第1章第16話「彼女達の葛藤」


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PM15:00 白姫邸 地下室

カタカタカタッ
巨大なスパコンのコンソール動かしている指が見えない速度でタイピングしていた。
液晶の画面には、びっしりと数式とアルファベットで埋め尽くされており
普通の人間では理解に及ばない物だろう。

「まだこれだけでは安定しないか・・・・。」

コンソールを動かしている指先がエンターキーを押すと、その動きが止まった。
そして、ぐっと背伸びをしながら、久遠は一息入れる。

「う~む。騎士団のシステムだけでは、複雑化しすぎてシステムが安定しないか・・・。
かといってGの情報をとってくるとしても危険すぎる橋を渡る割には得る物が未知数か・・・・・かといってスマートブレイン社の量産型システムを服用して数値を下げるのもなんだしな・・。」

久遠は、画面とにらめっこしながら呟く。


「・・・そろそろ休憩したらどうですか?」


「!?・・・・なんだフラウか。」

久遠はビクッと身体を震わせたが首だけを動かして、ティーセットを用意したフラウが
ちょこんとたっていた。

「また行き詰まっているのですか?」

フラウディアは、手慣れた手つきで紅茶を入れていた。

「・・・まあね。・・・生身の人間でもフラウ並のポテンシャル維持できるシステム
となるとそう簡単に作れる物じゃないわね。」

久遠はため息をはきながらフラウディアを見る。
見た目はあどけない無垢な少女だが、
その中に秘めし能力は他を圧倒するほど強力なものだ。
久遠自体あまり深く知らないのだが、
フラウディアは古代の遺跡から発見された中枢ユニットであり、精巧にできた人形の自動人形。土方重工の会長であり、
久遠の祖父である修斗が昔の友人から久遠の護衛の為に
譲り受けたらしいく、本来の持ち主及び久遠の護衛に派遣された意味などは
修斗と当人以外分かってはいない。

「それでは、当機がお嬢様を護衛の為に使わされた意味を無くしてしまいます。」

フラウは、表情を変えることもなく淡々と言う。
それは自慢でも何でもなくそれが真実なのだ。
フラウが来る前に行った騎士団へのハッキングでおおよその所在がばれてしまったにも
関わらず、久遠が未だ存命なのは彼女の影響力ともいえる。
久遠が独自で調べた情報では、なにせフラウの二つ名は「白姫の過ぎたる力」なのだから

「分かってはいるけど、どうもね・・・。」

久遠は、ぐっと拳を握る。
彼女とてただ守られているお姫様はいやなのだ。
着の身着のままで助けを求めてきたあの姉弟が来たときから・・・
父のつまらない計画を叩くと決めた日から戦う力を自ら求めた。
今までも、父の所行を噂には聞いていたが実質の被害者たる姉弟を見ると、
個人の為だけでなく彼らのためにもどうにかしたいとおもうのだった。

「そうですか・・・あまり無理はなさらぬようお願いします。」

フラウはぺこりと頭を下げると、久遠の邪魔をしないように部屋を後にする。

「・・・・さて、またがんばりますか!」

久遠は、また数式とのにらめっこを再開した。





PM16:00 ボード学園近くの派出所

「ふぅ・・・」
こきこきと首を回しながら、日報を書いている女性警察官が重い息を吐いた。
彼女の名は、「玉宮 天音」といい、この町に赴任して
というより警察学校を出てまだ一ヶ月弱しかたたない。
本来ならば、新人の警察官には指導員として先輩の警察官がつくのだが、
現在彼女以外この派出所には警察官が存在していないようだ。

「う~ん。この町は暇で良いところときいていたんですけどね~。」

天音は、日報を書き終えるとぼけ~っと外を眺める。
彼女の言うとおり、この町にはSB社の本社もあり、高級住宅街も数多く存在するため
治安は都会でありながら良好な場所であまり警察の出動件数は多くない地域であっただが最近では、謎の怪物が出るという噂と失踪事件が多発するという為に、警察として地域巡回をする時間がかなり多くなったのである。

「あの子達とも関係があるのでしょうかね?」

失踪事件の書類をまとめながら、天音はふと首から提げているロケットを見ながら呟き、そのロケットを開く。
そこには、3人の子供の姿が映っている。
一人は、幼いときの天音だ。
特徴的な栗色の髪を束ねて、にかっと活発的な笑みをしている。
その横にはその時の天音より幾分幼い藍色の髪を少女が、控えめな笑みを浮かべており、
その少女の横には、藍色の髪をした少女と全く同じ顔した緋色の髪の男の子が少女の服の
裾を掴みながら隠れていた。
彼ら二人は、天音の家の近くにあった孤児院の子供だ。
彼ら以外にも孤児院には子供達はいたのだが彼女にはこの二人が一番気が合い
よく日が落ちるまで一緒に遊んでいたものだ。
天音にとってこの二人は、幼なじみだった。

「だった」と過去形なのは、天音が中学に上がる頃にある事件が起きた。

この二人の姉弟がいきなりいなくなったのだ。
原因は分からない。
当時は誘拐事件かと騒がれたのだが、結局色々な憶測が飛び交い今でも分かっていない。
「彼ら二人がなぜいなくなったのか?」、「そしていまどうしているのか?」
ただその二つを知るために、彼女は警察官へとなった。
けれどなったからといって自分の追い求めた真実に近づいてはいない。
故に、もう無理かも知れないとあきらめたこともある。



「・・・おや?・・・あの子達は?」

眺めていた外には、よく見慣れた制服の少女達が通りかかった。
その一人の彼女の名は「風瀬 華枝」という。
この町では有名すぎるからだ。
失踪した彼女が突如一ヶ月前に、発見された際にはメディアでよく騒がれたものだ。
しかし、それ以外にも天音には印象に残る理由があった。
なぜなら、天音がこの町に赴任した初日に彼女が第一発見者として保護したのだから・・

そのことが彼女にとってあきらめかけた幼なじみとの再開に希望の光を灯したのだから

「一体あの子達は、今は何をしているのかしらね?」

 天音は、くすりと笑みを浮かべて華枝達を視線だけで見送った。




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