多くの兵器の開発に携わっている。 「それよりも、例の薬は」 とフロストが言うと 「用意してるわよ」 とずれた眼鏡を直しながら言った。 実は、首領がフロストに連絡をした後に、連絡を取った相手がネクロマンサーであり 命令遂行に必要な物を揃えるように言っていたのである。 それが、近くに置いてある小瓶と注射器で 彼女は、箸を置き、立ち上がると、それらを手にフロストの元に来て、 「使用上の注意は一つ、これを対象に投与した後は、直ぐにその場から離れる事、何か起こるか分からないから」 と言いながら、それらを手渡した。 「わかりました」 とフロストは答えながら、それらを懐にしまい。 「失礼しました」 と言いながら、一礼して研究室を後にした。 23:30 ラビリンス、首領室 部屋では、首領とローレライがパソコンで作業を行っていた。その途中、首領は何の気なしに時計に目をやる。 (11時半か・・・・・・・) 現在時刻を知った彼女は、突如、作業を止めて 「今日はこの辺にしておきましょう」 と言う、するとローレライは時計を見ながら 「もう、こんな時間ですか。そうですね・・・・・・・」 パソコンのモニターに、目を向けつつ 「ちょうど切りもいい事ですし、そうしましょう」 すると、ローレライはこれまでの作業の分をパソコンに保存したのち、電源を落とし 簡単な後片付けを行い 「それでは、おやすみなさい」 と一礼した後、ローレライは部屋から出て行った。 「さてと」 首領もまた、ここまでの分を保存し、パソコンの電源を落とした。そして彼女は立ち上がると 部屋の隅の方へと向かっていく。そこにはドアがあり、それを開ける。扉の向こうは彼女の自室だ。 中には、ベッドのほかキッチンなど家具が一式置かれていて、一人暮らしのアパートの部屋を想わせる。 彼女は仮面を外すと、そのままベッドに横になる。だが眠気は訪れない。 興奮が尾を引いて眠れないという感じだろう。 フェイトの事を思い出すたびに、胸が躍る。まるで翌日に楽しい事が控えていて眠れない子供のようだ。 (彼女に会ってみたいわ・・・・・・・) すると彼女は突如ベッドから起き上がると、自室を出て隣りの仕事場に戻ると、 再びパソコンの電源を入れ、なぜか作業を再開した。 同時刻 路地裏 夜も更け、加えて街灯も少ないこの場所は、他の場所に比べより暗く、人通りもなく静かで不気味だ。 そんな路地裏にシンの姿があった。 暗闇と静寂は人に恐怖を与えるものだが、彼はそれを恐れている素振りはまったく見せない。 むしろ、何も感じていない。彼は、まっすぐと闇を見つめ前へと進んでいく。 そして、歩きながら彼は服の袖をめくり、腕につけているブレスレットをあらわにさせると それをつかんだ。 22:30 蒼崎邸 「今日はいろんなことがあったなあ」 今、私はベッドに横になり、これから寝ようとしているところだ。目を閉じると今日の出来事が浮かんでくる。 黒招さんとの再開、図書室でのアルバイト、そして、あの怪物・・・・・・・・ ほんとに今日はいろんな事があった。明日はどんな事が待っているんだろうか そんな事を考えながら、このまま私は眠りにつくはずだった 「あれ?」 気がつくと私は奇妙な場所にいた。どんな場所かと言うと、壁も床も天井もすべてが白で覆われた 真っ白な空間だった。 「ここは?」 さっきまで、部屋にいたはずなのに、しかも横になっていたはずなのに何故か立っている。 「夢か」 状況から考えても、明らかに夢だと私は思った 次の瞬間、目の前に、ぼんやりと光る小さな箱が現れた。それは宙に浮かんでいる。 得体の知れないものだったけど、それを手にしなければいけないような気がした。 私は手を伸ばし、それに触れた。 「!」 その瞬間、電気のようなものが手に流れ、それは手から腕に、やがて頭へと達する。 「あ・・・・・・・・ああ・・・・・・・・」 頭に何かが流れ込んでくるのを感じた。そして 「!」 気がつくと、私はベッドの上にいた。私は上半身を起こし周りを見渡し、 ここが見慣れた自分の部屋だという事を確認した。 「やっぱり、夢か・・・・・・」 そしてまた私は、体を横にしようとした。その時だった。ある場面が頭の中に浮かんできた 「これは」 それは古い記憶が急に呼び起こされたような感じだった。でも現れたのは古い記憶じゃない。 これは、私が怪物に殺されそうになった直後の記憶だ 「私だったんだ。フェイトに変身してあいつを・・・・・・・・」 私は思い出した。私が変身して、あいつに怪我を負わし、追い払ったのだ しかも、今、私は変身した時の名を何故か知っている。 「でも・・・・・・・・」 変身した時の私は、私じゃなかった。何をしたのかは思い出したが、それは私の意思じゃなくて まるで体が勝手に動いているような、そんな感じがした 「いったい何が起こってるの・・・・・・・・・」 その事が気になったのか、その日はなかなか寝付けなかった。 ←[[第1章エピローグ5「終わりの始まり」]][[第1章エピローグ7「」]]→
執筆者:岡島 19:45 住宅街 草加雅菜と別れた後、しばらく一人で歩いていた比良埼藍であるが、彼女は突如口元に笑みを浮かべながら 「らしくない・・・・・・・らしくないですわ」 と呟いた 22:30 当麻家 志保の家から少し離れた場所に一軒の大きな家がある。見たところ歴史がある建物だ。 ここが、当麻詩姫の家である。 その一室に詩姫の姿があった。その部屋は彼女の自室だ。 13号の捜索が打ち切られた後、この街に派遣されてきたエージェント達は宿泊施設がある雑居ビル内の支部に戻ったが 詩姫と真姫のように地元に住んでいるエージェント(今回は真姫と詩姫の二人しかいない)は自宅に戻った。 家に戻ると詩姫は直ぐに自室のベッドに横になって目を閉じ、今日の出来事を思い返していた。 (まさか、彼女があんな事になってるなんて) まず最初に思い出すのは、支部での意外な人物との出会いだった。 朝、その人物と出合った時は、詳しい話が聞けなかったのだが、昼過ぎに支部に戻る機会があり その際に、その人物か抱えている事情を知る事となった。 (志保が知ったら・・・・・・・いや、多分知ることはないと思うけど、でも・・・・・・・) 彼女は、目を開き、悲しそうな表情をみせると (最悪、志保が彼女と会うことはもう・・・・・・・・・・・つらいだろうな二人とも) 23:00 蒼月家 ボード学園から少し離れたところにある一軒家、特別に大きいとも小さいとも言えないそこそこの大きさの家 そこが真姫の家である。彼女は現在この家で一人暮らしをしている。 真姫は、家に帰るやいなや、直ぐに風呂に入り、今はパジャマ着て、髪をおろした姿でベッドに横になり。 「ふう・・・・・・・・」 と一息つき、彼女もまた今日の出来事を思い帰す (それにしても、誰が13号を・・・・・やっぱり噂の仮面ライダーなのかな・・・・・・) すると彼女は笑みを浮かべ (まあ、私も一応仮面ライダーなんだけどね。でも誰なんだろう) しばしして、彼女の顔から笑みはなくなり (それとあの下水道、いったい何なの?あのいやな感じ、みんなも感じていたみたいだし しかもトオル君は、それで倒れちゃったみたいだし) 真姫と詩姫もまた他のエージェント達と共に下水道に降りて行き13号の探索を行った。 結果として13号は見つからず、捜索は一旦打ち切りとなったが 真姫を含め探索に参加したエージェントの全員が口々に 「いやな感じがする」 と言い出したのである。その感じ方に大小はあるものの、全員が似たようなものを感じたというのは異常な状況だった。 なので真姫は、13号の事よりもこっちの方が気になっていたのである。 (13号を倒せば、とりあえず任務は終わりだけど、それだけで終わるのかな) と不安のようなものを感じていた。 (もし、状況が酷くなって、増員とかになって) もっとも彼女が不安なのは、状況の悪化にともなうエージェントの増援についてであり (あの人がやってきたら・・・・・・・・・・) その際に、彼女がもっとも恐れるエージェントがやってくるのではないかという事である。 (まあ、増援で必ずあの人が来るわけじゃないし、それ以前に増援が必要になるとも限らないしね) と、それ以上考える事をやめ、彼女はそのまま眠ってしまった。 しかし、彼女の不安は後に的中するのである。 同時刻、凛堂家 街の郊外にある小さな日本家屋、その家がサーチャーこと、凛堂暦の住む家である。 「ただいま」 サーチャーが帰ってきた。だが返事はない。そう彼女は、何年もこの家で一人暮らしをしている。 彼女自身、返事がない事はわかっている。それでも「ただいま」と言ってしまうのは彼女の癖だ。 13号が発見後、千里眼の使いすぎが原因で彼女はしばらく医務室で休んでいた。 捜索が打ち切りとなった後も、このまま支部に泊まっていく事を打診されたが、 彼女は 「私はもうエージェントではありませんから、これ以上ご迷惑はかけられません」 と断り、家へと帰宅した。 そして、帰宅した彼女がまず先に行ったのは、留守電の確認だった。 「新しいメッセージは2件です。用件1」 とのアナウンスの後、流れたメッセージの一件目は、同僚の司書からだった 相手は、図書室に大量の本の寄贈があった事を述べた後 「・・・・・・という訳で図書の受け入れ作業が大変なんです。お願いです明日には学校に来てください あなたの力が必要なんです。」 と焦りが感じられる声で言って、電話は切れ、後は何時に着信があったかを教えるアナウンスが流れる (明日には学校に行かなければなりませんね) そして 「用件2」 のアナウンスの後、流れたメッセージは 「サーチャー、佐由里だけど」 2件目のメッセージは佐由里からだった 「『運命』が目覚めたかもしれない」 「えっ」 その言葉に、サーチャーは驚いた様子で、目を大きく見開く。 「もし、これ聞いたなら直ぐに連絡をして、たとえ夜遅くでも構わない。待ってるから」 そして、メッセージの再生が終わると、サーチャーは直ぐに、佐由里に電話をかけた。 時刻不明 ??? 現在、A・N、ウィザソーダー、デスサイズが通信機で、情報交換や今日の事についての会話をしている。 幾つかの会話が交わされたのち、ウィザソーダーが 「今日の収穫は、A・Nが三人、デスサイズが同じくで、そして」 自嘲気味に 「僕は0だ」 と言った。するとA・Nが穏やかな口調で 「まあ、分身からの引き継ぎを含めると、0ではないわね」 ウィザソーダーは、まだ自嘲気味な口調で 「あれは、デスサイズのものだから数には入らないよ。」 この会話は、三人が集めた仮面ライダーのデータに関する事である。 ちなみに、デルティに関しては、ラビリンスが既に情報を持っているので数に入っていない。 「まあ、今日は初日だから明日からがんばればいいこと。あとフロストも一人見つけたみたいよ」 とA・Nが話の話題を変える 「蒼崎志保、フェイトの事だね」 「彼女には、何かあると思っていたけど、まさかフェイトだったなんて」 「僕も、なにか因縁めいたものを感じるよ。特に蒼崎志保には」 とウィザソーダーは、どこか真剣な口調で言った。 ここでずっと黙っていたデスサイズが 「蒼崎志保とは・・・・・・・・・戦えない・・・・・・」 相変わらず感情のこもらない声で言った。 「戦い難い相手ではあるわね」 A・Nは穏やかな口調のまま言う 「確かに・・・・・だが、最終的には戦わなければならない。そうだろ?」 とウィザソーダーは問う。それに対しA・Nは逆に問いを突き付ける 「あなたは戦えるの?」 その問いに対しウィザソーダーは答える 「首領の命令があればね。それがなければ戦えない・・・・・」 デスサイズも、その言葉に同調するように 「命令なら・・・・・・・・戦う・・・・・・・・・」 最後にA・Nが、 「同じく、命令があればね・・・・・・・」 そして、願うようにウィザソーダーは言った 「僕としては、フェイトには『インビジブル』との戦いでいなくなってほしい」 この三名が、何故、蒼崎志保との戦いを苦手とするのか、それはここで語るべきことではない。 そして、この後も、話題を変えつつ、三人の会話は続いた 21:45 ラビリンス、研究室 フロストは、13号の監視を一時中断し、ここへと来ていた。首領の命令を遂行するために必要な物をここに取りに来たのだ。 「失礼します」 と言いながら彼女が研究室に入ると、煙が漂い肉を焼くにおいがした。 「焼肉ですか・・・・・」 とフロストは表情を一つ変えず、しかしながらどこか含みのあるように呟く そして研究室には、ポニーテールの髪型に、顔には眼鏡を着用し、体には白衣をまとい 全体的にはどこか知的な雰囲気を醸し出す女性がいた。 彼女は室内にホットプレートを持ち込み焼肉をしている。なお彼女のそばには小瓶と注射器が置いてある。 「来たのねフロスト、あなたもどう?」 と女性はフロストに焼肉を勧めるが、フロストは淡々とした口調で言った 「結構です。ネクロマンサー」 白衣の女性の名はネクロマンサー、正規メンバーの一人でラビリンス兵器開発部の責任者。 これまで多くの兵器の開発に携わっている。 「それよりも、例の薬は」 とフロストが言うと 「用意してるわよ」 とずれた眼鏡を直しながら言った。 実は、首領がフロストに連絡をした後に、連絡を取った相手がネクロマンサーであり 命令遂行に必要な物を揃えるように言っていたのである。 それが、近くに置いてある小瓶と注射器で 彼女は、箸を置き、立ち上がると、それらを手にフロストの元に来て、 「使用上の注意は一つ、これを対象に投与した後は、直ぐにその場から離れる事、何か起こるか分からないから」 と言いながら、それらを手渡した。 「わかりました」 とフロストは答えながら、それらを懐にしまい。 「失礼しました」 と言いながら、一礼して研究室を後にした。 23:30 ラビリンス、首領室 部屋では、首領とローレライがパソコンで作業を行っていた。その途中、首領は何の気なしに時計に目をやる。 (11時半か・・・・・・・) 現在時刻を知った彼女は、突如、作業を止めて 「今日はこの辺にしておきましょう」 と言う、するとローレライは時計を見ながら 「もう、こんな時間ですか。そうですね・・・・・・・」 パソコンのモニターに、目を向けつつ 「ちょうど切りもいい事ですし、そうしましょう」 すると、ローレライはこれまでの作業の分をパソコンに保存したのち、電源を落とし 簡単な後片付けを行い 「それでは、おやすみなさい」 と一礼した後、ローレライは部屋から出て行った。 「さてと」 首領もまた、ここまでの分を保存し、パソコンの電源を落とした。そして彼女は立ち上がると 部屋の隅の方へと向かっていく。そこにはドアがあり、それを開ける。扉の向こうは彼女の自室だ。 中には、ベッドのほかキッチンなど家具が一式置かれていて、一人暮らしのアパートの部屋を想わせる。 彼女は仮面を外すと、そのままベッドに横になる。だが眠気は訪れない。 興奮が尾を引いて眠れないという感じだろう。 フェイトの事を思い出すたびに、胸が躍る。まるで翌日に楽しい事が控えていて眠れない子供のようだ。 (彼女に会ってみたいわ・・・・・・・) すると彼女は突如ベッドから起き上がると、自室を出て隣りの仕事場に戻ると、 再びパソコンの電源を入れ、なぜか作業を再開した。 同時刻 路地裏 夜も更け、加えて街灯も少ないこの場所は、他の場所に比べより暗く、人通りもなく静かで不気味だ。 そんな路地裏にシンの姿があった。 暗闇と静寂は人に恐怖を与えるものだが、彼はそれを恐れている素振りはまったく見せない。 むしろ、何も感じていない。彼は、まっすぐと闇を見つめ前へと進んでいく。 そして、歩きながら彼は服の袖をめくり、腕につけているブレスレットをあらわにさせると それをつかんだ。 22:30 蒼崎邸 「今日はいろんなことがあったなあ」 今、私はベッドに横になり、これから寝ようとしているところだ。目を閉じると今日の出来事が浮かんでくる。 黒招さんとの再開、図書室でのアルバイト、そして、あの怪物・・・・・・・・ ほんとに今日はいろんな事があった。明日はどんな事が待っているんだろうか そんな事を考えながら、このまま私は眠りにつくはずだった 「あれ?」 気がつくと私は奇妙な場所にいた。どんな場所かと言うと、壁も床も天井もすべてが白で覆われた 真っ白な空間だった。 「ここは?」 さっきまで、部屋にいたはずなのに、しかも横になっていたはずなのに何故か立っている。 「夢か」 状況から考えても、明らかに夢だと私は思った 次の瞬間、目の前に、ぼんやりと光る小さな箱が現れた。それは宙に浮かんでいる。 得体の知れないものだったけど、それを手にしなければいけないような気がした。 私は手を伸ばし、それに触れた。 「!」 その瞬間、電気のようなものが手に流れ、それは手から腕に、やがて頭へと達する。 「あ・・・・・・・・ああ・・・・・・・・」 頭に何かが流れ込んでくるのを感じた。そして 「!」 気がつくと、私はベッドの上にいた。私は上半身を起こし周りを見渡し、 ここが見慣れた自分の部屋だという事を確認した。 「やっぱり、夢か・・・・・・」 そしてまた私は、体を横にしようとした。その時だった。ある場面が頭の中に浮かんできた 「これは」 それは古い記憶が急に呼び起こされたような感じだった。でも現れたのは古い記憶じゃない。 これは、私が怪物に殺されそうになった直後の記憶だ 「私だったんだ。フェイトに変身してあいつを・・・・・・・・」 私は思い出した。私が変身して、あいつに怪我を負わし、追い払ったのだ しかも、今、私は変身した時の名を何故か知っている。 「でも・・・・・・・・」 変身した時の私は、私じゃなかった。何をしたのかは思い出したが、それは私の意思じゃなくて まるで体が勝手に動いているような、そんな感じがした 「いったい何が起こってるの・・・・・・・・・」 その事が気になったのか、その日はなかなか寝付けなかった。 ←[[第1章エピローグ5「終わりの始まり」]][[第1章エピローグ7「忘れられた場所にて」]]→

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