「1-5」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「1-5」(2009/04/27 (月) 09:18:50) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>410</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:09:18.30
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>母ちゃんは、この時、妹がどこにいたとか、どうやって連れ戻したとか、そんな話は何もしてくれなかった。<br /><br />
あとから妹が話してくれたけど、妹は、前の自宅へいたらしい。<br />
もう父親も引っ越していて、放置状態の家に一人いて、カロリーメイトを食べて時間を過ごしていたんだと。<br /><br />
母ちゃんはこの事で凄く自分を責めたらしいけど、それでも、真っ先に妹がどこにいるか分かった母ちゃんは、やっぱり母親なんだなぁと思う。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>427</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:14:11.52
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>おっと先に言っておくが、釣り宣言はしないよ<br />
だって釣りじゃないもん<br />
正直、身内や当時を知る人には身バレ確実状態だけど、それでもいいとうちの母ちゃんも妹も兄も言ってくれた上で書いてるからな<br />
それでも釣りだという人はネタとして楽しんでくれたらありがたい<br /><br /><br />
その日から、兄はアルバイトを減らしてなるべく家にいるようになった。<br />
収入は減ったらしいが、代わりに母ちゃんが「もっと出世すればいいんでしょ?」とかいって更に勉強を始めてた。<br />
でも、なるべく家で勉強するようになって、少しでも妹のそばにいるようにしていたみたいだった。<br /><br />
私は相変わらずニートで、唯一の仕事は、家族の夕食を作る事。<br />
それでも、美味しい、と兄や母ちゃん。そして妹がそう言ってくれる度に、凄く幸せで、嬉しくなった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>441</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:19:10.44
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>妹の不登校が半年ほど続いた日、合唱祭のお知らせプリントが届いた。<br />
妹は昔から歌う事が大好きで、それを知っている担任が、合唱祭をきっかけに登校出来るように、と気にかけてくれての事だった。<br /><br />
母ちゃんは、「行きたくなきゃ行かなければいい」と言った。<br />
兄は、「ちゃんと学校行かなきゃ、<a href="#1">>>1</a>みたいになるぞ」と冗談めかしに言った。<br />
私は、何も言わなかった。<br /><br />
妹は今更行けない、との一点ばりで、「行きなさい」という兄の前でじっと黙っていた。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>457</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:23:42.01
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>ある日母ちゃんが風呂上がりに突然歌い始めた。<br />
何かと思ったら、会社で合唱部を立ち上げたと言ってた。<br />
妹意識なのは丸わかりだけど、幼い妹は、家で一人合唱の練習をする母ちゃんを見て、目をきらきらさせてた。やっぱり歌が好きらしい。<br /><br />
母ちゃんが妹に、「一緒に歌う?」と聞くと、妹は頭をぶんぶん振って頷き、母ちゃんと一緒に歌ってた。<br />
曲はシラネ<br />
なんか、ふんふんふーん、みたいな曲</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>473</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:28:33.72
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>だって家族承諾もらわなきゃ書けないじゃん<br /><br /><br /><br />
妹は歌がうまい訳じゃない。ただ、歌うのは好きなんだろうなぁと、そう伝わってくるようだった。<br />
母ちゃんは、妹が歌う度に松村邦弘ばりに手を叩いて、妹を褒めた。<br />
「すっごおおおおおおおおおおおおおおおい」<br />
「いやぁーーーうちの歌姫だね」<br />
「TKプロデュースでデビュー出来るんじゃない?」<br /><br />
小室哲也を知らない妹は首をかしげていたけど、それでも母ちゃんに褒められて嬉しそうだった。<br /><br />
こんなに上手なら、もっともっと多くの人に聞いてもらえたらいいなぁ、と母ちゃんが言って、自慢の娘をもっと自慢したいと言った。<br />
それを聞いて、妹は泣きだした。<br />
「学校いかないから、いい子じゃない」<br />
「○○(妹)は自慢できる子じゃない」</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>488</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:32:38.94
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>母ちゃんの凄い所は、子供の良さを最大限に引き出すことだと思う。<br />
母ちゃんは決して、子供の人格を否定しない。この時だってそうだった。<br /><br />
「生きてご飯食べてうんこしてくれていれば、それだけで自慢出来るよ」<br />
あ、何か文字に起こすと何でもない言葉なんだけど、その時の母ちゃんは凄い説得力があるというか、素直に、「あぁ、そうなんだぁ」って思える言葉を使っていたと思う。<br />
だって現に、それを聞いて妹はすぐ泣きやんで、しっかり頷いていたし、学校に行ったらもっと自慢になる?と聞いてた。<br />
「行っても行かなくてもどっちでもいいよ」と母ちゃんは言って、そこまで見届けてから、自分はまた遊びに出かけた。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>503</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:37:22.64
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>翌日の朝、妹がランドセルを背負っていた。<br />
朝兄にたたき起こされて、何だと思ったら、黄色い帽子に赤いランドセルを背負った妹が、名札を探してた。<br /><br />
学校へ行くの?と聞いたら、小学生はみんな学校行くでしょと普通に返されて、びっくりした。<br />
玄関前で何度かえずいていた妹。母ちゃんに「無理しなくてもいい」と言われたのに、「絶対大丈夫」といって、9歳の小さい妹は、見事にマンションの通学班へ混じりにいった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>517</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:40:55.79
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>子供は凄い、と思った。<br />
兄と母ちゃんと私で、通学班の班長さんに「よろしくお願いします」と言ったんだけど、何の疑いもなく、というか、何の違和感もなく、突然混ざった妹とみんなで仲良く話し始めたからね。<br />
これ、高学年だらけの班だったらまた変わってただろうけど、低学年の多い通学班だったから、それが良かったのかもしれない。<br /><br />
妹を見送った母ちゃんは目をうるうるさせて、仕事へ行き。兄もバイトへ出かける。<br />
今まで妹と二人だった家で突然一人になり、なんだか物悲しさを感じた。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>528</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:44:15.70
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>どこへ遊びに行ってるって、別にどこか特別な場所とかじゃなくて、普通だよ。<br />
中学時代の先輩の家とか。特に面白い事なんもないよ。普通にDQNな感じを想像そてくれればいい。<br /><br /><br />
私は何をしてるんだろう、と思った。<br />
なんか、妹が更生…といったら変だけど、あんなに小さいのに頑張って不登校を克服してるのに、私はいまだにニートだし。<br />
楽しみなんてないし、兄に小遣いせびって遊ぶ日々。<br />
屑人生だな、と。この時初めて実感して泣いたんだよ。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>531</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:47:05.02
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>オヤジに似てる、とこのスレの誰かも言ってたけど、間違いなくそうだな。<br />
妹と兄は母ちゃん似。私はオヤジ似。<br /><br />
家出しなきゃいけないのは妹じゃなくて私だったんだなーと思って、なんか無償に悲しくなった。<br />
悲しくなったらお腹すいたので、飯を買いに出かけた。<br />
今朝は妹を送り出して母ちゃんがご飯作る時間なかったからな。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>537</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:50:37.58
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>眠いぞ眠いぞ<br />
こりゃ一回寝るかもしれん<br /><br /><br />
近所の某ドラ○もんがキャラクターの寿司屋さんに行ったら、当然だけどみんな働いてた。<br />
レジ売ったり、寿司握ったりしてた。<br />
なんか恥ずかしくなったから、寿司買わずに店を出た。<br /><br />
次いでスーパーに出かけたら、やっぱりみんな働いてた。<br />
ここでも恥ずかしくなった。<br /><br />
ぶらぶら歩いてたら、母ちゃんの会社(てか工場)の近くまで来た。<br />
時計みたらもうすぐ母ちゃんの休憩時間だったから、ついでに一緒にご飯食べようと思って会社を覗いた。<br /><br />
母ちゃんも働いてた。当然だけどさ。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>542</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:53:29.47
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>工場と隣接するように事務室があるんだけど、20人くらいの人がばたばた働いてて、なんか場違いな気がした。いや、場違いなのは間違いないが。<br /><br />
自分を見つけた母ちゃんは驚いた顔をして、「ここは会社だから勝手に入ってくるな」と静かに自分を咎めた。<br />
また恥ずかしくなった。<br /><br />
もうすぐ休憩だから一緒にご飯食べようと言ったら、母ちゃんは「美味しいラーメンおごってあげる」と言ってくれた。<br />
会社の近くに、美味しいラーメン屋があるらしい。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>552</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:55:37.05
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>事務室の外で母ちゃんの休憩を待っていたら、12時少し回った所で母ちゃんが出てきた。<br />
母ちゃんが出てきたと同時に、たくさんの人が出てきた。<br />
その人達はみんな、母ちゃん目当てだとすぐ分かった。<br /><br />
こぞって母ちゃんに話しかけるみんな。<br />
ご飯に母ちゃんを誘うみんな。<br />
自分の母ちゃんなのに、何だか盗られた気になって腹がたった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>565</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:00:15.48
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>母ちゃんは、みんなに自分を紹介してくれた。<br />
「自慢の娘でーす」とか言って、「うちのコックさん」と紹介してくれた。<br />
どうやら母ちゃんは、私が夕食を作っている事をまた社報で書いたらしく、みんなは「あぁ、あの子ですか」とすぐ分かったようだった。<br /><br />
「<a href="#1">>>1</a>の作る料理は世界一なのよ」<br />
そう口火を切って母ちゃんは私を同僚に見せびらかすように褒めちぎり始めた。<br />
中には親ばかぶりに呆れた顔をしてた人もいたし、なんかこの時は、褒められて嬉しいというよりも「恥ずかしい」の意識の方が特に強かった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>571</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:02:54.81
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>ラーメン屋でも、やっぱりみんな働いてて、私は小さく小さくなりながらラーメンを食べた。<br />
ラーメン屋の隅にアルバイト募集のチラシが貼ってあって、自給が750円と書いてあった。<br />
その日私が食べたチャーシューメンと同じ金額。私が黙って食べたこのチャーシューメンは、このお店で一時間働かなきゃ食べられない物なんだと、そんな当たり前の事を改めて痛感した。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>583</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:06:49.23
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>その日帰ってから、母ちゃんに話した。<br />
今日は一日何だか恥ずかしかった。妹は頑張ってるのに、私は何してるんだろうと思った。外に出て改めて周兄りをみたら、みんな働いてた。それが恥ずかしかった。<br />
支離滅裂な言葉をつらつら並べる私に、勉強しなきゃいけないであろう母ちゃんなのに、じっと黙って話を聞いてくれた。<br />
その日妹は、合唱祭の楽譜を持ち帰ってきて、楽しそうに練習していた。<br /><br />
私は、もう消えてしまいたいと思った。<br />
働けよ、と今なら思う。だけど、じゃあ働こうって思考がなかったんんだよね、当時。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>594</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:11:29.13
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>目標がない、と言った自分に、母ちゃんは少し悩んで、じゃあ今何が一番したい?と聞いた。<br />
ちょっと考えて、「恥ずかしくない毎日がほしい」と、思った事をそのまま言った。<br /><br />
そしたら母ちゃんは、じゃあまず、家の事から始めようと言って、こんな提案をしてくれた。<br /><br />
夕食だけ作ってた今だけど、昼食も作ってみる。昼食作りに慣れたら、朝食も作ってみる。<br />
「そんな事、普通じゃん。別に偉くもなんともないし、それで恥ずかしくない毎日が送れるとは思えない」と言ったら、母ちゃんは怒った顔をした。<br /><br />
やろうと思った事をやりとげる、それが自信につながっていくんだから、結果立派なんだ。<br />
昼食作りが普通?じゃあアンタは何でその普通が出来ないの?<br /><br />
あぁ、もっともだと思った。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>599</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:13:45.38
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>自分で普通だと思ってる事が出来ない。出来ないんじゃなくて、やらないだけ。<br />
やらないから、自信がなくなってく。でも、普通だ、という意識があるのであれば、絶対出来るはず。<br />
自信を取り戻すためにもやってみろ、とか。なんかそんな事を言ってたと思う。<br /><br />
とりあえず、母ちゃんの勉強の邪魔しちゃいけないし、そこで「分かった」と言って、部屋に戻った。<br />
その日は、なんか遊びにいく気分じゃなくて、ずっと部屋でごろごろしてたと思う。</p>
<p> </p>
</div>
<p> <a target="_self" href="http://www42.atwiki.jp/kaachansugoi/pages/41.html">www42.atwiki.jp/kaachansugoi/pages/41.html</a></p>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>410</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:09:18.30
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>母ちゃんは、この時、妹がどこにいたとか、どうやって連れ戻したとか、そんな話は何もしてくれなかった。<br /><br />
あとから妹が話してくれたけど、妹は、前の自宅へいたらしい。<br />
もう父親も引っ越していて、放置状態の家に一人いて、カロリーメイトを食べて時間を過ごしていたんだと。<br /><br />
母ちゃんはこの事で凄く自分を責めたらしいけど、それでも、真っ先に妹がどこにいるか分かった母ちゃんは、やっぱり母親なんだなぁと思う。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>427</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:14:11.52
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>おっと先に言っておくが、釣り宣言はしないよ<br />
だって釣りじゃないもん<br />
正直、身内や当時を知る人には身バレ確実状態だけど、それでもいいとうちの母ちゃんも妹も兄も言ってくれた上で書いてるからな<br />
それでも釣りだという人はネタとして楽しんでくれたらありがたい<br /><br /><br />
その日から、兄はアルバイトを減らしてなるべく家にいるようになった。<br />
収入は減ったらしいが、代わりに母ちゃんが「もっと出世すればいいんでしょ?」とかいって更に勉強を始めてた。<br />
でも、なるべく家で勉強するようになって、少しでも妹のそばにいるようにしていたみたいだった。<br /><br />
私は相変わらずニートで、唯一の仕事は、家族の夕食を作る事。<br />
それでも、美味しい、と兄や母ちゃん。そして妹がそう言ってくれる度に、凄く幸せで、嬉しくなった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>441</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:19:10.44
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>妹の不登校が半年ほど続いた日、合唱祭のお知らせプリントが届いた。<br />
妹は昔から歌う事が大好きで、それを知っている担任が、合唱祭をきっかけに登校出来るように、と気にかけてくれての事だった。<br /><br />
母ちゃんは、「行きたくなきゃ行かなければいい」と言った。<br />
兄は、「ちゃんと学校行かなきゃ、<a href="#1">>>1</a>みたいになるぞ」と冗談めかしに言った。<br />
私は、何も言わなかった。<br /><br />
妹は今更行けない、との一点ばりで、「行きなさい」という兄の前でじっと黙っていた。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>457</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:23:42.01
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>ある日母ちゃんが風呂上がりに突然歌い始めた。<br />
何かと思ったら、会社で合唱部を立ち上げたと言ってた。<br />
妹意識なのは丸わかりだけど、幼い妹は、家で一人合唱の練習をする母ちゃんを見て、目をきらきらさせてた。やっぱり歌が好きらしい。<br /><br />
母ちゃんが妹に、「一緒に歌う?」と聞くと、妹は頭をぶんぶん振って頷き、母ちゃんと一緒に歌ってた。<br />
曲はシラネ<br />
なんか、ふんふんふーん、みたいな曲</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>473</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:28:33.72
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>だって家族承諾もらわなきゃ書けないじゃん<br /><br /><br /><br />
妹は歌がうまい訳じゃない。ただ、歌うのは好きなんだろうなぁと、そう伝わってくるようだった。<br />
母ちゃんは、妹が歌う度に松村邦弘ばりに手を叩いて、妹を褒めた。<br />
「すっごおおおおおおおおおおおおおおおい」<br />
「いやぁーーーうちの歌姫だね」<br />
「TKプロデュースでデビュー出来るんじゃない?」<br /><br />
小室哲也を知らない妹は首をかしげていたけど、それでも母ちゃんに褒められて嬉しそうだった。<br /><br />
こんなに上手なら、もっともっと多くの人に聞いてもらえたらいいなぁ、と母ちゃんが言って、自慢の娘をもっと自慢したいと言った。<br />
それを聞いて、妹は泣きだした。<br />
「学校いかないから、いい子じゃない」<br />
「○○(妹)は自慢できる子じゃない」</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>488</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:32:38.94
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>母ちゃんの凄い所は、子供の良さを最大限に引き出すことだと思う。<br />
母ちゃんは決して、子供の人格を否定しない。この時だってそうだった。<br /><br />
「生きてご飯食べてうんこしてくれていれば、それだけで自慢出来るよ」<br />
あ、何か文字に起こすと何でもない言葉なんだけど、その時の母ちゃんは凄い説得力があるというか、素直に、「あぁ、そうなんだぁ」って思える言葉を使っていたと思う。<br />
だって現に、それを聞いて妹はすぐ泣きやんで、しっかり頷いていたし、学校に行ったらもっと自慢になる?と聞いてた。<br />
「行っても行かなくてもどっちでもいいよ」と母ちゃんは言って、そこまで見届けてから、自分はまた遊びに出かけた。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>503</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:37:22.64
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>翌日の朝、妹がランドセルを背負っていた。<br />
朝兄にたたき起こされて、何だと思ったら、黄色い帽子に赤いランドセルを背負った妹が、名札を探してた。<br /><br />
学校へ行くの?と聞いたら、小学生はみんな学校行くでしょと普通に返されて、びっくりした。<br />
玄関前で何度かえずいていた妹。母ちゃんに「無理しなくてもいい」と言われたのに、「絶対大丈夫」といって、9歳の小さい妹は、見事にマンションの通学班へ混じりにいった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>517</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:40:55.79
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>子供は凄い、と思った。<br />
兄と母ちゃんと私で、通学班の班長さんに「よろしくお願いします」と言ったんだけど、何の疑いもなく、というか、何の違和感もなく、突然混ざった妹とみんなで仲良く話し始めたからね。<br />
これ、高学年だらけの班だったらまた変わってただろうけど、低学年の多い通学班だったから、それが良かったのかもしれない。<br /><br />
妹を見送った母ちゃんは目をうるうるさせて、仕事へ行き。兄もバイトへ出かける。<br />
今まで妹と二人だった家で突然一人になり、なんだか物悲しさを感じた。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>528</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:44:15.70
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>どこへ遊びに行ってるって、別にどこか特別な場所とかじゃなくて、普通だよ。<br />
中学時代の先輩の家とか。特に面白い事なんもないよ。普通にDQNな感じを想像そてくれればいい。<br /><br /><br />
私は何をしてるんだろう、と思った。<br />
なんか、妹が更生…といったら変だけど、あんなに小さいのに頑張って不登校を克服してるのに、私はいまだにニートだし。<br />
楽しみなんてないし、兄に小遣いせびって遊ぶ日々。<br />
屑人生だな、と。この時初めて実感して泣いたんだよ。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>531</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:47:05.02
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>オヤジに似てる、とこのスレの誰かも言ってたけど、間違いなくそうだな。<br />
妹と兄は母ちゃん似。私はオヤジ似。<br /><br />
家出しなきゃいけないのは妹じゃなくて私だったんだなーと思って、なんか無償に悲しくなった。<br />
悲しくなったらお腹すいたので、飯を買いに出かけた。<br />
今朝は妹を送り出して母ちゃんがご飯作る時間なかったからな。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>537</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:50:37.58
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>眠いぞ眠いぞ<br />
こりゃ一回寝るかもしれん<br /><br /><br />
近所の某ドラ○もんがキャラクターの寿司屋さんに行ったら、当然だけどみんな働いてた。<br />
レジ売ったり、寿司握ったりしてた。<br />
なんか恥ずかしくなったから、寿司買わずに店を出た。<br /><br />
次いでスーパーに出かけたら、やっぱりみんな働いてた。<br />
ここでも恥ずかしくなった。<br /><br />
ぶらぶら歩いてたら、母ちゃんの会社(てか工場)の近くまで来た。<br />
時計みたらもうすぐ母ちゃんの休憩時間だったから、ついでに一緒にご飯食べようと思って会社を覗いた。<br /><br />
母ちゃんも働いてた。当然だけどさ。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>542</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:53:29.47
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>工場と隣接するように事務室があるんだけど、20人くらいの人がばたばた働いてて、なんか場違いな気がした。いや、場違いなのは間違いないが。<br /><br />
自分を見つけた母ちゃんは驚いた顔をして、「ここは会社だから勝手に入ってくるな」と静かに自分を咎めた。<br />
また恥ずかしくなった。<br /><br />
もうすぐ休憩だから一緒にご飯食べようと言ったら、母ちゃんは「美味しいラーメンおごってあげる」と言ってくれた。<br />
会社の近くに、美味しいラーメン屋があるらしい。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>552</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 07:55:37.05
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>事務室の外で母ちゃんの休憩を待っていたら、12時少し回った所で母ちゃんが出てきた。<br />
母ちゃんが出てきたと同時に、たくさんの人が出てきた。<br />
その人達はみんな、母ちゃん目当てだとすぐ分かった。<br /><br />
こぞって母ちゃんに話しかけるみんな。<br />
ご飯に母ちゃんを誘うみんな。<br />
自分の母ちゃんなのに、何だか盗られた気になって腹がたった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>565</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:00:15.48
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>母ちゃんは、みんなに自分を紹介してくれた。<br />
「自慢の娘でーす」とか言って、「うちのコックさん」と紹介してくれた。<br />
どうやら母ちゃんは、私が夕食を作っている事をまた社報で書いたらしく、みんなは「あぁ、あの子ですか」とすぐ分かったようだった。<br /><br />
「<a href="#1">>>1</a>の作る料理は世界一なのよ」<br />
そう口火を切って母ちゃんは私を同僚に見せびらかすように褒めちぎり始めた。<br />
中には親ばかぶりに呆れた顔をしてた人もいたし、なんかこの時は、褒められて嬉しいというよりも「恥ずかしい」の意識の方が特に強かった。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>571</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:02:54.81
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>ラーメン屋でも、やっぱりみんな働いてて、私は小さく小さくなりながらラーメンを食べた。<br />
ラーメン屋の隅にアルバイト募集のチラシが貼ってあって、自給が750円と書いてあった。<br />
その日私が食べたチャーシューメンと同じ金額。私が黙って食べたこのチャーシューメンは、このお店で一時間働かなきゃ食べられない物なんだと、そんな当たり前の事を改めて痛感した。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>583</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:06:49.23
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>その日帰ってから、母ちゃんに話した。<br />
今日は一日何だか恥ずかしかった。妹は頑張ってるのに、私は何してるんだろうと思った。外に出て改めて周兄りをみたら、みんな働いてた。それが恥ずかしかった。<br />
支離滅裂な言葉をつらつら並べる私に、勉強しなきゃいけないであろう母ちゃんなのに、じっと黙って話を聞いてくれた。<br />
その日妹は、合唱祭の楽譜を持ち帰ってきて、楽しそうに練習していた。<br /><br />
私は、もう消えてしまいたいと思った。<br />
働けよ、と今なら思う。だけど、じゃあ働こうって思考がなかったんんだよね、当時。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>594</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:11:29.13
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>目標がない、と言った自分に、母ちゃんは少し悩んで、じゃあ今何が一番したい?と聞いた。<br />
ちょっと考えて、「恥ずかしくない毎日がほしい」と、思った事をそのまま言った。<br /><br />
そしたら母ちゃんは、じゃあまず、家の事から始めようと言って、こんな提案をしてくれた。<br /><br />
夕食だけ作ってた今だけど、昼食も作ってみる。昼食作りに慣れたら、朝食も作ってみる。<br />
「そんな事、普通じゃん。別に偉くもなんともないし、それで恥ずかしくない毎日が送れるとは思えない」と言ったら、母ちゃんは怒った顔をした。<br /><br />
やろうと思った事をやりとげる、それが自信につながっていくんだから、結果立派なんだ。<br />
昼食作りが普通?じゃあアンタは何でその普通が出来ないの?<br /><br />
あぁ、もっともだと思った。</p>
<p> </p>
</div>
<p> </p>
<div class="header"><span class="no"><a>599</a></span><span class="name_label">名前:</span><span class="name"><strong>以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします</strong></span><span class="date_label">投稿日:</span><span class="date">2009/04/16(木) 08:13:45.38
ID:Ax0QvrS80</span></div>
<div class="mes">
<p>自分で普通だと思ってる事が出来ない。出来ないんじゃなくて、やらないだけ。<br />
やらないから、自信がなくなってく。でも、普通だ、という意識があるのであれば、絶対出来るはず。<br />
自信を取り戻すためにもやってみろ、とか。なんかそんな事を言ってたと思う。<br /><br />
とりあえず、母ちゃんの勉強の邪魔しちゃいけないし、そこで「分かった」と言って、部屋に戻った。<br />
その日は、なんか遊びにいく気分じゃなくて、ずっと部屋でごろごろしてたと思う。</p>
<p> </p>
</div>
<p> <a target="_self" href="http://www42.atwiki.jp/kaachansugoi/pages/41.html">1-6へ</a></p>