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「ドキッ!野郎だらけの自棄酒大会」(2008/11/27 (木) 22:52:25) の最新版変更点
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**ドキッ!野郎だらけの自棄酒大会
ここはホストクラブ。しかしホストの姿はなく、代わりにシケたツラをした三人の男が寂しく飲み明かしていた。
「はぁ…」
明らかにシケたツラをしている男が溜め息をついた。その男はファッションなのかハゲなのかは知らないが頭頂部もかなりシケている。
よく見ると顔が赤く目がすわっている。どこからどう見ても酔っ払い親父そのものだ。
「ふぅ…」
まだ年も若く、見た目も悪くないのにハゲに負けず劣らずシケたオーラを出している青年も続いて溜め息をついた。
その目には涙が溜まっている。泣き上戸なだけかもしれないがそれにしては哀愁が漂い過ぎている。
「ガラハド殿もビュウ君もそんなに溜め息をつくと幸せが逃げてしまうぞ…」
白ターバンに覆面という怪しくもシケたいでたちの男がシケた言葉をかける。
鼻と口が覆面で隠れているのだ。多分素顔はシケてるのだろう。
「溜め息つくなって方が無理っすよミンウさん。俺、幼なじみに捨てられたんですよ?長年想い続けていた幼なじみに…」
ビュウと呼ばれた青年が死んだ魚のような目で辛い失恋の記憶を回顧する。
彼はヨヨという幼なじみに文字通り捨てられたのだ。
「しかも敵に寝取られたんです。俺の知らない間に幼なじみと敵が出来てたんですよ。
いやー大人になるって本当に悲しいことなんすねぇ…。
伝説の教会…結ばれるって言い伝え…結婚の約束…あれなんだったんでしょうねえ?
初恋は実らないって本当なんですね…あれ…おかしいな…目からまた汗が…」
目どころか鼻からも自称汗が出ているがそれを指摘するのは野暮というものだ。
「ビュウ君。辛いだろうけど、ここで次の恋を探しなさい。君はまだ若いし幾らでもやり直しがきく。人生これからだ」
人生の先輩らしくビュウを励まそうとするミンウだったが、それが一人でやけ酒を飲むハゲの怒りに火をつけたのだった。
「それは私に対する当てつけかきさまー!」
ハゲ、いやガラハドがミンウの体を強く揺さぶり八つ当たりをする。
「や、やめてくれ。現世で命を落とし、辛く悲しい思いをしたのは君だけではない。
確かに君は心無き者に殺害された分悲しみも大きいだろうが、
こうしてお互い復活出来たのだから辛い記憶を忘れ前向きに生きようじゃないか」
誰も使わない、1ギルの価値しかない魔法の封印を解くためだけに、命を落とす羽目になったミンウ。
一生懸命働いて手に入れた念願の名刀アイスソードを手に入れて自慢していただけなのに、殺されて奪い取られたガラハド。
幸せの絶頂から不幸のどん底に叩き落とされた分、悲惨度はガラハドの方が微妙に高いだろう。
だがガラハドが気にしているのはそういうことではない。
「ターバンとマスクで誤魔化してる分際で不細工ハゲにされた俺の不幸がわかるか!」
…こういうことである。
その昔、ガラハドはそれなりの美形聖戦士として名を馳せていたのだが、
何があったのかいつの間にか今のようなハゲ・ヒゲ・ケツアゴの三重苦を背負ったおっさんとなってしまったのだ。
「や、やめてくれ。ガラハド殿。そんなにハゲしくされたら私はおかしくなってしまう…」
誤解を招きそうな科白を吐くミンウ。
これをガラハドはまた別の意味で誤解したようだ。
「『ハゲ死苦』だと!?な、なにをいうきさまー!」
「ち、違っ。『激しく』だ!!」
「またハゲといったなきさまー!」
怒り狂ったガラハドは力任せにミンウの体を上下左右にシェイクした。
怒りのあまり、酒を飲んだ人間にそのような行為をしたらどうなるかすらガラハドは考えられなくなっていたようだ。
「ガラハドさん、そんなに揺らさない方が…」
あまりの剣幕に棒立ちしていたビュウが慌ててガラハドとミンウの間に割って入る。
だが時すでに遅し。
「うっ…」
ミンウの口からドンペリ味の(自主規制)が飛び出した!
それを浴びたガラハドとビュウは汚れていく……汚れていく……。
「な、なにをするきさまー!」
運悪くミンウの(自主規制)の勢いの良さに吹っ飛んだ(自主規制)たっぷりの覆面を顔に貼り付かせたままガラハドは絶叫した。
それから約一時間後。
「タオルと着替え、ここに置いときますから……」
シャワーから一足先にあがり、酔いからもさめたビュウが鼻を摘まみながら二人分のタオルと着替えをシャワー室に投げ込んだ。
若いだけあって貸衣裳もなかなか様になっている。
「有難う、ビュウ君」
「な、何をするきさまー!服にシャワーがかかるところだったぞ!」
どうやら二人は無事に着替えとタオルを受け取ったようだ。
ホストクラブらしく、個室シャワールーム三つとタオル、そしてホスト用の貸衣裳が用意されてあったのは不幸中の幸いだった。
誰もホスト用の貸衣裳は似合わない気がするが元々の装備の洗浄と乾燥が終わるまでの辛抱だ。贅沢は言ってられない。
「まだ(自主規制)臭いぞきさまー早く出ろきさまー」
シャワーからあがり、案の定似合わないホスト衣装を着るガラハド。
その姿はコメディアンにしか見えない。
「すまなかった。着替えも終わったので今出るから少々待ってくれ」
シャワー室からミンウの声がした。吐いた張本人なだけあって色々と始末も大変な分シャワーが長引いたのだろう。
「大丈夫ですか?」
「ああ。私自体は大分楽になれたし、身も清めることが出来た。だが」
「だが?」
「ターバンとローブは乾けばなんとかなりそうなのだが、覆面はもう使えそうもない」
どうやら自分のターバンにも跳ねる程豪快に(自主規制)を撒き散らしたようだ。
で、その豪快な(自主規制)の主がシャワー室から出てきたわけだが…。
「ブ、不細工ハゲじゃなかったのかきさまー!」
そうである。ガラハドの言う通り、豪快な(自主規制)の張本人であるミンウは、不細工ハゲなんかじゃなかったのである。
ターバンと覆面を外し、素顔と髪を晒し、ホストスーツを着ている今の彼はガラハドの予想を覆す美形だったのだ。
ガラハドはなぜか勝手に自分が裏切られた気になった。
「顔と頭頂部を隠してるから不細工ハゲだと確信してたのに不細工ハゲじゃないとは何事だ!」
「が、ガラハドさん意味不明な上に失礼ですよ」
ミンウは目の前のハゲの謎の言葉に戸惑う。
「ガラハド殿…まだ酔ってるのか?私が君たちに粗相をしたことは謝るが、あまりわけのわからないことで怒らないでくれ」
が、どうしてガラハドがキレているかはわかっていないようだ。
酔っ払いのハゲの怒りの理由なんて別にわかりたくもないだろうが。
「そうですよ。ガラハドさん、いい年して大人気ないですよ」
ガラハドよりずっと年下のビュウがたしなめる。
皮肉にもそれが酒に酔ったガラハドの怒りを爆発させることになったのだった。
「もういい!貴様らなど友でもなんでもない!貴様らもグレイと一緒だ!友達面して私を殺して何もかも奪い取る気だろう!!」
さっき知り合ってやけ酒大会になっただけなのに友もへったくれもあったものではない。
「きさまらなんてだなァ!きさまらなんてだなァ!」
ガラハドはそう吼えると深い眠りについた…。
「ミンウさん、この人死んじゃったんですか…」
「安心してくれ。寝ているだけだ。ほら」
ミンウの言葉通りすぐにガラハドの熊のような鼾が聞こえてきた。
酔って怒って疲れて眠ってしまうとははた迷惑だが彼もそれだけストレスを蓄積させていたのだろう。
「ミンウさん、この人どうします?」
「どうするって…このまま放っておくわけにも行かないだろう」
「え…でもこうしている間にも貴重な女の子たちが…」
「ビュウ君…人に冷たい男は女性に嫌われるぞ」
「は、はい。わかりました。俺もここにいます」
要はミンウもビュウもお人好しなのである。
で、結局三人がどうなったかというと。
「……ミンウさんまで寝ちゃうんだもんな……」
この有り様だ。
ビュウは傍らで眠るミンウとガラハドを恨めしそうに見つめた。
さっきまで酒酔いで吐いていたのだから眠ってしまうのはしょうがないことなのだが、なんとなく納得がいかない。
いっそこの際二人を置いて自分は女の子探しの旅に出るべきなのではないだろうか。
だが生まれつきの人の良さが災いして、そんなことは出来ないのだった。
「人に親切にしてれば報われるっていうし、これでいいんだよな…?俺、間違ってないよな…?」
他の二人も不幸な人生を送ってきたが、一番不幸なのはこのビュウなのかもしれない。
頑張れビュウ!負けるなビュウ!
【街中のホストクラブ/一日目/深夜二時】
【ガラハド@ロマンシングサガ】
[状態]:ガラハゲ(リメイク版の容姿)・爆睡中・起床後二日酔い症状が残る可能性あり
[道具]:支給品一式・愛すソード(アイスソードのパチモン)
[標的]:ミリアムがこの場にいたらミリアムがいい
[思考]:酔ったせいもあるけどやさぐれ気味
【ミンウ@ファイナルファンタジー2】
[状態]:爆睡中・起床後二日酔い症状が残る可能性あり
[道具]:支給品一式・ランダム支給品
[標的]:今まで色恋沙汰に現を抜かす暇がなかったので起きてからじっくり考える
[思考]:とりあえず犬死にだけは勘弁
【ビュウ@バハムートラグーン)】
[状態]:精神的にも肉体気味にも疲労気味
[道具]:支給品一式・ランダム支給品
[標的]:浮気しない一途な子がいい。でもまだヨヨが心に引っかかる
[思考]:1:一刻も早く失恋のショックから立ち直る
2:お人好しなままの自分でいいのか軽い疑念
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