第1章第22話「夜を舞う」


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PM:16:57 列のマンション前



今日は色々あったけど、何とか帰り着いた。
俺と華枝の暮らすマンションの前。

俺と神歌ちゃんは、ここで別れる。
神歌ちゃんの家はこの先。
民家の少なくなる、割と寂しい通りに神歌ちゃんの家はあるらしい。

「じゃあ、列さん。今日はここで。」
「うん。帰り、気をつけてね?またあの変なのが出るかもしれないから。」

帰り道に俺達を襲ったトラネコ・・・。
その恐怖の記憶もまだ新しい俺は、これから一人で帰る神歌ちゃんに注意を促す。

「はい!・・・でも、もしまたあんなのが出たら、神歌・・・。怖くて家まで戻れないです。」
「その時は、・・・その、列さんのおうちに泊めてくださいね?」

「え?あ、うん、そうだね。神歌ちゃんを怖い目には合わせられないよ。」
「あは・・・っ!ありがとうございます!神歌、もう遠慮せずに列さんのお部屋に転がり込みますね♪」

・・・ん?
何か流れに任せてまずいことを言ったような・・・。

「・・・じゃあ、おやすみなさい、列さん。」
「うん。また明日ね。神歌ちゃん。」

「また明日・・・?」
「明日、明日・・・・。はい!」

・・・・?
また明日、という言葉が気に入ったのか、何度か口の中で繰り返す神歌ちゃん。
「・・・うん。うふっ、あははははっ!」

たたたたたたっ!

「あっ!神歌ちゃん!?」
「おやすみなさーいっ!列さーんっ!!」

すると神歌ちゃんは駆け出すと、俺の姿が見えなくなるまで、手を振り続けていた。
ずっと、その表情は笑顔だった。




ガチャ。

「ただいまー。」
俺の部屋の鍵を開け、暗い玄関に顔を出す。

・・・・・・・?

暗い、玄関・・・・?

嫌な、予感がした。

パチンッ!

俺は玄関の明かりを手探りでつけると、すぐにリビングへと向かう!

ガチャッ!

「・・・・・・・。そんな。」
そこには、人の姿は無い。
今朝出かけたときに見た・・・そのまま。

「華枝ッ!!!」

乱暴に開け放つ俺の妹の部屋。

「・・・・・・・・・・・。」


いない。どこにもいない・・・・。
神歌ちゃんは、もう華枝は帰ったって言ってた。

それなのにまだ、帰っていないのか!!?



そんな・・・。
また、またなのか。

初夏、あいつが行方不明になったあの時のように、また・・・・。

「そんなこと・・・信じられるかッ!!」
俺は俺の部屋に駆け込み、荷物を放り投げると、着の身着のまま、部屋を飛び出した!

「華枝ッ!!!」

華枝・・・華枝・・・。


(おにぃちゃんっ♪)
(おにぃちゃんっ!)



二度と華枝を、失ってたまるかッ!!!






場所不明:時刻不明


その日私の元に届いたのは、身元不明の「仕事」の依頼だった。
どうやって私の所在と名前を知ったのか。
だがこんな世界に身を置いている私を知るのは、「同じ穴の狢」だろう。

依頼の内容は、一人の女の子を捜してくれ、というもの。

そんな事は警察にでも届ければいいじゃないか、とも思った。
しかし私の目を引いたのは、その破格の報酬金額だった。
誰にでも達成できそうな仕事の割に、この金額。何か裏がありそうではあるが・・・。

相手が誰であろうと、どんな依頼であろうと、報酬が頂けるのであればなんら異論はない。
だが、この依頼は自分以外のほかの相手にも届いているらしく、競合する事になるそうだ。

ならば誰よりも早く依頼を達成すればいい。
同封された写真の少女・・・「ハナエ」を、指定された引渡し場所に連れて行く。


達成はとにかく早い方がいいと考えられた。
報酬が欲しいのはもちろんだが、今この街には「騎士団」を始めとした多数の「正義の味方」が集まってきている。
余計な騒ぎを起こして、こちらの動向に感づかれるのは面白くない。

この仕事は私個人の趣味であって、「タンタロス」の意思ではない。
「死神」の名を望んだわけではないが、「リサ・シュルフ」の名の持つ信用が貶められるのは、私としては面白くない。
周囲に迷惑をかけず、ただただ個人の楽しみとして、競合する任務を達する。

「それぐらい、出来なくてどうする?」

一人口にした言葉は、私以外には届く事はなく。
私は愛飲している煙草をとり、景気付けの一服を味わう。

依頼を前に、高揚する気持ちがスーっと解けていく感覚。
だが次を吸わないとやってくる、異様な焦燥感がすぐに私を駆り立て始める。
それを仕事への意欲にして、楽しい時間が始まる・・・!

「フフ・・・。さて、いこうか。」




PM 17:30 中央公園付近


今日は疲れる。
もう色々疲れて、頭の中が空っぽだ。

新学期が始まったと思ったら、八枷さんに怒られて、部活で気絶して、
命李ちゃんと帰っていたら怪物に襲われて、正義の味方(?)が助けてくれて、
でもまた怪人が襲ってきて、そしたら命李ちゃんが変身して、
怪人と一緒にどこかに行ったと思ったら、今度は変な女の子がスケッチブックを渡してきて・・・。
そこには、なんか変な絵が書いてあって・・・・。

あぅぅ、もうよくわかんない、色々ありすぎてわかんない。
それに・・・。

「私、どうしよう・・・。」

途方に暮れる。
友達が、よく分からないけど戦おうとしてる。
私を守るために戦おうとしてる。

じゃあ、私はどうしたらいいの?

私は変身なんて出来ないし、戦う力もない、あの命李ちゃんについていく勇気も・・・ない。



勇気・・・。

どうして私は、こんなに意気地なしなの?
私にも、神歌ちゃんや、おにぃちゃんみたいな勇気があれば・・・。

あの頃みたいに、いじめっこにいじめられても、泣いたりしないでいられたのに。
今だって、命李ちゃんが危なかったのに何も出来なかった。

わたしが、もっと強かったら・・・。

私は、ただ呆然と命李ちゃんが消えた方向を見つめて立っているだけだった。


空はだんだん薄暗くなってくる。
ようやく夏の太陽が沈もうと夕焼けが始まり、この街に夜が訪れようとしていた。

周りは、怖いほど静かになっていた。
公園近くのここは、この時間は人通りが少なく、近くに家もない。


「・・・・・・・!」

ぞわっと、寒気がした。
夏が明けたばかりなのに、背中からゾクリと。


カッ、カッ、カッ・・・。

わたしはそれと共に聞こえてきた、足音に振り返った。



軍服・・・?
私に向かって歩いて来ていたのは、帽子を深くかぶり、ロングブーツを履いた女の・・・?人だった。
夕日に照らされながら、軍服を着たしっかりした体型のその人は、硬い靴の音を鳴らしながら、私に近づいてきた・・・。

「ただのお嬢さんね。こんな娘にお金をかけるなんて、何を考えているんだか・・・?ねぇ。」

「え?」

その人は何やら声を漏らした。
低いが女性と分かるその声は、ハスキーボイスとでもいうのだろうか。
でも私はその声に、更なる震えを覚えた。

お金を、かける・・・?

「しかし私の一人勝ちで、他のあの連中に目をつけられるのも面倒だし・・・。」
その人は、怯える私の様子など気にしないかのように、近づきながら独り言を話し続ける。

「あの・・・何を・・・?」
私は不明の恐怖に絞られる喉を酷使して、か細い声をひねり出した。
「ねえ、あの・・・・!」

ふっ!

え・・・?
次の瞬間、その女の人が私の目の前から立ち消える。
今まで目の前にいたのは幻だったのではないかと思うほど、それは唐突に消えた。

「どこに・・・・」

ガッ!!

か・・・!!!

背後。首筋に衝撃が走った。
急所に当たったらしく、意識が遠くなる。

ドサッ!

「さて。連中に見つからないうちにクライアントの下へ届けるとしようか。」

背後から声。それと共に倒れこむ私を受け止める感覚。
日に二度も気絶なんて、やっぱり、今日は、疲れる・・・・・


PM18:02 廃工場前


「さて、指定された場所は、ここのはずだが・・・。」
昨今の不景気で、閉鎖された工業団地の工場の一つ。
そこがクライアントの指定してきた場所だ。

ここでこの少女「ハナエ」を引き渡す手筈である。
依頼書に添付されていた連絡先に依頼達成の報告を入れたから、クライアントはさほど間もなく現れるだろう。

当のこの少女は、まだ気絶したままだ。
気絶したままの方が、恐ろしい現実を見なくて済むだろうから、幸せなのかもしれない。

この子の誘拐を依頼した相手が誰にせよ、ろくな事を考えてはいないだろうからな。
見れば、まだまだ幼い少女。
体の一部はまあ立派だが、齢15というところ。

こんなに若い少女を欲しいなんてのたまう奴は、よほどの事情が無い限り、幼女嗜好といわれても文句はあるまい。
…まあ、私には関係ない。報酬さえもらえれば、この子がどうなろうと知ったことではない。

クライアントの指定したこの場所は、街頭もろくにない寂しい場所で、ここから一歩離れれば、街の明かりも届かない暗黒の世界だ
この工業団地全体が、いまや機能していないのだろう。

いけない取引をするにはもってこいということだな。


・・・だが。

先ほどから、その寂しい工業団地にしては多くの人間の気配がする。
ここに来た時からあったその気配は、時間を追うごとにどんどん増えている感じだ。

仲間を呼んだか・・・?


警戒を強めると、そこへ。


ザザザザザ・・・!

ザザザザ・・・・・!!


全身を、吸光素材の真っ黒いスーツに身を包んだ連中が、13人。
それとは対照的に、白い体に黒い線が走る妙な姿をした連中が・・・9人。

夜の闇の中から姿を現した。

「・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
連中は、その表情の見えない顔でこちらを凝視する。

黒い連中は暗視スコープをつけているという事もあるが、
白い連中は服というものがなく、全身が硬い体皮に覆われている感じ。
顔は口も鼻もなく、緑色に輝く眼をしているだけ。
人造人間の類だろうか。あの目は暗視スコープの役目をしているのだろう。

…しかし。
数が多いことに面食らったが、どうやら両者は別の陣営らしい。
そして共通して、私の抱えるこの「商品」を狙っている・・・!
つまり、それは・・・。

「・・・ああ。貴様達がクライアントの言ってた競合相手か。」

恐らく、連中もこの場所を知っていたのだろう。
大人数のグループらしいし、一部を探索、一部をここに待機させ、もし自分達以外の者が依頼を達成した場合、
強奪する予定だったのだろう。

そして、そこには私が現れた。


「相手が多人数とは思わなかったな・・・私も多少なりとこの仕事を舐めていたらしい。」

黒い集団と白い集団は、その手に獲物を取り出す。
飛び道具はもたず、その全てが・・・組織間で差はあるものの・・・ナイフだ。

夜間戦闘用装備に加え、獲物はナイフ。
本来は暗殺にでも使われる部隊なのだろうか。
尤も、普通の人間には脅威に見えても、私にとっては連中の動きは児戯に等しいが・・・!

バッ!!

黒と白一人ずつ、同時に天高く飛んだ!
これみよがしに、目立つ動き・・・!
次の瞬間、私は身を落とし、姿勢を低くした。

ヒュヒュンッ!!

私の上を刃物が空気を斬る音がする。

囮を使って背後から一撃・・・暗殺者の古典的な手だ。
「はっ!」

バシイッ!!

「ッ!!」
しゃがんだ姿勢そのままに足を振るい、必殺の一撃を回避された白と黒両者の足を払う!

タンッ!

すぐさま立ち上がり、ステップを取って空襲する2名の攻撃をかわした!

「・・・・・・・・。」
一連の動きに警戒を強めたのか、白と黒は私たちとの距離を詰めようと動き出した。

ダッ!!

今度は正面から数人が同時に襲い掛かってきた!

ヒュッ!!

捉えられない動きではない。
モーションを相手に見せるなど、私からすれば論外。
私はあの数倍の大きさの獲物を、目に見えない速さで振るうことが出来る。

でも・・・。

パスッ!

「うくッ・・・!!」
放たれた刹那の数合の刃。
少女一人を抱えたままの状態では、それら全てをかわす事は敵わず、一撃を腕に掠めた。

「・・・まずい、か。」
たかが20数人、難なくかわせるかと思っていたけど、こっちにはハンデがある。
「商品」に傷をつけるわけにはいかない、しかしこの子を抱えたままではこっちがやられる。
ここは引くしかないか・・・?

そう思い始めたとき。


「・・・・ふぇ?」
・・・間の抜けた少女の声が私の耳に届いた。

「わ、わ、なに!?きゃああああっ!!!」
「うわわ!こら!」

どってーん!

少女がじたばたと暴れだしたので、たまらず抱える腕を放してしまった。
当然、重力にしたがって落ちる。

「いたた・・・。うぅぅ、な、なんなの・・・。う?」
少女の瞳孔が窄まるのを見た。

「ひ・・・いや、何・・・!?今度は何・・・!?」
「ハナエ」の顔が恐怖にゆがむ。

・・・無理もないか。目覚めた先にあったのは、夜の廃工場と白と黒の怪しい男達。
そして、自分をさらった軍服の女。
当然その先は・・・。

「いっ、いや、やだあああああああああああ!!!!!!!!」

ダダダダダダッ!!!

少女は脱兎のように暗闇の世界に向かって走り出した。
「・・・・!」

スタタタタタタタ・・・!!

それにあわせ、白と黒の集団が半数ずつ、「ハナエ」に向かって走り出した!
連中、あの子を捕まえる気だ!

「冗談じゃないっ!私の獲物・・・!」

ヒュッ!

「うっ!」
残った半分が、私を仕留めようと狙い始める。
何よ。こいつら本当に他の組織の面子?
一緒に私の目とクチを封じようなんて、ずいぶん仲がいいじゃないか・・・!

「いいでしょう。ならば貴様らを片付けて、あの子を追う。」


私は、今までとは段違いの殺気を周囲に放ち始める。
並みの者ならばそれだけで萎縮し、私の目を見たものは全ての覚悟を終える。

そう・・・死ぬ覚悟を。


「楽しむ余裕もなくて残念だが・・・。悪く思うな。」

その手に、白骨で組まれた巨大な剣を取り出す。
私の殺気とこの剣。
この二つを目の当たりにした時、これから死ぬ連中は、イヤでも理解するのだ。


自分の相手取った相手は、紛れもない「死神」なのだと。



PM 18:42 工業団地 路上



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・!!」

私はまた逃げていた。
一体今日は、何度逃げているのか・・・。

背後からは物音こそ聞こえないが、背筋を走る悪寒は止まらない。
さっき見た白と黒の男達が、私を狙っているに違いない。

走り出す前に一瞬見た景色を頼りに、目をつぶったまま全力で走る。
怖くて怖くて、目も開けられないから。
自分がどこを目指しているのかも分からない。
でも、でも走るしかない。
立ち止まったらいけない。
立ち止まれば私はもう、無事ではすまない事だけは分かるから。

ガッ!

「うあ・・・!!!!」

べったーん!

目をつぶったままというのは、やはりまずかったのか、私は地面につんのめって顔から倒れこんだ。
「ふぇ、痛いよぅ~・・・。」

座り込んで、その痛い顔をごしごしと撫でる。
「うぁ、めがね落としちゃった・・・。」
視界のハッキリしないまま、手探りで地面に落ちただろうメガネを探す。
こつんと感覚のあった先に、私のメガネはあった。

そしてそれをつけ直し、ようやく目を開けると・・・・。

「あ・・・・。」

「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


周囲は暗黒の世界だった。

さっきまでいた廃工場の街頭が遠くに見える。

走るのに夢中で、自分のおかれた状況に気づかなかった。

暗黒の世界に包まれた私は、恐怖で頭が真っ白になっていく・・・!


「ああああああああ・・・・・!!!いやだあああ・・・・!!!!あ・・・・・・・。」
その場にしゃがみこみ、大きく口を開け、涙がボロボロ流れる私の目に、更なる恐怖が飛び込んできた。

「・・・・・・・・・。」

10数人の黒と白の男達が、私を取り囲んだのだ。
この世のものとは思えない風貌に加え、その手には刃物。

「・・・・・・・・。」
白い男が私に手をかけようとする。

ガッ!

だが、黒い男がその手を取った。
にらみ合う二人。

他のメンバーもにらみ合い、やがて・・・。

ガシュンッ!!

一人がナイフを抜き、
・・・殺し合いが始まった。




気が狂いそうだった。




もうイヤだ。逃げてしまいたい。
全部放り出して逃げてしまいたい。

世界も、私も、世の中のいやなこと全部。



演劇に出られなくなってしまった。
友達が怪物と戦う戦士になってしまった。
恐ろしい夏の出来事を忘れてしまいたかった。

夜が怖くなった私がイヤだった。
弱虫な私から逃げたかった。

勇気がない自分が嫌いで・・・自分が心からイヤになった。

もう・・・どうだっていい。

私は夜の暗さに叫ぶのも忘れて、意識を遠く遠くへ追いやった。

私は、逃げ出した。









バッ!!



「!?」

白と黒の者らが音なき殺し合いを続けている時、その静寂を破る音が響いた。
先ほどまでうずくまっていた獲物が、突然立ち上がったのだ。

「ようやく・・・目覚めた。」

少女は喋った。
同じ声、しかし全く違う口調で。

少女はかけていたメガネをしまい、髪を縛っていたゴムを解く。
フィッシュボーン・テイルは解かれ、波を打った髪がなびいた。

全く様子の変わった少女を前に、白と黒の者達は殺し合いを中断し、再び足り囲もうとする。

「私は死ねない、誰にも縛られるつもりもない。」
「私に触れようとする者・・・みんな闇夜へ滅びてしまえッ!!!」


彼女は目を閉じる。
そして両腕を握りこぶしのまま、腰の前へ交差させて突き出す。

「変・・・・・身ッ!!」



その力ある言葉とともに両腕を開き、眼を開く。

少女の体に、夜の闇が張り付いていく感覚。
闇が、触れられる形に変化し、彼女の体を覆っていく。
黒きその闘衣は、その体すべてに及び、顔すらも覆い隠していく。

やがて、大きな二つの丸い赤い眼がギラリと輝き、背中からは黒の闇を突き破り、虫のような2枚の羽が生えた!

バッ!!!

それを激しく震わせ飛び立ち、黒の蟲は夜の闇を舞う。
月を背にし羽ばたく、滑稽なほどの醜い姿は、彼女に穿たれた呪い。




「・・・・・・・!!!」
その姿を目にした途端、白と黒の者達のうちの1名ずつが、その場から離脱する。
そして残りは、抜き身にした刃物を手に襲い掛かってきた!!

だが、彼女は・・・。

バッ!

「でええええええええいっ!!!!!」

ドッシイイイインッ!!!

目にも留まらぬ速さで、彼女はその腕を襲い掛かろうとする一人に叩き落とした!!!
黒い男はその一撃を頭部に受け、暗視スコープもろとも地面に叩きつけられた。

バッ!!

すぐさま襲い掛かる次の刺客。
だが彼女は難なくその足を払うと、浮いたその相手に頭の上まで伸ばした足を、振るい落とした!!

ドガアアアアンッ!!!!

渾身の踵落としは、白い男をアスファルトに叩きつけた。
巨大な亀裂を刻みながらバウンドし、転がっていく。


左右からの挟撃。
彼女はギリギリまでひきつけ・・・。

バッ!!!

バック転でその場から離れ、両者は自らのナイフで互いを刺す。


同時に襲い掛かる多人数を相手に、彼女は両手を地に付け逆立ちになり、両足を振り回す!
吹き飛ばされた相手を、そのスピードで追いつくと一人、また一人と確実にトドメを討っていく。

地面に叩きつけ、その顎を砕き、腹部に膝を入れ、彼女は容赦なく対象を駆逐していく。
まるで、何かに追われるように。


的確な回避と、足技を多用する立ち回りで、黒い少女はその場にいた全てを打ち倒した。
彼女の眼前に広がる人の山は、此の先の彼女の運命を示すようであった・・・。




「私は死ねない。絶対。絶対に・・・・。」




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