第2章第10話「学校の日々」


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執筆者:岡島

9:15 ボード学園高等部2年A組

只今、授業中である。そんな中、草加雅菜は、ふと視線を、授業を受けているシンに向けた。

(今日は、来てるんだ・・・・・)

シンは、サボりの常習者である。しかし、この三日間は授業に出ている事は多かった。
とは言え、一日中まじめに受けている事はなく。一限目に出たと思うと、
二限目、三限目はいなくて、四限目に授業に出ると言うように、不定期に授業を受けに来ていた。
なお、体育は必ずサボっている。
そんな彼の、授業態度はと言うと、机の上に、教科書を開き、おしゃべりもせず、居眠りもせず
じっと黒板を見つめていて時折、教師の指示に従う形で、教科書に目をやる事にある。
一見、授業態度はまじめそうに見える。だが、ノートは一切取っていない。
そう、彼の机の上には、教科書は置いているが、ノートはおろか筆記用具いたるまで置いていなのだ。
そんな、彼に対し、かつて教師達は、指導したものの効果はなく、教師達は完全にさじを投げた状態。
授業はしょっちゅうサボる。出てきたら出てきたで、まじめに受けているようには思えない。

(まったく・・・・・・・)

他にも色々とあるのだか、兎にも角にも、彼の問題行動に対し、生徒会長として
雅菜は、放っておく事が出来なかったが、有効な手段もなく
言葉による指導、時には鉄拳制裁に至ったこともある。だが言葉は聴かない
鉄拳は、すべて避けられると言うように、結局、すべてが無駄におわり、今に至っている。
そして、この先も、シンに手を焼く事となる。



12:25  ボード学園、高等部2年C組教室

「なんか寂しい」

午前中の授業も終わり、今は昼休み、普段なら、昼食を食べる生徒で賑やかだけど
今日、教室は閑散としていた。
授業が終わると学食に行く生徒は、我先にと教室から出ていく。それは食べたい食事に有りつく為
特に、日替わりのセットメニューや一部の丼物は人気があり、すぐに売り切れ、
加えて不定期に、シンが学食のメニューを食いつくすこともある。
そういう事があるので、学食の利用者は授業が終わると急ぎで学食に行かなきゃいけない。
しかし、今日は出ていく生徒がいつもより多い。おそらく、ほとんどはキャナ☆目当てで、
彼女のいる教室に向かったんだろう。
私と霧恵は、閑散とした教室で一緒(私が彼女の席に椅子を持っていく形で)に昼食を食べつつ、雑談をしていた。
そこに

「志保、霧恵、一緒に、お昼食べよ!」

と聞き覚えのある元気のいい声が聞こえた。声の方を向くと

「真姫・・・・・・・・」

そこにいたのは、蒼月真姫、2年B組の生徒で、私とは初等部からの知り合いだ
彼女は、弁当を片手に上機嫌な様子で私たちの元に近づいてきた。そしてあいている席の
椅子を借り、霧恵の席の一角に場所をとる
ちなみに、霧恵と真姫が初めて会ったのは、二日前、私と霧恵が下校する際に
彼女と出くわしたのである。
その時に二人はお互いに自己紹介をしたわけだが、その時、真姫は

「私、蒼月真姫、クラスはB組で、志保の親友よ」

と言ったのだ。
私は、真姫とは長い付き合いだけど、親友と呼べるほどの仲ではない。
その事を指摘しようとしたが、彼女に勝手に話をどんどん進めていき
結局、言いそびれてしまい、今に至る。
そして、真姫も加わり、食事しつつ雑談が続いていたのだが
突然、彼女がどこか含みのあるような言い方で

「そうだ・・・・・・・・良い物を見せてあげる」

と言うと一旦箸を置き
ポケットから、確か彼女がナビとか呼んでいる某有名メーカーのスマートフォンを取り出した。

彼女は、画面にある画像を映し出し、私たちに見せた

「これってキャナ☆・・・・・・・・・」

霧恵は、感心したように

「綺麗に撮れてますね」

それは、キャナ☆の、しかも綺麗に撮れた顔写真だった。もし、他の生徒に知れれば、争奪戦は間違いないだろう
幸い今、教室に生徒はほとんどいない為、私たち以外にこの事に気付いた生徒はいなかった。

「ほんと良く撮れて・・・・・・・・・」

この時、私は気付いた。キャナ☆がボード学園の制服を着ている事、
あと写真の背景は、人混みになっていたのだが、その中にわずかに空が映っている。

「ちょっと待って、この写真、もしかして今日の朝撮ったの?」

すると真姫は、得意げに

「正解」
「「え?」」

私と霧恵は同時に声をあげた。
霧恵は大きく目を見開き、驚いた様子で

「あの・・・・・・・・どうやって・・・」

尋ね、私も

「そうよ、あの状況で」

朝の混乱の中でここまできれいな写真が撮れるなんて到底思えない。
私たちの疑問に対し真姫は、あいも変わらず得意げな様子で、なおかつ勿体ぶるように

「それは・・・・・・・・」

と言ったのち左手の人差し指を立て左右に振りながら、どこか色気のあるような言い方で

「ヒ・ミ・ツ」

と言い、右目でウィンクをした。

「「!」」

彼女のしぐさに、私は一瞬だが、ドキッとした。
そして霧恵は、

「・・・・・・・・・・・・・」

顔を真っ赤にして、宙を見ていた。私は、気になって彼女に声をかける

「霧恵・・・・・・・・霧恵・・・・・」

すると彼女は我に返ったように

「はっ、はい」

と返事をする。

「大丈夫?」

と声を変えると

「大丈夫です・・・・・」

と返事をしたけど、どこかおかしかった。
すると真姫が

「調子が悪かったら、保健室に行った方が良いんじゃない?」

と一見、心配そうな言い方をするが、私には、下心の様なものを感じた。

「いえ・・・・・・・・・大丈夫ですから」

そして霧恵は話題をそらすように

「それより、写真は、これだけですか?」

すると真姫は得意げに

「まだあるわよ」

と言い、スマートフォンを操作し、アングルの違う画像を幾つか映し出す。どれも映りが良い。
しかし、私たちを驚かしたのは、彼女が次に見せたものだった。

「あと動画もあるよ」

彼女はスマートフォンを操作して、その動画を再生させる。
そこには、キャナ☆が朝登校してきた時の様子が映し出されていた。

「!」

その映像は綺麗で、なおかつ手ぶれもない。アングルは、右斜め上から、しかもその位置を
ずっとキープしている。動画は彼女が校舎に入り、教室に向かうところまで撮られていた。
先の写真も、そうだけど、これには驚いた。あの騒ぎだ。写真を撮るだけでも難しいのに
同じ位置を、ずっと保ったまま、なお且つ手ぶれもなしに撮るなんて、素人に出来ることだろうか?

「真姫、写真部に入ったら?」

真姫は、得意げな表情を浮かべている。霧恵は感心したように

「真姫さんって、すごいです・・・・・・・・・・」

と言うと

「それほどでも・・・・・・・」

謙遜してるようだが、表情は得意げな様子だ。そして彼女は一旦、スマートフォンをポケットに入れると、
箸を手に食事を、再開する。その時だった。

「ん?」

私は気付いた真姫の背後に見慣れぬ女子生徒がいる事に、その人物は

「随分と綺麗に撮れていたな。」

と怒りを感じさせる声で言う
その声を聞いた瞬間、真姫の顔が真っ青になり、持っていた箸がテーブルに落ちる。

「どうやってやったのか教えてもらえるか?真姫」

と口調を変えず言った。
真姫は、突然立ち上がり、振り返る

「な・・・・・・・・・なんで・・・・・・・なんで・・・・・・・・」

そう言いながら真姫は後ずさりする。女子生徒は真姫を追い詰めるように歩を進め
やがて真姫は教室の隅の方に追い詰められる。
そして、時折、私に目で合図する。それは助けを求めるものだった。
真姫は、よく対人関係でトラブルを起こす、その大半は真姫の所為であり
はっきり言って自業自得なことが多い。今回もそんな感じがした
そんな、真姫を助ける義理はないと思うが、あの目をされてしまうと助けずにはいられない。
とりあえず、私は、怖かったがその女子生徒の声をかけた。助けると言うだけでなく
その人が誰なのか、真姫とどういう関係なのか知りたかった

「あの・・・・・・あなた誰ですか?」

すると彼女は私の方を向き、さっきまでとは違い落ち着いた声で

「私は武藤初音、クラスは3B、転校生だ。君は?」

と聞いてきたので

「蒼崎志保です。クラスは・・・・・」

クラスはここです。と言おうとした時、初音さんは驚いた様子で

「ちょっと待て、蒼崎志保っていったな」
「はい・・・・・」

初音さんの様子に圧倒される

「もしかして君の母親は蒼崎穂乃香か」
「そうですけど」

確かに、穂乃香と言うのは母の名だ。すると

「そうか・・・・・・君が、どうりで良い目をしているわけだ」

どこか嬉しそうだ。私は訳がわからないので

「あなたは一体?」

と尋ねた。

「私は、蒼崎家の人達に色々世話になっていてね。」

どうやら、母さんや佐由里さんの知り合いらしい

「君の事も、佐由里さんから聞いている。」
「そうなんですか」

そして彼女は、探りを入れるように

「ところで、君は真姫と、その・・・・・どういう関係なんだ?」
「初等部ころから知り合いです。」

彼女は言いにくそうに

「その・・・・・・・・深い仲・・・と言うわけではあるまいな?」

この一言で、彼女の正体が何となく想像がついた
だが一応、私はさっきから聞きたかった事を聞いた。

「あなたはどうなんですか?真姫の事を以前から知っているみたいですが」

すると彼女は困ったように

「えーと、それはだな・・・・・」

と言ったきり黙りこんでしまった。だがしばらくして、思い出したように

「真姫は?」

言い周りを見渡す。そう教室に真姫の姿はなかった。

「しまった!逃げられた」

初音さんは、慌てた様子で教室から出て行った。

「何だったんでしょうか?」

霧恵はまだ訳が分らないと言った様子、私は、真姫の困った性癖を知っている
そして初音さんは、その被害者なんじゃないか、そう思っていた。
しかし、それを霧恵に説明する気にもなれず

「さあ」

とだけ答えた。なお、後に私の考えが間違いであった事を知る事となる。
そして

「志保さん、どうします、これ?」

机の上には真姫の食べかけの弁当が置かれていた。

「後で、彼女の教室に持って行くわ」



12:50 ボード学園 廊下

昼食を終え、シンが満足げな表情を浮かべながら、歩いていた。
その横を、血相を変えた真姫がものすごいスピードで通り過ぎたと思ったら
踵を返し、シンの元にやってきた。真姫がシンに気付いたからである。
ちなみに真姫とシンは知り合いである。

「シン、ちょうど良かった。部室の鍵、貸してくれる」

シンは特に顔色変えず

「何で?」

と尋ねる

「訳を話している時間はないの、お願い!」

と手を合わせながら祈るようにシンに頼む。
そして更に付け加えるように言った。

「あとで、ケーキ奢ってあげるから」

その言葉にシンは反応し

「わかった」

と言うと彼はポケットから鍵を取り出し、真姫に渡す

「ありがとう、恩にきる」

そう言うと真姫は走って立ち去る。
残されたシンは、再び歩き出し、彼は屋上へと向った。
屋上には一之瀬裕輔の姿があったが、シンは彼を見てわずかに表情を変えたものの
二人の間に挨拶や会話等はなく、あいているベンチにシンは座ると

「ふぁーーーーーーーー」

と欠伸をし、そのままうたた寝をはじめた。



12:55  ボード学園 廊下

私は、真姫の弁当箱を届けに、2年B組に向かった。教室には彼女の姿はなく
弁当は彼女の机の上に置いてきた。
そして、B組の教室を出て、自分の教室に戻ろうとした時

「志保ちゃん・・・・・・」
「サーチャー」

サーチャーとばったり出会った。

「志保ちゃん・・・・・・・・あの・・・・・・・・」

と何かを言おうとして言えない、もどかしそうな様子

「どうした?」

と聞くと

「いや・・・・・・・・・・なんでもありません!」

と言うと、そのままものすごい勢いで、走り去った

「な、何なの?」

何が起こったのか分からず、少しの間、唖然としていた。
思えば、この三日間、サーチャーの様子がおかしい。
会うたびに、私に何かを伝えようして、何も言えずにいるようなそんな感じがする
今日は、特に強くそれを感じる。
私は放課後にに図書室に行く事にした。そこでサーチャーに確認するんだ。私に何を伝えようとしているのかを。


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