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幸せは歩かない


あの人は言っていた。誠くん以外の異性とも話をしてみるべきだって。私もそれは大切なことだって思う。
でも……叶うことなら、また、誠くんに会いたい。会って、話がしたい。
私は誠くんに逢えて、傍に居られて、すごく幸せだった。
誠くんはどうだった?私に出逢って、私の傍に居て、幸せだった?
聞きたい、だけど、返事を聞くのが怖い。

ねぇ、誠くん、私はこれからどうすれば「………うぶ!?……じゃダメだよ!」―――?

「!」
「おわぁぁぁぁぁ!?」

瞼を二部ほど開けてみると、外人の女の人の顔が正面にあった。
思わず見惚れてしまうほどに綺麗な彼女の持つ金糸が、私の頬をくすぐっていて、こそぐったい。

「い、生き返った。もしかしてあなたも手品師だったりするの!?」
「マジシャン?…ひゃあっ!」

脱力していた肩を突然掴まれて、前後に揺さぶられる。
未だ覚醒しきっていない脳を見事なまでにシェイクされ、少し気分が悪くなった。

「私の友達にもね、すごい手品師がいっぱい居るんだ!今度紹介してあげる!」
「は、はぁ」

話の進行速度があまりに急速すぎてついていけない。
順を追って考える時間すら与えてもらえない。
「あの、私はどうして…」
「びっくりしたよ、こんなところで倒れてるんだもん!ももももも、もしかしてししし、死んじゃってるーーっ!?って、思って、
 慌てて駆け寄ったんだけどね、声を掛けてみたら生き返ったでしょ?そういう手品は前にも何度か…。
 ん?あれ?でも、それって私が話しかけたから生き返ったのかなぁ?ってことは、私が手品師ってこと?わわわ!すごい!アイザックの報告しなきゃ!」

ちゃんと息継ぎしているのだろうか。
……それはともかくとして、どうやら私は今後のことを考えている内に眠ってしまって、そこを発見した彼女に起こしてもらったようだ。
確かにこんな寒空の下、こんな公園の隅で横になっていたら死体だと思われてもおかしくは――ないのかは人それぞれとして、とにかく彼女は自分の身を心配してくれたらしい。

「起こしてくれて有難うございました。私は桂言葉といいます、その…貴方のお名前を教えてもらっても良いですか?」
「私はミリア。ミリア・ハーヴェントだよ。よろしくね、コトノハ!」

だらしなく垂らしていた私の右手が、どういうわけか重力を無視して持ち上がった。そこに私の意識は無い。
行方を見てみると、純白のドレスのような透き通ったミリアさんの白い手が、私の右手を包み込んでいた。

「あ……よ、よろしく、お願いします…」

あまりに純真無垢な笑顔が目の前にあったから、眩しく感じた私はそれ以上直視できず、視線を逸らしてしまった。

「コトノハも私たちと同じ『サクラ』ってやつなのかな?」
「サクラ?」
「あ、そっか、わかんないなら本当のお客さんなんだね!お客さんに私たちの正体をバラしちゃ意味無いよね!」

やっぱりミリアさんの言うことはやっぱりよくわからないけれど、不思議とそれが居心地良い。
「コトノハはこれからどうするの?」
「私は、これから、…これから―――」

これから、どうするんだろう?
夢幻さんは言ってた。いろいろな男の人と話をしたほうが良いって。
わかってる。私の見ていた世界は狭い。本当はこの世界は、もっともっと広いことを、私はわかってる。
だけど誠くんの影は消えてくれない。ずっと私の中の日向に、誠くんの影が差してる。
どうすればいいの?誰でも良い、誰かもう一度、私の背中を押して―――。

「私の恋人、アイザックっていうんだけどね」
「え?」

唐突すぎるミリアさんの言葉に、私は漫然とした。

「アイザックは、何にも無いものから笑顔だったり勇気だったり、素敵なものを作り出してくれる。
 どんなに長いトンネルに入ったって、必ず出口まで引っ張り出してくれる、誰よりも凄腕の手品師なんだ」

………。

「だからね、コトノハ。コトノハは笑ってて良いんだよ。悲しいことも辛いことも不安なことも、アイザックがぜーんぶ吹き飛ばしてくれるから!」

そんな確証はどこにも無いし、根拠も見当たらない。
でも、なぜか私に纏わりついていた不安が全部消えて、身体が軽くなったような気がした。
ミリアさんは、私の赤く腫れぼったくなった瞼の意味をわかってくれていたのかもしれない。
「ミリアさん、私、逢いたい人が居るんです。ここには居ないかもしれないけど。誠くんっていう人、私の好きな人」
「じゃあ、マコトを探して、告白するの?」
「違うんです。逢って、真正面から向き合って、お話がしたい。それから、一つの景色だけじゃなくて、色々な世界を見たいって…そう思ってます」

まさか私の口からこんな言葉が出るだなんて、自分でも驚いた。
今までの私だったらきっと、誠くんの背中だけを見て、現実を無視してただけだっただろう。
恋人のアイザックさんが手品師なら、ミリアさんは魔法使いに違いない。
だって、弱くて情けなかった私の中から、こんな風にちゃんと前を見つめられる私を引き出してくれたんだから。

「だったら、私について来て!コトノハにとって、すごくすごーくハッピーなことが起こっちゃうから!」
「ハッピー、ですか?」
「うん!マコトだって絶対ここに居る、私とアイザックが探し出してあげる。大丈夫、私たちを信じて!!」
「……はい!」

きっとミリアさんなら、ミリアさんと一緒に居たら、もっとびっくりするような奇跡が見れるかもしれない。
私はこの人を信じようと、そう思った。

○     ○     ●     ○     ○

ガガガ、ザザー………。

『こちらミリア、先程J-2の公園でコトノハって女の子を発見し今もコトノハと一緒に居ます。どーぞー』

『こちらアイザック、ただ今A-2に入ったばっかりなのでまだ俺一人だ。どーぞー』

『アイザックに手伝ってほしいあるんだけど、良いかなぁ?どーぞー』

『俺にできないことなんてあると思うかミリア?どーぞー』

『無いね!どーぞー』

『だろ?だからつまり、俺に不可能なことは無い!どーぞー』

『じゃあじゃあ、マコトっていう日本人の男の子を捜して、オミアイに連れてきてほしいの。私もこっちのエリアを捜すつもりだよ。どーぞー』

『マコトか、わかった。それじゃあ見つかったらお互いに連絡を取り合うってことで良いか?どーぞー』

『了解!』

ブツン。


通信を切ったミリアは、膝の上で眠る言葉の面を覗いて、規則正しい呼吸が続いていることを確認する。

「コトノハ、ちゃんとマコトに逢わせてあげるからね!」

【J-2 おしゃれな公園/午前二時】
【ミリア・ハーヴェント@バッカーノ!】
 [状態]:正常
 [道具]:支給品一式、トランシーバー(残り電力80%)
 [標的]:アイザック・ディアン
 [思考]:
2コトノハとマコトをオミアイに参加させ、二人を逢わせる。
1恋人がいない人達を集めて、F-6のホテルで『オミアイ』を開催する。

【桂言葉@School Days(アニメ)】
 [状態]:正常、心のゆとり、仮眠中
 [道具]:不明
 [標的]:特になし。ただ、誠にもう一度会いたい
 [思考]:
2ミリアを信じて着いて行く。
1誠とちゃんと向き合った上で魔実也の助言に従い色々な世界に目を向ける。


【A-2 /午前二時】
【アイザック・ディアン@バッカーノ!】
 [状態]:正常
 [道具]:支給品一式、トランシーバー(残り電力80%)
 [標的]:ミリア・ハーヴェント
 [思考]:
2マコトを探し出してオミアイに連れて行く。
1恋人がいない人達を集めて、F-6のホテルで『オミアイ』を開催する。


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夢幻紳士 幸せは歩かない

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BACCANO!~恋愛編~ ミリア・ハーヴェント
BACCANO!~恋愛編~ アイザック・ディアン




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