ここでは、「人文系大学院へ進学することのメリット、デメリット」についてお話できればと思います。
橋本努氏のHP。
高学歴ワーキングプア。
一時期、ニュース番組で韓国の工学研究科を終了なされた方のインタビューが放送されていました。韓国でも問題になっているのかもしれません。
『高学歴ワーキングプア』(水月昭道、光文社、2007)
アマゾンによる「商品の説明」から引用(20081130 05:33アクセス)
商品の説明
出版社/著者からの内容紹介
大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わん都執念を燃やす"既得権維持"のための秘策だったのである。折しも、九〇年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。就職難で行き場を失った若者を、大学院につりあげることなどたやすいことであった。若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、大学市場を支配する者たちだった。(本文より)
内容(「BOOK」データベースより)
非常勤講師とコンビニのバイトで月収15万円。正規雇用の可能性ほぼゼロ。
著者について
水月昭道(みづきしょうどう)
1967年福岡県生まれ。龍谷大学中退後、バイク便ライダーとなる。仕事で各地を転々とするなか、建築に興味がわく。97年、長崎総合科学大学工学部建築学科卒業。2004年、九州大学大学院博士課程修了。人間環境学博士。専門は、環境心理学・環境行動論。子どもの発達を支える地域・社会環境のデザインが中心テーマ。2006年、得度(浄土真宗本願寺派)。著書に『子どもの道くさ』(東道堂)、『子どもたちの「居場所」と対人的世界の現在』(共著、九州大学出版会)など。現在、立命館大学衣笠総合研究機構研究員および、同志社大学非常勤講師。任期が切れる2008年春以降の身分は未定。
とても衝撃的な一冊です。結句、今大学院に行くべきか行かざるべきかという問題はコンマ一秒で結論が出ます。「行かない」方がいいのです。
大学院へ進学すると、ストレートで修士課程を終えたとしても24歳。博士課程ならば27 歳。企業としてもとても「あつかいに困る新人」なのです。
またしかし、27歳になっても「論文博士」になるのは並大抵の苦労ではありません(よく学術書などを出されている方の「単位取得退学」とは「過程」をすべて終えられた方のことです。
2年の修士課程のみで大学院とは一旦距離を置いて、就職なさるという手段もありでしょう。
『黒山もこもこ、抜けたら荒野』(水無田気流、光文社)のp.181の九○年代に人文・社会科学系の大学院の博士後期過程に進学した者は、当初は博士号を取得することなどあまり称揚されてはいなかった。
たとえば、私のように九○年代に人文・社会科学系の大学院の博士後期過程に進学した者は、当初は博士号を取得することなどあまり称揚されてはいなかった。 一般的に、博士号には「課程博士」と「論文博士」があり、(中略) 人文・社会科学系の教員に関して言えば、これまでは圧倒的に後者が多かった。
論文博士の方が多いの?小谷野敦、水月昭道によると逆では?誤記ではないかな……?
と書いて疑問を呈していたのですが、すぐに小谷野敦氏から、
「それまでは論文博士が多かった」のは事実で、東大では90年頃から課程博士号をとることが「慫慂」されるようになりましたが、早稲田ではもうちょっと遅かったのかも。
というコメントをいただきました。ありがとうございます。
「大学の困難」。
『現代思想2008年9月号 特集=大学の困難』(青土社)
水月昭道氏も短文を寄せています。
大学院を巡る貧困について。
社会人院生。
博士号をとろうとしている人文系院生に告ぐ。
小谷野敦氏による人文系院生への「博士号」を取得することは教員になるのに有利なのだろうか、というエントリーです。
アレゼール日本の活動。
大「脳」洋航海記
(20081130熊谷作成)
最終更新:2009年06月11日 22:25