第2章第7話「流れ星拾っちゃいました!」


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二日前・18:00  白姫邸・第二ガレージ


「ぐっ・・・・。」

全身を覆う中世の北欧辺りで出てきそうな白銀の鎧を着た緋色はうめき声を上げながら
片膝をついた。

「大丈夫ですか?」

メイド服に片手に木刀を持つフラウディアはいつものように無機質な瞳を緋色に向ける。

「・・・心配ない。・・・もう一度だ。」

緋色は、重そうな両刃の剣を杖にして立ち上がりフラウディアの方を向きながら剣を構える。

「・・・わかりました ・・・・。」

フラウディアはそういうと、木刀を肩に抱えながら距離を詰めるように歩みだす。
その速度は、常人はおろか肉体的に改造されている緋色すら目が追いつかない。

「くっ!?」

衝撃に備え、守りを固めるようにか舞えるが、突如くる自動車が突っ込んでくるような衝撃に手がしびれ持っていた両刃の剣を落とした。

「これまでのようですね。」

フラウディアは、先ほどと同じ位置に戻り、構えていた木刀を下ろした。

「・・・・まだ!」

「・・・・無意味です。 もうあなた自身がわかっているはずです。」

続けようとする緋色をフラウディアは冷静で威圧的な声でさえぎる。

「・・・・そうだな。」

緋色は、首の後ろ辺りにあるエアロックを解除すると、プシュッ!っと
音を立てて兜をはずした。
緋色の顔には普段の彼にはないうっすらと汗を浮かばせていた。

「初めて装着したには、いい動きをしていましたよ?」

フラウディアは、タオルを緋色に差し出す。

「・・・慰めはいらない。」

緋色は渡されたタオルで顔を拭う。

「慰めではなく事実です。
お嬢様でさえ、試作型強化外骨格「白鋼」を纏って数歩しか歩けなかったのですから
それを5分付けられて活動できるのは誇りに思って良いです。」

試作型強化外骨格「白鋼」とは、緋色が纏っている鎧の名称である。
オルフェノク事件やアンデット事件の際に、警視庁の要請でそれらに対抗するために
土方重工が作り上げたパワードスーツである。
しかし、膨大な予算をかけて制作したが規定の性能に達成することができず、
試作品を3体造ったところで計画が打ちきりとなったものを強化外骨格の構造を知るためにサンプルとして久遠が祖父である修斗から譲り受けた物である。

「使い物にならなければ意味がない。
      • 俺のような欠陥品はやすやすと「変身」できないからな。」

緋色は、付けていた装甲を外す。

「戦闘の面では本機を頼っていただいて良いのですよ。」

「・・・・決着は俺一人で付けるなんて青いことは言う気はないが。
それでも、手はいくつもあった方が良い。」

緋色はインナースリーブから更に身体、にピッタリとした上下のスエットのような物を着る。

「土方重工の新型防刃と防弾スーツは?」

「悪くはないが、相手が相手だ。
心許なさは大きいな。」

緋色は、服を眺めながら呟く。

「まあ、その辺は対人を元にしている物なので致し方無いですね。」

「・・・・そうだろうな。
      • 後、例の物はできたか?」

「シルフ壱式、弐式、参式、までは完成しているのですが、零式はまだ調整が必要です。
今、お持ちしましょうか?」

「頼む。」

「かしこまりました。」

フラウディアは、緋色に軽く会釈をするとその場を後にする。



「・・・後どれくらい俺の身体は持つんだ?
      • ん?・・・。」

緋色は傷だらけの自分の腕を長めながら呟き、微かな気配の変化に天井に目を向ける。
すると天井が割れ、眩い光と共に空から何かが降ってきたような轟音が響く。




「ひー君!?」
「緋色!?」
「緋色様。」

無惨に天井が吹っ飛んだ第二ガレージに、心配で目に涙を浮かべる葵、
驚いた様子の久遠、いつもと変わらないがそれでも驚いている様子がうかがえるフラウディアと三者三様の様子で、瓦礫とかした第二ガレージに集まっていた。

「・・・・生きているようだ。」

緋色は、粉塵にむせながら無事を報告する。

「よかった~。お姉ちゃんしんぱいしちゃったよ~。」

葵はへなへなと腰砕けの状態になりながら安堵の笑みを浮かべる。

「隕石がここに降ってきたのもすごいけど、それを直撃してよく生きてたわね。」

久遠は、緋色の強運さに呆れていた。

「ご無事で何よりです・・・・はて?その子は?」

フラウディアは緋色無事を確認すると、緋色に抱きつく形でぎゅっとしがみついて寝ている緋色と同じく赤毛で猫のような耳を生やした少女に気づく。

「・・・・一片に聞かれても対応に困るが、
姉さん、心配をかけてすまない。・・・久遠、それに関しては俺自身もびっくりだ。
フラウ、それに関しては俺も分からないが・・・気づいたらここにいた。」

緋色は、困惑しながらも全ての問いに答える。

「・・・とりあえず、外傷はなくとも精密検査をした方が良いと想います。
      • そのこの子とも気になりますのでその子と共に医務室までお願いします。」

「・・・・分かった。」

緋色はそういうと、自分を離さない少女をそのまま抱きかかえてフラウディアの後に続いた。





二日前 18:00  アトランティカ・執務室 


「それで?俺はなんでこんな所に呼ばれたんだよ?」

紅葉は、だらしなくいかにも高級そうな椅子に腰掛けながら、おいてある机に脚を乗せる。

「あんたの報告書なんかじゃ意味がわかんないからじゃない!!!」

紅葉より一回り以上小さい金髪の少女が叫んだ。

「なんだよ?これでもかっと言うくらいに分かり安く書いたじゃないか。」

紅葉は、悪びれた様子もなくふてくされ気味に答える。

「ガガッとかギギッとか擬音語が多すぎるのよ!!
あれじゃよくわかんないのよ!!」

少女は紅葉の態度に怒っているようだ。

「まあまあ、夜叉も落ち着きなさい。」

葛葉は、夜叉と呼ばれる少女を宥めるように言う。

「こんな奴に私の部下が勝手に使われるんじゃたまったもんじゃないわ!!」

夜叉はそれでも落ち着く様子はなかった。
ちなみにこの少女は、名を「剣巻 夜叉姫」(けんまき やしゃひめ)といい
14~5歳の外見だが歴としたアトランティカの幹部であり、
諜報部の長をやっている。

「あれは、お前の部下が使えないから負けたんじゃね?」

紅葉は興味がなさそうにいう。

「あんたねぇ!!!???」

夜叉姫は、今にも紅葉につかみかかりそうな勢いだった。

「二人ともやめなさい。」

葛葉は二人をたしなめるようにいう。
その雰囲気には周りを威圧する物があった。

「分かったよ」

「分かりました」

その雰囲気に押されたように二人は答える。

「それで紅葉?正直、彼はどうなの?」

玉藻はそのままの雰囲気のまま切り返す。

「どんなときでも冷静な判断力と思い切りの良い所
あと容赦や躊躇いのない所なんかは兵士としてはいい逸材だな。
ただ、ゼストとしては駄目だな。」

「それは変身時間の持久力のなさかしら?」

「それもあるが・・・それよりも変身体で理性をなくすのはマイナスすぎる。
あれじゃあ、あいつの利点を全て殺すぞ。」

「まあ、失敗作だからね。」

「けどそれにしては、人間体の時の身体能力が高すぎると想うんだけど・・。」

夜叉は資料を見ながら言う。

「そりゃあ、鞍馬の二人しかいない弟子の一人だもんな。
鞍馬礼法合戦流の使い手だろ?」

紅葉はぱんと立ち上がりながら腕を突き上げ伸びをする。

「そうね。一師一伝らしいから免許皆伝とは行かないらしいけど・・・
      • まさか!?」

玉藻は、思い当たる節があるようにはっと顔を上げる。

「間違いなく「加護」が憑いているだろうな。
しかも強力な奴が」

紅葉は、薄ら笑いをしながら写真の緋色を見た。

「あのこ・・・たかが人間の子にどれだけ入れ込んでるのよ。」

玉藻も紅葉と同じく緋色の写真を見ながら呟いた。


AM07:00 白姫邸・緋色部屋

最初に言っておこう白鷺緋色という人間は、とてつもなく一般的な常識のない人間である。

「あんたそれで寝れるの?」

用件があり、部屋に入った久遠は、緋色の寝ていると言えばいいのか分からない状況に
驚く以上に呆れていた。
まあ普通、天井の角に張り付いている人間もいないが、その姿勢で練る人間なんてもっといないだろう。
久遠自身も最初は、緋色がどこにいるか分からなかったのだから。

「・・・・熟睡はできないな。」

緋色は何事もなかった用に答える。

「そうでしょうね・・・・って、なんでその子も一緒に寝てるのよ?」

久遠は、今まで気づかなかったが緋色の腹部に抱きつく形で寝ている
赤い髪の猫耳少女に気づく。
無論、二日前に落ちてきた少女である。

「・・・・昨日からだぞ?」

緋色は、そんな少女に気にも止めていない。

「ん~・・・・ぱ~ぱぁ。」

少女は、緋色が壁から下りてくる振動で一瞬目を上げたがそのまままた
緋色に抱きついた。

「・・・パパねぇ。」

久遠はそういうと昨日のことを思い出す。







「彼女は、見た目では分かりませんが・・・
人ではありません。」

フラウディアはメイド服に白衣を纏いながらカルテを見る。

「?それは、フラウディアと同じ様な物ということか?」

緋色も、病人が着るような服に着替えていた。

「・・・まあそうですが、ちょっと違いますね。」

「というと?」

「彼女は、私と違いナノマシンの集合体です。」

「ナノマシン?」

緋色は、眉間にしわを寄せている。

「そうです。自己進化、自己増殖、自己再生機構をもった
現行にあるものとは比べものにならない位の物です。」

「・・・それが何でこんな場所に?」

「それは分かりません。
それに、彼女に対しては分からないことが多すぎます。」

「ちょっと!
そっちはいっちゃ駄目よ!」

外から騒がしい音が聞こえる。


「パパッ!!」

赤い髪をした少女は、緋色にそういうと抱きついた。

「ぱぱ?

緋色は首をかしげながら言う。
赤紙で金と銀のオットアイその姿はどう見ても幼い頃の緋色に
面影がにていた。

「彼女は、隕石と共に落下した際に三体保管してあった白鋼を吸収したようなのですが
その時に緋色様の汗を媒体にこのような容姿をとっているようですね。」

フラウディアは冷静に答える。

「なるほど・・・お前・・名前は?」

緋色は別段驚いた様子はなかった。

「名前?・・・無いよ?」

少女は首をかしげながら上目遣いで緋色を見つめた。

「そうか。・・・なら今日からお前は「シェネス」だ。」












「起きろ。ネス。・・・動きにくい」

緋色は、揺すりながらシェネスを起こす。

「うぅ・・・眠いの。」

シェネスは眠たそうにまぶたを擦ると上目遣いでうるうると目を潤ませて緋色にいう。
まあ、壁に張り付いている男に巻き付く形で寝れば熟睡など無理だろう。

「・・・早くしないと捨てるぞ?」

緋色はめんどくさそうにシェネスを見ながらため息を吐く。

「!?・・・分かったの!
先に、お外でまってるの!」

緋色の呟く声に反応すると、シェネスはぱっと離れ部屋を後にする。

「本当にその子に緋色の言うことに絶対よね。」

緋色とシェネスのやり取りを傍観していた久遠はそう呟く。

「・・・どうやら俺は「パパ」らしいからな」

緋色は、制服に着替えながら答える。

「本当にそれで行くつもり?」

久遠は、やや呆れながら緋色の格好を見る。
防刃用のスリーブに防弾チョッキを羽織り、更に見た目では分からないが、防火、絶縁素材の物に改良した制服を着ている。
しかも制服も上下とも緋色の体型に合わない2サイズ上の物を着ている為にだぼだぼしているのでかなり目立つのだ。

「・・・ああ。手持ちがこれだけなのはちょっと心許ないが。」

制服の左右の袖口にから突起部分の少なくなるように改良された黒光りする自動拳銃を取り出すと弾倉に弾を込めて戻す。
そして、脇からも同じような自動拳銃を持ち出し弾倉に込め、足から巻き付けている
小型の自動拳銃にも装填させた。
さらに、腰には、土方社の新型のチタンカーボン製の肉厚の厚いサバイバルナイフをさす。

「いやいや、待て待てそれは本気か。
さらに、熱くないの?」

久遠は、緋色の戦闘よろしくといいった装備流石につっこみを入れる。
ぱっと身では、銃があるのは分からないが、その分服も厚着になるため
まだ九月の今頃ではかなり目立つ。

「そのためのあれだろ?
更に言えば、暑さなんてとうの昔に感じなくなっている。」

緋色は、ぶっきらぼうに言うとさらにバイオリンのケースにバイオリンではない
何かをしまうと電子ロックを掛ける。

「確かにこれがあれば公的機関から捕まることはないけど・・・
流石に、堂々目立だってとつかえる訳じゃないわよ?」

久遠は、緋色に警察手帳のようなものを渡す。
ちなみに、これは公的に配られた銃刀の使用許可および携帯許可書だ。
本来ならば、このようなものは日本では許されないものだが、
先に渡る「アンデット」や「オルフェノク」の登場により
武力の持たない極々一部の人間により気休め程度に国に働きかけたものだ。
もちろん、アンデットやオルフェノクに銃器などあまり有効手段とも言えた物ではないが、
政府としても気休め程度には配布しているものだ。
無論、一般市民がそんなものを見る機会など一生の内にあるものでもないが・・・・

「・・・わかっている。
じゃあいくぞ?」

緋色はそう答えると支度を終え、部屋を出た。

「本当にわかってるのかな?・・・こいつ」

久遠は、そういいながら緋色の後に続いた。





AM8:50 ボード学園・廊下

「あれの何がいいんだ?」

「さあ?」

TVなどで活躍する今人気絶頂のビジュアル系アイドル、キャナ☆の突然の学業復帰に
ボード学園の大半の生徒が騒ぎ立てる中かなり冷ややかに見ている二人がいた。
無論、「姉さん命のシスコン執事」緋色と「大豪邸のお嬢様」久遠だ。

「しかし、ここまでタイミングをがあいすぎると作為的なものを感じる。」

緋色は、騒がしい人ごみを見ながらつぶやく。

「そうね・・・一連の騒動のさなかのこれは・・・むしろキャナ☆も何かの関係者?」

久遠は顎に手を当て思考するように語る。

「どうだろうな?新浜香奈という人物は昔、
会った時にはそのような感じはしなかったが?」

緋色は、今話題の中心人物たるキャナ☆を見ながらいう。

「ん~・・・以外ね?・・・会ったことあるの?」

久遠は、アイドルなど興味のなさそうな緋色の意外な言葉に反応した。

「前に姉弟子と仕事で・・・ちょっとなSPとしてな。」

緋色は、若干昔を懐かしむような顔をしながらつぶやく。

「・・・・そう。・・・そろそろ授業が始まるから私は戻るから。」

久遠は拉致されたときの話をするのは珍しいと思いつつも、
これ以上突っ込んではいけない雰囲気を感じ為、その場を後にした。

「もう一人の姉さんか・・・・・。
      • 干渉に浸っている場合ではないか・・・。」

緋色は、少し昔に想い耽った表情をするとそのまま授業に戻る気分になれず
バイオリンケースを片手に屋上に向かう階段に向かった。


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