第1話 屋根裏を越えて

「第1話 屋根裏を越えて」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

第1話 屋根裏を越えて」(2009/08/22 (土) 22:30:20) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*屋根裏を越えて  入学式を終え(というか生徒会メンバーに任命されるまでのインパクトが強すぎてその後はよく覚えていない)、  今は生徒会室にいる。  なんかイケメン&美人しかいない。会長の趣味だろうか。一瞬そう思ったが、1学年1500人もいればそりゃ集まるなと納得した。才色兼備が多いのだろう。俺を除いて。 「まぁ、わかっているとは思うが、彼が今日から生徒会執行部のメンバーとなる、鵜飼護だ。面倒をみてやってくれ」  会長の口から俺の紹介がされる。 「君も会長に無理やり指名されたのかー。ご愁傷様」  ってことはこの先輩もか。大変だな。 「他にはどのくらい指名された方がいるんです?」 「んっと、4人かな」  軽く答える先輩。  ここのメンバーは5人しかいない。ということは 「まさか、全員・・・?」 「そのまさか」  なんというか、予想以上に凄まじい会長だ。  改めて呆れていたら、屋根裏からなんか人が降りてきた。忍者か、この人は。  先輩達は驚かない。見慣れた光景らしい。一般人からすれば異次元だけど。 「会長。演劇部がホールをもっと大きくしてくれと言っております。それと、運動部が、合宿の飯を美味くしてほしいと」 「そうか」  それだけ伝えると、屋根裏のパネルをひらき、また消える。  相変わらず意味不明だ。 「今のなんです?」 「諜報部員だ」  なんだそれは。生徒会でそんなもの組織しているのか。 「我が生徒会は、執行部をトップとして、傘下にいくつかの組織が存在する。その一つが諜報部だ。彼らの仕事は、不平不満の察知や、部活動、サークルの予算希望の水面下の調査、教職員の不正監視など多岐にわたる。生徒会メンバーの護衛もこの中に入っているがな」 「どのくらいの人が?」 「そうだな、15人ほどだろう。勿論、信頼でき、能力のある人材を俺が選んだ」  しかし、ここの生徒会。なんか行政組織みたいだ。 「言っておくが、俺はすべてにおいて超一流だ」  脈絡がない。しかもなんだか恐ろしい自信だ。自分で超一流とかいうやつははじめて見たかもしれない。 「まず、執行部の仕事だが」  さっきの会話からどうやったらここに繋がってくるのだろう。 「予算の承認、行事運営、会計、教職員解雇の最終判断がおもな仕事だ。基本的に多数決で決定される」 「教職員の解雇って・・・できるんですか?」 「俺が理事長だ。まぁ、これまでに何人か教え方のつまらんやつをクビにした」  忘れてた。この人理事長で創設者なんだ。校長は教員免許もった飾りってことか。  そういや、いまだにこの人たちの名前聞いてなかった。 「あの、皆さんのお名前を教えてください」 「フム、自己紹介とするか。まず、俺が生徒会長兼理事長、風雲聖王だ」  ふううんせいおうだと思ってた。かざくものりおって言うのか。 「副会長の高島由紀です。よろしくね」  ストレートのきれいな人だ。おとなしそうに見えるけど、会長があれだから実際はどうだか分からない。  あれが特別ってだけのこともあるけど。 「一般の常盤輝だ!よろしく」  さっき生徒会の指名された人の数に答えてくれた先輩だ。テンションとは違って見た目は普通の髪型で黒髪だ。 「同じく一般のジェラール・サンチェス・カシージェンといいます。カシーと呼んで下さい」  金髪の人だ。しかし、名前からするとアメリカの人じゃなさそうだな。イケメンだけど。 「どこの国からこちらへ?」 「スペインです。サッカー部に所属してるので、よければ君も」 「いえ、断っておきます」 「残念」  冗談じゃない。野球はともかく、サッカーは無理だ。あんなのやってたらアキレス腱切れちまう。  野球だって一杯一杯なんだがな。野球部じゃないけど。 「私は有原香苗」  ショートカットのおとなしそうな、というか暗そうな子だ。 「さて、自己紹介も終わったな。先に言っておく。由紀には手を出すな」  なぜだろう。やはり本性が会長みたいだからだろうか。 「あぁ、聖王と由紀は恋人同士なんだよ」  輝先輩が教えてくれる。 「・・・マジですか?」 「なにかおかしいか?」  会長が特徴的な赤い眼をこちらに向けてくる。血で染まってるように見えてきた。 「イエ、ナンデモナイデスヨ?」 「フン」  由紀先輩はというと、顔を赤らめて俯いてる。どこをどう間違ったらこんなカップルできるんだろうか。  確かに会長の顔はいいけど。 「貴様・・・今、顔はいいけど性格は・・・とか思ったな」  相変わらずなんの能力持っているんだ。この男。 「俺はあらゆる面で超一流だからな!」  恐るべし。自身に関しても恐ろしいが。 「あの、信じられないかもしれませんが、聖王も本当は優しいんですよ。とても」  そうは見えないけど、誰も突っ込む先輩がいないってことは本当なんだろう。なんだか人間らしいところあって安心した。  そういえばこの学園創設して、学費タダでやってるのもこの人の意思だしな。 「ま、優しいけど、超強引なんだよ。コイツ」  そういうことか。強引なのは分かる。まぁ、さっきのエリート君から比べれば、よっぽどいい人ってわけか。 「分かったか。貴様」 「分かりました」  しかし、こういう顔だと大抵冷静沈着だと思うんだけどな。  まぁ、この人に常識なんて通用しないか。 「俺が常識を作るのだ!貴様はその常識のレールを辿るといい!」  あぁ、また心の呟きに突っ込んできやがった。というか自分で非常識って発言してるようなもんだな。 「明日から仕事が増えるぞ!覚悟しておけ!」  やはり優しいかどうかは怪しいな。この人。この際どうでもよくなってきたけど。  明日から面倒だな。まぁ、明日は明日で考えるか。  その前にHRがあるから教室に行かないとならないが。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: