ある日にトレーナーと一緒に昼ごはんを食べていたら、トレーナーが「あんた、ちょくちょく休憩中に厨房のぞいてるでしょ?」と聞いてきた。「あぁ、なんか頑張ってるなぁと思って見てました」「残念だけど、あの子には握りの才能はないね。才能はないけど、努力の虫だし若いから、あっというまに人並みには握れるようになったよ」握りの才能はないという言葉に正直ほっとしながら、「じゃあ、これからは忙しい時レジ兼用で握ってもらえるから楽になりますね」と言った。トレーナーは、「まぁそうだけど、あの子のゴールは店の役に立つことじゃなくて、えんがわを握れるようになる事だからね」と私の顔をじーっと見ながら言った。「悪いですけど、私えんがわにはうるさいですよ」「そんなのみんな知ってるよwwwwだからあの子も死に物狂いなんだろwwww」あんたから寿司の才能を除いたら本当、ただの馬鹿でしかないねwwww人の気持ちが分からないただの馬鹿だねwwwwとトレーナーがけらけら笑うので、トレーナーの醤油皿にチューブわさびを10センチほど入れてやった。
それからまたある日、変なハゲ客に名倉が絡まれていた。絡まれていたというか、怒鳴り散らされていた。何事かと思ってレジへ向かったら、ハゲは「寿司屋に外人をレジに置くなんて、お前の店はおかしいんじゃないのか!?」と私に怒鳴ってきた。「失礼ですけど、彼女は日本人です。海外出身ではありません」「じゃあ証拠見せろよ!証拠!名札の名前だって、明らかに偽名じゃねーか!!」(前も書いたけど、名倉の本名はなかなか珍しいTHE!日本!という名前)今までに何回か、こうして名倉の容姿に突然怒り出す客もいたが、怒りだすというか、ちょっときつめにイヤミをいっておしまいな客ばかりだったのに、この客はやたらしつこい。 なんでこんなに話が飛躍したのか聞いた所、客が言い捨てるように言った注文が名倉は聞きとれず、「もう一度お願いします」と言ったら、「お前日本語も分からないくせにレジに立ってじゃねーよ!お前外人だろコラ、俺に偉そうな口聞きやがって(略 」という流れだったようだ。 まぁ一言でいえばただのクレーマーなので、こういう客は相手するだけ時間の無駄。「とにかく、うちのレジは日本人ですから」と言い捨てて、さっさと注文しろよ、光の速さで握ってやるからさっさと持って帰って二度と来るな、という言葉をオブラート1枚に包んで伝えた。
私の対応にもカチンときたらしい客。「一流店ではなぁ、こういう時土下座するもんなんだよ!なんだお前のその態度! 正 社 員 のバッチつけてんだからお前が責任者だろーが、今すぐ土下座しろ!!」お前みたいなやつがやってる店だからろくでもない店なんだろ、こんな店俺なら電話一本で潰せるぞ、お前は人間のクズだな、こんな外人もどきのバイトなんかどうせ他に働き口がなくて仕方なくこんな店で働いてるんだろうハゲクレーマーは、ねちねちねちねち詰め寄ってくる。だが残念な事に全くそんなねちねちは性格上気にしないので、「はいはい」「あぁ、そうですね」と全て受け流していた。 クレーム対応としては0点なんだろうけど、あとからトレーナーに怒られるかもしれないけど、別にいいやと思った。
ハゲには合わなかったかもしれないけど、うちの名倉はこの地域で一番のレジ打ちです。それは間違いありません。ただし、今日は注文が聞きとれなかったようなので、帰りに責任持って耳鼻科に連れていくのでそれで許して下さい。と言った。 ハゲは、「耳鼻科の前に頭の病院行けよ!」と怒鳴って、結局何も買わずに帰っていった。めんどくせーオヤジだったね、と名倉に言ったら、名倉がぼろぼろ泣き始めてしまった。レジ前で誰が見てるか分からないので、厨房のすみに連れていって、「気にしたら負けだよ、きっと髪の毛が抜けて機嫌悪かっただけだよ」と言ったら、名倉は「そうじゃなくて、クズ子先輩に一番のレジ打ちだって言ってもらえて嬉しかったので、これは嬉し泣きです」と言った。 言葉のあやというか、気にしてないとはいいつつ若干自分を馬鹿にされて腹が立ったので思わず言っただけなのに、名倉は真っ白な歯をむき出しにしてびーびー泣いている。
なんか、急に恥ずかしくなってきた。人を褒めた事なんかほとんどないし、そもそも褒めたつもりもないのに、現に名倉は目の前で「クズ子先輩が褒めてくれたーーー!!!」とガッツポーズを取りながら泣いているし。 シャリ炊き場からパートさんが「なんの騒ぎだ」と覗きにきて、ビービー泣いてる名倉と私を見て。「クズ子ちゃん、何も泣かせる事ないでしょ!!」と意味不明にいきなり怒られた。 違うと弁明する前に、名倉はパートさんへ駆け寄って、「クズ子先輩が~~」といきさつを話し始めた。この日、夜に来たトレーナーにも、翌日朝から出勤してきたパートさんにも、浅見さんにも、名倉は私との話を自慢し続けたようだった。 話が飛躍し過ぎて、ある日久しぶりに会ったパートさんから「名倉ちゃんを守って、痴漢もどきのお客さんを殴り倒したらしいじゃない。暴力は駄目よ、トレーナーは知ってるの?店の信用問題に~~」と説教される日もあった。
確かに私は無愛想だけど、このパート連中の決めつけにはさすがに腹が立った。連日連日なので、イライラしながらきゅうりを叩き切っていたら、浅見さんが「あんたのまかない、今日は私が作ってあげる」と言った。「あんたが先輩になれたお祝いだから、特別にウニも入れてあげる」と言って、浅見さんは私の肩をぽこぽこ叩いてくれた。「偉いじゃん」と言われて、有頂天になった私は、「まぁ、新人を褒めて伸ばすのも先輩の仕事っすからねwwwwww当然の事をしたまでっすよwwww」と誇らしく言った。浅見さんは、「今日だけは調子に乗らせてあげるかww」と言って、えんがわとウニ入りのまかないを作ってくれた。これで名倉との話はほぼおしまい。キリがいいので今日はここまででさようなら。
うんこなんてはしたない。釈由美子似の私はそんなはしたない物はしませんよ。今日もwiki厨、そして遅くまで付き合って下さった人ありがとうございました!うんこして寝ます!
私の第一夫人は何を隠そうwiki厨だからな。http://imepita.jp/20090425/050680そんな嫁を思ってうんこ漏らしながら描いた。きっとこんな可愛い女の子が「クズ子さん素敵…!」と思いながら日々更新しているんだろうと思っている。いや、間違いなくそうだ。 絶 対 そ う だ 。まぁ、クズ子の才能に感動のあまり全員うんこ漏らした所で再開名倉が入店する少し前、母ちゃんと私は、何度も何度も“就職”について話し合っていた。ぶっちゃけ、母ちゃんは反対だったんだと思う。外食産業という物はここ何日かで目を通した資料で少しずつ理解はしたようだけど、それでも不安は残るらしい。まだ私は若いし、いくらでも学校へ行き直して、新卒として入れる職種があるんじゃないか、と本気で悩んでいたようだ。私は正直言って、どちらでもよかった。就職しなきゃ生きていけない訳じゃないし、とりあえず食っていけるだけのお金が稼げれば良かった。ある日、かなり大きな注文が入った。懇談会だか何かで出すための寿司、30人前の注文だったと思う。30人前はかなりでかい。うちとしても利益が大きいし、何よりもこういう大型注文は、みんなで一丸となって作るので、人間関係の向上にもつながる。
決まったネタではなく、あくまでも予算を提示してきた客の、その予算内に収めて寿司をあ握る。つまり、何もない所から自分のセンスで一枚の皿を完成出来るわけだよ。 私はそういう作業が大好きなので、打ち合わせの段階からわくわくしていた。ここにウニを入れてしまうと原価が割れてしまうから、ここは半分きゅうりの半分ウニ軍艦を入れようとか、そんな打ち合わせを連日遅くまでみんなで残って話し合う。 修学旅行の打ち合わせみたいで楽しいと思った。何より、私が入社してから、こんなにも大きな大型注文は初めてだったので、はじめてこなす物に、やる気でいっぱいだったと思う。
当日詰めるネタも決まり、前日の大型仕込みも終了した。翌日は、出勤出来るパートさん全員と、私、浅見さん、トレーナーのレギュラーメンバーが朝一番で出勤する事になっていた。トレーナーが打ち合わせの最後に、「明日の指揮は、クズ子でいきます」とパートさんに向けて言った。ここで説明しよう!うちの店でいう“指揮”とは、その名の通り全体のバランスを考えながら、この人にはこれだけの仕事、この人にはこの仕事…と割り振っていく立場だ!いつもはトレーナーが取る指揮を取らせてもらえるらしい。「私でいいんですか」と聞いたら、「あんた以外誰がやるの」と返された。ですよねwwwwww私しかいないっすよねwwwwwwとちゃらけて返したら、トレーナーは、ただ「期待してる」とだけ言って、もう上がっていいと私に言った。
期待されると答えたくなる性分らしいので、何だか妙に気合いが入った。帰ってから早々、PCの電源も入れずに、即風呂へ入って、即寝た。明日のためにと思った。翌日、目ざましよりも早く目が覚めて出勤したら、すでにトレーナーが来ていた。さっそくシャリを炊いていた。店が開店してしまうと、通常客の注文を優先的に作らなくてはいけないので、朝のうちに注文分の寿司をどれだけ握れるかがポイント。だけど、生ものは時間制限があるので、あまり早くに握っても駄目。用意された6人前のパーティー皿が5枚。そこへ、時間制限のない巻物やネタから握られは詰められていき、大きいパズルを組み立てているようだと思った。
人数が多いし、この大人数で全員取りかかっている仕事は同じ。そうなると、特にみんなの気合いが違う。ただ、もちろん私は嫌われ者なので、私の指揮を無視して勝手に作業を進めるパートさんもいた。だけど、そんなパートさんですら、同じパート同士で注意しあってくれる。「指揮の言う事聞きなさいよ!」と言って、私が指示した持ち場に戻るように注意してくれる。 同じ目標をもって取りかかるのは、良い事だと思った。
5枚のうち、一皿だけは子供用にサビ抜きで注文のはずになっていた。なので、それ通りに指示を進めていたんだけど、ここで注文票を見直して、大きな事に気付いた。子供の人数が、10人以上いる。絶対一皿じゃ足らない。ていうか、昨日まで子供の人数はここまで多くなかった。なんで人数が変わっているんだと思ってみんなに聞いたら、一人影の薄いパートさんが、「さっき電話で追加注文頂いたので、注文票直しました」と言った。 直したなら直したでちゃんと報告してよ!と言ったら、「声かけましたよ」とムスっとした顔で、パートさんは私を睨んできた。多分、作業に夢中でパートさんの声を聞いていなかったんだと思う。 もう一枚5人前のさび抜き寿司を作るには時間もぎりぎり過ぎるし、何よりまた予算が変わってしまう。人数は増えたのに予算は変わらないらしいので、下手したら一からやり直しになるかもしれない。
困ったのでトレーナーに助けを求めたら、トレーナーは「今日の指揮はあんたでしょ」と言った。あれだけ本社で企画案提出したんだから、その頭をひねりなさいと言われた。 あまりの無茶ぶりに、イライラしたのでこっそりウニを大量につまみ食いしてやったけど、でも、トレーナーの言う通り、ここで私が何とかしないと、どうにもならない。 でも、また一から電卓をたたき直す時間もない。奥で一人頭を抱えていたら、トレーナーが、「うちで一番安い寿司は何?」と聞いてきた。「イカとタコですね」「じゃあ、イカとタコよりも安いものは何?」「ないですね」「なくないでしょ、“握り”のイカとタコよりも安いもの、あるでしょ」少ない脳味噌をフルに使えと言われたて、考えた。だけどやっぱり何も思い浮かばない。というか、イカとタコと戦友関係をつくりあげすぎて、今更イカとタコよりも下の存在が思いつかなかった。
云々うなっていた私の頭から煙が噴き出ていたんだろう。トレーナーは、コップに水をついで差し出してくれて、メニュー表を持ってきてくれた。「6人前の皿を埋めるには何カン必要?」「55カンっすね、握りだけで」「55カンも握れないなら、どうすればいいのよ」「…あぁ、」「うちで一番安い一人前寿司は、どうやって皿を埋めてるの?」「巻物ですね」なら、さっさと巻いてこいと言われて、尻を叩かれた。巻物の材料、特に子供が好きな卵やかっぱ巻きや納豆は、原価がほとんどかからない。原価高めの鉄火巻きをいれるにしても、巻物にしてしまえば、握りを5カン並べる所が1本の巻物で埋まるんだよ。 慌てて巻物作り始めた私は、もくもくととにかく安くて、ガキが好きそうなネタを選んだ。たまご、きゅうり、鉄火、納豆。あと、おしんこ。一番安いイカ握りで皿を埋めるより、その半分の値段で一枚皿が埋まった。かなりすかすかだったけど、巻物の良い所は、すかすかでも並べ方一つでたくさん入っているように見える所だね。
出来あがった合計6皿の寿司値段を計算したら、やっぱり無理に増やした巻物のせいで若干予算はオーバーしていた。だけど、まだまだ黒字が出るレベルだ。6皿目最後の皿にガリを詰めて、ふたをしてから、厨房の人間の間でどっと拍手が沸いた。お疲れ様、と言い合っているパートさんをしり目に、とりあえず終わった事にほっとして、座り込んだ。浅見さんが、「あんたの巻物提案、凄く良かったよ。お疲れ様」と言って、ジュースを買ってくれた。あの提案はトレーナー発案なのにと思って言おうとしたら、トレーナーが「黙っておけ」という顔をした。帰り際に、トレーナーは「職場って良いでしょ」と聞いてきた。「みんなで何かやり遂げるのは良いですね」と返したら、「あんたにもそれを分かってほしかった」良かった、あんたの小さい頭でも理解できたかwwwwと笑っていた。この一件で、ただ漠然と、この店にずっといたいなと思った。
パートのおばちゃんはむかつくし、レジに出ても客から怒られるし、ただ寿司が好きなだけの人だけど、でも寿司が好きというか、この店が好きなんだと改めて思った。 だから勤めたいし、これからもいたいと思ったので、母ちゃんにそれを伝えた。「社員になろうと思う」と言ったら、母ちゃんは「それは、自分の意思で決めた事?」と聞いてきた。なので、「私の意思だ」と言ったら、「よし!ならやりなさい」と母ちゃんは言った。 勤めるからには、やめるなとは言わないが、全力をつくせと言われた。「あんたの人生のフィールドが、○○寿司になれるように母ちゃんは応援する」とも言ってくれた。そんなに重大な事を決めた意識がなくて、母ちゃんの言葉がピンとこなかったけど、それでも何か「偉い偉い」と褒めてもらえたので、嬉しいからまぁいいかと思った。
これが私が社員になるまでのいきさつ。そして、実はこんな中途半端で申し訳ないが、もう他にネタがない。なので、尻切れトンボのようで申し訳ないけど、事実上これで話はおしまいです。何か聞きたい事とか、これはどうなったんだよ?的な事があれば言ってくれれば書きます。
もっと小説のような感動的ラストを想像してた人すみません。私の話のピークは、母ちゃんが部長昇進した所です。ほんとすみません。
>>717
してます。寿司屋で働きながら、衣装作りをしてます。前に営業電話をかけていましたが、あれは衣装をオーダーしてくれた人との打ち合わせ電話です。
>>720
>>721>>722参照
>>723食べてない。名倉は数年たって、大学生になった今でも握りはへたくそなので高いネタは与えられない。>>724うーん、今は常連客オンリーの衣装オーダーしかしてない。新規客の申し込み受付もしてない。ので、答えとしてはNO。創作欲求は、あるっちゃあるけど、文字も絵も書けないので、形にする術がないのが本音かね>>728習ってる。あ、ちなみに母ちゃんとオヤジ再婚が決まったんだった。それで興奮してVIPにスレ立てした事を今思いだした。まぁ、再婚といってもまだ口約束で、一緒に住んだりもしてないけどね。
>>731ううん、今も部長止まり。むしろ部長までの道のりがトントン拍子過ぎたんだと思うと母ちゃんが言ってた。>>732カバと一緒にうんこしてよって話?>>735してます。今でもキリストオーラ全快です。ついでに最近あいつはおほめの言葉をもらっていました。>>736寿司が食べれればいいかな、という気持ちのままだな。仕事がきついとは思わないけど、やっぱそれでもたまにフラっと休みたくなる時もある。そういう時はVIPでスレ立ててストレス発散してる。>>737兄は結婚したし、妹は立派に進学高校へ入学。父母の再婚も決まって、円満なのではないでしょうか。>>738ないので今も現在進行形で戦っている。>>739書いてないな。>>740^^
>>744衣装にもよるけど、大体平均して一着の取り分1万~だな。>>746どうなったとは?オヤジはもうとっくに自己破産して、弁護士に債務整理頼んでて、弁護士費用の分割もすでに終わってる>>747妹JK兄は結婚>>751分からない。正直、全然変わっていないとは思うけど、周りいわく変わったらしい。
じゃあまぁこんな所で。またきっと、VIPにスレ立てすると思うから、クズ子だって事はあかさないけど、またどこかで会えたらいいなと。
質問には最後まで答える>>770貯金はしてる。今はひらめ貯金してるところ。>>773あるっちゃあるけど、ないっちゃない。>>774来てどうするんだよwwww
wiki厨最後までありがとうございました。みんなもありがとうございました。一人でも多くの人が、うんこモリモリしますように。うちの母ちゃん凄いぞ 完
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。
下から選んでください: