第2章第17話「慌ただしき人々」


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執筆者:岡島

8:40 繁華街付近

現在、Gのエージェントは二手に別れて13号の探索を開始していた。
一方は、13号が逃げたと思われる下水道での探索、もう一方は13号が地上に出ている
可能性からの地上での探索である。もっとも下水道での探索の方に人手が割かれており
地上での探索を行っているエージェントは少ない
その中に神月トオルの姿があった。彼は最初の探索の際に、下水道で倒れたこともあり
以降、地下で探索する事もあったが、地上での探索を中心としていた。
そして現在、トオルは繁華街の付近に居たのだが、突然、彼は足を止めた。

(この感じは・・・・・)

突然、得体のしれない、いやな感じが彼を襲う

(まずい)

そう思った、次の瞬間、遠くで爆発音がしたかと思うと、しばらくして多くに人々が、
ちょうど繁華街の方から恐怖で顔を歪めながら、ちょうどトオルのいる辺りに向かってきた。

「まさか13号か、いや違うか・・・・・・・」

だが異常事態が起きていることには間違いはない。トオルはポケットからベルトのバックルの様なものを取り出しつつ
通信機で支部に連絡を取りながら、逃げる人々とは逆の方向、
何かが起きていると思われる場所、すなわち繁華街へ向かっていく。



8:50 G本部管轄地支部、作戦室

作戦室と呼ばれる部屋は、各種情報が映し出される巨大なモニターが備えつかられ
数人のオペレーターが常駐しており、ここでエージェントの後方支援が行われる。
また指揮官であるアリシアもこの部屋で指揮を執っている
そして現在、トオルを含む数人のエージェントから繁華街での異変ついての連絡が入ってきていた。

「13号でしょうか?」

オペレーターが言うと、アリシアは、冷静に

「いや、今の時間だと13号は変身できないはずよ。それにこれまでの彼女の傾向だと
変身が出来ない状況で、こんな騒ぎを起こした事はない」
「それでは・・・・・」
「もしかしたら、未確認の怪物の可能性もあるわね」

しばらくしてエージェント達から繁華街の惨憺たる状況が伝わってくる

「これは、無視できないわね」

とアリシアは冷静な口調で言う。そしてオペレーターの一人が

「現在、現場に向かったエージェントは独自に動いています。」

と言った後、不安げに言う

「それにしても、一体何者なのでしょうか?」

現在、モニターにはエージェントによって送られてきた“キャンサー”の情報が映し出されている
オペレーターの不安な様子に対し、アリシアは冷静に

「何者であるにせよ、現状から考えて、敵である事は間違いないわ。とにかく、人手がいるわね。あと何人かこっちに回しましょう」

8:52 繁華街

「酷いな・・・・・・・」

今、トオルの目の前には、無残に殺された人々の死体が広がっていて、そして今も暴れている“キャンサー”の姿があった。
トオルは、バックルを腰に当てる。するとバックルからベルトが伸び、彼の腰に巻き付いた

「変・・・・身・・・・・・・」

次の瞬間、彼の体はベルトを中心に変化が始まり、
やがて、彼の体は、ライダースーツの上に白銀の甲冑を纏ったような姿
更に背中には大剣、そして右腰と左腰には、それぞれに同型の拳銃が装備されている。
そして頭部はヘラクレスオオカブトを想わせるフルフェイスのヘルメットの様なものに変わる。
変身を終えたトオルはアリシアの言葉を思い出す。

「一応戦闘には使えるけど、ネメシスの修復は完全ではないわ。間違ってもフォームチェンジは使ってはだめよ」

その言葉を思い出したトオルは

「わかっています・・・・・・」

と呟く。トオルの変身した姿、その名は仮面ライダーネメシス。
そして、ネメシスは背中に背負っている剣、エクスマキナを手に装備し、

「fire in sword」

と呟く、すると剣がまるで熱を帯びたように赤く輝く。
そして、その剣を手に“キャンサー”へと向かっていった。



8:55  繁華街

シキは、“キャンサー”と戦い、そしてジンとサンダルフォンが、相変わらず不毛な戦いを繰り広げる。
しばらくして、突如、爆発音が響く。

「えっ!」
「!」
「なんだ・・・・・・・」

突然の出来事に、二人は戦いを辞め、シキもほんの一瞬であるが気がそれる。
そして、一体の“キャンサー”吹っ飛んできて、別の“キャンサー”に激突した
飛んできた方は激突の直後、消滅。激突した方はダメージを受ける。
そして三人の前に、エクスマキナを手にしたネメシスが姿を見せる。
一方、三人の姿を見たネメシスは

(二体のライダータイプに黒コートの大男・・・・・・・・・敵か味方か・・・・・いやそれよりも)

“キャンサー”の方に視線を向ける。

(こいつらを倒すのが先決だな)

先ほどまで、圧倒的な物量に押されていた三人であったが、そこにネメシスが加わる。
いや彼だけではない。数人のGのエージェントが繁華街の別の場所で戦っている。
エージェント達はライダーシステムを使うもの、そうでない者もいる。その者達は頭部に
インカムの様なものを装備している(これは通信機と戦闘の状況を記録する装置である。ライダーシステムには同機能が内蔵している)
そしてライダーでないものは単純に武器を装備し戦うもの、
更には、オルフェノクのような怪人の姿(怪人体でも装置はついたまま)になり戦う者もいて
それは人間、ライダー、怪人の混成部隊だった。
ここにさらなるGから増援が向かっている。それはこの状況をひっくり返す事が出来るのか。
それとも、増え続ける“キャンサー”の前には焼け石に水か
加えて、さらなる脅威が向かって来ている事は、彼らはまだ知らない。



12:55 ボード学園 廊下

「全く、どこに行ったんだ」

初音は真姫を探しているが、まだ見つかっていない
彼女は腕時計で時間を確認する

「もう休み時間も終わりか・・・・・」

ここで彼女は、ある事を思い出し、ポケットに手を入れる

(そうだ、職員室に行って、これを返さないと・・・・・)

そして初音は真姫の探索をやめて、職員室に行こうとした。その時
彼女は、何かに気づいたように、足を止め、目を見開いた。

(まさか・・・・・・・・・・)

そして、彼女は急ぎ足でその場から立ち去る。
一方、そんな初音の姿を見ている者がいた。その者は

「面白くなりそう」

と、どこか嬉しそうに呟いた。


13:00 ボード学園部室棟のとある部室

そろそろ昼休みが終わろうとしている中、真姫は部室棟のとある部室にシンから借りた鍵で入り
部屋に鍵をかけた後、部屋の片隅に座り込み、頭を抱えながら怯えていた。

(どうして、初音さんが・・・・・・・・)

真姫が、最も恐れている人物、それが武藤初音である。

(とにかく、一旦隠れよう。午後の授業はサボって、もう家に帰る。でもどうやって逃げよう?)

とにかく学校に居たくない。それが現在の彼女の心境である。しかし下手に動けば初音に見つかる
だから一旦この部室に身を隠し、初音が彼女を探すのをあきらめるのを待ち、
その後学校から逃げる事としていた。

「あっ」

ここで彼女はある事に気付いた。

(そう言えば、初音さんこの部屋の事、まあ知っててもおかしくないけど)

一抹の不安がよぎる。直ぐに

(でも鍵はかけてるし、マスターキーは私の手元だ。)

実は、この部室には合鍵が紛失していて、マスターキーの一本あるだけ、
その鍵も、何故かシンの手元にある為、事実上、鍵の存在しない、言わば開かずの間となっている
学校側も、加えて生徒会も何故かこの事実を知らない。

(いくら初音さんでも鍵のかかった部屋を無理やり空ける事は・・・・・・・)

次の瞬間、ドアが揺れた

「!」

思わず真姫は立ち上がり、ドアの方を向く。そう誰かがドアを開けようとしているのだ

(まさか、初音さん?)

無論、鍵をかけてあるので開く事はない。しかし緊張の一瞬には変わらない

「・・・・・・・・」

彼女は願った。その人物が立ち去る事を。だが、その願いむなしく、次の瞬間、鍵を開ける音がする

「えっ?」

そしてドアが開け放たれ、その瞬間、真姫の顔は真っ青になった

「やはりここだったか」

ドアを開けて入ってきたのは真姫の予想通り武藤初音、その人だった

「どうして、だって鍵が掛かってたはず」

頭の中が軽く混乱した。先に述べたとおり、ここにはマスターキーしかない。
初音は冷静に答える

「合鍵を持っている。」

といって、真姫に鍵をみせる。

「知り合いに、ここの卒業生がいてな。ボード学園に行く事を言ったら
代わりに鍵を返してほしいと頼まれて、この鍵を預かった。」

と言った後

「この仮面ライダー研究会の部室の鍵をな」

話を終えると、彼女は部室の扉を閉め

「さて、お前に聞きたい事がある」

真姫は、恐怖で顔を歪めながらも

「その前に、少し落ち着きましょうよ」

その言葉に初音は

「私は、十分落ち着いている」

と即答、確かに見たところ落ち着いているように見えるが、その目は怒りで満ちている
真姫は涙目になりながらも

「そうは見えませんよ~~~~~~。とにかく少し、頭冷やそう・・・・・」
「十分冷えている!」

と真姫の言葉が終わらぬうちに低い声で言った。そして

「さて、お前、今朝レイティアを使ったな?」
「何の・・・・事・・・ですか・・・・・」

真姫は震える声で、とぼけるように答える

「見たぞ、人ごみに入っていく光の球体を」

そう、初音とシンが、見た謎の球体である

「あれは、レイティアの偵察用の使い魔だ」
「・・・・・・!」

真姫は、その言葉に図星を突かれたかのように、更に顔を引きつらせる

「さっき、お前が見せびらかしていた写真は、あれを使って撮ったんだな?」
「・・・・・・・・・・・・・」

真姫は、恐怖のあまり声を出すことさえできず、無言でうなずく

「そうか・・・・・・・・」

初音はこれでもかと言わんばかりの恐ろしい形相と、地の底から轟く様な声で

「貴様、レイティアを私用で使うとは、何事だ!」
「ひぃ~~~~~~~~~~~~~!」

この後、真姫は初音の長い説教を聞く事となり、それは休み時間が終わって、
授業が始まってもなお続き、結局、二人は午後の授業をサボる結果となった。


15:25  ボード学園、高等部2年C組教室

今日の授業が終わり、放課後になった

「志保さん、一緒に帰りませんか?」

と霧恵の誘いがあったけど

「ごめん、今日は用があるから、先に帰ってて」

と誘いを断り、私は図書室に向かった。そうサーチャーに会うためだ。



同時刻 ボード学園図書室

サーチャーは本棚の本を整理していた。

「はぁ」

とため息をつく、その表情は暗い

(とにかく、今日中に、志保ちゃんに話をしないと)

そう思ってもう三日は経っていた。佐由里から連絡を受けて以降、志保に伝えなければならない事があった。

(でも、私の一言が彼女に人生を変えてしまうかもしれない・・・・・・・・・)

しかし、いまいち踏ん切りがつかずにいた。

(しかし、このままズルズル行くのも、良くありませんね)

彼女の表情は先ほどまでとは打って変わり、何かを決意したような、吹っ切れたような表情を見せ

(次、志保ちゃんに会ったら話そう)

その機会は、彼女が思っているよりもはるかに速くやってきた。



15:30 ボード学園図書室

図書室に着くとまず貸出カウンターの方に向かったが、そこには彼女の姿はなかった。
次に私は、本棚の方に足を運んだ。
ボード学園の図書室は図書館と言っていいほど大きく、すこし手まどったけど
一番奥の本棚で、本を整理するサーチャーを見つけた。

「サーチャー・・・・・」

私が声をかけると、彼女は驚いたように一度体をビクッとさせると、ゆっくりと私の方を向く。

「志保ちゃん・・・・・」

私は、彼女に、私に話したい事があるんじゃないのかと聞こうとした
だが、その前に彼女は言った

「ちょうど良かった。あなたに話したい事があります」

その時の彼女は、どこか吹っ切れたような様子だった。
この後、サーチャーは私を、貸出しカウンターの奥にある職員の控室に案内した。
そして部屋には、私たちを除き誰もいない。

「この時間帯は、ここには誰もいませんから、ゆっくり話ができます」

そしてサーチャーは、部屋にあった椅子を二つ持ってきて、向かい合うように並べると

「どうぞ、掛けてください」

と着席を勧めた

「ありがと」

と私は礼をし、椅子に座る。そしてもう一つの椅子にサーチャーが座り、真剣な様子で
私をじっと見つめながら

「私はあなたがフェイトである事を知っています」
「!」

何となくだけど、フェイトの事を話すんじゃないかと言うような気はしていた
彼女の様子がおかしくなったのは私がフェイトになった翌朝からだから
でも実際にフェイトの事を持ちだされると、少し驚いた。
更に驚くべき事を彼女は言った

「ずっと以前から」

同時に、疑問が浮かび、私は問いかけた

「どういう事?」

すると、サーチャーは、

「私がフェイトについて、いやそれ以外もですが、何故知っているかは答えられません。だから聞かないでください
私に答えられるのは、あなたが何故フェイトになったかそれだけです。すいません・・・・・」

と言って申し訳なさそうで辛そうに頭を深く下げる。
その姿を見ていると、話したくても、話せない事に対する辛さの様なものが伝わって来て私は思わず

「わかった、その事については聞かないから、だから頭をあげて」

と彼女の頼みを了承した
そして、彼女は顔をあげると話をはじめた。

「志保ちゃんは以前、言ってましたよね。かつてのショッピングモールでの出来事を」
「うん」

私は頷く。そう私にとって、すべての始まりとなった出来事だ。もっとも誰も信じてくれなかったけど
サーチャーには、確か私が中等部に居た頃、何かの話の流れで、
その事を、サーチャーにも話した事がある。でも話した時、彼女は何も答えなかった。
別に信じてもらうつもりはなかったから、返事を求める事はしなかった。

「それが、すべての始まりです。」



16:25 ボード学園図書室


サーチャーから話を聞いた後、少し落ち着いてから私は、図書室を出ようとした。
そして突然、背後から

「志保さん・・・・・・」
「霧恵」

振り返ると、霧恵がいた。

「もう帰ったんじゃ」

すると彼女は、どこかもどかしそうに

「あの、その・・・・・・・・・・ちょっと調べ物があって図書室に・・・・・」
「そう・・・・・」

でも、なんか様子がおかしい。私は、彼女の様子から、ふと思った事を聞いてみた

「もしかして、私を待っていてくれたの?」

すると、彼女は顔を少し赤くし、どこか焦る様に

「そっ、そうじゃなくて、本当に、調べたい事があっただけで、あの、その・・・・・」

その様子から、はっきり言って、わかりやすい。

「それより、もう帰るんですか?」
「まあ・・・・・」
「それじゃ、一緒に・・・・・・・・」
「ごめん、今日は、もう一か所、寄るところがあるから・・・・・・」

サーチャーの話を聞いてから、もう一か所、寄りたい場所が出来ていた。
待たせていて悪いと思ったけど、これ以上遅くなったら彼女にも悪いと思い
その誘いを断った。

「そうですか・・・・・・・・・・・・」

一瞬、暗く沈んだような顔をする。その様子を見て少し罪悪感を覚えたが、
彼女は直ぐに、私をまっすぐに見ながら

「ご一緒させてもらってもいいですか?」
「いいけど、遅くなると思うよ、大丈夫?」
「大丈夫です。」

結局、この後、私は彼女と一緒に学校を出て、ある場所に向かった。


時刻不明 街中

街の雑踏の中に、神羅月菜の姿があった。あれだけの怪我を負ったはずなのに
そんな様子はなく、何よりも切り落とされはず腕がどうゆう訳だか存在している。
しかし、彼女の機嫌はかなり悪い

「アイツ、殺してやる、殺してやる・・・・・・・・」

と低い声で呟いている。
下水道で彼女を見つけたGのエージェントを血祭りにあげた後、彼女は下水道出て
今、街中を歩いている。
その脳裏に浮かぶのは三日前の志保達を襲った時の記憶、
そしてフェイトとなった志保に大敗した時の恐怖とそれ以上の屈辱感が、彼女を襲っていた。

「絶対殺す・・・・・・」

その声には憎しみが満ちていた。今や志保を殺す事が彼女の、すべてとなっていた。


16:10 蒼月家

真姫は授業が終わると(初音の説教の影響でほとんど授業に出ていない)直ぐ家に帰り
覚束ない足取りで自室のベッドの側まで来ると、そのままベッドにあおむけに倒れこんだ。
その眼は虚ろで、正に放心状態だった。

「初音さん・・・・・・・・・私が悪かったです・・・・・・許してください・・・・・・」

と時折ブツブツと言っている。そう初音の説教がまだ尾を引いているようであった。
そこに、彼女のスマートフォンが鳴る。
着信を確認せずにゆっくりとした動作で、それを手にする真姫

「はい・・・・・蒼月です」
「真姫・・・・・私だけど」
「アリシア?」

電話の主はアリシアだった。彼女は落ち着いた声で

「緊急事態よ。直ぐに支部に来て」

「緊急事態」という言葉を聞いた真姫は目に生気が宿り、ベッドから飛び起きた。
正に我に返ったという様子だ。

「わかった。直ぐ行くから」

そのまま、彼女は部屋を飛び出した。


16:45 ショッピングモール跡地の公園

学校を出た私たちは、ショッピングモール跡地の公園へと来ていた。

「どうして、ここに?」

と霧恵は尋ねる。私は

「ここは私にとって始まりの場所・・・・・・・」
「え?」

霧恵は訳が分からないと言った様子だ。

「昔、ここで信じられない事があったのよ」

そう、すべてはここから始まった
昔、ここにショッピングモールがあった頃、ここで私は無数の怪物に出くわした。
奴らは、多くの人々を殺し、私も殺されそうになった。
だけど、その時、私の前に「あの人」が、いや「正義の味方」が現れた。
その人は、怪物たちを倒し、私を救ってくれた。その人が、何者なのかはわからない。
姿もはっきりとは覚えていない。
でも、その時から私は、「あの人」のようになりたいと思うようになっていた。
そう「あの人」のように正義の味方になる。それが私の願い。
そして今日、私はさらなる事実を知った

15:50 ボード学園 図書室職員控え室

「あなたを助けたという『正義の味方』は、先代のフェイト、武創者です」
「武創者?」

聞きなれない言葉に思わず私は尋ねると、聞いちゃいけない事かなと思ったけど
彼女は表情を変えずに答える

「本名ではありません。異名と言えばいいでしょうか。私の良き友達で」

とここで一息つき

「あなたの思っているように正義の味方です。変身した時は仮面ライダーフェイトって
名乗ってましたね。」
「仮面ライダーフェイト・・・・・・・・・」

サーチャーはどこか懐かしそうに語る。

「『いい歳をしてヒーローごっこしてる』と揶揄された事もありましたが
それでも多くの人を助けてきた正に英雄と言える人です。まあ彼自身は損な性格でした。人助けの為にいつも自分を犠牲にして・・・・・・・・・」

サーチャーの話を聞いていて、私は「あの人」が自分の思っていた通りの人だと知って少し嬉しかった。

「すこし話が脱線しましたね」

とどこか恥ずかしそうな様子を見せると

「話を戻します」

と言ったのち

「そんな彼が、ある日、ショッピングモールで襲われていたあなたを救い、その後、あなたにフェイトを与えると、居なくなってしまったんです」

ここで、彼女が私の身に覚えのない事を言ったので、それを問いただす

「ちょっと待って、私が襲われたのは覚えているけど、フェイトを貰った覚えはない」

すると、彼女は、急に歯切れが悪くなる。

「それは・・・・・・・その・・・・・・・・」

明らかに彼女は困っているようだった。
聞いたら悪いことだったのかと私は思ったが、サーチャーは直ぐに何かを思いついたように言った

「もしかしたら子供がフェイトの力を手にした事による不具合の所為かもしれません・・・・・・・」
「不具合?」
「フェイトの力は、ある程度の年齢に達した人間以外が手にすると、何かと不具合が起こる可能性があるそうです。
それで記憶障害が起きていて忘れているのかもしれません」

言われてみれば、あの時の記憶は、怪物に襲われ、「あの人」に助けられる前後の記憶がない。
もしサーチャーの話が本当なら、フェイトを貰った時の記憶を忘れているのかもしれない

「とにかく、あなたはフェイトの継承者となったんです。しかしまだ幼い子供だった
あなたに、フェイトを持たしておくのは危険でしたので、
私の友人がその力を封印したんです」

ここで彼女は一息つくと

「そして、封印の解放の条件は、命の危険さらされる事です」

あの時、私は狼の怪物に殺されかけたから、私は変身したんだ。
ここまで話を聞いて、さっきから一つの疑問が浮かんできた。

「どうして、『あの人』は私を選んだんだろう」

するとサーチャーは

「彼と連絡がつけば、わかるかも知れんが、ただ・・・・・」

と何かを言いかけたが

「何でもありません」

そして話題を変えるように

「それより、あなたはフェイトをどう思っていますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

正直言って微妙だ。最初の戦い、あの時の事が頭から離れない。自分が自分じゃなかった感覚
はっきり言って気持ち悪いし、また同じようになる事が怖い。
ただ私は、あれは一時的な物で、今は安定していて、あんな事は起きない事を知っている。
何故、知っているかは私にもわからないけど
サーチャーは私の心中を察するように

「もしかしたら、フェイトが暴走したんでしょうか?」
「!」
「話を聞く限り、そうなんじゃないかって思いまして」
「話って誰・・・・・・」

と言いかけて、聞いちゃいけない事かな、思い。それ以上は言わなかったが
サーチャーは躊躇なく

「佐由里さんですよ」

と言った後、どこか意地の悪そうな笑みを浮かべながら

「フェイトについては私より詳しいですからね。解らない事があったら彼女に聞けばいいですよ」
「そうなんですか・・・・・・・・・・」

佐由里さんも知っていたわけか、でも何でこの前の事、知っているんだろう?
私は、話してないし、まあ霧恵が話したかもしれない。
でも、なんで佐由里さんは今日まで何も言わなかったんだろう。
まあ、後でいろいろと聞いてみよう。

「また話がそれましたね」

とサーチャーは言う。その表情に先ほどまでの笑みはなく、また真面目な表情に戻っている。

「実際のところ暴走したんでしょうか?」
「そうだと思う・・・・・・」

サーチャーにあの時の事を話す。すると彼女は、

「同じですね。彼と・・・・・・・」
「えっ?」
「彼、武創者も同じで、初めて装着した際に暴走して。だから彼も悩んだそうです」

あの人も私と同じだったんだ。

「彼の場合は、悩みを解消したというよりは、悩む事を辞めなければならなかったと言ううべきでしょう。彼は・・・・・・・・・」

少しの沈黙があり

「フェイトを使うのを躊躇して、人を助けられなかった事があって、彼はそれを後悔して
悩む事を辞めたそうです・・・・・・・・・」

彼女は、どこか悲しそうだ。そして彼女は話を続ける

「これは他人の受け売りですが、強大な力は頻繁に使ってもいけないし、
かといって全く使わないのもいけない、必要なのは使う時を間違えない事だそうです。」

と言った後

「時を間違え、力を使った事で後悔する人もいますが、使わなかった事で後悔する人もいます。」

そして彼女は、私をじっと見つめながら

「これから、フェイトをどうするかは、あなた自身にしか決める事ができません。
でも・・・・・」

サーチャーの声に感情が入る

「私は志保ちゃんには、彼のように後悔はしてほしくないです。絶対に・・・・・・・」



16:45 ショッピングモール跡地の公園

ショッピングモール跡地の公園に居る志保と霧恵。そんな二人を見ている者が

「見つけたぜぇ・・・・・・・・・」

それは、神羅月菜だった。ずっと探していた獲物を見つけた彼女は、嬉しそうな様子で二人の方に向かっていく。
だが、そこに立ちふさがる者が

「見つけた・・・・・・・・・・13号・・・・・・・・」
「お前は・・・」

月菜の前に現れたのは、髪型は長髪で背が高い少女だった。
一方、志保達や月菜を見つめるものがいた。それはラビリンス首領だった。

「手間が省けたわね」

と嬉しそうに言う。

「さて、始めましょうか」

果たして彼女は何をしようとしているのか。ただそれは、良からぬ事であるのは間違いなかった。


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