第2話 興味はもたれぬ。役目は増える。

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*興味はもたれぬ。役目は増える。    さて、生徒会の活動は明日からというので、やたらとひろい校舎を移動して教室にたどり着いた。  というか生徒会専用の校舎があるのがおかしい。  生徒会室から教室に移動するのに別棟に移動するとは流石に予想していなかった。  普通科だけで800人とかいるので、それだけで20クラスある。  ちなみに俺は1-13だ。  で、教室に入った途端に熱烈な歓迎を受けた。  すっかり有名人らしい。まぁ、アレだけ派手に指名されれば当然というものだが。 「おぉ、鵜飼。戻ったか。お前はそこ、笠置の隣だ」  先生に示された席を見る。窓側で後ろから4番目。悪くない位置だ。  隣は男だけど、こっちの方が気楽でいい。  早速隣の席のヤツが話しかけてくる。 「よ、すっかり有名人だぞ。鵜飼」 「それは見れば分かる」 「名前聞かないんだな」 「さっき先生が笠置って言ってたから」 「下の名前を聞いてくれ」  なんだそりゃ。別に構わないが。 「覚えられるかどうか分からないね」 「ま、自己紹介は自分でやるもんだからな、俺は笠置徹。よろしくな」 「それなら、こっちからも改めて。鵜飼護さ。よろしく」  とりあえず絡みやすいヤツでよかった。  まぁ、それよりクラス中の視線が気になる。  そんななか担任の教師が口を開く。 「お、そうだ、鵜飼」 「なんです?」  嫌な予感がした。 「喜べ、お前が学級委員長になったぞ」  やはり。というか災難ばかりだな。今日。入学できたのは幸運だけど。 「頑張れよ、委員長兼生徒会役員!」  なんかでかい声が聞こえてくる。そっちの方振り向く前に背中パンパンと叩かれた。  痛い。っつうか強い。 「ちなみにアタシが副委員長の炎村望だ。よろしくな!」  なんっつうか分かりやすい女子だな。姉御肌ってやつか。  アハハ、とかいいつつ背中をまだパンパン叩いてくる。やめてほしい。 「しっかしなんだぁ、おもったより平凡な面してんなぁ」 「余計なお世話だよ。というか生徒会執行部メンバー俺以外は皆顔もいいし」 「アハハ!まったくもってなんで選ばれたか分かんないな」 「人外発言が原因だって」 「それだけだもんなー、あの会長。顔はいいけど無茶苦茶だよな!」  そりゃそうだけど炎村さんも相当無茶苦茶だ。あっちはもはや比較のしようもないけど。 「―なんだ、誰か俺の噂でもしてるのか」 「毎日されてると思いますよ」 「まぁ、それだけこの俺は注目されているのだな!」 「入学式であれだけやって噂されないほうが不思議だと思います」 「フム」  まぁ、こっちは本筋とは関係ない。 「おっと鵜飼、自己紹介が遅れたな。担任の神崎亮治、担当教科は現代社会だ」  思い出したようにしゃべる担任。今するな。というか最初にやってくれ。 「ま、そんなあたりで今日のHRは終わりだ。各自寮に戻ってくれ」  皆の視線が俺に集中する。  なぜだ?  答えが出た。  俺は学級委員長。つまり― 「起立、さようなら」  それを合図にクラス全員のさようならが教室中に響く。  荷物をまとめながら思った。  やはり誰か俺と代わって欲しい。  なにしろ質問責めである。 「ねえ、鵜飼君。会長さんてどういう性格?」 「入学式で見たまんま」 「おい、鵜飼。生徒会席にいたストレートの美人さん教えてくれ!」 「副会長の高島由紀先輩」 「携帯の番号とか聞いたか?」 「手を出すのはよせ」 「お前が口説くのか?」 「いや、会長の恋人」  案の定質問してきたやつらが静まり返った。そりゃもう、シーンと。 「何!おい、自分が口説きたいんで嘘ついているんじゃないだろうな!」 「そんな嘘つけるかッ!」  恐ろしくてそんな嘘つけるはずない。もちろん会長が。 「そ、そんな・・・聖王会長に恋人がいたなんて・・・」  男子も女子もなんかものすごい沈んでる。  が、間もなく希望を見出したように誰かが聞いてくる。 「あの、外国人の人は?」  外国人・・・となると 「あぁ、カシーか。スペインから来たって」 「スペインから・・・そう。カシーってニックネーム?」 「うん、本人からそう呼んでくれって。実際はもっと長いんだけど」  というか覚えるの面倒だ。なんだっけ・・・  ダメだ。カシージェンしか思い出せない。 「カシーさんって彼女いる?」 「多分いないと思うけど・・・」  なんか俄然やる気が出たらしい。なんとまぁ、単純なんだろう。  単純といえば男子の方も 「あの暗めの子は?」 「あ・・・あぁ、彼氏いないけど。名前は有原香苗っていうよ」 「よぉし!」  助けてほしいな。うん。必死で副委員長に視線を送る。  ニヤニヤしながら無視された。 「あ、もう一人いた生徒会の人は?」 「あ、輝先輩かー。いい人だよ。彼女はいないって言ってた」  今度は先手をうつ。 「そ、ありがと!」    わかってはいたが、俺について聞いてくる人は誰もいなかった。哀れなり。

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