「等価?交換」(2008/12/01 (月) 21:26:44) の最新版変更点
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**等価?交換
「……どうしろっていうんだよ、もう」
月明かりが静かに降り注ぐ草原のど真ん中。
そこに、一人の人間が佇んでいた。
―――いや訂正しよう。一体の鎧が佇んでいた。
「突然よく分からない場所に集められて……恋愛をしろって言われたってさ……
第一、見た目が鎧の僕なんて恋愛には一番不向きじゃないか……」
見た目と違い、随分と幼い声で溜息を吐き続ける鎧。
彼の名は、アルフォンス・エルリック。
とある深い事情により鎧に魂だけを固定されただけの体となった、錬金術師。
「とりあえず、この会場には誰がいるんだろう?」
もしかしたら兄や、色んな意味でこういう催しに向いている某大佐がいるかもしれない。
彼等と合流出来れば何かしらの打開策が見つかるかもしれないと思い立ち……次の瞬間。
「でりゃぁぁぁぁぁ~~~ッ!!!」
突如聞こえた、女の子の物にしては随分と雄々しい雄たけび。
「へ?」
その直後、横からの衝撃に頭が文字通り吹っ飛んだ。
地面に落ちた頭はコロコロと数回転がり……ようやく止まったその時に、アルは声の主であり襲撃者でもある人物の姿を見る事が出来た。
オレンジ色のツインテールの髪。青い衣装。妙に自信に満ちた表情の強気そうな少女。
その少女は吹っ飛んだ体制のままのアルの体を見下ろすと、ふんぞり返って高らかに言う。
「ふん!このミント様の力を持ってすれば、こんなザコ魔物ちょちょいのちょいなのよねー
しっかし、魔物を放し飼いとか何考えてるのかしら……あたしやルウならともかく、エレナやプリマがいたら大変な事になるじゃない。
こりゃー早く探さしてやらないとね……」
「き、君。ちょっといい?」
ようやく蹴りからの驚きから回復したアルは、体を起こし――無論、体だけで頭は付いていない――少女に話しかける。
しかし、その動作はある意味裏目に出たようで。
「…!? まだ生きてるなんてしぶとい奴ね! とうッ!」
素早く身を翻した少女の飛び蹴りがアルの胴体に命中する。ガツン、という鈍い音。
ああちょっとヘコんじゃったかもと、場違いに冷静な考えが頭をよぎる。
「まったく、頭と体がバラけても無事なんて……ん?じゃあもしかしたら頭の方も危ないんじゃないの?」
そう呟くや否や、ギロリと頭の方に向けられる視線。
「き、君ちょっと落ち着いて! 僕はその……魔物、とかじゃないよ! 僕もこの変な企画の参加者なんだって!」
「魔物じゃないー? 頭と体が分離してても喋る人間がどこにいるってのよ?」
「そ……それにはちょっと深い事情が……」
果たして、自分の体についての事情を簡単に言っていいものか。
しばらくもごもごと言い淀んでいると、少女はどっかと倒れたままのアルの体に腰掛けた。
「何だか分かんないけど……事情があるんなら、聞くぐらいはしてあげてもいいわよ」
◇
「錬金術……ねぇ……」
「そう言う事。とりあえず、信用はしてもらえた?」
「んー、まぁ今のところは納得してあげるわ」
アルフォンス、というちょっぴり長ったらしい名前の鎧の話を聞いたミントは、腰かけていたアルの胴体から立ち上がった。
やれやれとでも言いたげな動きで胴体が起き上がり、頭を拾って装着する……原理は分からないが、大した技術だ。
(ワケわかんない場所に連れてこられてどうしようかと思ったけど……こんなすっごいモノ見れるんなら捨てたもんじゃないわね。
ふっふっふ……このゲーム、必要最大限に利用してやるわ!)
グッ、と密かに拳を握りしめる。
そんな彼女の野望を知らないアルは、警戒を解いてくれた彼女に問いかける。
「ねえ……ミント、だっけ?これからどうするつもr「アンタに協力してあげるわ!」……は?」
その発言を遮る、ミントの大声。
「アンタのその見た目じゃあ、あたしみたいに警戒する奴が多いでしょ?
そんなんじゃあこのゲームで彼女見つけるなんて難しいでしょうし……てなワケで、あたしが彼女見つけるの手伝ってあげるわよ」
突然の申し出……ほとんど命令なそれに、困惑するアル。
「え?いやでも、僕は別に彼女を見つけようとか考えてなくて……ただ兄さんや知り合いを探そうかなと」
「じゃあ、知り合い探すの手伝ったげる。その代わりに……」
「その代わりに……何?」
勢いに押され気味のアルに対して、ミントはあくまで強気にお願い……いや、命令する。
「……さっき話した錬金術っての、あたしに教えて!」
―――今、アルに人間の顔があったなら……そうとう呆けた表情をしているに違いない。
それはミントにもうすうす理解できたが、相手はどうやらルウの様な気弱なタイプ。ゴリ押ししてしまえばこっちの物だ。
(鎧に魂を宿らせる……こんな『遺産』にも匹敵する技術があれば、きっとマヤなんて目じゃない力になるわ。
それに、もしかしたら他にも未知の技術があるかも……絶対に手に入れなくちゃ!)
心の内で、ミントは悪魔の笑みを浮かべる。
(たくさんたくさん未知の技術を手に入れて……何とかして元の世界に帰って……
その力で、世界を征服してやるわっ!)
【草原の真ん中/午前1時】
【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:鎧に少し凹み
[道具]:基本支給品一覧
[標的]:未定
[思考]:1.ミントの申し出を……どうしよう?
2.元の世界の知り合いを探す。
【ミント@デュープリズム】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一覧
[標的]:恋愛には余り興味なし
[思考]:1.アルの知り合いを探すか、彼女を見つけてやる。その代りに錬金術を教えてもらう。
2.自分の知らない技術や知識があれば、何とかして手に入れる。
3.手段を問わず元の世界に帰る。そして世界征服!
**等価?交換
「……どうしろっていうんだよ、もう」
月明かりが静かに降り注ぐ草原のど真ん中。
そこに、一人の人間が佇んでいた。
―――いや訂正しよう。一体の鎧が佇んでいた。
「突然よく分からない場所に集められて……恋愛をしろって言われたってさ……
第一、見た目が鎧の僕なんて恋愛には一番不向きじゃないか……」
見た目と違い、随分と幼い声で溜息を吐き続ける鎧。
彼の名は、アルフォンス・エルリック。
とある深い事情により鎧に魂だけを固定されただけの体となった、錬金術師。
「とりあえず、この会場には誰がいるんだろう?」
もしかしたら兄や、色んな意味でこういう催しに向いている某大佐がいるかもしれない。
彼等と合流出来れば何かしらの打開策が見つかるかもしれないと思い立ち……次の瞬間。
「でりゃぁぁぁぁぁ~~~ッ!!!」
突如聞こえた、女の子の物にしては随分と雄々しい雄たけび。
「へ?」
その直後、横からの衝撃に頭が文字通り吹っ飛んだ。
地面に落ちた頭はコロコロと数回転がり……ようやく止まったその時に、アルは声の主であり襲撃者でもある人物の姿を見る事が出来た。
オレンジ色のツインテールの髪。青い衣装。妙に自信に満ちた表情の強気そうな少女。
その少女は吹っ飛んだ体制のままのアルの体を見下ろすと、ふんぞり返って高らかに言う。
「ふん!このミント様の力を持ってすれば、こんなザコ魔物ちょちょいのちょいなのよねー
しっかし、魔物を放し飼いとか何考えてるのかしら……あたしやルウならともかく、エレナやプリマがいたら大変な事になるじゃない。
こりゃー早く探さしてやらないとね……」
「き、君。ちょっといい?」
ようやく蹴りからの驚きから回復したアルは、体を起こし――無論、体だけで頭は付いていない――少女に話しかける。
しかし、その動作はある意味裏目に出たようで。
「…!? まだ生きてるなんてしぶとい奴ね! とうッ!」
素早く身を翻した少女の飛び蹴りがアルの胴体に命中する。ガツン、という鈍い音。
ああちょっとヘコんじゃったかもと、場違いに冷静な考えが頭をよぎる。
「まったく、頭と体がバラけても無事なんて……ん?じゃあもしかしたら頭の方も危ないんじゃないの?」
そう呟くや否や、ギロリと頭の方に向けられる視線。
「き、君ちょっと落ち着いて! 僕はその……魔物、とかじゃないよ! 僕もこの変な企画の参加者なんだって!」
「魔物じゃないー? 頭と体が分離してても喋る人間がどこにいるってのよ?」
「そ……それにはちょっと深い事情が……」
果たして、自分の体についての事情を簡単に言っていいものか。
しばらくもごもごと言い淀んでいると、少女はどっかと倒れたままのアルの体に腰掛けた。
「何だか分かんないけど……事情があるんなら、聞くぐらいはしてあげてもいいわよ」
◇
「錬金術……ねぇ……」
「そう言う事。とりあえず、信用はしてもらえた?」
「んー、まぁ今のところは納得してあげるわ」
アルフォンス、というちょっぴり長ったらしい名前の鎧の話を聞いたミントは、腰かけていたアルの胴体から立ち上がった。
やれやれとでも言いたげな動きで胴体が起き上がり、頭を拾って装着する……原理は分からないが、大した技術だ。
(ワケわかんない場所に連れてこられてどうしようかと思ったけど……こんなすっごいモノ見れるんなら捨てたもんじゃないわね。
ふっふっふ……このゲーム、必要最大限に利用してやるわ!)
グッ、と密かに拳を握りしめる。
そんな彼女の野望を知らないアルは、警戒を解いてくれた彼女に問いかける。
「ねえ……ミント、だっけ?これからどうするつもr「アンタに協力してあげるわ!」……は?」
その発言を遮る、ミントの大声。
「アンタのその見た目じゃあ、あたしみたいに警戒する奴が多いでしょ?
そんなんじゃあこのゲームで彼女見つけるなんて難しいでしょうし……てなワケで、あたしが彼女見つけるの手伝ってあげるわよ」
突然の申し出……ほとんど命令なそれに、困惑するアル。
「え?いやでも、僕は別に彼女を見つけようとか考えてなくて……ただ兄さんや知り合いを探そうかなと」
「じゃあ、知り合い探すの手伝ったげる。その代わりに……」
「その代わりに……何?」
勢いに押され気味のアルに対して、ミントはあくまで強気にお願い……いや、命令する。
「……さっき話した錬金術っての、あたしに教えて!」
―――今、アルに人間の顔があったなら……そうとう呆けた表情をしているに違いない。
それはミントにもうすうす理解できたが、相手はどうやらルウの様な気弱なタイプ。ゴリ押ししてしまえばこっちの物だ。
(鎧に魂を宿らせる……こんな『遺産』にも匹敵する技術があれば、きっとマヤなんて目じゃない力になるわ。
それに、もしかしたら他にも未知の技術があるかも……絶対に手に入れなくちゃ!)
心の内で、ミントは悪魔の笑みを浮かべる。
(たくさんたくさん未知の技術を手に入れて……何とかして元の世界に帰って……
その力で、世界を征服してやるわっ!)
【草原の真ん中/午前1時】
【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:鎧に少し凹み
[道具]:基本支給品一覧
[標的]:未定
[思考]:1.ミントの申し出を……どうしよう?
2.元の世界の知り合いを探す。
【ミント@デュープリズム】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一覧
[標的]:恋愛には余り興味なし
[思考]:1.アルの知り合いを探すか、彼女を見つけてやる。その代りに錬金術を教えてもらう。
2.自分の知らない技術や知識があれば、何とかして手に入れる。
3.手段を問わず元の世界に帰る。そして世界征服!
***投下順
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***時系列順(キャラクター別)
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|初登場|ミント|[[]]|
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