第1章第27話「突っ走る者」


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執筆者:岡島


時刻不明 ラビリンス本拠地 依頼受付センター

会社のオフィスを思わせる部屋、部屋の片隅には、正方形で大きな口がついた鉄の箱のような物がある。
ここはラビリンスへの依頼を処理する部署であり数人の職員が働いている。
その中に、お茶を飲む、髪型がショートカットのOL風の服装の女性がいた

「ふう」

この女性は、名前は水瀬菊乃、正規メンバーの一人で、この部署の責任者。
なお、コードネームを持ってはいるが首領しか使っておらず、仲間たちからは本名で呼ばれる事が多い。
ちなみに、この部署の職員は彼女以外の全員、事務処理特化のノーハーツである。
現在、彼女は仕事が一段落ついたので、休憩を取っていた。そこに

「菊乃~~~~~」

と三つ編み結った、赤毛交じりの髪型、そして白いシャツの上に赤い革ジャンを着て、
手には赤いクローブ、下は黒い長ズボンと言った服装の少女が笑顔で入ってきた。

「フレイム、またサボり?」

少女の名はフレイム、ラビリンスの正規メンバーの一人であり、フロストの姉。
菊乃とは、仲の言い友人同士である

「失礼ね。今仕事を終えたところだよ」

とむくれた顔をする。

「そうなんだ。ごめん」

菊乃は頭を下げた。

「わかってくれたら良いよ。それよりさ・・・・・・・・・」

と言って雑談を始める。
ちなみフレイムは、よく仕事をサボってこの部屋に来る事が多く、
菊乃も職場にいるノーハーツ(簡単な会話ができるが雑談のようなことは出来ない)
だけで、一人でいるも同然で少々寂しい思いをしている為
フレイムが、来て話し相手になってくれる事はうれしかった。
この日は、雑談の途中で菊乃は、トイレに行きたくなり席を外す、その直後、部屋に電子音が響く。

「ん?」

そして鉄の箱から封筒が出てくる。この箱は街の複数のポストとつながっていて、
ラビリンス宛の手紙を分別し加えて危険物等のチェックを行った後、
この部署に届けるという装置である。

(依頼かな)

封筒を見たフレイムは、好奇心に駆られ、部屋にいるノーハーツよりも先にそれを手にして中身を確認した。
中身は手紙と写真、内容は彼女の思ったとおり「依頼」だったのだが
それを読んだ彼女は驚いたように目を大きく見開いた。
少しして菊乃が戻ってきたが

「あれ?」

フレイムの姿はなかった



17:33 中央公園付近

華枝がさらわれるところ(その様子はリアルタイム映像でラビリンスの本拠地に送られている)
を見ていたデスサイズは

「追跡開始します・・・・・・・・・」

と言って、移動を開始した。するとローレライから通信が入り

「ちょっと・・・・」

と言いかけた所で、首領が割り込むように

「追跡を認めるわ」

と言った。

「了解・・・・・・・」

ここからデスサイズは本格な追跡を開始する。既に華枝とリサを目視で追う事は不可能である。
なので、自らの持つ超感覚を最大限に使い、記憶している華枝の気配だけを頼りに彼女を追った。

17:35 ラビリンス本拠地 首領室

「どういうことですか?」

とローレライが首領に尋ねると

「私も、気になるのよ。彼女の事がね。分身でだけで心もとないならライダーの方は
手の空いてる二人に任せましょう」

とA・Nとウィザソーダーに連絡を取る。それが終わると

「それに、あの『死神』が出てきたって事は何かある」
「確かに、そうですね」

とどこか納得したように言う。

18:42 工場団地

気配を頼りに華枝を探していたデスサイズは、どうにか路上で襲われている華枝を見つけた。

「風瀬華枝を確認・・・・監視を再開します・・・・・・・・・」

その後、デスサイズは、華枝に起こった全てを監視し、全てをリアルタイム映像として
本拠地に送っていたわけであるが

18:45 ラビリンス本拠地 首領室

送られた映像を見ている首領とローレライ、そして首領が真剣な顔で言う

「やはり、彼女は仮面ライダーだったか・・・・・・・・」

だがもう一つ気になることが

「それより、あのノーハーツ・・・・・」
「あれは、我々の組織でしか使っていないタイプですね」

二人はノーハーツを出撃させた覚えはない。デスサイズも追跡に集中していた為
ノーハーツを呼び出す余裕はない。二人とも腕を組み、首をかしげる

「どういうこと?」



18:47 工場団地

「まいったな」

タッチパネル式の携帯端末を手にフレイムは肩を落としていた。
なお彼女が持っているのは、ノーハーツの制御用ツールで、
特定の範囲内のノーハーツに命令を送る事が出来る。
ノーハーツには体内にマイクロチップが埋め込まれていて命令は、このツールから
チップを通して脳に直接送られ、またこのチップから個々のノーハーツの位置、状況、
更には見聞きしたものをツールに送信する。
なおツールは、送られてきた情報を一定量記録する事も可能。

「楽な仕事だと思ったのに・・・・・」

受付に届いた手紙、リサやアトランティカに届いた物と同じ即ち
一人の女の子を探して欲しいという内容の依頼だった。
提示されていた破格の報酬を見た彼女は

(これだけの仕事をすればボーナスが出る)

加えて依頼が他の者たちにも送られていて競合する事になるということを知ると

(急がないと)

と慌てた彼女は依頼を上の者に伝えることなく
ノーハーツ(探索と戦闘能力をかねたアサシンタイプ)をつれて出て行ってしまった。
依頼内容を見たフレイムは

「楽な仕事ね」

と高を括っていたのだが、結局のところ探索はうまく行かず。
指定されていた引渡し場所に待機させておいた者たちを使い、依頼を達成した競合相手からの強奪に
作戦を切り替えたが競合相手であるリサやゼストの攻撃に加えて捜索対象の女の子、
すなわち華枝が変身し、攻撃を仕掛けてきた事により活動ができるノーハーツは減っていき、更には

「それに何者なのアイツ(エウリピデス)は・・・・・」

エウリピデスの攻撃も加わり、残りの数はわずかとなってしまった。
端末に表示されている残りのノーハーツの数を確認しながら
焦っているように

「まずいなぁ」

と言った。なぜなら、今回の仕事は依頼を上に伝えていない為、彼女の私的な活動になっている。
なので、それのよる損害は、全て彼女持ちになる。ここで問題になるのはノーハーツである。
通常の任務では、基本的にノーハーツへの損害に関する責任は発生しない(ただし限度がある)
しかし、私的な場合は責任が発生する。(なお私的に持ち出せるのはフレイムを含めた限られた人間だけ)

(これじゃ、ボーナスどころか減給だ)

彼女は大きく深呼吸し気持ちを落ち着けた後に
残りのノーハーツに対し最後に華枝を確認した場所付近へ集結の指令を出した。
それが終わると、端末を懐に仕舞い

「こうなったら否が応でもこの依頼を達成しないと」

依頼を達成し報酬を持ち帰れば、ボーナスは無理かもしれないが、責任の方はどうにかなるかもしれない。
もう後には引けないのだ。
彼女は拳を強く握り締め、そして顔は険しい表情をみせ、そして彼女は走り始めた。
だが彼女はまだ気づいていない自分の犯したミスに・・・・・・・・・・



時刻不明 場所不明

ここはどこだろう、周りはぼやけていて何も分からない。体を動かそうと思ったけど
体は動かない。そして、私の目の前に人影が現れる。だが姿はぼやけている。
その人は私に語りかける

「・・・・・お前を助ける為にはこうするしかないんだ。すまない志保、許してくれ」

それは、どこか懐かしい声だった。だけど誰の声なのか思い出せない

「あなたは・・・・・・・・・」

19:50 蒼崎邸 居間

「!」

気が付くと私は、居間で布団を被って横になっていた。

「蒼崎さん・・・・・・・」
「姉さん」

しかも側には、黒招さんと幹也の姿があった。

「気が付いたんだね。よかった」

と幹也が言い安堵の表情を浮かべる。黒招さんも同じような様子だ。
だが私は、状況があまり解らず軽く混乱していた。
だから私は上半身を起こし

「何があったのか説明してもらえるよね」

と尋ねた
すると二人は私にここまでの出来事を話し始めた。それによると私はあの後、意識を失い
倒れたらしい。そこに私を心配し、外に出ていた幹也が通りかかり、黒招さんと二人で私を
家まで運び、意識を失っている私を見た佐由理さんが、居間に来客用の布団をひき
私を寝かせたとの事、ちなみに佐由理さんは今、出かけているらしい
ここまで説明を聞いたところで幹也が

「それより、姉さんの方こそ一体何があったんだ」

と聞かれた

「えーーーーーーーーと」

状況が状況だけに、説明しにくかった。それに私は途中から何が起こったか覚えていない
なぜあの状況で助かったのかも
後で聞いた事だけど黒招さんも同じだったらしい。
そしてどう説明して良いかわからず、困っていると、幹也がそれを察したように

「無理に言わなくてもいいよ。あの状況を見た限りだと、説明しづらい事が起こっていた事はわかるから」

と優しげに言った。そこに、

「あっ、志保ちゃん、目が覚めたんだ」

と言いながら佐由理さんがやってきた

「佐由理さん、遅かったですね」

と幹也が言うと

「いや・・・・・その・・・・・・ちょっと知り合いにあってね。その・・・・・・・・・話し込んじゃって・・・・」

どこか歯切れが悪い

「それで、どうでした?」
「その・・・・・・・例の腕、無くなってたわよ」
「腕?」

と私が聞くと

「姉さん、知らないの?」

と幹也が驚いたように言う。佐由理さんも余計な事を言ってしまったと言わんばかりの様子で
口を手で押さえた。
その様子に私は少し困惑したが

「うん・・・・・・・・それより何なの、『腕』って」

幹也は少しの間、困ってるような素振りするが、直ぐに

「姉さんが倒れていたところに近くに落ちてたんだよ。大きくて異様な腕がね」

それを聞いて、私には思い当たるものがあった。そうあの怪物の腕だ
でもなんで、それが地面に落ちているのか私にはわからなかった。

「それより、夕飯にしよ」

と話題を変えようとするがごとく佐由理さんが言った。
そう言えばお腹が空いていた。すると黒招さんが

「それじゃ、もう蒼崎さんは大丈夫みたいなんで、わたし帰ります」

と少し慌てている様子で、立ち去ろうとした。私は布団から完全に起き上がり

「ちょっと待って」

と私は彼女を呼び止める。そして

「幹也、夕飯、もう一人分頼める?」
「ああ、余裕があるから、大丈夫だよ」

すると

「蒼崎さん・・・・・・・」

黒招さんは、困惑した様子だ。私は

「夕飯、食べていかない?」

彼女を夕食にさそった。

「良いんですか?」
「いいのよ。私を家まで運んでくれたお礼がしたいし」

この後、彼女はしばらく考え込むように黙っていたが

「それじゃ、お言葉に甘えて・・・・・・・」

と控えめな声で答えた。その時、部屋の隅から

「ようやく飯か」
「!」

声の方には、シンがいた

「シン・・・・・・・いたの?」
「ああ」

ちなみに彼は耳にはイヤホンをつけていて、イヤホンの先は愛用のデジタルオーディオプレイヤーに繋がっている。
後で聞いたことだけど、アイツは私が家に運び込まれてきた直後、家に来て居間の片隅に座って
ずっと音楽を聴いていたらしい。



19:30 十字路付近

「何があった?」

路地にやってきた神月トオル、目の前に広がる状況に驚きの表情を浮かべていた
この数十分前、志保たちが13号と接触する直前。サーチャーの千里眼が13号の位置を捕捉し
街に出ていたエージェントたちは一斉にこの場に急行した。
その中で現場に一番乗りしたトオルであったが、街灯の光のもと、彼が見た物は
血まみれの路地に、地面に落ちている13号の異形の腕であった。
この状況にしばし呆然としていた彼であるが、

「!」

正気を取り戻すと、周りの状況を確認し、それらを通信機で逐一支部に報告していく
やがて血痕が路地の奥まで続いている事に気づく。彼は、それをたどり路地の奥へ向かい

「これは・・・・・」

蓋の開いたマンホールを見つける。蓋は強い力で無理やり開けられたようで蓋は大きく変形していた。
そして、血痕はマンホールの中へと続いている。
トオルは、懐から小さなブリキの缶を出して、その中からチョコ菓子を取り出す

「もうないのか・・・・・」

その菓子が最後の一つである。彼はそれを口に入れ、一息つくとマンホールの中へと入っていった。
たどり着いた先は下水道。地下に降りると電波が良くないのか通信機が繋がり難くなる。

「まいったな・・・・・・・」

と少し困った様子を見せるが

「まあいい」

と言い通信機を懐に仕舞うと、彼は右手で懐中電灯を照らし、左手には拳銃を持ち
血痕を追って行く。だが下水道を進むにつれ

(なんか気分が・・・・・・・)

気分の悪さ、吐き気のようなものを感じ始めた。
下水道には汚水が流れていて、その悪臭は強烈だが、しかし彼にとっては気にはならない程度だった。

「うっ」

左腕で口を押さえつつ、前に進むが不快感は酷くなる一方で、歩みもどんどん遅くなっていく、

(奴を追わないと・・・・・・・・・)

彼の思いとは裏腹に体は、この先に進む事を拒否しているようで、
ついには一歩も前に進めなくなってしまった。

(前と同じか・・・・・・・・・)

彼には、わかっていた。これは警告なのだと。体が、ここから去れと言っているのだ。

(ここには、13号以外にも何かがいるってことか)

彼の体は無意識のうちにそれを感じ取り、彼に警告を出しているのだ。
以前、13号を追っている時は、こんな事にはならなかった。つまりこれは13号だけでなく、
得体の知れない何かの気配がするという事だ。それも一つや二つじゃない

「でも・・・・・俺は・・・・・」

無理やり、前に進もうとする。だが体は言う事を聞かない。体を悪寒が走り
さらには冷や汗も出てくる。そして

「おい!」

突如、背後から声をかけられる
後ろを向くと、そこには自分と同じように血痕を追ってやってきたGのエージェントたちが数人いた。
それを確認した瞬間、トオルは意識を失った。
結局、彼はやってきたエージェントたちに担がれて、地上へと運ばれた後
そのまま支部の医務室へと運ばれ、翌朝まで意識を取り戻す事はなかった。



20:05 蒼崎邸

夕食のカレーを居間のテーブルに並べ終えた直後、幹也は

「佐由理さん、ちょっとお話が」

と彼は佐由理を部屋から連れ出し、志保たちに声が聞こえないように小声で
加えて真剣な表情で言った

「それで、実際はどうだったんですか」

幹也には佐由理が言った事について、誤魔化しがあることに気付いていた。

「さすがに幹也は鋭いわね」

と観念したように言うと

「いや、姉さん達はまだ混乱してるから気づかないだけで、わかりやすいですよ」
「そう・・・・・・・・」

とため息をつく

「それでどうだったんですか?」

と再度聞くと

「例の腕は、Gが回収していた」
「Gが」
「あの腕はGが追ってる怪物の物らしい」

佐由理もまたGの協力者である。しかもGに対し顔が利くため現場のエージェントから
情報を手に入れることは容易い。

「それじゃ姉さん達は、その怪物に襲われていたところをGのエージェントに助けられたと?」
「それがね、どうもエージェント達が駆けつけた時には、もうあの状態だったらしいのよ」
「え?」

と幹也は困惑した様子だ。そして佐由理は真剣な面持ちで

「怪物に襲われたのは状況から考えて間違いない。でも怪物の腕を切り落としたのはエージェントじゃない。状況からみてシンでもなさそうだし」
「それじゃ」
「騎士団か、あるいは最近、噂の仮面ライダーか・・・・・」

そこに、

「佐由理さん、幹也、早くしないと夕飯、冷めるよ。それにシンも狙ってる」

と志保の声が

「わかった。行くよ」

と幹也が答え、二人は居間へと戻る。その最中、佐由理は思った。

(まさか・・・・・・・)

彼女には思い当たる節があった。

(ついに来てしまったのね、この時が・・・・・・・)

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