第1章第13話「戦いへの序曲」

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第1章第13話「戦いへの序曲」」(2009/04/25 (土) 21:25:39) の最新版変更点

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9:05 市内 蒼月真姫は、少し派手なデザインの半そでのシャツ、下はジーパンといった格好、 すなわち私服で、とある雑居ビルの前にいた。 「はあ・・・・・・・・・」 とため息をつくと、彼女は建物に入り、まっすぐにエレベーターへと向かい、 ボタンを押しエレベーターを待つ、その間 「今日は転校生が来るのに・・・・・フラグを立てるには、転校初日が大事なのに・・・・・」 と不満そうな様子で、ぶつぶつ言っていた。 そして一階にエレベーターが降りてくる。そして真姫は乗客が全員降りるのを待ち、 更に念のため誰も乗っていない事を確認し、それに乗り込み、扉を閉める。 そして階数のボタンを複数箇所、順不同に押していく、まるで暗証番号を入力するかの様に見える。 やがて、エレベーターは動き出し、とある階に止まる。そして扉が開くと、 そこにはもう一つ扉があった。扉の横には、各種認証システムがある。 真姫は暗証番号の入力から始まって、掌紋、音声、目の網膜などの認証を行う。 すべてが終わると扉が開き、彼女は中に入る、そこにはまるで研究施設のようなものが広がっていた。 ここは、Gの支部である。雑居ビルの中に存在し、 簡易的ではあるが研究施設や医療施設など各種施設があり、数人の職員が常駐している。 真姫は、ボード学園の生徒であり、同時に「魔導師」という二つ名を持った Gのエージェントである。彼女に掛かってきた電話は任務が入った事と 支部への呼び出しを伝える物だった。 そして真姫は施設の奥の方にある、ミーティングルームへと向かっていき、そして、部屋の前に来ると 「ふぅ・・・・・・・・」 と一息つき、扉を開ける。中には10代から20代くらいで、私服、あるいはスーツ姿の男女が数人いて、 一斉に真姫の方を見た。その目は厄介者を見るかのようだった。 (あ~視線が痛い・・・・・・・・) と思いながらも、それを振り切る為、元気よく彼女は言った。 「魔導師、ただいま到着しました!」 すると 「真姫、遅刻よ、まったく」 と髪型はショートカットに、顔には眼鏡を着用し、ボード学園の制服を着た少女 が額に手を当てつつ、あきれ返った様子で言った。 「当麻先輩」 少女の名は当麻詩姫、ボード学園高等部、3年D組に在籍する学生であり 同時に「解体者」という二つ名を持ったエージェントで、そして部屋にいる人々も、ほとんどがエージェントである。 「全員そろったわね」 部屋の奥には、アリシアの姿があった。 「それじゃ、ミーティングを始めるわ」 部屋に備え付けられているモニターに、異様な左腕を持った狼の怪人の姿を映す その腕は、そこだけ別の生物なんじゃないかと思わせるもので 腕全体が硬い殻に覆われ、右手に比べつめも長く全体的にみると何となく刺々しさを感じる。 またモニターの一角には髪型はショートカットで、髪の色を赤く染めた女性の顔は映っていた。 「今回から参加するエージェント達の為に一から説明するわね」 モニターを指差しながら 「これが、殲滅対象の改造兵士実験体13号、そして」 女性の顔のほうを指差し 「その人間体、神羅月菜」 そして、アリシアは詳しい説明を始めた。それによると、13号はGがこの夏壊滅させた 組織が開発した改造兵士と呼ばれる生態兵器でその名のとおり13体目の実験体である。 13号は神羅月菜と言う女性を素体に、人狼の細胞を利用し、生み出された怪人であるが 特定の時間帯(日本時間で午後7時から午前5時まで)で、なおかつ日の光が当たらない 状況でしか変身できないという欠点があり、戦闘能力も並みの怪人程度と言うこともあり その為、失敗作と見なされ、処分されるはずであった。 しかし組織が壊滅した際の混乱の中、脱走。その後は殺人を繰り返していた。 実は素体となった神羅月菜は、過去に10人の人間を殺した殺人鬼。 Gが組織から押収した資料では彼女は、ストレス解消の為に殺人を繰り返していたと言う 「今回の任務で最も気をつけなければいけないのはラビリンスの妨害よ。今回も奴らの妨害が酷い」 とアリシアが言うと真姫は詩姫に耳打ちした 「ねぇラビリンスって、武器商人の?」 すると詩姫が小声で 「確かに武器も売ってるけど、今は手を広げて、何でも屋みたいになってる」 ラビリンスとは、元々は武器の密売を行っていた組織であるが、その後は手を広げ 武器、違法薬物、その他の製造販売、技術提供、情報提供、そして作戦提案、その代行など多岐にわたり、 そして多くの秘密結社を顧客に持ち、利益を上げている。その為、秘密結社支援組織と呼ばれることもある。 「でも、何でそこが、いつも妨害してくるの?」 すると詩姫が、驚いた様子で 「知らないの?結構有名な話だけど」 「私、情報交換とかあまりしないから」 すると詩姫は額に手を当て呆れ顔で 「ラビリンスの取引先は悪の組織が多いからGの殲滅対象になる。組織を壊滅させれば」 「あ~なるほど、取引先がなくなる」 Gがこの夏壊滅させた組織もまたラビリンスの取引先だった。しかも結構大きな取引をしていた。 取引先を失った事に対する報復、それがGに対する妨害だった。 そのやり方はと言うと、殲滅対象を追い詰めたあたりで、ラビリンスの戦闘員が乱入して 対象を逃がすと言うのが主である。今回の場合も13号との戦いよりもラビリンスとの戦いのほうが多い。 「それだけじゃないと思うけどね。これも、有名な話だけどラビリンスの首領とGは」 と詩姫が言いかけたところで 「お前ら、私語は慎め」 と近くにいた人物に注意された。その声は女性的で、その人物の顔も女性的、髪は少々長め、 そして、背中と肩に「7」とかかれたワッペンが付けたレスキュー隊の制服の様なものを着ていた。 真姫は、その人物を見た瞬間、思わず顔が引きつった。 「トオル君・・・・・・・・いたんだ」 神月トオル、「銃剣士」の二つ名を持つエージェントで 顔も声も女性的なので、女性と間違えられる事が多いが、一応男性らしい 真姫は、彼のことが苦手である。真姫いわく、トオルはどこか近寄りがたい雰囲気を持っているとの事。 確かに、この人物は、任務の際も単独行動が多く、支部でも孤立しているところがある。 「後、未確認の怪物の情報が入ってきているから、そちらにも注意する事」 とアリシアの話は終わりに近づく 「とにかく、被害を出さない為にも夜になる前に神羅月菜を確保する事、 あと、ラビリンスの妨害や未確認の怪物あるから、出来るだけチームを組んで動く事」 そして 「以上よ、後はあなた達の判断で行動しなさい。こっちも何か情報が入ったら、逐一連絡する。 それじゃ『解体者』と『魔導師』と『銃剣士』は残って、解散」 すると部屋にいたエージェントたちは一斉に部屋から出て行き、 部屋には真姫と詩姫、トオル、そしてアリシアが残る。 「まず、トオル君にこれを」 そう言うと、小さな鉄の小箱のような物をトオルに渡す。 「これは?」 大きさは、マッチ箱くらいで、スイッチのような物が付いている 「ネメシスの修理がまだだから、代わりのライダーシステムよ。量産型で能力は劣るけど 無いよりかはましだと思う」 少し、不満げな様子ながらも 「ありがとうございます・・・・・・・・」 そういって、それをベルトに取り付け、部屋を出て行った。 「さてと」 残されたのは、真姫と詩姫 「アリシア・・・・・・・・・」 真姫は何故か、アリシアの事を呼び捨てにしている。その事についてアリシアも何も言わない。 「もしかして、この前の事・・・・・・・」 と真姫が心配そうで背中には冷や汗をかいている。 思い当たる節があるからだ 「自覚はあるのね。関係はあるけど、その事じゃない」 と特に感情的でもなく落ち着いた口調で言い 「今回の任務で、あなた達二人でチームを組んで欲しいの」 すると詩姫が何かを察したように 「私はお目付け役って事ですね」 「そうなるわね。」 アリシアは今回の任務に、真姫の力が要ると考えていたものの、彼女には問題があった 真姫は両性愛者で、女だろうが男だろうが、恋愛対象になる。しかも恋愛を優先するため 任務を放り出すことも多く、加えて彼女は見境が無く二股は、三股は、いつもの事で、 そして待っているのは修羅場。おかげでGの内外問わず迷惑をかけている。その度に 真姫がもっとも恐れる人物による指導が行われるが、懲りない。 彼女が部屋に入った時、他のエージェント達が厄介者を見るかのよう目をしたのは、その所為である。 そんな真姫を押さえることのできる人間は限られている。アリシアもその一人であるが 詩姫も、そうなのだ。 この任務に詩姫が参加する事を知ったアリシアは、彼女に真姫のお目付け役を頼む事にしたのだった。 「でもその為だけにあなたは呼ばれたわけじゃないから」 もっとも、詩姫は、あくまで任務地に住んでいて、手が空いていたエージェントと言う理由で任務に参加するのであって 真姫を押さえる為だけに呼ばれたわけではない。 そもそも、彼女を呼んだのは日本支部であり、アリシアも日本に来るまで知らなかった だからアリシアは日本に来るまでは真姫の事は自分一人で何とかしようと思っていたのだった 「良いですけど、でも私よりも・・・・・・・・」 とどこか意地悪そうに言いかけたとき、真姫が手で詩姫の口を塞ぎながら 「当麻先輩~~~~~余計な事いわないでくださいよ~~~~~~~~」 と半泣きで、どこか情けない声を出す。 するとアリシアが 「大丈夫よ、彼女は今、急な任務でこっちには来れないわ」 と言った途端、真姫は安心したように 「そう・・・・・・・なんだ・・・・・・・・」 そのまま床にへたりこもうとしたので 「ちょっと真姫」 詩姫はその体を支える。 その時、突然、 「すいません、遅れました」 と言って入ってくる人物が 「サーチャー・・・・・・・」 そうやってきたのは、サーチャーこと凛堂暦 「もう、ミーティングは終わったんでしょうか?」 とサーチャーが言うとアリシアが 「ええ、内容はこれに記録しているから」 と一枚のディスクを取り出しながら言った。 「すいません・・・・・・」 「いいのよ、それより体の方は?」 「もう大丈夫です」 ここで真姫が 「どうしてここに?」 と言うとサーチャーが 「私、Gの『協力者』なんです。今回はアリシアさんの頼みでお手伝いを・・・・・」 と答えた。 「サーチャーって『協力者』だったんだ」 と意外だったと言う感じで真姫が言うと詩姫が 「知らないの?けっこう有名なんだけど・・・・・」 Gにおいて『協力者』とは、Gに協力してくれる外部の人々の総称で 多くは、エージェントの血縁者や、現役を退いた元エージェントたちである また『協力者』の中には、正規のエージェントになる者もいる。 「サーチャーは元エージェントなのよ」 と詩姫が言うと 「知らなかった・・・・・」 と真姫が言い 「昔のことですよ。昔の・・・・・」 とサーチャーが言った。顔は笑っていたが、目はどこか悲しそうだった。 そして、サーチャーを追うようにもう一人 「すいません・・・・・・・・遅れました・・・・・・・・・」 と言いながら、ミーティングルームに入ってくる人物がいた 「「えっ!」」 真姫と詩姫の二人は、入ってきたその人物を見て驚き、同時に声を上げた。 入ってきたのは長髪でストレートの髪形をした少女だった アリシアは 「まだ寝てなきゃだめよ」 と言い、サーチャーも 「そうですよ、無理しちゃいけません」 その少女は 「大丈夫・・・・・・・です・・・・・・・・」 と答える。そして詩姫は驚きを隠せない様子で言った 「どうして、あなたが」 10:05 ??? 社長室のような場所に、仮面の女性と赤みがかった色の髪の女性がいる。 二人は机の上に備え付けられているパソコンのモニターを見ている。 「どう思う、ローレライ?」 と仮面の女性が尋ね 赤みがかった色の髪の女性、ローレライが答える。 「今年も、そこそこいますね」 二人が見ているのは、何かリストである。よく見ると人の名前、何かの数字 加えて「高等部○年○組」という様に学年とクラスが書かれている そしてリストの中には、風瀬華枝、志熊京、八代みつる、蒼崎志保、護矢晃輝、 一之瀬裕輔、白鷺緋色の名前があり、このリストがボード学園の生徒の関するものであることがわかる。 「まったく、この中で、何人が仮面ライダーなのか・・・・・」 と仮面の女性は、どこか腹立たしげだ 「それにしても・・・・・・・・」 「どうしました?」 とローレライが聞くと、画面を指差しながら 「この蒼崎志保って子、気になるわね」 と仮面の女性が言い、ローレライは、何かに思い当たったように 「蒼崎って、まさか・・・・・・・・」 そこに通信が入る。なお通信機から聞こえてくるのは女性の声 その口調にはどこか堅苦しさを感じる 「こちらフロスト、特に異常はありません」 「そう」 「神羅月菜は先ほどまで壁を相手に暴れていましたが、今は寝ています」 これは、神羅月菜を監視している者、フロストからの定時連絡 「首領」 「何?」 と仮面の女性は答える 「コイツをこのままにしておくのは、もったいない気がします」 とフロストと言う。 すると仮面の女性は 「それもそうね」 「特にアイデアがあるわけではないのですが」 少しの沈黙の後 「その事については、こっちで考えておく、あなたは引き続き監視をお願い。」 「わかりました」 「以上よ」 するとフロストが 「全ては我らラビリンスの利益の為に・・・・・・・・・」 と言って通信が切れる。 「だから、毎回言わなくても良いんだけど・・・・・」 そう、ここはラビリンスの本拠地、彼女たちはそのメンバーであり ローレライはその最高幹部、そして仮面の女性は、ラビリンスの首領だった。 10:10、市内の公園 エージェント達が支部を出た後、アリシアも常駐の職員に留守を任せ、彼女も出かけ、 そして街中の公園にやってきた。そこに到着すると、時計を確認し 「五分前か」 と呟いた 10:15、市内の公園 ここに、“暗殺者”ことミシェル・フェオニールが来たのは偶然だった。 彼女は“槍使い”と別れた後、しばらく情報収集を行いつつも、街を歩いていた。その途中 この公園へとやってきたのだった。 そして 「“暗殺者”」 と声をかけられ、思わず足が止まる。 (まさか) 彼女は、その声に聞き覚えがあった。そして声のほうを向くと、思ったとおりの人物がいた。 「アリシア・ステイト・・・・・・・・・」 そこにいたのはアリシアだった。 “暗殺者”とアリシアは、ちょっとした知り合いである。 “暗殺者”が所属する騎士団と、アリシアが所属する守護神機関(G)はお互いに領域を定め 干渉しないことにしている。 例を出すなら、Gはタンタロスには係わらないし、騎士団もGの殲滅対象に対しては係わらない。 と言ってもこれはあくまで、こちら側からであって、向こうが攻撃してきた場合は別である。 何故こうなっているかと言うと、二つの組織は、その方針上、対立してしまう部分がある。 しかしその為にお互いに足を引っ張り合うのは得策ではないと言う事で、そういう風になっているのである。 また、両組織が、同じ場所で其々の任務を行うとなると、情報を交換し、お互いの領域を確認する 場合によっては、その際に、ある程度の話し合いがもたれるのだが、 その時Gの代表とアリシアがしてやって来る場合がある。 いつも彼女がやってくるわけではないが“暗殺者”が関わっている時に限ってやってくる場合が多い。 そういうわけで、“暗殺者”とアリシアは知り合いとなった。 「あなたが来たと言う事は、Gがこの地で活動を始めたと言う事ね」 「そう、情報は送っておいたけど、私たちが追っているのは、組織の残党が一人でラビリンスの妨害付き」 「こっちはタンタロスと、その他ってとこね。後で情報は送っておく。でも」 「何?」 「まだ、あなたが出てくるには早いと思うけどね」 話し合いが行われるのは大概、情報交換の後、その内容に意見したい事がある時に行われる。 「私は、任務の事であなたに会いに来た訳じゃない」 「じゃあ、何のよう?」 「挨拶かな」 「挨拶?」 “暗殺者”は表には出さないが少し拍子抜けしていた アリシアはどこか気さくな感じで 「今度の任務は、長期化する可能性がある。あなた達とも長い付き合いになるかもしれない。 だから一言挨拶をしておこうと思ってね」 「今後とも、よろしくってわけか」 この時“暗殺者”は内心うれしかった。 “暗殺者”は過去にアリシアと話している最中ふと思った悪戯心を見破られた事がある。 そんな事があって以来、彼女に対して、どんな悪戯をすれば、引っかかるかと言うことを考えるようになっていた。 しかし、話し合いの場で、悪戯を仕掛ける余裕は無く 唯一あったのが見破られた時である。 しかし、今回は任務とは関係なく、アリシアは個人的に来ている なので余裕はありそうに思えた (さて、どうしようかしらね・・・・・) と“暗殺者”はアリシアに対する悪戯心を抱きながらも表向きは穏やかな笑みを浮かべる。 この後、二人の間に幾つかの会話が交わされた。 13:00、ボード学園図書室 その日、図書室の前には、二つの張り紙が張られていた 一つは「本日臨時閉館、なお貸出本の返却は受け付けています。(19時まで)」 もう一つは「臨時のアルバイト募集」 と書かれていて、それを見た私は 「なにこれ」 と思わず言ってしまった その日、私は学食で昼食を済ませた後、夏休み前に借りた本を返す為、図書室に向かった。 で、図書室の扉には、二つの貼り紙、そして図書室の中はというと床に、大量の本が積まれていて、 足の踏み場が無いような状態。そんな中で、図書室の職員が、パソコンを使っていたり 本を運んでいたりと、作業をしているようだった。 「何かあったんですか?」 本を返却する際に、顔なじみの司書に聞いた。 「実はね、学校に本の寄贈あったのよ」 話によると、この学校と縁のある、とある資産家が亡くなり その遺言状の中で自分の持っている本をすべてボード学園に寄贈して欲しいという事が 書かれていた。 ボード学園の図書室は、図書館と言ってもいいほどの規模で、蔵書も豊富。 だから寄贈は受け付けていないのだけど、事が事だけに受け入れる事にしたらしい そしてやってきたのは、大量の本 実は、その資産家は、本のコレクターだったのだ その為、図書室の職員は大量の本の受入作業を行う事なった。その為、今日、図書室は 閉館、ただ夏休み明けで、本の返却に来る生徒が多いので、本の返却だけは受け付ける事にしているとのこと。 「私たちじゃ、手が足りなくて、バイトを募集しているんだけど、だれも来ないし」 アルバイト募集の張り紙は、本の受入作業を手伝い要員を求める物だった 「こんな時に限って、暦さんは休みだし」 「えっ、サーチャー今日休みなんですか?」 これに、私は驚いた。サーチャーは、司書の仕事が全てと言ったところがある。 だから、仕事を休む事はほとんど無い。私が知る限り彼女が休んだのは 風邪を押して、学校に行く途中に倒れて、病院に運ばれた時と 同じく風邪を押して、学校に来たものの、図書室で倒れ病院送りとこれくらいと思う。 「珍しいですね。」 「そうね。でもこっちは大変よ。あの人が入ればどうにかなるのに」 私は、図書室の様子を見ると、職員の人たちは、大量の本の受入作業が大変そうな様子で、 その姿を見て、私は、いてもたってもいられないような気持ちがわいてきた。 私にできる事は無いだろうか、そんな気持ちが湧き上がってくる。 「あの、バイト募集してるって言ってましたよね」 私は、受入作業の手伝いことにした。私に与えられた作業は、本の基本情報をパソコンに入力する事と 図書カードを入れるブックポケットの貼り付けや、その図書カードの作成、本の所定の場所への捺印などで 分類番号の振り付けなどは司書の人が行っていた。作業自体は、単純だが、量が量だけに大変だった。 13:25、ボード学園図書室 作業が始まって、余り、経っていないころ、 「すいません、アルバイト募集って書いていたんですが」 と言いながら、黒招さんが入ってきた。彼女も、作業に参加するようだった 彼女は私の事に気づくと 「蒼崎さんも、ですか。奇遇ですね」 (偶然だよね) また私はそう思ってしまった。 ちなみに彼女も作業を始めたが、随分と手馴れている様子だった 彼女は控えめであるがどこか自慢げに 「私、前の学校で図書委員をやっていたんですよ」 「そうなんだ」 13:38、ボード学園付近 オブディアとデルティーとの戦いが始まった直後、その様子を遠くから見ている者がいた その者は、両者の戦いを見ながら通信機のような物でどこかに連絡を取っている 「こちら、A・N、MR確認、一体はデルティー、もう一体は未知のタイプです オブディアと名乗っていました」 その者は現場から離れた距離にいるが、会話の内容は聞こえているようだ 「監視を続けます」 同時刻、路地裏付近 路地裏に走っていく護矢晃輝を見ている者がいる。その者も通信機のような物で どこかに連絡を取っている 「こちらウィザソーダー、MRD護矢晃輝を確認、これより追跡を・・・・・」 と言いかけた瞬間、その者は異変に気づく その者は、気配で相手を追跡する能力を持っている。追跡の為、晃輝の気配を覚え、それを頼りに 彼を追跡しようとしていた。だが、突如気配が揺らぎ、微弱な物になってしまったのだ。 何が起きたのか判らず、その者は路地裏へ向かう。 だが晃輝の姿は無い。気配が微弱になってしまったため追跡は不可能 「何があったの」 と通信機から声がする。その者は答える 「対象をロストしました・・・・・・・・・・・・・」 16:10、ボード学園付近 帰宅途中の華枝と命季の二人と、それを追う神藤和子を見ている者がいた。 その者もまた通信機でどこかに連絡を取っている。 「こちらデスサイズ・・・・・・・・MRD風瀬華枝、護矢命季、神藤和子を確認・・・・・・」 と淡々とした口調で言う。そこに感情を読み取る事はできない やがてその者は華枝と命季を見ている5つの影に気づく だが、その者は、そのことに対し何をする事も無く、ただ通信機で、その事を 伝えただけで、ただひたすら彼女たちを監視していた。 同時刻 「はぁはぁ・・・・・・・ここまで来れば」 怪物から逃げ延びた列と神歌 「大丈夫かな、あいつ・・・・・・・・」 自分達を助けてくれた白鷺緋色のことを思う。 「大丈夫だと思いますよ」 と列に声をかける神歌、そこに 「風瀬くん?」 「「!」」 突然、声をかけられたので驚く二人 「どうしたの、随分と慌てていたみたいだけど・・・・・・・」 「峠君・・・・・・・」 二人に声をかけたのは、峠総一郎だった。手には、スーパーの袋が握られていて どうやら買い物帰りのようである 「あなたは?」 神歌は尋ね、総一郎は笑顔で答える 「初めまして、僕は峠総一郎、風瀬くんと同じクラスだよ」 「そうなんですか、列さん」 「ああ・・・・・・・・」 列は気まずそうな様子で答える。この時、列は、今日まで彼を忘れていた事を思い出し 気まずさを感じていた。 「そう言えば風瀬君は新聞部だよね」 「そうだけど」 「確か学園新聞のコラムは君が書いてるんだよね?毎回楽しみしてるんだ」 「ありがとう」 「特に5月のはよかったよ」 と言って5月のコラムについて、内容に触れつつ感想を述べる 話を聞くうち、列は気まずさが残っていたが少しそれが和らいだような気がした。 16:30、ボード学園図書室 作業を開始して、しばらくたったけど、本の返却に来る生徒はいたが、手伝いに来る生徒はいなくて、 結局、私たち二人だけ、したがって焼け石に水の状態で、今日中に終わりそうな気配は無かった。 そして、私たちは職員の人の薦めもあって、作業を一時中断し、ひと休みしていた 「誰も来ませんね」 と黒招さんが言う 私には、思い当たる節があった 「みんな、早く帰りたいんだと思う。最近、失踪事件が多いから」 「事件?」 「黒招さんは、転校してきたばかりだから知らないと思うけど、最近多いのよ。 不可解な失踪事件が、加えてそれが得体の知れない怪物の仕業だって噂もあってね」 「そうなんですか、怖いですね・・・・・・・」 「あくまで、噂だからね。実際はどうかわからないけど・・・・・・・・」 その時だった。 「!」 「蒼崎さん・・・・どうしたんですか?」 「今、外で物音がしたような・・・・・・・」 「私は、何も聞こえませんでしたけど」 「気のせいかな・・・・・」 「もう、脅かさないでください~」 黒招さんは、半泣きになってしまった 「ごめんなさい」 別に脅かすつもりは無かったけど、私はその姿に罪悪感を感じた そして、黒招さんが、恐怖を振り払うように、 「暗くなる前に、早く終わらせましょう」 「そうね」 私たちは作業を再開した。 同時刻、蒼崎家 その時間、幹也は家で夕飯の支度をしていた。なお今日の夕飯はカレー 彼は、鼻歌交じりに料理を作っている。ちなみに彼が歌っている歌は歌詞にカレーのスパイスの名前が入っている。 「楽しそうね、幹也」 「!」 唐突に、声をかけられ驚く幹也 「佐由理さん・・・・・・・」 そこには髪型は長髪でストレート、整った顔の作りの持ち主がいた。 彼女は志保達の叔母にあたる人物、蒼崎佐由理である。 「いたんですか」 「いたわよ。それより幹也」 彼女は、ニヤニヤ笑いながら 「なんですか」 「カレーの妖精みたいだったよ」 「ほっといてください」 と幹也は顔を真赤にしながら言った。 「意外と、幹也もかわいい所あるんだ」 「もう、何もいわないでください・・・・・・・・・・」 幹也は恥ずかしさのあまり、しばらく顔の火照りが収まらなかった。 そんな幹也を気遣ってか、佐由理は話題を変える。 「そういえば志保ちゃんは」 「姉さんはまだ帰ってきていませんよ。なんでも図書室で手伝いがあるから遅くなるって」 「そう・・・・・・・・・」 そう言うと、彼女は居間に座って、テレビをつけてくつろぎ始める。 すると幹也はふと思い立って 「そう言えばシンは?」 と聞いた。そう佐由理が来るとシンも一緒に来るからだ 「シン、まだ帰ってきてないのよ」 18:50、ボード学園部室棟 部室棟の一室、すなわち何かのクラブの部室で、シンは一人寝ていた。 部屋の中には本棚があり、ファイルに閉じた資料やマンガ本、ビデオ、 おもちゃが置かれている すべて、特撮番組の『仮面ライダー』に関するものばかり 更に中央には 机があり、そこにはLANケーブルにつながれたノートパソコンが一台置かれていが ほとんど使ってないのかほこりを被っている。 部屋の奥には、アンティークなソファーが置かれていて、シンはそこに横になっている。 シンは、学校には来るが、教室にはほとんどいない。彼は大体、屋上か、この部室かの どちらかにいる。ただこの部室にいる事を知っている人間は少ない。 そして、シンは目を覚まし、時計をみる 「もう、こんな時間か」 そう言うと彼は起き上がり、そして部屋を出ると、鍵を掛け、立ち去る。 なお部室の扉には「仮面ライダー研究会」と書かれたプレートが張られていた 18:55、蒼崎家 「いくらなんでも遅すぎる」 時計見た幹也は、心配そうに右往左往している。 「大丈夫よ、志保ちゃんなら」 と佐由理が夕飯のカレーを食べながら、余裕な表情だ。 「でも、最近、物騒だし・・・・・・・・」 と幹也が心配そうにしていると、佐由理がどこか自慢げに 「大丈夫、志保ちゃんには秘密兵器を渡しているから」 「秘密兵器?」 19:00、ボード学園 本の受入作業はまだ半分以上残っているが、今日は、遅いのでここまでと言うことになった ちなみに、バイト料は、そこそこ貰った。 図書室を出ると、校舎は静まり返っていた 「なんか、気味が悪いですね」 黒招さんの言うとおり気味が悪かったが、特になにも無く私たちは昇降口まで、やってきた。 そして、外に出ると時間が時間だけに、真っ暗だった。校舎の中は静かだったが、 明かりが付いているだけましだったけど、そこに暗闇が加わって 更に恐怖をあおる 「・・・・・・・・・・・・・・」 黒招さんは、黙ったまま震えてるみたいだった。 「一緒に、帰ろうか?」 と聞くと 「お願いします」 と言った。 この時、私はある事を思い出し、それを取り出した。 「懐中電灯?」 「これがあれば、少しはましでしょう」 「準備いいですね」 「いや、無理やり持たされたんだけどね」 この懐中電灯は、佐由理さんに渡された物だった。佐由理さんは機械オタクで変な物をつくる。 この、懐中電灯も見た目こそ、普通だけど実はとんでもない代物、 普通に使っている分には問題は無いんだけど 私は、懐中電灯を点けて、外に出る。 「何よ、これ・・・・・・・・・」 校庭が荒らされていた 「何かあったんでしょうか」 「わからない、とりあえず、早く帰ろう」 嫌な予感がしたので、私たちは急いで、学校から出た。学校の外も人気が無く不気味だった そして、しばらく歩くと十字路に差し掛かり、そして、そこを通り過ぎた時 すると彼女は突然、足を止める 「どうしたの」 と聞くと、彼女は恥ずかしそうに 「私の家、こっちじゃありませんでした」 そして足早に十字路に戻っていき、 「私の家、こっちの方なんです。」 私の家のほうとは別の方角を指した 「それじゃ、また明日学校で」 そのまま、彼女は行ってしまった。 どうも、彼女は道を間違えていたのが恥ずかしかったようだった。 一瞬、呆気に取られたが直ぐに、自分の家のほうに向かって歩き出すはずだった。 19:05 蒼崎家 志保の帰りを待っていた幹也は、あまりに遅いので居ても立ってもいられなくなり 「やっぱり、心配だ。ちょっと見てきます。留守番お願いしますね」 と佐由理に留守を任せ、家を出た。 「相変わらずね」 と出て行く幹也を見ながら佐由理は言った。 同時刻、十字路付近 黒招さんと別れた私は、そのまま自家のほうに向かおうとしていたのだが 「キャーーーーーーーー」 突如、悲鳴が聞こえた。それは黒招さんの声だった。 私は、黒招さんが向かった方へと走る。 そして 「黒招さん!」 「蒼崎さん・・・・・・・・・・」 そこには黒招さんと、そして 「!」 彼女の前に立ちふさがり、襲おうとしている人型の狼の様な怪物を見た。 (このままじゃ、黒招さんが) 迷っている暇はない。私は懐中電灯の先端を外し、怪物へと向かっていき 「蒼崎さん!」 そして懐中電灯の先を怪物の方へ向け、スイッチを入れた。 「!」 次の瞬間、懐中電灯の先から雷のようなものが放たれ、怪物に襲い掛かる そして 「ギャアアアアアアアアアアアアアア!」 怪物は悲鳴を上げる。 この懐中電灯は、実は佐由理さん特製のスタンガンだ。佐由理さん曰く 針とワイヤーを使用せずに間合いを取ってつかえる物で、 しかも通常のスタンガンの何倍もの威力があるらしい。 その所為か、怪物は怯んでいた 「早く逃げて!」 「蒼崎さんは」 「私はコイツを抑えるから」 「でも・・・・・・・・・」 次の瞬間 「グッ・・・・・・・・・・」 私は怪物に首をつかまれていた 「蒼崎さん!」 抵抗しようとしたけど、首をつかまれた際にスタンガンを地面に落としてしまった。 怪物は低くの地の底から轟くような声で 「やってくれたな・・・・・・・・・・てめぇから殺してやる」 (殺される・・・・・・・・・・・) そして、私は黒招さんがまだ逃げずにいることに気づく (私だけじゃない、このままじゃ黒招さんも・・・・・・・・・・私は・・・・・私は・・・・・・・) 次の瞬間、私の中で何かがはじけた。 その時、黒招霧恵は目の前で何が起こっているのかわからなかった。 自分を助けに来た蒼崎志保が、自分の前で殺されようとしていて、霧恵は逃げる事も 助ける事も出来ず、ただその様子を見ている事しかできなかった。 だが、突如異変が起きた。 「ウッ!」 その怪物、即ち改造兵士実験体13号が、突如、志保を手放す 「何なんだテメェ・・・・・・・・・」 13号の手に突如、電流のような物が走ったからだ。そして13号の手から開放された 志保は地面に倒れるも、ゆっくりと起き上がる 「グッ・・・・・・・・グアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 志保は咆哮のような声を上げたと思うと、電撃のような物が志保の体を駆け巡る。 そして手、足、胴体と、その体が変化していく、体は、黒いライダースーツの上に 黒い異形な鎧を身につけた姿、頭部はバッタを思わせる黒いフルフェイスのヘルメットのような物に変わる 「テメェは一体」 そして霧恵は 「仮面・・・・・・・ライダー・・・・・・・・」 と呟く そして、この様子を見ている者がいたその者は、黒髪でショートカットの髪型に、 色白の肌、服装はミリタリー風のジャケットに、ズボンと言った格好をした女性だった。 彼女は通信機で、連絡を取っている 「こちら、フロスト、映像を送ります」 同時刻、ラビリンス本部 フロストから送られてきた映像を見た首領は 「これは、フェイト・・・・・・・・」 どこか興奮した様子で言った。仮面をがぶっているいるから分からないが 笑っているように思える なお映像は志保が変身した部分も映っていた。 「しかも、蒼崎志保か・・・・・・・・やっぱり彼女は・・・・・・・・・」 側にはローレライがいたが、首領の姿を見て (こんな彼女を見たのは久し振りね) と思っていた 「楽しみが増えたわ。また戦えるといいわね。仮面ライダーフェイト・・・・・」 ←[[第1章第12話「異能強襲」]][[第1章第14話「正義のヒロイン」]]→
9:05 市内 蒼月真姫は、少し派手なデザインの半そでのシャツ、下はジーパンといった格好、 すなわち私服で、とある雑居ビルの前にいた。 「はあ・・・・・・・・・」 とため息をつくと、彼女は建物に入り、まっすぐにエレベーターへと向かい、 ボタンを押しエレベーターを待つ、その間 「今日は転校生が来るのに・・・・・フラグを立てるには、転校初日が大事なのに・・・・・」 と不満そうな様子で、ぶつぶつ言っていた。 そして一階にエレベーターが降りてくる。そして真姫は乗客が全員降りるのを待ち、 更に念のため誰も乗っていない事を確認し、それに乗り込み、扉を閉める。 そして階数のボタンを複数箇所、順不同に押していく、まるで暗証番号を入力するかの様に見える。 やがて、エレベーターは動き出し、とある階に止まる。そして扉が開くと、 そこにはもう一つ扉があった。扉の横には、各種認証システムがある。 真姫は暗証番号の入力から始まって、掌紋、音声、目の網膜などの認証を行う。 すべてが終わると扉が開き、彼女は中に入る、そこにはまるで研究施設のようなものが広がっていた。 ここは、Gの支部である。雑居ビルの中に存在し、 簡易的ではあるが研究施設や医療施設など各種施設があり、数人の職員が常駐している。 真姫は、ボード学園の生徒であり、同時に「魔導師」という二つ名を持った Gのエージェントである。彼女に掛かってきた電話は任務が入った事と 支部への呼び出しを伝える物だった。 そして真姫は施設の奥の方にある、ミーティングルームへと向かっていき、そして、部屋の前に来ると 「ふぅ・・・・・・・・」 と一息つき、扉を開ける。中には10代から20代くらいで、私服、あるいはスーツ姿の男女が数人いて、 一斉に真姫の方を見た。その目は厄介者を見るかのようだった。 (あ~視線が痛い・・・・・・・・) と思いながらも、それを振り切る為、元気よく彼女は言った。 「魔導師、ただいま到着しました!」 すると 「真姫、遅刻よ、まったく」 と髪型はショートカットに、顔には眼鏡を着用し、ボード学園の制服を着た少女 が額に手を当てつつ、あきれ返った様子で言った。 「当麻先輩」 少女の名は当麻詩姫、ボード学園高等部、3年D組に在籍する学生であり 同時に「解体者」という二つ名を持ったエージェントで、そして部屋にいる人々も、ほとんどがエージェントである。 「全員そろったわね」 部屋の奥には、アリシアの姿があった。 「それじゃ、ミーティングを始めるわ」 部屋に備え付けられているモニターに、異様な左腕を持った狼の怪人の姿を映す その腕は、そこだけ別の生物なんじゃないかと思わせるもので 腕全体が硬い殻に覆われ、右手に比べつめも長く全体的にみると何となく刺々しさを感じる。 またモニターの一角には髪型はショートカットで、髪の色を赤く染めた女性の顔は映っていた。 「今回から参加するエージェント達の為に一から説明するわね」 モニターを指差しながら 「これが、殲滅対象の改造兵士実験体13号、そして」 女性の顔のほうを指差し 「その人間体、神羅月菜」 そして、アリシアは詳しい説明を始めた。それによると、13号はGがこの夏壊滅させた 組織が開発した改造兵士と呼ばれる生態兵器でその名のとおり13体目の実験体である。 13号は神羅月菜と言う女性を素体に、人狼の細胞を利用し、生み出された怪人であるが 特定の時間帯(日本時間で午後7時から午前5時まで)で、なおかつ日の光が当たらない 状況でしか変身できないという欠点があり、戦闘能力も並みの怪人程度と言うこともあり その為、失敗作と見なされ、処分されるはずであった。 しかし組織が壊滅した際の混乱の中、脱走。その後は殺人を繰り返していた。 実は素体となった神羅月菜は、過去に10人の人間を殺した殺人鬼。 Gが組織から押収した資料では彼女は、ストレス解消の為に殺人を繰り返していたと言う 「今回の任務で最も気をつけなければいけないのはラビリンスの妨害よ。今回も奴らの妨害が酷い」 とアリシアが言うと真姫は詩姫に耳打ちした 「ねぇラビリンスって、武器商人の?」 すると詩姫が小声で 「確かに武器も売ってるけど、今は手を広げて、何でも屋みたいになってる」 ラビリンスとは、元々は武器の密売を行っていた組織であるが、その後は手を広げ 武器、違法薬物、その他の製造販売、技術提供、情報提供、そして作戦提案、その代行など多岐にわたり、 そして多くの秘密結社を顧客に持ち、利益を上げている。その為、秘密結社支援組織と呼ばれることもある。 「でも、何でそこが、いつも妨害してくるの?」 すると詩姫が、驚いた様子で 「知らないの?結構有名な話だけど」 「私、情報交換とかあまりしないから」 すると詩姫は額に手を当て呆れ顔で 「ラビリンスの取引先は悪の組織が多いからGの殲滅対象になる。組織を壊滅させれば」 「あ~なるほど、取引先がなくなる」 Gがこの夏壊滅させた組織もまたラビリンスの取引先だった。しかも結構大きな取引をしていた。 取引先を失った事に対する報復、それがGに対する妨害だった。 そのやり方はと言うと、殲滅対象を追い詰めたあたりで、ラビリンスの戦闘員が乱入して 対象を逃がすと言うのが主である。今回の場合も13号との戦いよりもラビリンスとの戦いのほうが多い。 「それだけじゃないと思うけどね。これも、有名な話だけどラビリンスの首領とGは」 と詩姫が言いかけたところで 「お前ら、私語は慎め」 と近くにいた人物に注意された。その声は女性的で、その人物の顔も女性的、髪は少々長め、 そして、背中と肩に「7」とかかれたワッペンが付けたレスキュー隊の制服の様なものを着ていた。 真姫は、その人物を見た瞬間、思わず顔が引きつった。 「トオル君・・・・・・・・いたんだ」 神月トオル、「銃剣士」の二つ名を持つエージェントで 顔も声も女性的なので、女性と間違えられる事が多いが、一応男性らしい 真姫は、彼のことが苦手である。真姫いわく、トオルはどこか近寄りがたい雰囲気を持っているとの事。 確かに、この人物は、任務の際も単独行動が多く、支部でも孤立しているところがある。 「後、未確認の怪物の情報が入ってきているから、そちらにも注意する事」 とアリシアの話は終わりに近づく 「とにかく、被害を出さない為にも夜になる前に神羅月菜を確保する事、 あと、ラビリンスの妨害や未確認の怪物あるから、出来るだけチームを組んで動く事」 そして 「以上よ、後はあなた達の判断で行動しなさい。こっちも何か情報が入ったら、逐一連絡する。 それじゃ『解体者』と『魔導師』と『銃剣士』は残って、解散」 すると部屋にいたエージェントたちは一斉に部屋から出て行き、 部屋には真姫と詩姫、トオル、そしてアリシアが残る。 「まず、トオル君にこれを」 そう言うと、小さな鉄の小箱のような物をトオルに渡す。 「これは?」 大きさは、マッチ箱くらいで、スイッチのような物が付いている 「ネメシスの修理がまだだから、代わりのライダーシステムよ。量産型で能力は劣るけど 無いよりかはましだと思う」 少し、不満げな様子ながらも 「ありがとうございます・・・・・・・・」 そういって、それをベルトに取り付け、部屋を出て行った。 「さてと」 残されたのは、真姫と詩姫 「アリシア・・・・・・・・・」 真姫は何故か、アリシアの事を呼び捨てにしている。その事についてアリシアも何も言わない。 「もしかして、この前の事・・・・・・・」 と真姫が心配そうで背中には冷や汗をかいている。 思い当たる節があるからだ 「自覚はあるのね。関係はあるけど、その事じゃない」 と特に感情的でもなく落ち着いた口調で言い 「今回の任務で、あなた達二人でチームを組んで欲しいの」 すると詩姫が何かを察したように 「私はお目付け役って事ですね」 「そうなるわね。」 アリシアは今回の任務に、真姫の力が要ると考えていたものの、彼女には問題があった 真姫は両性愛者で、女だろうが男だろうが、恋愛対象になる。しかも恋愛を優先するため 任務を放り出すことも多く、加えて彼女は見境が無く二股は、三股は、いつもの事で、 そして待っているのは修羅場。おかげでGの内外問わず迷惑をかけている。その度に 真姫がもっとも恐れる人物による指導が行われるが、懲りない。 彼女が部屋に入った時、他のエージェント達が厄介者を見るかのよう目をしたのは、その所為である。 そんな真姫を押さえることのできる人間は限られている。アリシアもその一人であるが 詩姫も、そうなのだ。 この任務に詩姫が参加する事を知ったアリシアは、彼女に真姫のお目付け役を頼む事にしたのだった。 「でもその為だけにあなたは呼ばれたわけじゃないから」 もっとも、詩姫は、あくまで任務地に住んでいて、手が空いていたエージェントと言う理由で任務に参加するのであって 真姫を押さえる為だけに呼ばれたわけではない。 そもそも、彼女を呼んだのは日本支部であり、アリシアも日本に来るまで知らなかった だからアリシアは日本に来るまでは真姫の事は自分一人で何とかしようと思っていたのだった 「良いですけど、でも私よりも・・・・・・・・」 とどこか意地悪そうに言いかけたとき、真姫が手で詩姫の口を塞ぎながら 「当麻先輩~~~~~余計な事いわないでくださいよ~~~~~~~~」 と半泣きで、どこか情けない声を出す。 するとアリシアが 「大丈夫よ、彼女は今、急な任務でこっちには来れないわ」 と言った途端、真姫は安心したように 「そう・・・・・・・なんだ・・・・・・・・」 そのまま床にへたりこもうとしたので 「ちょっと真姫」 詩姫はその体を支える。 その時、突然、 「すいません、遅れました」 と言って入ってくる人物が 「サーチャー・・・・・・・」 そうやってきたのは、サーチャーこと凛堂暦 「もう、ミーティングは終わったんでしょうか?」 とサーチャーが言うとアリシアが 「ええ、内容はこれに記録しているから」 と一枚のディスクを取り出しながら言った。 「すいません・・・・・・」 「いいのよ、それより体の方は?」 「もう大丈夫です」 ここで真姫が 「どうしてここに?」 と言うとサーチャーが 「私、Gの『協力者』なんです。今回はアリシアさんの頼みでお手伝いを・・・・・」 と答えた。 「サーチャーって『協力者』だったんだ」 と意外だったと言う感じで真姫が言うと詩姫が 「知らないの?けっこう有名なんだけど・・・・・」 Gにおいて『協力者』とは、Gに協力してくれる外部の人々の総称で 多くは、エージェントの血縁者や、現役を退いた元エージェントたちである また『協力者』の中には、正規のエージェントになる者もいる。 「サーチャーは元エージェントなのよ」 と詩姫が言うと 「知らなかった・・・・・」 と真姫が言い 「昔のことですよ。昔の・・・・・」 とサーチャーが言った。顔は笑っていたが、目はどこか悲しそうだった。 そして、サーチャーを追うようにもう一人 「すいません・・・・・・・・遅れました・・・・・・・・・」 と言いながら、ミーティングルームに入ってくる人物がいた 「「えっ!」」 真姫と詩姫の二人は、入ってきたその人物を見て驚き、同時に声を上げた。 入ってきたのは長髪でストレートの髪形をした少女だった アリシアは 「まだ寝てなきゃだめよ」 と言い、サーチャーも 「そうですよ、無理しちゃいけません」 その少女は 「大丈夫・・・・・・・です・・・・・・・・」 と答える。そして詩姫は驚きを隠せない様子で言った 「どうして、あなたが」 10:05 ??? 社長室のような場所に、仮面の女性と赤みがかった色の髪の女性がいる。 二人は机の上に備え付けられているパソコンのモニターを見ている。 「どう思う、ローレライ?」 と仮面の女性が尋ね 赤みがかった色の髪の女性、ローレライが答える。 「今年も、そこそこいますね」 二人が見ているのは、何かリストである。よく見ると人の名前、何かの数字 加えて「高等部○年○組」という様に学年とクラスが書かれている そしてリストの中には、風瀬華枝、志熊京、八代みつる、蒼崎志保、護矢晃輝、 一之瀬裕輔、白鷺緋色の名前があり、このリストがボード学園の生徒の関するものであることがわかる。 「まったく、この中で、何人が仮面ライダーなのか・・・・・」 と仮面の女性は、どこか腹立たしげだ 「それにしても・・・・・・・・」 「どうしました?」 とローレライが聞くと、画面を指差しながら 「この蒼崎志保って子、気になるわね」 と仮面の女性が言い、ローレライは、何かに思い当たったように 「蒼崎って、まさか・・・・・・・・」 そこに通信が入る。なお通信機から聞こえてくるのは女性の声 その口調にはどこか堅苦しさを感じる 「こちらフロスト、特に異常はありません」 「そう」 「神羅月菜は先ほどまで壁を相手に暴れていましたが、今は寝ています」 これは、神羅月菜を監視している者、フロストからの定時連絡 「首領」 「何?」 と仮面の女性は答える 「コイツをこのままにしておくのは、もったいない気がします」 とフロストと言う。 すると仮面の女性は 「それもそうね」 「特にアイデアがあるわけではないのですが」 少しの沈黙の後 「その事については、こっちで考えておく、あなたは引き続き監視をお願い。」 「わかりました」 「以上よ」 するとフロストが 「全ては我らラビリンスの利益の為に・・・・・・・・・」 と言って通信が切れる。 「だから、毎回言わなくても良いんだけど・・・・・」 そう、ここはラビリンスの本拠地、彼女たちはそのメンバーであり ローレライはその最高幹部、そして仮面の女性は、ラビリンスの首領だった。 10:10、市内の公園 エージェント達が支部を出た後、アリシアも常駐の職員に留守を任せ、彼女も出かけ、 そして街中の公園にやってきた。そこに到着すると、時計を確認し 「五分前か」 と呟いた 10:15、市内の公園 ここに、“暗殺者”ことミシェル・フェオニールが来たのは偶然だった。 彼女は“槍使い”と別れた後、しばらく情報収集を行いつつも、街を歩いていた。その途中 この公園へとやってきたのだった。 そして 「“暗殺者”」 と声をかけられ、思わず足が止まる。 (まさか) 彼女は、その声に聞き覚えがあった。そして声のほうを向くと、思ったとおりの人物がいた。 「アリシア・ステイト・・・・・・・・・」 そこにいたのはアリシアだった。 “暗殺者”とアリシアは、ちょっとした知り合いである。 “暗殺者”が所属する騎士団と、アリシアが所属する守護神機関(G)はお互いに領域を定め 干渉しないことにしている。 例を出すなら、Gはタンタロスには係わらないし、騎士団もGの殲滅対象に対しては係わらない。 と言ってもこれはあくまで、こちら側からであって、向こうが攻撃してきた場合は別である。 何故こうなっているかと言うと、二つの組織は、その方針上、対立してしまう部分がある。 しかしその為にお互いに足を引っ張り合うのは得策ではないと言う事で、そういう風になっているのである。 また、両組織が、同じ場所で其々の任務を行うとなると、情報を交換し、お互いの領域を確認する 場合によっては、その際に、ある程度の話し合いがもたれるのだが、 その時Gの代表とアリシアがしてやって来る場合がある。 いつも彼女がやってくるわけではないが“暗殺者”が関わっている時に限ってやってくる場合が多い。 そういうわけで、“暗殺者”とアリシアは知り合いとなった。 「あなたが来たと言う事は、Gがこの地で活動を始めたと言う事ね」 「そう、情報は送っておいたけど、私たちが追っているのは、組織の残党が一人でラビリンスの妨害付き」 「こっちはタンタロスと、その他ってとこね。後で情報は送っておく。でも」 「何?」 「まだ、あなたが出てくるには早いと思うけどね」 話し合いが行われるのは大概、情報交換の後、その内容に意見したい事がある時に行われる。 「私は、任務の事であなたに会いに来た訳じゃない」 「じゃあ、何のよう?」 「挨拶かな」 「挨拶?」 “暗殺者”は表には出さないが少し拍子抜けしていた アリシアはどこか気さくな感じで 「今度の任務は、長期化する可能性がある。あなた達とも長い付き合いになるかもしれない。 だから一言挨拶をしておこうと思ってね」 「今後とも、よろしくってわけか」 この時“暗殺者”は内心うれしかった。 “暗殺者”は過去にアリシアと話している最中ふと思った悪戯心を見破られた事がある。 そんな事があって以来、彼女に対して、どんな悪戯をすれば、引っかかるかと言うことを考えるようになっていた。 しかし、話し合いの場で、悪戯を仕掛ける余裕は無く 唯一あったのが見破られた時である。 しかし、今回は任務とは関係なく、アリシアは個人的に来ている なので余裕はありそうに思えた (さて、どうしようかしらね・・・・・) と“暗殺者”はアリシアに対する悪戯心を抱きながらも表向きは穏やかな笑みを浮かべる。 この後、二人の間に幾つかの会話が交わされた。 13:00、ボード学園図書室 その日、図書室の前には、二つの張り紙が張られていた 一つは「本日臨時閉館、なお貸出本の返却は受け付けています。(19時まで)」 もう一つは「臨時のアルバイト募集」 と書かれていて、それを見た私は 「なにこれ」 と思わず言ってしまった その日、私は学食で昼食を済ませた後、夏休み前に借りた本を返す為、図書室に向かった。 で、図書室の扉には、二つの貼り紙、そして図書室の中はというと床に、大量の本が積まれていて、 足の踏み場が無いような状態。そんな中で、図書室の職員が、パソコンを使っていたり 本を運んでいたりと、作業をしているようだった。 「何かあったんですか?」 本を返却する際に、顔なじみの司書に聞いた。 「実はね、学校に本の寄贈あったのよ」 話によると、この学校と縁のある、とある資産家が亡くなり その遺言状の中で自分の持っている本をすべてボード学園に寄贈して欲しいという事が 書かれていた。 ボード学園の図書室は、図書館と言ってもいいほどの規模で、蔵書も豊富。 だから寄贈は受け付けていないのだけど、事が事だけに受け入れる事にしたらしい そしてやってきたのは、大量の本 実は、その資産家は、本のコレクターだったのだ その為、図書室の職員は大量の本の受入作業を行う事なった。その為、今日、図書室は 閉館、ただ夏休み明けで、本の返却に来る生徒が多いので、本の返却だけは受け付ける事にしているとのこと。 「私たちじゃ、手が足りなくて、バイトを募集しているんだけど、だれも来ないし」 アルバイト募集の張り紙は、本の受入作業を手伝い要員を求める物だった 「こんな時に限って、暦さんは休みだし」 「えっ、サーチャー今日休みなんですか?」 これに、私は驚いた。サーチャーは、司書の仕事が全てと言ったところがある。 だから、仕事を休む事はほとんど無い。私が知る限り彼女が休んだのは 風邪を押して、学校に行く途中に倒れて、病院に運ばれた時と 同じく風邪を押して、学校に来たものの、図書室で倒れ病院送りとこれくらいと思う。 「珍しいですね。」 「そうね。でもこっちは大変よ。あの人が入ればどうにかなるのに」 私は、図書室の様子を見ると、職員の人たちは、大量の本の受入作業が大変そうな様子で、 その姿を見て、私は、いてもたってもいられないような気持ちがわいてきた。 私にできる事は無いだろうか、そんな気持ちが湧き上がってくる。 「あの、バイト募集してるって言ってましたよね」 私は、受入作業の手伝いことにした。私に与えられた作業は、本の基本情報をパソコンに入力する事と 図書カードを入れるブックポケットの貼り付けや、その図書カードの作成、本の所定の場所への捺印などで 分類番号の振り付けなどは司書の人が行っていた。作業自体は、単純だが、量が量だけに大変だった。 13:25、ボード学園図書室 作業が始まって、余り、経っていないころ、 「すいません、アルバイト募集って書いていたんですが」 と言いながら、黒招さんが入ってきた。彼女も、作業に参加するようだった 彼女は私の事に気づくと 「蒼崎さんも、ですか。奇遇ですね」 (偶然だよね) また私はそう思ってしまった。 ちなみに彼女も作業を始めたが、随分と手馴れている様子だった 彼女は控えめであるがどこか自慢げに 「私、前の学校で図書委員をやっていたんですよ」 「そうなんだ」 13:38、ボード学園付近 オブディアとデルティーとの戦いが始まった直後、その様子を遠くから見ている者がいた その者は、両者の戦いを見ながら通信機のような物でどこかに連絡を取っている 「こちら、A・N、MR確認、一体はデルティー、もう一体は未知のタイプです オブディアと名乗っていました」 その者は現場から離れた距離にいるが、会話の内容は聞こえているようだ 「監視を続けます」 同時刻、路地裏付近 路地裏に走っていく護矢晃輝を見ている者がいる。その者も通信機のような物で どこかに連絡を取っている 「こちらウィザソーダー、MRD護矢晃輝を確認、これより追跡を・・・・・」 と言いかけた瞬間、その者は異変に気づく その者は、気配で相手を追跡する能力を持っている。追跡の為、晃輝の気配を覚え、それを頼りに 彼を追跡しようとしていた。だが、突如気配が揺らぎ、微弱な物になってしまったのだ。 何が起きたのか判らず、その者は路地裏へ向かう。 だが晃輝の姿は無い。気配が微弱になってしまったため追跡は不可能 「何があったの」 と通信機から声がする。その者は答える 「対象をロストしました・・・・・・・・・・・・・」 16:10、ボード学園付近 帰宅途中の華枝と命季の二人と、それを追う神藤和子を見ている者がいた。 その者もまた通信機でどこかに連絡を取っている。 「こちらデスサイズ・・・・・・・・MRD風瀬華枝、護矢命季、神藤和子を確認・・・・・・」 と淡々とした口調で言う。そこに感情を読み取る事はできない やがてその者は華枝と命季を見ている5つの影に気づく だが、その者は、そのことに対し何をする事も無く、ただ通信機で、その事を 伝えただけで、ただひたすら彼女たちを監視していた。 同時刻 「はぁはぁ・・・・・・・ここまで来れば」 怪物から逃げ延びた列と神歌 「大丈夫かな、あいつ・・・・・・・・」 自分達を助けてくれた白鷺緋色のことを思う。 「大丈夫だと思いますよ」 と列に声をかける神歌、そこに 「風瀬くん?」 「「!」」 突然、声をかけられたので驚く二人 「どうしたの、随分と慌てていたみたいだけど・・・・・・・」 「峠君・・・・・・・」 二人に声をかけたのは、峠総一郎だった。手には、スーパーの袋が握られていて どうやら買い物帰りのようである 「あなたは?」 神歌は尋ね、総一郎は笑顔で答える 「初めまして、僕は峠総一郎、風瀬くんと同じクラスだよ」 「そうなんですか、列さん」 「ああ・・・・・・・・」 列は気まずそうな様子で答える。この時、列は、今日まで彼を忘れていた事を思い出し 気まずさを感じていた。 「そう言えば風瀬君は新聞部だよね」 「そうだけど」 「確か学園新聞のコラムは君が書いてるんだよね?毎回楽しみしてるんだ」 「ありがとう」 「特に5月のはよかったよ」 と言って5月のコラムについて、内容に触れつつ感想を述べる 話を聞くうち、列は気まずさが残っていたが少しそれが和らいだような気がした。 16:30、ボード学園図書室 作業を開始して、しばらくたったけど、本の返却に来る生徒はいたが、手伝いに来る生徒はいなくて、 結局、私たち二人だけ、したがって焼け石に水の状態で、今日中に終わりそうな気配は無かった。 そして、私たちは職員の人の薦めもあって、作業を一時中断し、ひと休みしていた 「誰も来ませんね」 と黒招さんが言う 私には、思い当たる節があった 「みんな、早く帰りたいんだと思う。最近、失踪事件が多いから」 「事件?」 「黒招さんは、転校してきたばかりだから知らないと思うけど、最近多いのよ。 不可解な失踪事件が、加えてそれが得体の知れない怪物の仕業だって噂もあってね」 「そうなんですか、怖いですね・・・・・・・」 「あくまで、噂だからね。実際はどうかわからないけど・・・・・・・・」 その時だった。 「!」 「蒼崎さん・・・・どうしたんですか?」 「今、外で物音がしたような・・・・・・・」 「私は、何も聞こえませんでしたけど」 「気のせいかな・・・・・」 「もう、脅かさないでください~」 黒招さんは、半泣きになってしまった 「ごめんなさい」 別に脅かすつもりは無かったけど、私はその姿に罪悪感を感じた そして、黒招さんが、恐怖を振り払うように、 「暗くなる前に、早く終わらせましょう」 「そうね」 私たちは作業を再開した。 同時刻、蒼崎家 その時間、幹也は家で夕飯の支度をしていた。なお今日の夕飯はカレー 彼は、鼻歌交じりに料理を作っている。ちなみに彼が歌っている歌は歌詞にカレーのスパイスの名前が入っている。 「楽しそうね、幹也」 「!」 唐突に、声をかけられ驚く幹也 「佐由理さん・・・・・・・」 そこには髪型は長髪でストレート、整った顔の作りの持ち主がいた。 彼女は志保達の叔母にあたる人物、蒼崎佐由理である。 「いたんですか」 「いたわよ。それより幹也」 彼女は、ニヤニヤ笑いながら 「なんですか」 「カレーの妖精みたいだったよ」 「ほっといてください」 と幹也は顔を真赤にしながら言った。 「意外と、幹也もかわいい所あるんだ」 「もう、何もいわないでください・・・・・・・・・・」 幹也は恥ずかしさのあまり、しばらく顔の火照りが収まらなかった。 そんな幹也を気遣ってか、佐由理は話題を変える。 「そういえば志保ちゃんは」 「姉さんはまだ帰ってきていませんよ。なんでも図書室で手伝いがあるから遅くなるって」 「そう・・・・・・・・・」 そう言うと、彼女は居間に座って、テレビをつけてくつろぎ始める。 すると幹也はふと思い立って 「そう言えばシンは?」 と聞いた。そう佐由理が来るとシンも一緒に来るからだ 「シン、まだ帰ってきてないのよ」 18:50、ボード学園部室棟 部室棟の一室、すなわち何かのクラブの部室で、シンは一人寝ていた。 部屋の中には本棚があり、ファイルに閉じた資料やマンガ本、ビデオ、 おもちゃが置かれている すべて、特撮番組の『仮面ライダー』に関するものばかり 更に中央には 机があり、そこにはLANケーブルにつながれたノートパソコンが一台置かれていが ほとんど使ってないのかほこりを被っている。 部屋の奥には、アンティークなソファーが置かれていて、シンはそこに横になっている。 シンは、学校には来るが、教室にはほとんどいない。彼は大体、屋上か、この部室かの どちらかにいる。ただこの部室にいる事を知っている人間は少ない。 そして、シンは目を覚まし、時計をみる 「もう、こんな時間か」 そう言うと彼は起き上がり、そして部屋を出ると、鍵を掛け、立ち去る。 なお部室の扉には「仮面ライダー研究会」と書かれたプレートが張られていた 18:55、蒼崎家 「いくらなんでも遅すぎる」 時計見た幹也は、心配そうに右往左往している。 「大丈夫よ、志保ちゃんなら」 と佐由理が夕飯のカレーを食べながら、余裕な表情だ。 「でも、最近、物騒だし・・・・・・・・」 と幹也が心配そうにしていると、佐由理がどこか自慢げに 「大丈夫、志保ちゃんには秘密兵器を渡しているから」 「秘密兵器?」 19:00、ボード学園 本の受入作業はまだ半分以上残っているが、今日は、遅いのでここまでと言うことになった ちなみに、バイト料は、そこそこ貰った。 図書室を出ると、校舎は静まり返っていた 「なんか、気味が悪いですね」 黒招さんの言うとおり気味が悪かったが、特になにも無く私たちは昇降口まで、やってきた。 そして、外に出ると時間が時間だけに、真っ暗だった。校舎の中は静かだったが、 明かりが付いているだけましだったけど、そこに暗闇が加わって 更に恐怖をあおる 「・・・・・・・・・・・・・・」 黒招さんは、黙ったまま震えてるみたいだった。 「一緒に、帰ろうか?」 と聞くと 「お願いします」 と言った。 この時、私はある事を思い出し、それを取り出した。 「懐中電灯?」 「これがあれば、少しはましでしょう」 「準備いいですね」 「いや、無理やり持たされたんだけどね」 この懐中電灯は、佐由理さんに渡された物だった。佐由理さんは機械オタクで変な物をつくる。 この、懐中電灯も見た目こそ、普通だけど実はとんでもない代物、 普通に使っている分には問題は無いんだけど 私は、懐中電灯を点けて、外に出る。 「何よ、これ・・・・・・・・・」 校庭が荒らされていた 「何かあったんでしょうか」 「わからない、とりあえず、早く帰ろう」 嫌な予感がしたので、私たちは急いで、学校から出た。学校の外も人気が無く不気味だった そして、しばらく歩くと十字路に差し掛かり、そして、そこを通り過ぎた時 すると彼女は突然、足を止める 「どうしたの」 と聞くと、彼女は恥ずかしそうに 「私の家、こっちじゃありませんでした」 そして足早に十字路に戻っていき、 「私の家、こっちの方なんです。」 私の家のほうとは別の方角を指した 「それじゃ、また明日学校で」 そのまま、彼女は行ってしまった。 どうも、彼女は道を間違えていたのが恥ずかしかったようだった。 一瞬、呆気に取られたが直ぐに、自分の家のほうに向かって歩き出すはずだった。 19:05 蒼崎家 志保の帰りを待っていた幹也は、あまりに遅いので居ても立ってもいられなくなり 「やっぱり、心配だ。ちょっと見てきます。留守番お願いしますね」 と佐由理に留守を任せ、家を出た。 「相変わらずね」 と出て行く幹也を見ながら佐由理は言った。 同時刻、十字路付近 黒招さんと別れた私は、そのまま自家のほうに向かおうとしていたのだが 「キャーーーーーーーー」 突如、悲鳴が聞こえた。それは黒招さんの声だった。 私は、黒招さんが向かった方へと走る。 そして 「黒招さん!」 「蒼崎さん・・・・・・・・・・」 そこには黒招さんと、そして 「!」 彼女の前に立ちふさがり、襲おうとしている人型の狼の様な怪物を見た。 (このままじゃ、黒招さんが) 迷っている暇はない。私は懐中電灯の先端を外し、怪物へと向かっていき 「蒼崎さん!」 そして懐中電灯の先を怪物の方へ向け、スイッチを入れた。 「!」 次の瞬間、懐中電灯の先から雷のようなものが放たれ、怪物に襲い掛かる そして 「ギャアアアアアアアアアアアアアア!」 怪物は悲鳴を上げる。 この懐中電灯は、実は佐由理さん特製のスタンガンだ。佐由理さん曰く 針とワイヤーを使用せずに間合いを取ってつかえる物で、 しかも通常のスタンガンの何倍もの威力があるらしい。 その所為か、怪物は怯んでいた 「早く逃げて!」 「蒼崎さんは」 「私はコイツを抑えるから」 「でも・・・・・・・・・」 次の瞬間 「グッ・・・・・・・・・・」 私は怪物に首をつかまれていた 「蒼崎さん!」 抵抗しようとしたけど、首をつかまれた際にスタンガンを地面に落としてしまった。 怪物は低くの地の底から轟くような声で 「やってくれたな・・・・・・・・・・てめぇから殺してやる」 (殺される・・・・・・・・・・・) そして、私は黒招さんがまだ逃げずにいることに気づく (私だけじゃない、このままじゃ黒招さんも・・・・・・・・・・私は・・・・・私は・・・・・・・) 次の瞬間、私の中で何かがはじけた。 その時、黒招霧恵は目の前で何が起こっているのかわからなかった。 自分を助けに来た蒼崎志保が、自分の前で殺されようとしていて、霧恵は逃げる事も 助ける事も出来ず、ただその様子を見ている事しかできなかった。 だが、突如異変が起きた。 「ウッ!」 その怪物、即ち改造兵士実験体13号が、突如、志保を手放す 「何なんだテメェ・・・・・・・・・」 13号の手に突如、電流のような物が走ったからだ。そして13号の手から開放された 志保は地面に倒れるも、ゆっくりと起き上がる 「グッ・・・・・・・・グアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 志保は咆哮のような声を上げたと思うと、電撃のような物が志保の体を駆け巡る。 そして手、足、胴体と、その体が変化していく、体は、黒いライダースーツの上に 黒い異形な鎧を身につけた姿、頭部はバッタを思わせる黒いフルフェイスのヘルメットのような物に変わる 「テメェは一体」 そして霧恵は 「仮面・・・・・・・ライダー・・・・・・・・」 と呟く そして、この様子を見ている者がいたその者は、黒髪でショートカットの髪型に、 色白の肌、服装はミリタリー風のジャケットに、ズボンと言った格好をした女性だった。 彼女は通信機で、連絡を取っている 「こちら、フロスト、映像を送ります」 同時刻、ラビリンス本部 フロストから送られてきた映像を見た首領は 「これは、フェイト・・・・・・・・」 どこか興奮した様子で言った。仮面をがぶっているいるから分からないが 笑っているように思える なお映像は志保が変身した部分も映っていた。 「しかも、蒼崎志保か・・・・・・・・やっぱり彼女は・・・・・・・・・」 側にはローレライがいたが、首領の姿を見て (こんな彼女を見たのは久し振りね) と思っていた 「楽しみが増えたわ。また戦えるといいわね。仮面ライダーフェイト・・・・・」 ←[[第1章第12話「異能強襲」]]  [[第1章第14話「正義のヒロイン」]]→

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