第1章第19話「レンゲル参上」


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AM.12:30 ボード学園屋上

9月1日は新学期の始まりの日。
授業なども無く、始業式と僅かなHRのみで終わる。
それらが終われば殆どの生徒は帰宅し自由な時間を過ごすだろう。

しかし放課後の人気の無い屋上に一人の生徒がいた。
一之瀬 裕輔である。

裕輔は一人で何か書類のような紙を眺めていた。
そこには今学期の転校生及び転入生の情報が事細かに記載されている。
とあるルートから入手した確かな資料であり、出自や過去の経緯に至るまで書かれている。

「・・・・・・・・・」

裕輔は無言で書類に目を通す。潜入任務で最も必要な物は情報である。
ボード学園はただの学校ではないのだ。殆どの生徒や教員は知らないのだろうが、ここには数多くの能力者が在籍している。
それこそ巷の噂になっている“仮面ライダー”もこの学園の生徒であるという事実を果たしてどれだけの人間が知っているだろうか。
それに裕輔自身も学園内を流れる空気の違いを敏感に感じていた。以前にも増してピリピリとした空気が流れている。
これは特別な使命を帯びた者が発する独特の物であると裕輔は考えている。
つまり、自分と同じような特命を受けた者が今学期から複数名現れた事を意味している。
それをいち早く察した裕輔は、転入生と転校生のリストを入手したのだ。

「…特に不審な奴はいないか。当たり前だけど…」

全てのデータを見た裕輔は、そう呟いた。当然といえば当然の話である。
わざわざ不審な人間を装って潜入をするような奴はいないだろう。
自分だってそうである。自分にも何処へ出しても恥ずかしくない人生を用意されている。

一ノ宮家の分家、一之瀬の長男として誕生。
両親は3歳の時に飛行機事故で死亡。以降は一ノ宮家で育てられる。
海外にて小学校、中学校の課程を修了し高校からはボード学園に入学。

本当はより細かな人生が設定されているが、ここでは省く。
17歳という事になっているが、実際は約5年しか生きていない。本当の生まれも一ノ宮の研究所だ。

しかし自分の“本当の”経緯が知る事は相当困難な事であろう。
何しろ背後にいるのは、あのスマートブレインをも凌ぐ世界的な財閥である“一ノ宮財閥”なのだから。

“一ノ宮財閥”は世界中のありとあらゆる部門において、ほぼトップクラスの力を持ち、世界経済を裏で操っていると囁かれる桁外れの大企業だ。
その財力・技術力は小国を凌ぐとまで言われ、大国にも強い影響力を持っている。
反面、謎も多い。“騎士団”や“守護神機関”ですらその全貌を把握しきれていないらしい。
その分家出身となれば怪しいのかも知れないが、かといって簡単に手出しもできない。

「…だからといって油断するわけにはいかない。僕にはやるべき任務がある」

裕輔が静かにそう言うと同時に、手にしていた書類が燃え始めた。
不要になった物は全て消す。これが鉄則。
そしてそれは自分にも当てはまる。だからこそ失敗は許されないのだ。
裕輔は灰になった書類を屋上からばら撒くと、無言のままその場を後にした。


PM. 16:40 ボード学園校庭

『ハッ!!』

プテラの口から赤色の熱線が放たれる。
しかしシキはそれをスムーズに回避すると、一気にプテラとの間合いを詰め懐に飛び込んだ。

「ふん!!」
『チィ!!』

シキの拳がプテラの胸を捉える。だがプテラも咄嗟に後ろに跳ぶ事でダメージを受け流す。
両者の戦いは一進一退の激戦となっていた。
単純な腕力ではプテラが勝るが、それに対してシキは手数の多さで攻め立てた。
加えてプテラの攻撃は大振りになりがちなので隙が出来やすく、シキはそこを集中的に突いている。
勿論、そんな状況が分からないほどプテラも無能ではない。
自分に有利な状況、それは…

『やっぱ、あそこだよなぁ!!!』

プテラが叫ぶと同時に、背中の翼が大きく広がる。
彼女にとって有利な場所。それは空中である。
飛行能力は異能怪人の中でも彼女のみに備わった力。翼はお飾りでは無い。れっきとした彼女の“武器”である。

『行くぜ!!』
バサッ!!

真紅の翼竜が飛翔する。
やはり空は良い。ここなら誰にも負けはしない。

『この勝負。オレがもらったぜ!!』

プテラの口から灼熱の熱線が放たれる。同じ攻撃でも先程とは大きく異なる。
制空権を得たプテラの猛攻が始まった。


一方、変身不能となった“槍使い”は、身体能力をフルに発揮してオカルトが憑依したギャレンの攻撃を避け続けていた。
一発でも命中すれば重傷、或いは死ぬので楽天家の“槍使い”もさすがに必死となっていた。

「くっそ~!男のくせにぃ~!」
『・・・・・・・・・』

必死に逃げ回る“槍使い”に対して、オカルトは淡々と攻撃を続ける。
表面上は読み取れないが、オカルトは多少落胆していた。

『…つまらん。“騎士団”の力とはこの程度か』

オカルトは静かにそう言い放つ。そのままオープントレイから新たなラウズカードを引き抜いた。
そこには蝙蝠のような絵が描かれている。

『SCOPE』

それはラウザーの命中精度を上げるカードだった。
より精確さを増した銃撃が“槍使い”に襲い掛かる。

「うわっ!ひえっ!あ、あぶなっ!!」

“槍使い”は先程とは比べ物にならないほどの銃撃を、身体機能を限界まで引き出して逃げまくる。
これだけ避けられるのも流石というべきか何というべきか。
しかし遂に年貢の納め時がきた。

オカルトは“槍使い”の足元に集中攻撃を浴びせてきた。
それも必死に避け続けたが、その内の一発が彼女の足を掠めたのだ。
その結果…

「うわわわわわ…ひゃあぁぁぁぁぁ!!!」

豪快にすっ転んだ。

「はらほれ~お星様が見える~きゅうぅぅぅ~」

そしてそのまま気絶。最初から最後まで特に良いところナシ。一体何しに来たんだ。
オカルトはトドメを刺すべく、“槍使い”に銃口を向ける。
そして引き金に指をかけた…その時だった。

「待ちなさい!!」

校門の方から叫ぶ声。オカルトがそちらを向くと、そこには深緑の少女の姿があった。

『その姿…レンゲルか。今日は随分と来客の多い日だな』

視線の先にいた者。それは仮面ライダーレンゲルであった。
レンゲル…上城 美月はギャレンこと橘さくらと同じく正義のライダー少女である。
彼女は“風の声を聞く”という特殊な能力をもっており、ボード学園での異変を察知して駆けつけたのだ。
しかし到着した彼女は実際のところ困惑気味だった。

生身の人間に銃口を向けるギャレン。
見たことのない仮面ライダー。
オルフェノクでもアンデッドでもない未確認の怪人。

「さくらさん…じゃないですね。あなたは一体何者ですか?」

それでも分かる事があった。それは目の前にいるギャレンは“橘さくら”であって“橘さくら”ではないという事だ。
姿はギャレンだが、その内からは邪悪な意思を感じる。
かつて蜘蛛のアンデッドに操られていた自分のように…
自然とレンゲルラウザーを握る手に力が入る。人の心と体を操り、他人を不幸にする者を許すわけにはいかない。

(さくらさん、待っていてください。今度は私がさくらさんを助けてみせます)。

次の瞬間に聞こえたのは、地を駆ける音と銃声。

仮面ライダーレンゲルと仮面ライダーギャレン。
仮面ライダーシキと異能怪人プテラ。

熾烈な戦いを制するのは誰か。



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