第1章第11話「闇の戦士、駆ける/光の巫女はいまだ目覚めず」

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PM13:38 街路地裏 彼は走っていた、罪なき命が消えることを阻止するために。 ソレに故にその姿を変えなければいけない、だから彼は路地裏に隠れカードを取り出す。 もうこれも今日で数回以上、だが長時間変身を続けるのは予測外の敵を招くことになる、故に彼は一度一度変身を解いていくのだ。 『反応がまた現れた。今度は……ふむ、ギルティバッシャーで行けば間に合う距離だな』 ポソリっと自分の傍にいる闇を司る精霊。ギルファリアスが呟いた。 思わずッチと舌打ちをしてしまう、さすがに多すぎるのだ。 「相変わらず便利だなお前のネームレスレーダーは……にしてもなんだ今日の大量出現は……これで3体目くらいだぞ?」 溜息を吐いて再びバックルを召喚、カードをゆっくりとバックルへ差し込む。 『……劇場が開いたのだろうな。役者も観客も監督も劇場の責任者も全てが混ざりきって演じる劇場がな』 「……意味が分からん……とにかく四体目! これで最後にしたいな……。変身っ!」 カシャンっとバックルへカードが差し込まれたと同時にバックルの何も描かれていなかった部分に『闇・闘』と浮かびあがりそこへ宝玉がはめ込まれる。 その部分から黒い光があふれ出て晃輝を包み込む。 ゆっくりと光が消えていくとその姿は黒騎士へと変貌していた。 漆黒のバイザーが輝く、拳闘士の黒騎士へと……闇のライダー。仮面ライダーギルティへとその姿を変えていた。 「よし、行くぞ」 再びカードをバックルから外し魔人が描かれている部分を手で押さえ力を込める。 するとカードの色もそして描かれている絵も変わってゆく。 わずか数秒後には黒かったカードは銀色へ変わり絵には剣のような物が描かれていた。 「来い相棒」 そしてそのカードを放り投げ左腕のスリット部分へ差し込む、するとどこからか声が聞こえてくる。 『コール、ギルティバッシャー……マテリアライズ(具現化)』 空間が世界が避けそこから銀色の巨大な剣のようなバイクが現れる。 ソレはゆっくりと降りてきて彼の目の前にあったビルの屋上へ降り立った、それを確認したギルティは壁を蹴りながら登る。 そして屋上で今か今かと待ち構えている相棒へ乗り込んだ。 「場所は……ここだな?」 『あぁ、コレならば3分もかからん。急げ、手遅れにならん内にな』 クッとギルファリアスが嗤う、その顔を見てギルティはジト目でギルファリアスを睨んだ。 基本的に『まぁ、急がぬと死ぬな』などですます彼が今回はやけに積極的に助けにいかせようとする事に疑問を抱いているのだ。 「……なんか今回は積極的だな。まぁ、いい。行くぞ!」 だが、ソレを言い合うほどの余裕が無いのは事実だった、ギルティはバイクのスロット最大にし己のバイクを走らせる。 最も……そのでかさはどう見ても車だ。そんなのが空から落ちてきたので誰もが驚く、 だが誰かが悲鳴を上げるよりも早くそのバイクは銀色の閃光になりその場を後にした。 『……ん? ……となるとそろそろネクシアスにも……いや、私が介入するよりも彼女の手で解決した方が完全復活の第一歩となるか……』 ギルティについて行こうとするギルファリアスは一度動きを止めた、だが決断したように肯き再びギルティを追う。 「なんか言ったか!?」 『……いや、なんでもない……なんでもな』 その時、もしもギルティが後ろを見れば『決意を秘めた』表情をしているギルファリアスを見ていただろう。 だがギルティはそれに気づかずに反応があった場所へとバイクを進ませていた。 PM13:43 ボード学園付近 今そこでは激闘が行われていた、いや全く無意味に近いというかストーカVSストーカーという嬉しくない激闘が。 だがその理由をさて置いて戦闘は凄まじいものだった、近寄れば一撃で終わる。それを物語っている戦いだった……理由はしょうもないわけだが。 「……京。今の内に逃げるぞ。あんな奴等につきあう理由なんてどこにもないからな」 はぁ、とため息を吐いてカシスは京の腕を掴み引っ張る。だが彼女はそれに気づかないでどこかを見つめていた。 「京?」 「来る……」 なにが? という前に茂みから何かが飛び出て来た、それは少なくとも人では無い。 どちらかというと虎のような生き物だったが…… 「なんだ、こいつら……」 ただ彼は驚きそれを見ているだけだった。 当然だ虎や豹のような姿をした生き物をどう見てもソレは普通ではなく鋭利な爪やその牙が禍々しく輝いていた。 そしてそれに送れるように三つの影がその地に立った。 『……ッチ、ネクシアスとソノ契約者でハ無カッタか……』 舌打ちをし一つの化け物が京達を睨む。 その姿はどう見ても人間ではなく腕が翼のようになっていて燕が人間のように変貌したようにも思えた。 『タベル ドレ?』 『………アレ オレガタベル』 もう二つは虎の様な化け物を人間に無理やり近づけたような也をしておりカタコトでしゃべり…… ほぼ同時に……一つはデルティーへと牙をむけ、一つは京達へと襲いかかった。 『ナッ……マァいい……ソレで殺さレテも俺にハ関係は無イからナ』 退屈そうに燕のような化け物は呟きオプディアを見る。 その顔は少し恐怖感を感じさせる顔で警戒しているようにも思えた。 だがそんな事を気にできるほどカシスには余裕がなかった。 突如と現れた化け物が真っ先に京へと襲いかかろうとしているのだ……当然だろう。 「ちょ……乙女の軟肌に傷を……ってきゃっ!?」 『オレ オマエ マルカジリ!!』 デルティーも化け物の目的を理解し止めようと動くがそれよりも早くデルティーへ狙いを定めていた化け物が彼女に襲いかかる。 無論この程度の相手に負ける彼女ではないが……今から彼女の力をフルに使っても間に合わないのは目に見えていた。 「京っ! ……糞がっ!」 デルティーが間に合わないと判断しカシスはその姿を異形の姿『オルフェノク』へと変えようとしたところで……何かが高速でこちらへ向かってくる事に気づいた。 それは……茂みを砕いて現れた。 銀色のバイク、最初彼とデルティーはジェットスライガーだと思ったがそれに比べては流線的なデザイン……いや剣の様な外見だった。 だが驚いたのはそのバイクがまるでなかったように消え黒い影らしき物がさらに早くなり…… 「………ぉぉぉぉらぁぁぁあっ!」 京へ襲いかかろうとしていた化け物をフルスイングした拳で地面に叩きつけさらに回し蹴りで吹き飛ばした事だろう。 「……ふぅ……大丈夫か志熊?」 コキコキとその肩を鳴らしその黒い影……いや黒い軽鎧を身にまとった青年らしき人物は後ろで唖然としていた少女を見てそのバイザーの奥に隠された顔でほほ笑む。 「あ……はい」 「よし、無事だな……。さて、ネームレス共……どうやらテメェ等はしちゃいけない事をしたな?」 京の無事を確認し安堵のため息を吐いた後ゆっくりと立ち上がる青年。 その体から放たれる殺意は本物以外の何物でもなかった。 『グ……キ、貴様はっ!』 「へぇ、中位になりかけてた奴がいたのか……どうやらテメェが先導して大量のネームレスを動かしてたってところか? お陰で何回も変身する羽目になって疲れぞ?」 ユックリと翼の姿をした化け物……ネームレス・スワローへ近寄る青年。 そのゆったりとした動きとは裏腹に隙などどこにもなく感じるような動きで確実にネームレス・スワローを追い詰めていく。 『闇の精霊と契約した者……仮面ライダーギルティかっ!?』 「ご名答だネームレス。そしてテメェ等から護るべき者を護る為にいる守護者だっ!」 『……ック! い、いつまで寝てイるタイガー・アナザーっ!』 震えているネームレス・スワローの声と共にギルティとネームレス・スワローの間に先ほど吹き飛ばされた虎の化け物…… ネームレス・タイガー・アナザーがその牙と爪をギルティへと向ける。 だがギルティはそれよりも早く左手でバックルからカードを取り出しそれを右手のガントレットに射し込んでいた。 その時のカードの絵は……魔人ともバイクともにつかない……杭打ち機のような絵だったのだが……確認する事も無くギルティはソレをさらに深く差し込む。 「……さて、お別れだ」 そしてタイガーAが爪を振る前に懐に差し込み右手のガントレットを複雑に変形させ杭打ち機のような外見にし……タイガーAへと突き刺した。 突き刺したのを確認しさらに深く差し……杭の全てがタイガーAに入ったことを確認し…… 「ぶち抜かれろっ!」 躊躇いも無く杭打ち機のトリガーを引きタイガーAの胸……いや両手足と頭を除いてすべてを打ち抜いた。 いや頭は落ちる最中に衝撃の余波に巻き込まれ肉片へと化していた。 ギルティはソレを見ず右手の杭打ち機からカードを取り出しバックルへ差し込む。それと同時に杭打ち機の姿はガントレットへと姿を戻していた。 「マジかよ……」 驚愕に震えるカシス、それほどにまるで異世界の住人だと感じたのだ。 そして彼の視線を気にすることなくギルティはその拳をネームレス・スワローへと向ける。 「さて、次はテメェだぞ?」 バイザーで見えないその顔は笑っている気がした。 『……っま、マダだっ! コッチにハまだ手駒が……「てりゃぁぁぁぁっ!」 ナ、何ィっ!?』 震えながらもまだ仲間がいる事を思い出すネームレス・スワローだったが……。 いつの間にか全てデルティーによって倒されていた、あるいは逃げていなかった。 「コレでラストよっ!」 さらにそのまま必殺技を使われることも無くもう一体のタイガーAも粉砕される……なんとも哀れな奴である。 だが、ネームレス・スワローはそれどころでは無かった。 なぜならば頼みの綱ともいえる手駒が全て逃げたあるいは倒されたのだ言いかえれば……。 「さて、コレで……積みだな」 「よくも京ちゃんの軟肌を傷つけようとしたわね……覚悟しなさい」 笑顔のデルティーがギルティの横に立つ。 たがその笑顔はどう見ても殺す事を宣言するに匹敵する笑顔でしかなかった。 『ク……オイ! ソコのライダー! 貴様はコの銀色ノライダーと戦ってイタのだろう!? ならば俺と共闘しロっ!』 ネームレス・スワローは苦渋の顔と共に後ろへ飛びあがり答えてもいないオプディアの横に立つ。 そして馴れ馴れしく翼を広げ再びデルティーとギルティへと顔を向ける。 『は……ハハハハッ! コ、コレで二対二だッ! イヤ……今の貴様を考えれば二対一も同然だっ!』 「……お前自分で悲しくならないのか? ソレ」 「すっごい小悪党面を出してるわねコイツ」 思わず呆れる二人、だが戦いは戦いなので二人は構える。 その中……ギルティ……晃輝は己の体の限界をどう誤魔化そうか考えていた。 「(思ったよりも消費が激しい……まぁ、引けないんだ速攻で片付けるだけだな…っ!)」 『……ッチ、この友達馬鹿が』 己の相棒のギルファリアスの声を聞かないようにしギルティはオプディアとネームレス・スワローを相手に拳を構えた……。 PM16:10 トボトボと帰宅していく華枝。 太陽は昇っているもののその日はやはり先ほどよりも夜へと近寄っていた。 彼女はナニかから逃げるようにその足を早歩きへ変え家へ帰るために足を進める。 「……こ、怖くない……うん」 自分に言い聞かせていたところで……誰かに肩を叩かれた。 「ひぅっ!?」 「きゃっ!」 思わず目を瞑る彼女だったがどこかで聞き覚えがある声を聞いたので恐る恐る目を開けると……そこには驚いた顔で華枝を見ている命李がいた。 「あ……命李ちゃん」 「華枝ちゃん……もしかして怖がらせた?」 申し訳なさそうにその顔を下げる命李。 ソレを見て華枝は首を横に振り否定する。 「ううん、ちょっと驚いただけだから……」 「あ……驚かせてごめんなさい……一人で帰るのがいやだったから……華枝ちゃんの後姿が見えたから嬉しくてつい……」 命李は不安そうな顔で華枝を見ていた。 ここで自分が一緒に帰る事を断れば彼女は一人で家に帰る事になる。それは自分が夜に出歩くと同じくらいに残酷な行為だろう。 なにより一人よりも二人の方が怖さも和らげる……彼女にとってそれはありがたい申し出だった。 「それじゃ……一緒に帰ろ?」 「あ……うんっ!」 華枝の言葉を聞き先ほどまでの不安を吹き飛ばして命李は頷く。 その顔を見て華枝もまた自分が感じていた不安がどこかへいった気がした。 そして彼女達は仲良く手をつないで帰路へついた……。 『ククく……見つけた……ゾ?』 『クエル! オンナッ!』 『タベル! コドモッ!』 『カミクダケレルっ!』 『カミチギレルッ!』 五つの影がそんな彼女達を見ていたとも知らずに………。 ←[[第1章第10話「Stalk」]][[第1章第12話「異能強襲」]]→

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