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黄鬼異変 ストーリー(博麗霊夢ルート)



目次


ストーリー

 (出発点:博麗神社)
 今日はやけに寒い。冬はまだのはずだけど……
 外を見ると、濃い霧がかかってるように見える。
 いや、霧ではない。巨大な半透明の壁が神社の前に立ち塞がっていた。
 周囲を確認すると、神社の周囲一帯が氷の壁で囲まれている模様。
 まるで巨大なドームに神社ごと閉じ込められたかのよう。
 触ってみようとしたら、近づいただけで凍らされそうな気がしたので、慌てて離れた。
 どうやら自然の氷では無いようだった。
 こんな馬鹿馬鹿しい悪戯を思い付く輩は一人しか知らない。
 零距離移動を使い、一足飛びに神社の外へ出た後、犯人捜しに出掛けた。

 (中間地点1:霧の湖)
  • VS レティ・ホワイトロック(冬の忘れ物)
 季節外れの雪女がいた。どういう風の吹き回しだろう。
 それに、どうも様子がおかしい。あちこち見境なく攻撃している模様。
 とりあえず取っちめる事にした。
+ 負けた場合
 勝った場合、先へ進む。
  • 大妖精(霧の湖在住。氷精チルノの友人らしい)
 動けなくなったレティを木陰に運んで休ませていると、大妖精が話しかけてきた。
 友人であるチルノが行方不明らしい。
 ……困った。手掛かりが消えた。
 とりあえず神社に帰る事にした。

 (中間地点2:博麗神社前)
 戻ると、氷が粉々に砕けていた。……境内がみぞれ塗れで水浸しだが。
 犯人は萃香だ。そうに違いない。
  • 伊吹萃香(小さな百鬼夜行)
 博麗神社にいつも入り浸っている飲んだくれの小鬼。
 酔っ払って遅く起きた所、神社の周りが氷の壁で囲まれ、霊夢がいなくなって一人ほったらかしにされたので、
 神社から脱出するために氷の壁を粉砕した。
 粉々になった氷が散らばったが、片付けるのが面倒なので、霊夢が帰ってくる前に退散したようだ。
 霊夢は怒り心頭に達しながらも、箒で氷の欠片をかき集め、溶かすために日当たりの良い場所に置いておく事にした。
 その掃除の最中、氷の欠片の山から呻き声が聞こえたので、誰かが埋まってるのかと思い、
 慌てて掻き分けて掘り出した所、チルノが埋まっていた。
  • チルノ(最強の氷精)
 今すぐ物理的に問い詰めてやろうと思ったが、どうやら酷く怪我をしているようなので、
 話を聞く事「から」始めた。
 彼女が言うには、レティをおかしくした連中がいて、そいつらに仕返ししようとしたら、
 凍らされた挙句、何度も「引っ張られそう」になったり、何かを吸い取られたりして、
 しばらくすると諦めて立ち去ったらしい。
 そいつらは全員同じ顔をしていて、リーダーは金髪で、それ以外は白髪で、目の色がカラフルだった。
 5人いたとの事。
 レティは青い目の奴におかしくされて、そいつは自分から何かを引っ張ろうとして、
 髪も目も黄色い奴から何かを吸い取られたらしい。
 そして、神社の周りにあった氷の壁は、黄色い奴が作ったそうだ。
 (……異変か?)
 霊夢はたった今、日常が日常で無くなった事を感知した。
 チルノへの事情聴取を切り上げ、しばし考える。
 (ここから霊夢の頭の中)
 神社を氷の壁で閉じ込めたのは、私の動きを封じるため?
 でも、零距離移動で脱出できるのは知らない。つまり、私と直接面識が無い?
 神社にはいつも萃香がいるから、爆破で壊す方法もある。萃香の事も知らない?
 黄色の奴は氷の壁を作った、つまり冷気を操れる。それはチルノから吸い取った?
 レティをおかしくした青い目の奴、そいつはチルノから何かを引っ張ろうとしてできなくて断念した?
 何を引っ張った? レティはどうなった?
 ……というか、そんな事できる連中なんて、聞いた事が無い。
 妖怪の心をおかしくする奴、妖精から力を吸い取る奴、そんな連中相手に下手に動くと、
 こちらの力がゴッソリ持っていかれてしまう。
 ……そうか。これは下剋上だ。
 相手から力を盗むしか能が無い弱者が、確実に勝つための算段を整えた上で、
 最終的には一番強い奴を討ち取るのが狙いか。
 そして、私に対して足止めをしたのは、私に勝てるようになるまでの時間稼ぎ。
 つまり、今ならまだ間に合う。私以外の人妖が奴らの餌食になる前に、直接片付ければいい。
 他の者が下手に挑んではダメだ。
 (ここまで約0.5秒)
 霊夢は一直線に、霧の湖まで飛んで行った。

 (中間地点3:霧の湖)
  • VS 十六夜咲夜(完全で瀟洒なメイド)
 霊夢は開口一番、「紅魔館に帰れ!!!!!」と叫び、弾幕を浴びせた。
 相手は目を白黒させながら、応戦するしかなかった。
+ 負けた場合
 勝った場合、満身創痍の咲夜を紅魔館の窓目がけて勢いよく投げ入れ、そのままとんずらしようとする。
 だが……
  • VS 黄鬼戒(異変中心人物その1)
 霊夢の視界の端に、見たくないもの、または見逃してはいけないものが映った。
 白髪で青い目を持つ何者かが、誰かを探して霧の湖の上をうろついていた。
 そして、木陰で休んでいるレティを見付けると、立つように手で合図を送った。
 レティは傍らにいる大妖精の制止を振り切り、虚ろな顔で立ち上がろうとするが、すぐに倒れてしまう。
 無理もない。今しがた叩きのめしたばかりなのだ。
 力なく蹲るレティに対し、興味を失ったかのように目線を逸らしたそいつの目は、
 どこまでも冷たいように見えた。霊夢は直感した。
 (……悪い奴!!!)
 そして、横からお祓い棒で思いっ切り引っぱたいた。
+ 負けた場合
 勝った場合、完全撃破寸前のところで邪魔が入る。
  • 黄色い奴(黄鬼戒の仲間)
 負ける寸前だった黄鬼戒を氷漬けにして、止めの一撃からブロックする。
 と同時に、盾として使う。
  • 白い頭の奴(黄鬼戒の仲間)
 湖全体にプラズマを照射し、多量の水蒸気を起こし、目くらましに使う。
  • 氷のゴーレム人形軍団(?)
 湖から多数の氷でできた人形が出現し、霊夢を取り囲み、ブロックしてしまう。
  • 謎の赤い触手(?)
 その場にいる3人の敵に絡みつき、そのままどこかへ引っ張って行く。
 これで、霊夢は敵を見失った。
 霊夢は相手の狙いを何となく見抜いた。
 どうあっても、「今」戦うつもりは毛頭ないらしいという事を。
 霊夢は今の戦いについて、頭の中で整理した。
 (ここから、霊夢の頭の中)
 青い奴の正体は分かった。妖怪の心を抜き取って言いなりにする程度の能力か。
 レティ以外にも、もう一人操られていた妖怪がいた。
 そして、吸い取った心を人形のような無生物に入れて動かす事もできるようだ。精度は今一だが。
 それが分かればもう怖くない。
 あの手のひらに触れさえしなければ、一対一なら何度やっても負ける気がしない。
 問題は他の人妖が動く肉壁にされる事だけ。
 そして、他の連中に邪魔された時が一番怖い。
 特に、あの白い奴。口から雷みたいなの吐き出すなんて反則よ!
 ああいうのって何て言うんだっけ? ビームとか言うんじゃなかったっけ?
 早苗から聞いた話だと、外界では鉄でできたゴーレムが目や口からああいうのを吐き出すらしいじゃないの。
 そんで、戦争にも使われてるんですって。
 ゴーレムと言えば、氷でできたのが沢山そこにいるわね。
 やっぱりアリスにでも聞いたほうが早いか……。
 赤い何かについては、もう考えるだけ無駄ね。訳が分からない。
 全部で5人だから、黄色いのがチルノから冷気の能力を奪ったリーダーで、
 青い奴と、白い奴、そして、ゴーレムを作った奴と、赤い何かで、丁度か。
 ……四神相応でも気取ったつもり? 舐めてるわね。
 (ここまで3秒)
 そして、アリスのいる魔法の森に向かおうとした時、ふと頭によぎるものがあった。
 (あの白い奴の着てるのって、白黒の縦縞よね。
 ……外界にはあれを着て「猛虎」を名乗る宗教集団がいるって聞いた事あるわ。
 まるで命連寺の毘沙門天様の代理ね。
 それに、あのデザイン、どうみても雨合羽にしか見えないわ。
 鉄のゴーレムは外界ではロボットと呼ばれてるらしいし、早苗の他に、
 河童がそういうのを好きだって聞いたことがある。
 ……先に、妖怪の山へ行ってみようかしら。)(0.1秒)
 霊夢は進路を変え、妖怪の山にある河童のラボを目指した。

 (中間地点4:妖怪の山・河童のラボ)
  • VS 河城にとり(超妖怪弾頭)
 取りあえず、異変の関係者っぽいので、叩きのめしてから事情を聞く事にした。
+ 負けた場合
 勝った場合、怯える河童から洗いざらい事情を聞く事に成功する。
 白い奴の名前は「黄鬼一発」。頭だけロボットのサイボーグらしい。
 首から下は、首の無いただの人間という事だが、果たして本当にそうだろうか。
 首無しで生きられるなんて、その時点で既に妖怪の域だと思うのだが。
 彼女にはありったけの兵器が詰め込まれ、おまけに河童の光学迷彩まで使えるらしい。
 何てものを作ってくれたんだと河童に当たりそうになるが、先刻やったばかりなのを思い出し、
 グッとこらえた。
 そこに、もう一人の人物が……
  • VS 東風谷早苗(守矢の風祝)
 どうやら、霊夢が河童を虐待していると思い、止めに入ってきたようだ。
 相手の話も聞かずに、いきなり攻撃を仕掛けてくるなんて、物騒な巫女もいたものだ。
 と、霊夢はため息をつき、仕方なく応戦する。
+ 負けた場合
 勝った場合、聞く事も無くなったので、その場を後にするが……
  • VS 黄鬼一発(異変中心人物その2)
 噂をすれば何とやら。わざわざ向こうから来てくれたようだ。
 相手は河童を狙っているようだ。協力させるつもりだろうか。
 この狭い場所で、河童を守りながら戦うのは至難だが、相手もどうやら全力を出せない模様。
 適当に戦って追っ払うか……。
+ 負けた場合
 勝った場合、相手は光学迷彩を発動し、退散する。
 だが、このまま野放しというわけにはいかない。即座に追撃を開始する。
  • VS 黄鬼一発(無慈悲な人間砲台) 最終戦
 空高く飛び、隠れられるような場所が無い開けた所に出て、樹海に向けて弾幕を掃射する。
 いくら光学迷彩と言っても、被弾したのを誤魔化せるわけではないだろう。
 すると案の定、違和感のある場所を特定できた。
 相手もダメージを受けたせいか、それとも隠れても無駄と悟ったのか、迷彩を解いた。
 そして開幕一番、口からレーザーを放ってきた。もちろん避ける。
 ここからが本気の勝負である。
+ 負けた場合
 勝った場合、危険すぎる兵器を木端微塵に吹き飛ばし、残ったボロボロの体も適当に痛めつけた後、
 ロープでグルグル巻きにして、川に流す。
 河童に預けたら、体まで全身兵器にしてしまいそうだし、守矢神社まで持って行くのは面倒なので、
 流し雛みたく川に流しとけば、厄神様が悪いものを祓ってくれるだろう。
 もはや物騒で無慈悲な人間凶器と化した霊夢に近づこうとする者は無く、
 上空から天狗が遠巻きに様子を見ているだけだった。
 それから、アリスに話を聞くのを思い出し、魔法の森へ直行しようとすると、視界の端に人里が見えた。
 だが、様子が変だった。

 (中間地点5:命連寺周辺)
 人里の周囲を泥人形のようなゴーレムがグルリと囲み、人の出入りが封鎖されており、
 さらに、命連寺周辺により多くのゴーレムが密集し、寺の者が襲われているようだった。
  • VS 土のゴーレム軍団(命連寺を狙っている模様)
 いつもの勘で、ゴーレムの操り主を特定して直接叩くのもいいが、
 今回はゴーレムを一つ残らず片付けるのが一番いいと勘が囁き掛けてくるので、そうする事にした。
 何となく魔法の森にいるような気もするが、寺のゴーレムを片付けた後でもいいだろう。
 一定時間経つと自動勝利。
+ ただし、その前に負けると…
  • VS 霍青娥(壁抜けする程度の邪仙)
 寺を襲ったゴーレムからは、魔法の森の土のような匂いに混じり、死人の匂いがした。
 霊夢には、心当たりがあった。寺の商売敵でもある、道士連中の一人。
 そいつは死体を操る事ができる。
 寺の外壁の一部分が何だか臭かったので、そこに一発弾幕をお見舞いした。
 すると、出て来た。
 何かから逃げていたようだが、霊夢に不意打ちを喰らい、豆鉄砲を喰らったような顔をしている。
 そこまで驚かなくてもいいと思うが……。
 取りあえず、叩きのめしてから事情を聞く事にした。
+ 負けた場合
 勝った場合、話を聞こうとした矢先にキョンシーが現れ、そいつに気を取られた隙に逃げられてしまう。
 勝っても負けても先へ進める。
 キョンシーの相手をしている暇は無いので、無視してそのまま魔法の森へ直行する。

 (中間地点6:魔法の森)
 魔法の森へ向かっている途中で、大きな爆発音が響いた。
 どうやら、目的地で何かが起きているらしい。
 魔法使いの実験失敗にしては、爆音から大きな殺意が感じられる。
 魔法の森に辿り着いた時には、爆発は起きなくなり、静まり返っていた。
 一部が焼け野原になった森の中に、魔法使いが一人立っていた。
 霧雨魔理沙だ。何をやっているのだろう。事情を聞けるような空気ではない。
 少し離れた所から、アリス・マーガトロイドが様子を伺っていたので、話を聞く事にした。
 物理的でもいいのだが、先ほど大規模な戦闘があったばかりだし、
 連戦に次ぐ連戦で少々ガス欠気味なので、たまには平和的でもいいかなと思った。
  • アリス・マーガトロイド(魔法の森に住む七色の人形使い)
 アリスから知っている事を全て聞いた後、霊夢はすこぶる不機嫌となり、ダレた。
 こいつは異変の加担者らしい。しかも、自覚していなかったそうな。
 聞くところによると、異変の首謀者である黄鬼喫姫という人物は、そんなに悪い奴では無かったらしい。
 何でも、困っている人を放っておけない優しい子だとか。
 彼女が困っていたので、アリスは少しでも助けになるように、頭の代わりになる物を作ってあげたりしたそうだ。
 それだけに、今回の出来事に対するショックを隠せないとの事。
 異変解決のための協力は惜しまないと言われた。
 霊夢はこれまでの奴の所業を思い返し、アリスの語る人物像と異変の際の行動とのギャップから、一つの仮説を立てた。
 黄鬼喫姫は、妖怪の敵であり、人間の味方のつもりである。と。
 思えば、これまで標的にされたのは人間以外(妖怪と妖精)で、人間は全く狙われてはいなかった。
 人里を囲んだゴーレムにしても、狙ったのは妖怪寺のみで、人里の人間には一切手出ししていない。
 戦いの際も、こちらから仕掛ける事が多く、黄鬼一発との最後の戦いでは、向こうから仕掛けて来たが、
 邪魔者は人間であっても排除するという事なのだろう。
 最初から足止めのための嫌がらせをされた時点で、既に人間扱いされていなかった気もするが。
 しかし、博麗の巫女の前では、いかなる正義も理屈も、異変である時点で無意味だった。
 そして、異変の前に、情や理屈に流され迷い立ち止まるような奴は、異変解決には必要無いと思った。
 そう、外で一人黄昏ている魔法使いのように。
  • VS 霧雨魔理沙(普通の魔法使い)
 彼女を無視して、人里へ直行しようとした矢先、魔法使いが立ち塞がった。
 あいつを仕留めるのは私の役目だぜ。とか言ってる。
 そう思うのなら、もっと早くに止めを刺せと言いたい。
 異変解決の邪魔をするのなら、誰であろうと容赦しない。
 それに、今更もう一度挑んだ所で、一度躊躇ったような奴が同じ事を繰り返さないと言い切れない。
 それなら、自分がやったほうがいい。
+ 負けた場合
 勝った場合、霧雨魔理沙は憑き物が落ちたようなスッキリした顔となり、
 寝ころんだまま星空を見上げ、再起を誓う。

 (中間地点7:人里)
  • 上白沢慧音(人里の守りの要)
 人里の入り口の前に立ち塞がるように待ち構えていた。
 人里は既に封鎖されており、争い事をする輩は立ち入り禁止らしい。
 しかし、本気で霊夢を立ち入らせまいとしているようには見えなかった。
 彼女の能力を使えば、人里の存在自体を隠す事は容易い。
 にも拘らず、それをせず、立ち入り禁止というポーズを取るのみ。
 霊夢は構わず人里に突入した。
  • VS 主義者達(人里の異変加担分子)
 何もせず息を潜めていれば、居場所が分からなかったものを、わざわざ自分達から出て来てくれた。
 これを手掛かりにすれば、異変中心人物の居所も分かるだろう。
 イベントバトル。何もしなくても体術だけで勝てる。自動勝利。
  • VS 黄鬼淋(異変中心人物その3)
 こいつがゴーレム使いらしい。
 見た目は幼い少女だが、まるで老人のような雰囲気を醸し出している。
 そして、こいつを知っている気がする。
 こんな悲しそうな目をする人物に、そうそう心当たりがあるわけではない。
 周囲には、こいつに声援を送る人里の一部の連中がいた。主義者ではないようだ。
 そいつらの顔ぶれから察するに、一人だけ心当たりのある人物を思い出す。
 そういえば、最近見掛けなかったけど…………こんなのになっていたのか。
 顔は……亡くなったお孫さんか。
 ……だが、関係ない。感情を少しだけ世界から浮かせ、何も感じなくなる。
 異変は叩くのみ。積もる話はその後だ。
+ 負けた場合
 勝った場合、ボロボロとなった相手を目の前にして、冷たく見下ろす霊夢の周囲からは、
 失望と落胆、畏れと恐怖、非難を含んだ視線が注がれる。
 そして、相手の体を掴んで回収しようとした矢先、物陰から赤い触手が飛び出し、
 相手の体に巻き付いて、そのまま連れ去ってしまう。
 止めは刺したはずだがまだ不十分だったかと、歯噛みしている所に、逃げたはずの邪仙が現れた。
  • 霍青娥(異変の加担者)
 彼女が言うには、黄鬼淋は頭部だけキョンシーなので、いくら止めを刺した所で、
 頭を骨まで粉々にしない限り、体を替えれば何度でも復活するとの事。
 その話をされた途端、周囲から非難の視線が消えたような気がした。
 どうやら、霊夢は周りから同じ人間を殺したと思われていたようだ。
 しかし……と、霊夢は思う。首無しとは言え、今ので一人死んだ事に変わりはない。
 そして、誰が何人死のうが、異変は必ず解決しなければならないと。
 霍青娥は、心ならずも異変に加担してしまったお詫びとして、太子に話を付けてくれるらしい。
 これで人里の主義者らの動きも止まると言う。
 それからしばらくして、豊聡耳神子が異変解決への祈願を宣言した事で、
 人里の主義者らは、異変に関わる事は実質不可能となった。

 (中間地点8:妖怪の山の背)
 黄鬼淋の帽子にこっそり貼り付けた追跡用の御札の気配は、この地点で消えた。
 幻想郷にこんな場所があったなんて、知らなかった。
 見た所、大きな豚舎のように見える。ここまで規模が大きいのは初めて見るが。
 だが、何より、そこに漂う気配が異質であった。家畜のものとは少し違う。
 南方の言い伝えに、片耳豚、耳無し豚の霊が妖怪化したというものがあるが、
 ここに見える霊は全て、首無し少女と形容すべきもの。
 漂ってくる匂いも、まるで人の生活臭と、厠の臭いが混ざったようなもの。
 薬剤を散布して、臭いを消した形跡はあるものの、完全には消えていない。
 ……どんな暮らしをすれば、こんな悪臭が染み付くのだろうか。
 そして何よりも、禍々しい怨念を放つ物体が、建物の裏に設置されていた。
 土の下には無数の骨が眠っているのだろう、その上に建てられた石碑からは、
 悲しみに満ちた少女の顔が無数に重なって見えた。……怖い。
 ずっと見ていると、何か良からぬものに引きずり込まれそうなので、思わず目を逸らす。
 すると、そばの地面に追跡用の御札がビリビリに破かれて捨てられていたのが目に入った。
 次の瞬間、凍った手で魂を鷲掴みにされるような、ゾワリとした感触が全身を貫き、
 思わず正面を向くと、石碑の前に、真紅の服を身に纏う異常な少女の顔があった。
  • VS 黄鬼羅羅(異変中心人物その4)
 見た目は非の打ちどころの無い端正な顔つきをした美少女だが、その表情で、
 異常でない箇所を探す事は不可能だった。それくらい狂気に満ちた顔だった。
 しかし霊夢は気付いていた。その狂気の顔すらも、見せ掛けの作り物である事に。
 そして、それ以上の詮索は、巫女の勘が止めた。
 霊夢は心を浮かせ、何者も干渉できない領域に身を置いた後、攻撃を仕掛けた。
+ 負けた場合
 勝った場合、黄鬼羅羅の頭だけがどこかに逃げ、残された体はボロボロのまま見捨てられ置き去りにされる。
 そして、その体からは先ほどまでの狂気に満ちた禍々しい気配は全くせず、
 無垢な少女の顔が首から生えているのが幽かに見えた。
 さらに、周囲からは霊の気配は完全に消え、石碑からも怨念はきれいさっぱり無くなっていた。
 どうやら、悪いものは全て祓われたようだ。目の前にいる首無し少女からも悪い気配は感じられない。
 最早、これ以上ここに留まる理由は無くなったようだ。
 そして、首無し少女の手を引きその場を離れた瞬間、背後から轟音が鳴り響き、
 振り返ると、今の今までそこにあった建物と石碑が跡形も無くなっていた。
  • 洩矢諏訪子(守矢神社の祟り神の主)
 洩矢諏訪子は何も言わなかった。
 そして、霊夢も、何も言われずとも彼女の意図を理解した。
 残された首無し少女は、異変が終わるまで諏訪子が匿ってくれるらしい。

 (中間地点9:博麗神社前・地底への洞穴入口)
 先ほどの戦闘中に追跡用の御札をこっそりあちこちに貼り付けていたのは向こうにはバレバレだったようで、
 黄鬼羅羅の頭に貼り付けた分は全て剥がされてたり燃やされたりして、全滅だった。
 体に貼り付けた分に関しても、体ごと置き去りにされてしまっては無意味。
 しかし、黄鬼淋に貼り付けた分は、帽子以外は見落とされていたようで、
 博麗神社のすぐそばの霧の湖の畔に捨てられていた彼女の体に数枚、
 そして、彼女の頭髪の隙間に小さく結んであったのが一枚、見付からずに残っていたようだ。
 その頭の場所は地面の下を指し示していたが、埋められたのでは無く、おそらく地底へ向かったのだろう。
 これからの狙いが読めて来た。地上の妖怪の山や人里を落とすのに失敗した以上、残るは地底しかない。
 地底妖怪から力を奪い取り戦力を増やした上で、地上へ再び反攻に出るつもりなのだろう。
 地底妖怪は強力なのが多いから、敵に回られたら厄介どころの騒ぎではない。
 鬼が出た日には、勝ち目が無くなるだろう。
 鬼と言えば萃香だが、彼女は相変わらず神社で飲んだくれて寝そべってばかりいる。
 曰く、地上で勝てずに尻尾巻いて逃げるような奴が地底に行った所で高が知れてる。
 地底は負け犬の逃げ場所ではない。地底を舐めるな。との事だ。
 (しかし、何だか胸騒ぎがする。地底の妖怪は侵入者を素通りさせるほどヤワじゃない。
 追跡用の御札は地底の奥深くまで入り込んでいるため、侵入できた事を意味する。
 恐らく何人かは既に、敵の手に落ちている可能性がある。
 チルノは、本人はともかく、能力は決して馬鹿にできるものではない。
 彼女が狙われたのは、地底の妖怪に対抗するため……つまり最初から計画されていた?
 青い奴を守ったのも、黄鬼淋を回収したのも、計画に必要だから?
 白い奴は粉々にしたし、体は川に捨てたから、もういないと思うが、
 もしあいつも赤い触手に回収されてたら、もしかして……)(ここまで0.5秒)
 考え事をしていたら、人の気配がした。

 見知らぬ気配だが、知ってる気配も混じってる。そう、よく知ってる気配だ。
 知らないのが1人、知ってるのが3人分くらい。でも、全て1人の人物から感じられるものだ。
  • VS 幼黄姫(変幻自在のニコイチ少女)
 彼女を一目見た瞬間、4人の人物が重なって見えた。
 (うどんげ……と、てゐ? ……と、誰だか分からないけど男?と……黄鬼!?)
 思わず身構えそうになるが、本人から悪い気配は全く感じられない。
 (しかし、あの黄鬼喫姫と同じ気配……いや、もっと弱く、純粋で悪意の無いものだろう。
 双子の姉妹……ではなく、ドッペルゲンガー……でもなく、別の可能性……とでも表現すべきか。
 いつぞやの科学者が言ってた話に、平行世界というのがあったけど、それに近いのかも知れない。
 そうだ。こいつは、悪い奴じゃないほうの黄鬼だ。)(0.1秒)
 どうしたものかと逡巡していると、向こうから切り出してきた。
 何でも、異変解決をしている真っ最中で、異変の首謀者の手掛かりが欲しいらしい。
 なるほど、悪い奴ではないが、身の程知らずだったか。
 善意の馬鹿ほど始末に負えないものはない。身の程を教えてあげるとしよう。
 イベントバトル。最後は必ず「夢想天生」を発動し、自動勝利となる。
+ 夢想天生発動までに撃破した場合:分岐点A-1
+ 夢想天生発動までに撃破できない場合:分岐点A-2

  • VS 水橋パルスィ(橋姫)
 霊夢と幼黄姫のほうを見た途端、いきなり襲い掛かって来た。
 ……いつも通りだろう。多分。
 イベントバトル。ただし、幼黄姫が戦闘に参加しない場合、負けたらゲームオーバー。
 幼黄姫が戦闘に参加する場合、霊夢が負けてもフォローしてくれて自動勝利となる。
 戦闘後、動けなくなったパルスィが「妬ましい、妬ましい……」と念仏のように繰り返しウザイので、
 「やかましい!」と怒りながら、お祓い棒で引っぱたいてやった。
 すると、まるで痛みに対する反応が無く、壊れたレコードのように同じ言葉を繰り返すばかりで、
 いい加減気味が悪くなってきたので、幼黄姫にバトンタッチした。
 幼黄姫がうどんげの能力を使い、パルスィの波長を操った所、いきなりパルスィが苦しみだした。
 そして、「あんた達、ここまでやらなくてもいいでしょ……」と泣き顔で喚いた。
 パルスィの証言によると、いきなり冷気のようなもので凍らされ、
 動けなくなった所に手のひらで頭を鷲掴みにされ、何かを引っこ抜かれたような感覚に襲われた後、
 思考が途切れ、何も考えないまま自然に体が動いていたとの事。
 自分が霊夢と戦った事も、うすぼんやりとしか覚えておらず、目が覚めた後の状況から、
 何となく思い出す事ができたらしい。
 霊夢は幼黄姫が異変解決に必要とされる理由の一つを理解した。
 そして、地底攻略に青い目の奴が出動している事が確定的となり、
 事態が予想より悪い方向に傾いていると実感するのであった。

 (中間地点10:地下空洞)
 それからしばらく進むと、きな臭い、何かが焼け焦げたような匂いがしたので、
 そばにある岩壁を見てみると、所々焼け焦げた跡がある。
 そして、足元を見ると、蜘蛛の糸が固まってできたような足跡がいくつも連なり、
 それが先まで延々と続いているのが見えた。
 どういう原理かは知らないが、糸は針金のように固くなり、地面にしっかりと粘着し、
 剥がれなくなっている。
 こんな真似ができるのは一人しか知らない。黒谷ヤマメだろう。
 彼女が何を思ってやったのかは知る由も無いが、貴重なメッセージを残してくれた。
 「奴らに襲われて、連れて行かれた。この先にいるから助けて」と言っている。
 だが、旧都の近くの大きく開けた場所を境に足跡が切れている。
 いや、正確には、足跡を形作る蜘蛛の糸が上へと伸び、地底天蓋の端の部分まで繋がり、
 そこから先が途切れている、と言ったほうが正確か。
 旧都の上空はドーム状の天蓋で覆われており、その下には、旧都を中心に、
 地霊殿など地底世界の建造物が立ち並んでいる。
 (ヤマメはおそらく奴らの指示通りに、天蓋へ登って何かを始めたのだろう。
 糸が途切れていたのは、おそらく「糸を出す」という動作を含んだ命令を受けたからか。
 だから、それまで出していた糸を出すのを止めた。
 それまでは、心を抜かれる前に予め決めた動作を惰性で無意識のうちに続けていたが、
 その動作を中断し、新たな動作に上書きされざるを得ない内容の命令を受けた。
 きっとそうだろう。うん。)(0.4秒)
 ここで、霊夢の勘がスパコン並の速度で先程とは別の結論を弾き出した。
 (ヤマメのメッセージの存在は奴らにバレているかも知れない。
 または、わざとメッセージを残すよう命令した可能性もある。
 天蓋までノコノコ付いて行ったら罠だったという笑えない結末になるかも。
 第一、天蓋まで付いて行くとして、地の利は向こう側にある。
 ヤマメは蜘蛛の巣を張り巡らしているだろうから、その中に飛び込むのは蜘蛛の巣に蝶が飛び込むのと同じ。
 ここは大人しく地上で待つしかない。
 得られた有用な情報としては、向こうはヤマメを戦力として使えるのと、
 天蓋に蜘蛛の巣を張った戦術で、おそらく旧都に奇襲を仕掛けてくる事。
 私たちが取るべき行動は、一刻も早く地上に拠点を確保して、決戦の時まで休養を取る事。)(約0秒)
 霊夢は幼黄姫に、うどんげの能力を使って光学迷彩のような事ができないか尋ねた。
 返事は「イエス」。2人は波長を操って身を隠しながら、旧都を素通りした。
 後ろから何者かが気配も無く付いてくるのに気付かないまま。
  • 星熊勇儀(怪力乱神を操る地底の鬼)
 勇儀は瓦屋根の上で盃をあおりながら、街道を一瞥してつぶやく。
 「来客は2人か。……気配を消すなら、最初からじゃないと意味が無いよ。」
 そして、霊夢の急な来訪が、勇儀に異変への予兆を感じさせていた。

 (中間地点11:地霊殿)
 地霊殿の入り口に差し掛かったところで霊夢が立ち止まり、幼黄姫を制止する。
 そして、迷彩を解除するように言う。すると、玄関から地霊殿の主が現れた。
  • 古明地さとり(地霊殿の主)
 「あら、あなたでしたか。博麗霊夢。お久しぶりです。……そちらの方はどなた?」
 幼黄姫は軽く自己紹介を済ませる。
 さとりは2人の心を読んだのか、すぐに応接間へと案内する。
 そして、ペット達に客人の食事と風呂とベッドの準備を言い付けた後、
 2人の後ろでウロウロしてる彼女の妹に声を掛けた。
  • 古明地こいし(無意識を操る妖怪)
 いつの間にか2人の後ろにいた少女に、幼黄姫がビックリして軽い悲鳴を上げる。
 霊夢は呆れ顔である。(ここの妹は相変わらずね……)
 さとりはいつの間にしたためた手紙の包みをこいしに手渡し、勇儀に渡すよう言い付けた。
 何が書かれているのだろう……気になる。
 その後、2人は食事を摂り、風呂で一日の疲れを洗い流し、ベッドで眠りに就いた。
 (中間地点12:旧都中心街)
 こいしから手紙を受け取った勇儀は、空の天蓋を見つめながら、不安気な顔で何か違和感を覚えていた。
 が、何がおかしいのかまでには思い至らなかった。

 (最終決戦開始)
 皆が寝静まった頃、天蓋から旧都の中心部に、怪しさ満点の5人が音も無く降り立った。
 そして、黄鬼淋が地面に手を翳した瞬間、旧都全域の地中から無数のゾンビが這い出して来た。
 ゾンビは皆バラバラに動き、それぞれ好き勝手に暴れ始めた。
 そして程なく、旧都の辺縁部から物凄い勢いで轟音が鳴り響き、
 ゾンビが蹴散らされる様子が遠くからでも確認できた。勇儀が暴れているのだ。
 それは、渦巻きを描くように、徐々に中心部へと迫っていた。
 ここで、黄鬼一発がエネルギーを溜め始め、走る勇儀に狙いを付ける。
 極大レーザー発射。
 軌道がコンパスの円を描くように、勇儀を狙ったレーザーが旧都を焼き尽くし、巻貝状の焼け跡を作る。
 黄鬼喫姫は何かおかしいと感じていた。なぜ勇儀は旧都が壊されても平気でいられるのか。
 そして、あちこちにゾンビがひしめいているのに、悲鳴一つ聞こえて来ない。
 一通り考えを巡らせた後、黄鬼戒に言った。「鍋蓋を落とせ」と。
 黄鬼一発のレーザーが放出し終わったタイミングで、勇儀は天高く飛び上がった。
 そして、大上段から強烈な踵落としをお見舞いする。
 踵落としを喰らった黄鬼一発の頭が首にめり込んで大破し、煙を上げたあと大爆発し、
 残った体は肩の付け根が焼け焦げ、煙とわずかな血を吹き出しながら崩れ落ちた。
 それを見た黄鬼羅羅は、「あ~あ」と言いつつ、少しも落胆していないふざけた顔をする。
 しかし、黄鬼喫姫の顔からは、落胆の色と、戦意を喪失しつつある様子が見て取れた。
 黄鬼戒と黄鬼淋は、フォローのために黄鬼喫姫の傍らに付いていた。
 黄鬼戒が心配そうな顔で黄鬼喫姫に何か耳打ちした瞬間、黄鬼喫姫の顔つきが変わり、
 決戦開始時の表情に戻った。それを見た勇儀は、何かを感じ取り、安堵した顔になり、
 ……意表を突いて、黄鬼羅羅の胴体に思いっ切り頭突きをかました。角付きで。
 どてっぱらに大穴を開け、口から思いっ切り血を吐いた後、黄鬼羅羅は白目を剥き、
 勇儀の角に引っ掛かったまま、まるで風船人形のように、ゆらゆらと揺れていた。
 それを引っ剥がすため、勇儀は思いっ切り頭を振り、黄鬼羅羅を放り投げた。
 それを合図にしたのか分からないが、天蓋に張り巡らされた蜘蛛の糸が一斉に切られ、
 空から無数のゾンビが降って来た。
  • 東風谷早苗(祀られる風の人間)
 秘法「九字刺し」
 落下中のゾンビが地底上空に張り巡らされた格子状のビームに串刺しにされ、身動きが取れなくなる。
  • 霧雨魔理沙(東洋の西洋魔法使い)
 魔砲「ファイナルマスタースパーク」
 九字刺しに雁字搦めにされたゾンビを、極大レーザーで一掃する。
  • 十六夜咲夜(完全で瀟洒な従者)
 幻世「ザ・ワールド」
 九字刺しとマスパで撃ち漏らしたゾンビを、着地と同時にナイフで取り囲み全て一掃する。
 ……リタイアした3人の妖怪退治屋が颯爽と復帰を果たした。
 しかし……
 「飛んで火にいる夏の虫は……3匹ってとこか。」
 黄鬼喫姫がそう呟き、指をパチンと鳴らす。それを合図に黄鬼淋が地面に手を翳すと……
 旧都全体の地面で無数の爆発が起き、地面が凸凹の穴だらけになった。
 予め爆薬入りの泥人形を地中に仕込んで置いたようだ。
 3人は飛んで逃げようとするが、ここで、黄鬼喫姫がチルノのスペルを発動する。
 霜符「フロストコラムス」(非想天則仕様)
 まさか発動させると思わなかった、チルノのスペルに意表を突かれた3人は、回避が遅れ、
 地面から突き出たギザギザの霜柱に足を取られ、身動きが取れなくなる。
 勇儀もまた、霜柱に足を取られた。
 そこを黄鬼戒がすかさず狙い撃ちにするが、手で頭を鷲掴みにした瞬間、勇儀の目から鬼の眼光が発せられ、
 思わず竦んでしまい、逆に心が引っ張られてしまう。
 慌てて手を放そうとするが、その手を逆に掴まれ、桁違いの握力で、萎れた葱のように握り潰されてしまう。
 いつの間にか、勇儀の全身が赤鬼のように真っ赤な肌になっており、周りの氷が全て溶け、湯気まで上がっていた。
 そして、黄鬼戒が戦意を喪失する間すら無く、間髪入れずに勇儀の頭突きが炸裂する。
 もちろん角付きで。
 そこをすかさず、黄鬼淋が放った岩のゴーレムが間に割って入るが、ゴーレム諸共、
 玉突きのような形で頭突き(と呼べるのか分からない代物)に押し潰された黄鬼戒は、
 クレーター状に凹んだ地面と壊れたゴーレムに挟まれ、血反吐を吐きながら満身創痍となり、
 白目を剥いたまま動かなくなった。
 一方、霜柱から逃れようとする3人に対し、黄鬼淋は霜柱からゴーレムの拳を作成し、
 それでガッチリと握って完全に身動きが取れないようにしてしまう。
 動けなくなった3人を救出しに行くため走り出した勇儀に対し、黄鬼喫姫は呼び止める。
 そして真上を指さすと、天蓋の中心から何かが降ってくるのが見えた。
 ……キスメだった。
 彼女は桶に入ったまま微動だにせず、天蓋の中心から一直線に落下していた。
 落下地点には、尖った氷の柱がそびえ立っている。
 罠だと分かっていても、勇儀の体は勝手に動いていた。
 そのままの勢いで全力を込めた拳で氷の柱を叩き折り、落ちて来たキスメを桶ごと全身で受け止め、
 見事彼女の命を救った。
 その勇儀の鳩尾に黄鬼喫姫は手を翳し、思いっ切り冷気を叩きこんだ。
 全身氷に包まれた勇儀の周りを、地面から這い出て来た赤い水のようなものが囲み、
 次の瞬間、周囲は大爆発と紅蓮の炎に包まれた。
 凹んだ地面に這いつくばっている黄鬼羅羅が、血を吐きながらケタケタ笑ってる。
 爆発の衝撃のせいか、勇儀が放り上げたのか分からないが、宙に浮き、
 爆炎から逃れたキスメの桶が再び落下し、その下には腕を大きく広げた勇儀が立っていた。
 ダメージは大きかったはずだが、それが疑わしくなるほど、勇儀は平然としていた。
 それを見た黄鬼羅羅の顔が一層狂気に満ちたものに変わり、今度はキスメ目がけて紅蓮の触手を伸ばす。
 一瞬、勇儀の表情が阿修羅のようになる。
 その次の瞬間、キスメの桶がボレーシュートのように、横に蹴飛ばされる。
 そして、勇儀の全身に紅蓮の触手が巻き付いた後、爆発するかしないかの一瞬の間に、
 勇儀は黄鬼喫姫の眼前に現れ、ベアハッグをかました。
 ……怪力乱神の鬼の前に、ボロボロに焼け焦げ、崩れ落ちた黄鬼喫姫の死体があった。
 「あまり鬼を怒らせるなよ……人間。」
 その様子を見ていた黄鬼淋は、既に心が折れかかり、身動きが取れないでいたが、耳元に囁く声があった。
 黄鬼羅羅の頭から伸びた赤い触手が唇のような形となり、混沌へと誘う「希望」の言葉を囁き掛ける。
 「まだ大丈夫」と。
 黄鬼淋が地面に手を翳し、勇儀の周りに巨大な岩人形の壁を作り、
 その隙に黄鬼羅羅と黄鬼戒の体を回収し、目の届かない所に逃げた。
 勇儀が壁を壊すと、周りには氷の拳に閉じ込められた異変解決者の3人だけ。
 そして、ふと壁の内側を見ると、黄鬼喫姫の死体から頭部だけが消えていた。
 次の瞬間、勇儀は頭に違和感を覚える。何だか熱い。
 そして、勇儀の頭は炎に包まれた。

 霊夢が目を覚まし、襲撃に気付いて現場に駆け付けた時には、既に勝負は終わっていた。
 頭が焼け焦げて倒れている勇儀を見下ろすように、黄鬼達5人が立っていた。
 勇儀はまだ息があるようだが、全身焼け焦げており、動ける状態ではないだろう。
 人間ならとっくに死んでいる。流石は鬼と言ったところか。
 そして、すぐそばには氷漬けになった魔理沙、早苗、咲夜の3人がいた。
 とりあえず無事なようだが、……懲りもせずに出しゃばった結果がこれか。
 少し遅れて付いて来た幼黄姫が、うどんげの能力で波長を調べたが、どうやら3人は何もされていないらしい。
 勇儀も正気のようだ。
 向こうに転がってるキスメは、心を抜かれてるので、これから治してあげるそうだ。
 黄鬼達は……青いのと赤いのが、かなりボロボロになってて、白いのと子供は無傷、
 親玉は無傷に見えるが、かなり消耗している様子。
 魔理沙達によれば、白いのは一度完全にやられた後、どこかからスペアを持ってきて復活したらしい。
 親玉も、一度やられた後、新しいスペアの体を繋げて蘇ったとの事。
 (……こいつら自己再生能力あるのか。思ったよりめんどくさそう。
 そういえば、白いのは一度完全にやっつけたっけ。
 そいつがここにいる時点でそういう事になるのだろう。
 でも、いくら再生できると言っても、本気の勇儀相手に勝てる人間は知らない。
 汚い手を使ったとしても、勇儀に下手な小細工は意味をなさないだろう。
 いったいどうやって……)(1秒)
 その時、幼黄姫が呟いた。
 「ああっ……そうだった……あの人憑依できるんですよ、頭に。それに、いつも頭が燃えてました。
 能力吸収と、他の4人の事に気を取られて、完全に忘れてました。」
 (ななな、なんだってぇ~~~~~~!?)
  • 黄鬼喫姫(異変の首謀者)
 「もう、その力は使わない。人間らしくないから。」
 (いやいやいや。人外じみた力で首無し人間を手駒にしたり、体取り替えたりしてる時点で、
 人間止めてると思うんだけど。……やっぱり人間でいたかったのか。
 やり口が一々悪人じみてると思ってたけど、奴らなりの拘りでもあるのね。)
 「博麗の巫女。お前は私達の生家を見たのでしょう? だったら私達の目的も理解できるはず。」
 (ええ……理解できるわ。……だが、無意味よ。異変は解決するもの。)
 平行線の会話の弾幕ごっこをしている間に、幼黄姫は氷の波長を弄る事で、
 3人を閉じ込めていた氷の塊を全て気体に「昇華」させた。(便利な能力よね……。)
 解放された3人と博麗霊夢、幼黄姫(戦闘に参加する場合のみ)対黄鬼達5人の最終戦が始まる。
  • 霧雨魔理沙 VS 黄鬼一発(無慈悲な人間砲台)
 魔理沙は天狗の号外新聞で見たマスパもどきの使い手と、一度戦ってみたかったらしい。
 (頭がヒヒイロカネ製というのは本当か? ……天狗の新聞はあまり信用できないぜ。)
  • 東風谷早苗 VS 黄鬼戒(魂を吸う女)&黒谷ヤマメ(魂を吸われた土蜘蛛)
 勇儀との戦いで満身創痍となり動けない黄鬼戒の代わりに、心を吸われた黒谷ヤマメが戦う。
  • 十六夜咲夜 VS 黄鬼淋(幼きネクロマンサー)
 先刻は氷のせいで不覚を取ったが、今度はそうはいかないとばかりに、雪辱戦に挑む。
 掃除は得意分野らしい。今回は街の清掃活動だが。

 幼黄姫が戦闘に参加しない場合(分岐点A-1を通過):
 幼黄姫はうどんげの能力で誰にも見えなくなり、どこかに隠れている。
  • 博麗霊夢 VS 黄鬼喫姫(一人でも百人力な妖怪)&黄鬼羅羅(名状し難き紅の炎)
 頭数の関係で、異変解決のリーダーである霊夢が残り2人を担当する事になる。
 霊夢は先ほどの戦闘の目撃証言から、先に誰を倒すべきかを決めていた。
 黄鬼喫姫は何度倒しても、黄鬼羅羅がいる限り、何度でも再生できてしまうので、
 先に黄鬼羅羅を倒す事になる。
 勝利条件:黄鬼羅羅を倒した状態で、ラストワード発動まで粘る。
+ 負けた場合
 勝った場合、黄鬼喫姫が消滅し、残った首無し少女達がラストワードを発動する。
 ここからは消化試合なので、突破してもしなくても異変解決となる。
 グッドエンド。

 幼黄姫が戦闘に参加する場合(分岐点A-2を通過):
  • 幼黄姫 VS 黄鬼喫姫(黄人間の首の祟り)
 幼黄姫は霊夢の頭数合わせとして戦うので、霊夢の仮面を装着。
 黄鬼喫姫は、幼黄姫と直接向き合いたかったようで、少し残念そうにしていた。
 霊夢が黄鬼羅羅を倒すまでの時間稼ぎに専念する。
  • 博麗霊夢 VS 黄鬼羅羅(名状し難き紅の炎)
 霊夢は直感していた。こいつをこそ倒さないと異変が終わらないと。
 妖怪の山の背で見た怨念の数々は、確かに本物だったが、
 こいつによって見せられた幻影のようなものかも知れない。
 妖怪退治は巫女の本分。人心を混乱させるのは妖怪の本来の姿に近いものだろう。
 ここは親玉を倒すつもりで存分に叩きのめす事にした。
+ 負けた場合
 勝った場合、黄鬼羅羅は完全に消滅し、残りは黄鬼喫姫のみとなり、2戦目に進む。
  • 博麗霊夢(2戦目) VS 黄鬼喫姫(一人でも百人力な妖怪)
 幼黄姫はうまく時間稼ぎしてくれたようで、黄鬼喫姫は他のメンバーのフォローに回る余裕もなく、
 彼女一人に釘付けにされていた。
 こいつは黄鬼羅羅と違い、根っこにそれ程大きな悪意は無いように感じる。
 人並みに葛藤し、苦しんだ末の愚行だろう。それだけに一番面倒臭い。
 (私は人生相談所じゃないっての……)
 もっと分かりやすい悪党なら、よかったのに。
 勝利条件:ラストワード発動まで粘る。
+ 負けた場合
 勝った場合、黄鬼喫姫は消滅し、残った首無し少女達がラストワードを発動する。
 ここからは消化試合なので、突破してもしなくても異変解決となる。
 グッドエンド。

 (異変解決後)
  • 黄鬼羅羅
 文字通り、博麗の巫女に退治されたため、完全に消え去った。
 もしかしたら、またどこかから這い出てくるかも知れないが、その時はまた退治すれば済むだろう。
 異変の首謀者は去ったのだから。
 残った体は損傷が酷く、永遠亭に引き取られた後、治療を受けたらしい。
 その後はどうなったのか、誰も知らないらしいが……。
 妖怪の山の背に置き去りにされたほうの体は、どうやら囮役だったらしく、
 彼女の手垢があまり付いていない穢れなき普通の体だったため、洩矢諏訪子に引き取られた後、
 どこかへ行ったらしい。
  • 黄鬼戒
 元は外来人であり、同じ外来人の早苗からの説得で、今までの非常識な行動を反省し、
 妖怪への憎しみに囚われなくなった結果、魂だけ成仏してしまったらしい。
 レティ、ヤマメなどの心を抜かれた妖怪達は、幼黄姫のうどんげの能力で元に戻った。
 本人の体は抜け殻となり、死んでてもおかしくないくらいの酷い損傷を受けていたが、
 永遠亭で治療を受けた結果、魂が無いまま息を吹き返した。
 中がどうなっているのか不明だが、元の記憶や人格を持ったまま、能力と妖怪への憎しみが消えた状態で、
 普通に生活しているらしい。
  • 黄鬼一発
 魔理沙の活躍で完全消滅。
 後にはボロボロの体だけが残ったが、黄人間で自立して生活できるので心配無いだろう。
 今はもう名も無き首なし人間である。
 しかし、スペアが多数隠されている事が後に発覚し、河童のラボで無害なメイドロボに改造され、
 守矢神社、紅魔館など、あちこちに配備される事となった。
  • 黄鬼淋
 異変が失敗した事で生きる希望を失い、死のうとするが、武器を咲夜に全て取り上げられ、
 その上人殺し呼ばわりされる。
 首から上は大事な孫娘のもので、首から下は罪もない黄人間の少女の所有物であり、
 自殺すれば魂以外に2人の命が殺されるかららしい。
 それではどうすればよいのか?と堪らず質問した黄鬼淋に対し、咲夜はこう答えた。
 「お孫さんと黄人間の女の子が死ぬまで生き続けなさい。」と。
 その後、しばらくあちこち放浪していたらしいが、無縁塚で閻魔に説教を貰ったらしく、
 心を入れ替え、孫娘として寺子屋に通う事にしたようだ。
 学費と生活費を稼ぐため、気味の悪いゴーレムを動く案山子として売り出してるが、
 大丈夫だろうか……。
  • 黄鬼喫姫
 最後の弾幕勝負の最中、力尽きて消滅。
 残りの勝負は、残された首無し少女達が引き継ぎ、全身全霊で最後まで戦い抜いた。
 どうやら一個の妖怪としての存在を維持するだけの力を失っただけらしく、
 残された首無し少女達の中に、彼女の記憶やら精神やらが散らばったようだ。
 元に戻れるのか分からないので、彼女自身は死んだという事になるのだろう。
 そして、残された黄人間達は、それぞれ違う道を歩む事になったらしい。
 アリス手製のマネキン人形の顔を付けて魔法の森で妖怪を名乗ったり、
 黄鬼一発のスペアの頭を付けてメイドロボになったりと、色々賑やかにはなったが、
 中には、無縁塚で行き倒れの死人から頭蓋骨を盗んで、本人に成り代わったり、
 死んだ人の遺族から遺骨を貰って、死人に成り代わったりするような、
 陰気臭い生き方を選ぶような奴もいるらしい。
 そして、ごく一部の連中が首の無いまま、妖怪に溶け込んだり、虚無僧になったり、
 妖怪の山の背にある豚舎跡に守矢の分社を建て、そこの巫女になったりしたそうだ。
 (……巫女には会ってみたいかも。何となく仲良くなれそうな気がする。)


ストーリー(EXTRA)

 (出発点:博麗神社)
 今日は、妖怪退治の依頼があったので、無名の丘まで出掛ける事にした。
 何でも、スズラン畑の周りにゾンビが徘徊しているらしい。
 犯人の目星はほぼ付いている。メディスンか宮古芳香だろう。
 その矢先、急な来客があった。
  • VS 幼黄姫(黄絹幼婦のニコイチ少女)
 彼女曰く、異変起こしそうなので退治してください。との事。
 異変でも無いのに退治するなんて、そんな馬鹿馬鹿しい真似できるわけない。
 しかし、何もしてくれないのなら、こちらから異変を起こすと言われ、仕方なく応戦した。
 ……これは脅迫にあたるから、異変扱いでもいいのかな。
+ 負けた場合
 勝った場合、相手を足腰立たなくなるまで叩きのめすが、何故か満足して帰って行った。
 ……まさか、退治されたがりは不良天人だけではなかったのか。
 そういえば、最近は結構多かったっけ……そういうの。
 外界では、お金を払って叩きのめしてもらう妙ちくりんなお店があるらしい。
 ……退治屋でも始めるか。

 (中間地点1:玄武の沢)
 紅魔館のほうから、見覚えのある奴が飛んでくるのが見えた。
 怪しいので、とりあえず退治する事にした。
+ 負けた場合
 勝った場合、後から追ってきた紅魔館のメイド長が、ボロボロになったそいつを摘み上げ、
 館まで連れ戻すのを見送った。……もしかして逃げてきたのを邪魔しちゃったのかな?
 そのうち紅魔館でも下剋上が起こりそう。

 (中間地点2:人里付近)
  • VS 赤蛮奇・六道(柳の下のおそ松君)
 柳の下からろくろ首が出て来た。しかし、問題はそこではない。
 (こいつらって6つ子だったっけ?
 何か、仏教用語使ってるし、最近はこういう大袈裟な遊びが流行ってるのかな。)
 とりあえず、オイタにはお仕置きだろう。
+ 負けた場合
 勝った場合、満身創痍になったそいつらの頭が6つから1つになり、
 物陰にいる本体の首の上に戻っていく。
 (6つ子じゃなくて7つ子……じゃなくて、あんたそんな所にいたのか。)
 そこら辺でのびているのはろくろ首じゃなくて、首無し人間だった。
 ……次は異変でも起こしそうなので、もう一遍叩いておこう。ろくろ首のほうを。

 (中間地点3:魔法の森)
  • VS キノコ人間
 無名の丘へ続く小道を歩いてる時、向こうから笠のようなものを被った、
 数人の少女達が歩いてくるのが見えた。だが、様子が変だ。
 まるでゾンビか何かのように、虚ろな足取りで、それでいて整然と列を組み歩いてくる。
 目を凝らして見ると、……顔が無かった。
 まるでのっぺらぼうのようにつるっとしてて、目も鼻も口も耳も髪の毛も、何一つ無い、
 生白い坊主頭が色とりどりの笠の下に見えた。
 よく見ると、それは巨大なキノコだった。キノコが少女達の首から生えてたのだ。
 ……退治しよう。
 そう思い、有無を言わさず弾幕を撃ちこんだ。
 勝利条件:森から出て行かれる前に全て倒す。
 目があるのか分からないし、こちらに気付いてるのかも分からないが、
 攻撃すると撃ち返し弾として、胞子のようなものを見境なくばら撒いてくる。
 そして、何もしないと、どんどん歩みを進めてくる。
+ 負けた場合
 勝った場合、ボロボロになって倒れたキノコ人間達が、おもむろに立ち上がり、
 悪態をつき、ぶつくさ文句を言いながら、来た道を引き返して行く。
 せっかく気持ちよくなって遊んでたのに、邪魔されて興醒めしたとか何とか。
 (……気持ちよく……なって? どういう意味だろう? 楽しいのかな?
 ……てか、どうやって喋ってるんだろう。)
  • VS 人形少女
 次に向こうから歩いてきたのは……アリス?
 いや、服装や雰囲気は似てるが、よく見ると顔が違うようだ。
 そして、霊夢の目の前で立ち止まった。
 (……ん? よく見ると、マネキン人形みたいなお面を付けてる?)
 すると、唐突に口が動き出した。まるで腹話術人形のように。
 アリスの声で、霊夢に対し何か言っているようだ。
 森のすぐそばで派手に弾幕ごっこをするのは五月蝿くて読書の邪魔だとか。
 そして言い終わるや否や、このアリスみたいな少女は、魔導書を片手に弾幕を出し始めた。
 昔、どこかで見たことがあるような弾幕だが……思い出せない。
+ 負けた場合
 勝った場合、アリスみたいな少女は満身創痍となり、音を上げて、アリスとは別の声で降参宣言する。
 その直後、同じ口からアリスの声で「だらしないわね」と呟く。
 ……よく見ると、お面じゃなくて顔そのものだった。
 そして、無表情でも泣きそうになってるのが雰囲気で分かる。
 手から冷や汗が出てるのが見えるが、多分顔も汗だくなのだろう。
 魂のこもった人形浄瑠璃を見ている気分になる。
 一段落付いた後、この少女はトボトボと帰って行った。

 (目的地:無名の丘)
 スズラン畑に到着した。
 依頼にあった徘徊するゾンビを探していると、畑の主に遭遇した。
  • VS メディスン・メランコリー(小さなスウィートポイズン)
 何やら、うちの案山子ちゃんに手出しはさせないとか言って攻撃してきた。
 (……案山子?)
 とりあえず、徘徊するゾンビの正体はこの毒人形で間違いなさそうだ。
 どこからどう見てもゾンビには見えないが、目撃者はおそらく、
 スズランの毒で幻覚でも見ていたのだろう。
 だが、今更攻撃が止まるわけではない。ここは応戦するしか無さそう。
+ 負けた場合
 勝った場合、動けなくなったメディスンを尻目に帰ろうとした矢先、
 畑の向こうから、薄気味悪いゴーレムが近づいて来るのが見える。
 そういえば、最近人里に住み始めたあの少女(黄鬼淋)が、
 気味の悪いゴーレムを動く案山子とか言って売ってたような……。
 おそらく依頼のターゲットはこいつだろう。
 スズラン畑の毒のせいで、大分麻痺してきている。
 早く片付けないと本当にやばいかも……。
  • VS 動く案山子(今回の依頼のターゲット)
 勝利条件:制限時間内にスズラン畑の周りにいる動く案山子を全て倒す。
 動きは緩慢で知性も無いが、固いのである程度撃ち込まないと倒せない。
 スズランの毒が回るまで時間は限られているので、急げ。
+ 負けた場合
 勝った場合、依頼を達成したので、速やかにこの場から逃げる。
 帰るまでが遠足……って、外界の偉い人が言ってたらしい。
 最後まで気を抜かないようにしよう。
 トゥルーエンド。以降、戦闘は無し。

 (帰り道中間地点1:魔法の森の小道)
 帰り道を歩いていると、向こうから人影が見える。
 (スズランの毒のせいで幻覚でも見てるのだろうか?
 あいつがこんな所にいるわけがない。だって、あいつは……もういないはず。)
  • 黄鬼戒(永遠亭の小間使い)&幼黄姫(永遠亭の因幡人間)
 まるで別人かと思えるくらい、雰囲気が全く違っていた。
 何より、悪い気配が全くしない。しかし、本人だと言う。
 幼黄姫の説明によると、一度死んだ後、永遠亭での蘇生手術により息を吹き返したらしい。
 永琳も奇跡だと驚いてたとか。
 今は、異変の中心になって暴れ回った事を反省し、償いのために働いてるのだとか。
 しかし、こんなしおらしい子があれ程の被害を起こしたとは、今となっては信じられない。
 何か悪いものにでも取り憑かれてたのが、祓われた後のようだ。
 妖怪への恨みについても、記憶はあるにはあるが、他人の夢か何かを見ていたようで、
 自分が受けた体験だという実感がどうしても湧かないのだそうだ。
 だから、どうしてあんなに憎んでいたのか、自分でも分からないらしい。
 外来人だった頃の記憶についても、同じように他人事にしか感じられないと言う。
 ただ、自分が異変で行った事に関しては、今でも手に感触が残ってるらしい。
 次々と恐ろしい考えや冷たい感情に支配され、自分の手で妖怪達に対し、
 数々の害をなしていくおぞましい体験を、今でも夢に見てうなされるので、
 安眠できるようにするための投薬治療を受けているとの事。
 そして、霊夢は目ざとく気付いた。彼女の服装が普通に女の子らしい事に。
 以前の奴は、気配や仕草からして、初めに見た時は男だと思っていた。
 途中から体形で女だと気付いたくらいだ。
 今は、言葉遣いや仕草は男子だが、それはそういうふうに「躾けられた」せいで、
 そうなってるだけのように見える。中身は完全に女子であるにも関わらず。
 (……まるで……いや、完全に別人だわ。)
 霊夢は考え込む。……今のままでは、「彼女」は可哀想だと。
 そして、スズラン毒の治療のついでに、永琳に会う事にした。
 ただ、一人で竹林に入るのは危険なので、幼黄姫達が用事を済ませるまで、小道の途中で待つ事にする。
 しばらく待つと、幼黄姫達が戻って来たので、合流して一緒に竹林へ向かう。

 (帰り道中間地点2:永遠亭)
 永遠亭に到着すると、因幡の兎達が応対してくれた。
 医者と助手は人里への往診のため、留守らしい。
 タイミングが悪かったようだ。どうしたものか……と途方に暮れていると、
 幼黄姫が診察の準備を始めた模様。
 彼女の持つ「仮面を替える程度の能力」のおかげで、他人の能力と心をその身に降ろし、
 いろいろな事を代行したりもできるらしい。
 今の幼黄姫は、うどんげの仮面を付けている。つまり、彼女の代わりというわけだ。
 知識や経験までは借りる事ができないので、勉強は必要らしいが……。
 手捌きまでは本物には遠く及ばず、素人臭さが目に付くが、
 キチンと必要な手順は踏んでいるようなので、とりあえず安心か。
 一通り終わった所で、仮面を外した彼女に、異変の際には聞けなかった事を聞く。
 もちろん、無理に答えさせる気は無い。
 話したくない過去を詮索するのは、幻想郷では御法度なのだから。
 すると、彼女は若干顔を赤らめながら、自分の生い立ちや黄鬼との関係について話し始めた……。
 (なるほど……名前の由来は、そういう事か。
 男として生まれ、ひょんな事から、人生の途中で女としての人生に乗り換えざるを得なかった。
 実年齢に対し、女として生きた時間は生まれたての赤ん坊のように短かった。
 だから、幼い。「幼」なのね。そして、黄人間だったものの体だから「黄」。
 そして、楊貴妃(ようきひ)のような理想の女性に成長する事を願い「ようきき」と付けた。
 ただし、「妃」と名乗るには女性らしさが無い。
 元が男だから仕方ない事とはいえ、将来的に男性と結ばれる事を考えるのは、
 女性としてごく自然な心構えであるのにも関わらず、それを持とうとする域にすら及んでいない。
 だから、途中で体が本来持ってたと思われる女の子の魂を宿してからも、
 「妃(きさき)」ではなく「姫(ひめ)」を当て、「幼黄姫」と改名した。)
 そう納得する霊夢だが、地霊殿の風呂場で一緒に入浴した事を突然思い出し、一気に赤面してしまう。
 その事で文句を言うが、幼黄姫のほうも慌てて反論した。
 彼女が言うには、自分はもう女だから、今更そんなスケベ心を抱いても仕方がないし、
 そこは必死に堪えて、女として平常心を保ち続けるしかないのだとか。
 そのために日々努力しているんだから、無碍にするような事は言わないでとの事。
 これ以上言っても埒が明かないし、彼女も目を半分潤ませながら必死に自己弁護してるのを、
 これ以上追いつめても可哀想なので、ここらで止めておく。
 (何だか、いつもは男みたいな目をしてるのに、潤んだ目は乙女ちっくなのね。)
 その瞬間、霊夢には、目を潤ませた青年の顔と、「目を潤ませた女の子の顔」が、
 幼黄姫の顔に重なって見えたような気がした。
 (……そうか。「この子」は、幼黄姫の心と、人生を貰ったのね。)
 話が終わった所で、永遠亭を後にし、竹林の出口まで送って貰う。
 幼黄姫も医師への報告のために、人里まで一緒に付いて行くらしい。

 (帰り道中間地点3:人里入口)
  • 藤原妹紅(蓬莱の人の形)
 人里の入り口のそばに、竹林に住む炭焼屋が待ち構えており、呼び止められた。
 霊夢ではなく、幼黄姫のほうが。
 「あんたか……今は、行かないほうがいい。」
 事情は後で詳しく説明するらしい。
 幼黄姫を入口に待たせ、霊夢は妹紅に案内され、人里の民家の前まで案内された。
 家の前では、数人の里人と上白沢慧音が言い争いをしている。
 そして、家の小窓の隙間から見覚えのある顔が見えた、ような気がした。
 (幼黄姫……の中の男?)
 そんな馬鹿なと思いつつ、もう一度チラ見してみると、小柄な少女の顔が見えた。
 今見えた男の顔に少し似ているような気がする。
  • 上白沢慧音(寺子屋教師)
 「だから、絶対に違う! あの男は偽者なんだ!」
 「なして、そげな事言い切れんだ?」
 「それはだな……」
 妹紅は霊夢に話をかいつまんで説明する。
 実家から飛び出し行方不明になったまま音信不通で、事故に巻き込まれると同時に、
 居場所と死亡が確認された男が、今日突然実家を訪ね、生きている事が分かった。
 ……という事らしい。
 家の中にいたのは、その帰って来た男と、肉親(妹?)か。
 そんな事を考えていると、話題のご本人が家の玄関から出て来た。

 霊夢は彼の顔を見て、直感的に判断した。「偽」と。
 そして、確信を突く質問を始める。
 「もう実家を飛び出したりしないわよね?」
 男の答えは「イエス」。
 「もう二度と、死んでも戻らないつもりだったのに、今になって戻って来たのは何故?」
 男の答えは「実家が恋しくなったのと、親の老後が心配だったから」。
 ここから、霊夢劇場が開始する。
 「でも、実家を飛び出す事を決めたそもそもの原因が解決してないわよ。
 もう実家を飛び出したりしないと今言ったけど、根本原因が解消してないのに、
 そんなありふれた理由で戻ってきたら、またいつ飛び出す事になるか分からないわ。
 つまり、あなたの言ってる事は全部嘘。
 少しは本当の事を言えるようになってから、出直していらっしゃい。
 今顔を見せても、周りは迷惑するだけよ。」
 ……周囲が凍り付く。慧音も目を丸くしながら、呆然と呟く。
 「何を言ってるんだ……博麗……」
 霊夢はさらに強い調子で断言する。
 「いい? こいつは偽者。話が適当すぎるから。
 百歩譲って、万が一本物だったとしても、今こんな形で戻ってきたら碌な事にならないわ。
 だから偽者でいいの。
 本物が本物らしい理由で戻ってくるまで、あんたは大人しく行方不明でいなさいな。
 とっとと出てけ!!! お前はここにいてはいけない!」
 妹紅は納得した様子で、霊夢の後に続いた。
 「そうだ! お前は今ここにいちゃいけない! さっさとここから立ち去れ!」
 しかし、それを遮るように、金切り声で叫ぶ者がいた。
 「やめて!!! お兄ちゃんは偽者なんかじゃない!!!」
 家の中で男と一緒にいた少女だった。妹らしい。
 霊夢は、たじろぐ事無く、冷静に、冷淡に続けた。
 「いいえ、偽者よ。仮に本物だとしても、あなたの大好きなお兄さんは、必ずまた出て行くわ。
 どうせまた出て行くのなら、次は納得できる理由で戻ってきて欲しいと思うわよね?
 もう二度と出て行かないためにも。」
 それに対し、感情に支配された少女は激情をぶつける。
 「それでもいいの! そしたら、今度は私も一緒に付いて行くから!
 だから、偽者でも構わない! お兄ちゃんが戻ってきてくれただけで嬉しいの!
 もしお兄ちゃんを追い出したりしたら、私許さない!!! 私も付いて行く!」
 霊夢は、感情に流される事なく、少女の事を思いやり、冷静に言葉を紡いだ。
 「ダメよ。そんな事したら、あなたが救われなくなる。もっと自分を大事にしなさい。
 あなたの本当のお兄さんは、あなたが不幸になるなんて、望んでないわよ。」
 少女はそれ以上何も言えず、ただ嗚咽するのみだった。
 彼女の両親が、泣き崩れる少女を抱え、家の中に引っ込んだ。
 そして、すかさず霊夢は男のほうに向き直り、話を続けた。
 「大事な妹さんをこれ以上泣かせないためにも、家出の根本理由を早く解決して、
 ちゃんとした理由でまた戻ってきなさい。それまでは一切立ち入り禁止よ。」
 それに対し、男はこう切り返した。
 「あれ? 俺は偽者って事だったよね? まるで本物にするみたいに話すんだね。」
 霊夢は、一瞬険しい表情になるが、すぐに何事も無かったように平素に戻り、こう返す。
 「……本物だろうと偽者だろうと、ケジメを付けないとマズイのよ。
 分かったら、さっさと失せなさい。」
 男は観念したようにその場から立ち去り、人里から姿を消した。
 霊夢は、男が歩いて行った方向を見て、運の良さに感謝せずにはいられなかった。
 (ほんと、あいつに出会わなくてよかった。
 二度と会わないと心に決めた家族の傍を自分の偽者がチョロチョロするなんて、
 どれだけ人間出来てても、見てるだけでブチ切れると思うわ。)

 揉め事が一段落したので、幼黄姫が待っている場所に一旦戻ると、
 彼女の傍には、往診を終えたと思われる永琳とうどんげがいて、立ち話をしていた。
 うどんげは霊夢の姿を見ると、一言「ご苦労様」と囁いた。
 兎の耳には丸聞こえだったようだ。結構声張り上げてたしね。
 永遠亭への帰り道、うどんげは独り言のように小声で霊夢にのみ聞こえるよう語り続けた。
 幼黄姫から、手術後の入院中に、実家から家出した事とか生い立ちとかを聞いた事。
 月から逃げた彼女には、一度疎遠になった場所へ帰るにはそれ相応の強い理由づけが必要で、
 それが今までずっとできないでいるから、幼黄姫の気持ちもよく分かる。
 という感想。
 霊夢は、過去の記憶が自らを縛る「呪い」と同じものではないか、と思い始めた。
 うどんげは、月から逃げたという過去の記憶に今も縛られ、月から逃げ続けざるを得ない。
 幼黄姫は、実家から家出した過去に今も縛られ、体が変わった後も、戻れないでいる。
 それは、首から下の少女には全く関係の無い事だが、否応なしに巻き込まれている。
 黄鬼戒もまた、元々の魂が犯した過去の罪の記憶に、体のと思われる新しい無垢な魂までも苛まれ、
 呪いのような形で苦しめられ続けている。
 (どうすれば、あの呪いを祓う事ができるんだろう。)
 霊夢の心を読んだのか、無意識のうちに声に出てたのか、定かではないが、
 永琳が、その質問に答える。
 「記憶とは自らの形を決めるだけでなく、進む方向、運命までも決めてしまうもの。
 呪いをただ闇雲に拒絶し祓うのではなく、呪いを呪いとして受け入れ、なお諦めず、
 未来へ進む意志に転化させる事が、呪いという宿命に立ち向かう唯一無二の正攻法よ。」
 永琳は、霊夢が心配するまでも無く、既に一つの解を持っていたようだ。
 つまり、無駄足だったというわけだ。
 (まあ、人里で人助けもできたし……結果オーライかな。)
 霊夢は、連戦の疲れと、スズラン毒からの病み上がりで戦闘不能になってたのが幸いした、
 と思わざるを得なかった。もし戦えてたら、あの偽者男を思いっ切りぶっ叩いてただろう。

 (帰り道中間地点4:迷いの竹林・出口)
 念のため、永琳の診察を受けた霊夢は、大事を取り、今晩だけ入院する事になった。
 翌朝、朝食を御馳走になり、帰り支度をしてすぐに病院を後にした。
 竹林の出口までの道案内として藤原妹紅に付いて来てもらう。
 (永遠亭の人間は全員、朝は忙しくて手が空かないらしい。)
 そして、出口に差し掛かったところで、見慣れない人影発見。
 それは…………あいつの妹だった。
 頭の中にいっぱい「?」が浮かんだところで、向こうから切り出して来た。
 「お兄ちゃんは、どこにいるんですか?」
 (……へ?)
 「お兄ちゃんが家を飛び出した理由は誰にも話してないはずなんです。
 人里の方々は誰も知りません。慧音先生ですら知りません。
 もちろん、あなたにも話した事はありません。
 なのに、あなたは理由を知ってるような口ぶりでお兄ちゃん……を名乗る人に話しかけてた。
 理由が解決していない事も知ってた。
 それに、いくら正しくても、いきなり偽者呼ばわりするのは、
 本物かも知れない人に対しては無茶過ぎます。そうと分かってれば別ですが……。」
 (あ。)
 霊夢は動けなくなった。
 妹紅は横を向いて額に拳を当て、あちゃ~って感じで眉間にしわを寄せている。
 そして、霊夢の肩にポンと手を乗せて、「がんばれ」の一言。
 もうやる事は終わったとばかりに、さっさと竹林の中へ逃げて行った。
 霊夢は、呪いに掛かったような気分を味わっていた。
 とりあえず、普通の女の子をこんな所で一人置いて行くのも危険なので、神社に連れて帰る事にした。

 (帰り道最終地点:博麗神社)
 霊夢は、青年の妹に、知る限りの事情を話す事のできる範囲でかいつまんで話した。
 霊夢が本物の青年を知ってる事。彼は実家に帰れる状態ではない事。
 家族にも会えない事。……そして、山で事故に巻き込まれたのは本人である事。
 (……酷だけど、仕方無いわよね。本人は山の事故で「死んだ」んだし。
 二度と会えないのも確定してるんだから、今誤魔化した所で、
 後で悲しい思いをする事に変わりはない。そう、元に戻るだけ。)
 霊夢の返答を聞いた少女は、泣き崩れると思われたが、意外にも平静なままだった。
 そして、さらに意外な質問を重ねた。
 「お兄ちゃんと一緒にいた女の人は助かったって、山岳救助の人から聞きました。
 その人はどこにいますか?」
 霊夢は、いよいよ誤魔化しきれない所まで追い込まれたと感じ、最後に確認をする。
 「会ってどうするの?」
 「……お礼が言いたいんです。お兄ちゃんと一緒にいれくれてありがとうって。
 それに、お兄ちゃんの事、色々聞きたいし。」
 霊夢は、今言える限りの真実を答える事で、煙に巻いた。
 「……彼女は、あなたのお兄さんが家出した理由を全部知ってるわ。
 あなたや家族に合わせる顔は無いでしょうね。会いたくないそうよ。」
 青年の妹は、まだ何か聞きたそうな、釈然としないような顔つきで黙り込んでいる。
 「とにかく、私が言えるのはこれが全てよ。悪いわね。」
 霊夢はそそくさと話を切り上げ、奥に引っ込もうとしたので、少女は慌てて食い下がる。
 「……お、女の人には、私が会いたがってるって、伝えておいてください! お願いします!」
 「伝えるだけ伝えておくわ。でも期待はしないほうがいいわよ。」
 (たとえ会って、分かり合えたとしても、その先にはもっと辛い事が待ってるでしょうし。)
 少女が神社を後にしてから、霊夢はしばらく少女が去った方向を何気なく見つめていた。
 (……一人で行かせて大丈夫だったかしらね……神社からは結構遠いし……
 そういえば、竹林までは一人で来たのかしら。
 あの場所へ行くのも結構危ないから、誰か護衛が付いたほうが安全だと思うんだけど……)
 霊夢は、違和感に気付いた後、昨日の出来事が頭の中で走馬灯のように駆け巡り、自然と身構えていた。
 戦闘は無し。と言ったが、すまない……あれは嘘だった。
  • VS 謎の男(???)
 昨日の青年の偽者が、再び現れた。
 霊夢は有無を言わさず、お祓い棒を振りかざし、飛び掛かった。
 「おやおや。先に手が出るのは相変わらずのようだ。」
 「今すぐ消えろ。てか空気読め! この天邪鬼!!」
 「俺を、そんなのと一緒にするな。もっと相応しい呼び方があるんじゃないのか?」
 「知らん!」
 「……俺は、神だ。」
 そういうと、男はケタケタと狂気じみた笑い声を上げ始めた。
 ラストワード 悪神召喚「ラスト・バタリオン」
 そして、男の背後に、外界で悪神の如く忌み嫌われたちょび髭男の亡霊が現れ、
 男の恰好が異国の軍服姿となり、周りには狂信的な軍隊の亡霊が一糸乱れぬ隊列を組み、
 男を中心として、大秦国(古代ローマ)式の敬礼をしながら、回るように行進し始める。
 「このスペルは……やっぱりアンタだったか!」
 イベントバトル。ラストワードのみなので、突破に失敗しても自動勝利。
 男が完全に消え去った後、霊夢は気疲れからか、立ち眩みをして、そのまま倒れた。
  • 八雲紫(スキマ妖怪)
 「霊夢。あなた、詰めが甘いわよ。もっとキチンと退治しなさい。
 尻拭いするのは誰だと思ってるのよ、全くもう。」
 空間にスキマが広がり、全てが反転する……。

 気が付くと、霊夢は幼黄姫を目の前に、ボロボロになって倒れて伏していた。
 幼黄姫は、物足りなさそうに霊夢を見下ろしている。
 (……夢?)
 どうやら、幼黄姫に勝負を挑まれ、負けた後、眠りに落ちていたようだ。
 体中が痛い。……そうだった。他に彼女を退治できそうな奴を紹介してあげないと。
 放っておいたら、本当に異変を起こしかねない。
 幼黄姫に知り合いの住所を教え、ついでに自分の能力の一部使用許可を与え、
 彼女が飛び去って行くのを見送った後、人里へ出掛ける。
 今回の依頼のターゲットは、夢が正しければ、動く案山子を売ってる奴を当たれば問題ない。
 それに、見ておきたいものもある。

 (再出発中間地点1:玄武の沢の近く)
 敵意は無いので黙って見逃し、そのまま素通り。
 後ろのほうからメイド長の「ちょっと、無視しないで捕まえるの手伝ってよ!」
 という怒鳴り声が聞こえるが、問題ない。

 (再出発中間地点2:人里前)
  • 赤蛮奇・六道(柳の下より人里に痛みを)
 柳の下に隠れている本体に陰陽玉をぶつけてやると、6つ子達は慌ててブロックに入り、
 折り重なって一網打尽となった。

 (再出発中間地点3:人里)
 今回の妖怪退治の依頼が、こいつの動く案山子が原因である事を説明し、
 無名の丘まで見に行かせる事にした。
 出発する前に、あいつの実家がどうなってるのかを見に行く。
 すると、家には誰もおらず、留守のようだった。
  • 上白沢慧音(人里の寺子屋教師)
 そこを通りかかった慧音が、事情を説明する。
 どうやら、家族全員で墓参りに行ったらしい。何でも今日が月命日らしい。
 そして、あまり彼らに関わり過ぎるなと釘を刺される。
 霊夢はお返しに、慧音に注意を促した。
 もし彼らの息子を名乗る輩が目の前に現れても、相手にせず追い返せと。
 慧音は何か知ってるのかと霊夢に尋ねるが、霊夢は事もなげにこう言い返す。
 「お告げがあったのよ。良からぬものがやってくるって。」
 そこに、準備を終えた黄鬼淋がやってきたので、出発する事にした。

 (再出発中間地点4:魔法の森の小道)
  • キノコ人間
 道の向こうから、頭がキノコになってる不可思議な少女達が歩いて来るのが見えた。
 黄鬼淋はひっ!?と軽い悲鳴を上げるが、パニックにならないよう霊夢が抑える。
 (大丈夫……こちらから何もしなければ、襲って来ない。)
 そのまますれ違い、全員が通り過ぎた後、止めていた息を吐き出す。
 黄鬼淋は、あれは何だったのかと聞くが、霊夢は「森の妖精よ」とだけ答える。
 しばらくすると、かなり後ろのほうから、「うわぁ!? 気持ち悪いんだぜ!!」
 という悲鳴と叫び声が聞こえ、レーザーの発射音と爆発音が鳴り響いた。
 その後、アリスの怒声と魔法の弾幕音が激しく鳴り響くのが聞こえた。

 (再出発目的地:無名の丘)
  • メディスン・メランコリー(小さなスウィートポイズン)
 スズラン畑の向こうから、人形の口ずさむ歌が聞こえる。
 「コンパロコンパロ~♪ 今日も案山子さんは元気~♪
 ……あらキキキリンさんこんにちは。今日は何の用事?」
 黄鬼淋は何か言い淀んでいたため、霊夢が代わりに説明する。
 「今日は、案山子の調整に来たのよ。私はお手伝いと言うわけ。」
 メディスンは怪訝そうな表情で霊夢を横目で見つめるが、すぐに納得してくれた。
 「いいよ♪」
 黄鬼淋は畑の周りから全ての案山子を呼び戻し、部品を取り換えたり、
 衣装を着せ替えたりして、見る見るうちに案山子を改造していく。
 そして、メディスンそっくりの可愛らしい姿になった案山子は、
 黄鬼淋の命令で持ち場に戻って行った。
 その様子を見ていたメディスンが不満を口にする。
 どうやら、あのゾンビみたいな案山子がお気に入りだったらしい。
 「キョンシーみたいで不評だったのよ……」
 「ぶぅ~……キョンシーだって可愛いのに~」
 こればかりは我慢してもらうしかない。これ以上騒動の種になられても困るし。
 仕事には事欠かないだろうけど。
 不満気なメディスンを尻目に、そそくさとスズラン畑を後にする霊夢一行であった。

 (再出発帰り道中間地点1:魔法の森出口)
 ずっと前のほうに、ボロボロになった魔理沙が飛んでいた。
 どうやらアリスにこっぴどくやられた模様。
 そのまま香霖堂の店内に入って行った。

 (再出発帰り道中間地点2:人里入口)
 ここで黄鬼淋と別れた。
 そのまま人里には入らず、ある場所へ直行する。
 博麗神社のある山の奥のほうに、崩落事故の跡がある。
 間欠泉地下センターから、それほど離れていない場所だ。
 谷になっていて、人里側から死角になっているので、知る人間は極めて少ない。
 そこに、青年の住んでいた家があった。今は土砂の中に埋まっているが。
 幻想郷の中心である人里や魔法の森からは丁度鬼門にあたるだろう。
 その辺境の部分に、「現実と幻想の境界」に紛れて、異界へのトンネルが開けられており、
 妖怪の山の裏手から一本の道がそこまで続いてるのだ。
 そう……食用人間飼育場から別の世界へ運ぶためのものだ。今はもう使われてないが。
 その近くに、偶々青年の家があった。そして、事故か何かで行方不明になった、
 首無し少女の一人が行き倒れている所を拾われたのだろう。

 (寄り道:山の崩落事故跡)
 霊夢は間欠泉地下センターの上空を通り過ぎた所で、家族連れを目撃する。
 青年の両親と、両親に寄り添う青年の妹だった。
 現場跡の隅っこに、小さな墓石が建てられ、花が供えられていた。
 青年のものだ。遺骨(体だけ)が埋められてるらしいが……。
 (外界では、墓に死者はおらず、風となって世界中を駆け巡っていると歌った歌人がいるらしい。
 また、土に埋めたり、燃やして灰にして埋めるのではなく、鳥に食わせたり、
 灰を川や「海」にばら撒いたり、風に飛ばしたりする風習を続ける部族もあるとか。
 果たして死者はどこに行くのだろう。魂は三途の川を渡るが、残された体はあちこちを流転し、
 様々に形を変え、別の生き物の一部となるのだろう。
 だとすれば、あそこに青年はおらず、あの家族の墓参りは無意味なのだろうか。
 しかし、骨にも記憶が宿ると、どっかの壁抜けできる邪仙が言ってたような。
 ……あれは「呪い(まじない)」なのだろう。青年の生きた記憶が宿る呪具に祈りを捧げる事で、
 残された家族と死んだ青年との繋がりを保つための。
 そうやって、家族が死んだ事への折り合いを付け、悲しい過去の記憶という呪いに立ち向かい、
 未来へ進むための糧としているのだろう。)
 たとえ、青年の墓が本人のいない空っぽの器であっても、家族と青年を繋ぎ、
 愛別離苦という呪いを超えるための呪具として働いている以上、それは無意味な石ころとは言えず、
 博麗の巫女としても、素通りするわけにはいかないだろう。
 霊夢はせめて、邪念のような良からぬ何かが取り憑かぬよう、
 いつまでも安らかに眠れという願いを込め、青年の墓に祈りを捧げた。
 ……その様子を物陰から見つめるものがいた事に、霊夢は気付かなかった。
 「そう……それでいいの。お疲れ様、霊夢。」
 今度こそ、トゥルーエンド。