第1章第2話「始まりを告げる者達」


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土方重工本部ビル 社長室にて

「それで?あの町に派遣した者達は残らずやられたというのか?」

白のシルク製の気品の高そうなスーツにみをつつんだ
土方重工の社長たる土方達也は、腕を組みながら淡々と語る。

「はい。どの者も何か高熱の何かに焼き切られた傷跡が残っているそうです。
確実にあの町にカテゴリーSと廃棄体53号は滞在しているようです。
いかがなされますか?」

顔のほとんどをバイザーで覆い口元しか素肌を出していない少女が、
同じように淡々と語りながら報告書のようなものをめくる。

「あの町は、SB社の関連施設が多い。
それに最近では、騎士団や守護神機関様々な組織が入り交じった
まるでサラダボール状態の混沌とした町か。
しかも、またあれのいる面倒な所にへと逃げ込んでくれるとは・・・・因果なものだ。」

達也は苦虫を潰したような表情をする。

「けれど、これは我々にとってもチャンスともいえますが・・・?」

不意に何もない空間からぬうっと姿を現した黒のスーツを着た女性は、重苦しい空気を気にせず明るい声を上げた。

「貴様、この失態は貴様が起こしたようなものではないか・・・
どの口がそのようなことをいえる!」

バイザーで顔を隠してる少女は、その女性に対して口を荒げる。

「確かにそのことに対しては私にも非があるけど、
マゴットの存在を軽視していた貴方達にも非はあると思うのだけれど?」

スーツの女性は、悪びれもせずけろっと言う。

「なにっ!」

バイザーの少女は、今にも殴りかかりそうなほど殺気を飛ばしていた。

「スコル、やめろ・・・見苦しい。」

「・・・・・はっ」

達也が一瞥すると、スコルと呼ばれたバイザーの少女は納得いかないようだが、
口を閉じた。

「葛葉、貴様もそのような事をわざわざいいにきたわけでは無いのだろう?」

達也は葛葉と呼ばれるスーツの女を視線を向けながらいう。

「もちろん。
我々が調べた結果によると、あの町には「仮面ライダー」と呼ばれる存在が多数存在する
ようですの。」

葛葉は、めがねをかけながら答える。

「それは、騎士団やSB社の独自に作り出した兵器に対するコードのことだろ?
          • 別段、珍しい事ではないだろう?」

達也は、つまらなそうに答える。

「ええ、しかしそれ以外にも我々の目指す所にある技能を持った者達も
数多くいるようです。・・・それこそカテゴリーSと同等の能力を保有した者も・・・」

葛葉はくすくすと笑いながら答える。

「ほぉ・・・それで、どうするのだ。
我々に有益な物があると言っても一筋縄ではいかない物だぞ?
      • 現にあの町に派遣した我が社の暗部も廃棄体53号にやられた。」

「あんなものと私たち「アトランティカ」を同じにして貰っては困りますわ。
もちろん一筋縄ではいかない事くらい分かっています。
ですので、先日帰還した実戦部門の長たる「紅葉」をその任につかせます。」

「なるほど、「オーガ」がつくか・・・けれどいいのか?
オーガの実績と共に「皆殺しのオーガ」の悪名と聞いているが・・・。」

達也は、怪訝な表情を見せる。

「けれどその実力は、屈指の物です。
      • それに、あの子に簡単に殺されるような人物など何の役にも立ちませんもの。」

葛葉は、妖美な笑みを見せる。

「・・・分かった。
この件は皆お前に一任する。
こちらもできる限りお前達の行動を補佐しよう。」

「ありがたき幸せですわ。
        • それでは、これにて失礼いたしますわ。」

葛葉はそういうと、また音もなく影の中に消えてしまう。



「恐ろしい女だ。」

達也は、葛葉の消えた方を見ながら答える。

「なぜあのような得体の知れない者の手を借りねばならないのですか?」

スコルは、納得いかないような声をあげる。

「何、あの者はつかえるさ。
あの者がもたらした技術や人材によって我が社の裏社会に対する影響力は
より大きなものになったさ。
それに、利用価値が無くなれば互いに消されるだろうさ。」

達也はそういうとくすくすと笑った。





「あ~~~~!?
なんだって、帰ってすぐに仕事なんだよ!?」

バスルームでシャワーを浴びたばかりなのかタオルで頭を拭きながら、
その身に何も着ていない赤い髪の少女が大声を上げる。

「しょうがないじゃない。
紅葉くらいしかできない仕事なんだから。」

葛葉は悪びれた様子もなくマニキュアを塗っていた。

「なんでだよ。
大体、「出来損ない」をぶっ殺して、Sの餓鬼をさらう地味な仕事なんて
俺向きの仕事じゃないだろう!?
こんなの夜叉か鞍馬の仕事だろうが!」

紅葉はそういうと大声を上げる。

「そうね・・・けど、相手はその二人だけじゃないわ。」

葛葉は紅葉に、資料のレポートを渡す。

「何々・・・なんじゃこりゃ。
うじゃうじゃ組織が入り組んで百鬼夜行みたいじゃないか。」

紅葉は、資料を眺めるとぼそりとつぶやく。

「そうでしょ?
だから、貴方に頼んだの。」

「しかし、お前や俺がなんで人間なんかの為に働かなきゃならんのか。」

紅葉は愚痴るように言う。

「しょうがないでしょ?
今の私たちは本来の力が完全に出せないのだから、
あのお方が復活するまでの辛抱よ。」

葛葉はしんみりした用に言う。

「分かっちゃいるけどよ。あの土方って奴に従うのも癪なんだよな・・・。
おいおい・・・・この町には騎士団もいるのかよ。」

「そうみたいね。
だから、予算、人員無制限に使っていいわよ。
それにどんだけ被害を出してもこちらでもみ消すわ。」

「太っ腹だな。」

紅葉はラフなジーパンにTシャツという姿に着替える。

「ええ、その代わりできれば
廃棄体53号も捕獲して欲しいの。」

「なんでだよ?
出来損ないなんか拾ってどうするんだよ?
逃げ出した時期を考えてももうくたばってるかもしれないぜ?」

紅葉は、首をかしげながら答える。

「そうかもしれない。
けど、私はむしろカテゴリーSよりもこちらの方が興味があるわ。
      • だって、適正処置を施した実験体の中で成長した変異体なんて初めてみるわ。
      • それに、これだけ能力を行使して生存していたら、今後の実験の糧としてサンプルとして欲しい所ね。・・・・どうしても駄目だったら死体でもいいわ。」

「・・・ったく。
それ以外にもおれは、「仮面ライダー」とか言う奴も相手をせねばならんのか。」

紅葉は、命令を書いてある資料を見ながら答える。

「こちらの方は、優先順位は低いわね。
まあ、こちらと本格的に交えてしまう事態になったらこちらも更なる増援を送るわ。」

「・・・・人使いの荒いことで。
全く、じゃあ俺は下見でもいってくるよ。」

「それじゃあ、私もやることがあるから帰るわ。
必要な物、人材があれば後からいってちょうだい・・・頼んだわよ。」

葛葉はそういうと、音もなく影に消える。

「さてさて、どうなる事やら・・・・考えるのも面倒だな。」

        • 紅葉はそういうと家を後にした。








同時刻、白姫邸



緋色はいつも着ている燕尾服ではなく真新しいボード学園の制服に身を通しながら、
コーヒーを口をつける。
もちろん、ここまでリラックスするからには、すでにこの屋敷の人数分の朝食は作り終えており、その他諸々彼の執事としての朝の仕事は終えている。

「・・・記事にもなっていないか。」

緋色はそういうと、ポストから朝方とってきた新聞を読みながら、
またコーヒーに口をつける。
昨日、消した追跡者の記事が載っているかどうかくまなく見ているのだが、
それに関連刷る記事は一切無く今まで通り円高の事に対する政府の対応などしか載っていなかった。

「なるほど、そこまで大きな組織と言うことか。」

緋色は、三度口をつけると、部屋の周りが何か騒がしいく感じ
そちらの方向に首を傾ける。

「えへへっ、ひーちゃん似合う?」

扉が開くとそこには、自分と同じくボード学園の制服を身にまとった
葵がやや恥ずかしそうに緋色の前でスカートの裾をちょこんと持ち上げた。

「ああ・・・姉さんは何でも似合うよ。
        • 食事の方は、もうできているよ。
飲み物は、オレンジジュースでいいんだよね?」

緋色は、そういうと立ち上がり冷蔵庫からオレンジュースとコップを持ってくる。

「あれ?ひーちゃんはもう朝ご飯を食べたの?」

葵はきょとんとした表情で言う。

「俺は、朝はこれだけと決めているから。」

緋色はそういうとコーヒーの入っていたコップを持ち上げる。

「そんなの身体によくないよ。
それにご飯はみんなで食べた方がおいしいよ?」

葵は、心配そうに言う。

「・・・じゃあ、久遠の様子を見てくる。
その後、ちょっと用事があるから姉さんは久遠と学校に行って欲しい。」

緋色は、そういって葵の座る椅子の前にベーコンエッグにサラダと一般的な
朝食に、緋色のお手製だろうか香ばしく焼けたロールパンが並べられる。
それでも、2人分の朝食しか並べられていない。

「あ・・・うん、分かった。」

葵はそのことで、なにか言おうとしたが何も言い出せなかった。









「あれ?もう出かけるの?」

久遠は、やや眠そうな顔をさせながら、緋色に声をかける。

「ああ。」

緋色は、短くどうでもいいように返事をする。

「ちょっと、昨日も帰ってくるのが遅かったけど、
それとなにか関係あるのかしら?」

久遠は、緋色の行動を動向を探るような言い方をする。

「・・・関係ない。」

緋色は、一言で切り捨てて玄関を出て行った。

「おやおや、なんともまあ取り尽く島も無い事やら・・・」

一人残された久遠はやれやれと首をかすめながら答える。






「もう出かけるのですか?」

屋敷の庭を手入れしていたフラウディアは、屋敷から出てきた緋色を見つけると
不意に声をかける。

「ああ。
      • 留守の間、あいつらの世話を頼む。」

緋色は、そういうとすっと軽く頭を下げる。

「いえいえ。
彼らには、癒されますからお気になさらず・・・。」

フラウディアはそういうと、ぺこりと頭を下げた。
見る人が見ないと分からないレベルだが表情が若干ほほえんでいる。

「それでも、ありがとう。」

緋色は、お礼を言うのに慣れていないのかそそくさと屋敷の門から出て行こうとする。

「行ってらっしゃいませ。」

フラウディアは、ちょこんとメイド服のスカートを持ちあげて軽く会釈をした。






「・・・跡形もないか。」

緋色が早く出たのは他でもない昨日の現場を確かめに来たのだ。
犯人は現場に戻ってくるとよく言うがそれと同じ事なのかもしれない。

「しかし、これで逆に姉さんの危険が増したか。
      • もうこんな時間か。」

緋色は、そういうと腕につけている安物の時計を眺めて、
そろそろ学校に行かなければいけない時間ということを確認する。

やはりこの時間帯になると、ボード学園に向かう制服を着た少年少女達を眺めながら
緋色はけだるそうに歩いていた。
無論、彼の放つその場の空気を押さえつけるような雰囲気に周囲の人間は
彼から距離をとっていた。
自分に対し本能的に畏怖している周囲の反応に、今に始まった事ではないが
あまりいい気分では無かった。

「にゃ~ん。」

緋色は、ふと自分の足にすがるついてくる黒猫にはっと気づく。

「えらく綺麗で落ち着いている奴だな。
それに不思議な感じだ・・・飼い猫か・・・・?」

緋色は、その黒猫を自分の目の高さまで抱き上げるとじっとその猫を見つめる。
黒猫の方も緋色に持ち上げられても暴れもせず、じっと緋色を見ていた。
よく見るとその猫は、首輪はしていなかったがとても野良猫には見えないくらい
艶やかな毛並みでその瞳はルビーのように燃え上がるような紅の瞳は、
見る者全てを魅了するような魔性の瞳だ。

「・・・お前の相手をしている場合じゃなかった。
悪いな・・・・俺はあそこの屋敷に住んでいる者だ。」

緋色は、ふっと我に返って黒猫を地面においた。
すると、黒猫はきょとんとした様子で緋色を見ていた。

「・・・じゃあな。」

黒猫をおいて緋色は学校の方へと歩き出したのだが、
黒猫はその場を動くことなくじっと緋色の方を見つめていた。
緋色も後ろ髪を引っ張られる思いだったが、流石に時間もまずいのでその場を後にする。



「・・・・やっぱり、あの人間から尋常じゃない死の匂いがする。
      • 見つけたよ・・・お兄ちゃん。」

緋色がいなくなった後、黒猫が緋色の歩いていった方向を見つめてつぶやく。
そして黒猫の尻尾は、二つに割れていた・・・・。




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