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無題


「俺は小さい頃からなんでもできた……そうおもってたんだがね。
 そういえば恋愛なんざ一度もやってなかったね」

自嘲気味に呟いた後、金髪の青年は傍にあった木の根に座り込み巨木に身を預ける。
彼の目に生気と呼ばれるものは一切宿っておらず、動作の一つ一つも弱弱しい物であった。

“天才”

彼、秋葉流を形容するためにこれ以上の言葉は必要ないだろう。
しかし、天才は圧倒的な光を前に立ち止まってしまった。
蒼月潮という光を直視できずに自ら闇へと飛び込んでいってしまった。
その先にあったのは己が渇望し続けた戦い。
“人生”を楽しんではいけない。本気を出してはいけないと自らを閉ざした青年の初めての体験。
そして、彼の心に吹く風は完全に止んだ……。
彼の命が燃え尽きると共に―――。

「っと思ったんだがね。もしかしてこれは閻魔様の悪い悪戯なのか?
 ……くかか、馬鹿みたいなこと考えるとは思わなかったねぇ」」

死んだ後の行動も覚えている。
潮を助けるために最後の最後でやっと俺は光の当たる場所へといけた。

「遅すぎたんだがね……」

飄々とした口調に信じられないほど深い後悔が込められる。
全てが終わった自分に今更どうしろというのだろうか。

「真面目に恋愛してここから脱出する? 馬鹿みたいな話だよな」

自分は人を愛するためには汚れすぎた。
人を裏切り世界を裏切り……そして友を裏切った。
そんな自分が本気で恋愛できるわけが無い。
秋葉流はそう信じきっていた。

(大体、俺に愛されるやつが可哀想じゃねぇか。
 俺みたいな馬鹿野郎に惚れられて嬉しいヤツなんていないだろ?
 確かに外面位は幾らでも取り繕えるさ。でも中身を見せたら皆逃げていくよ。
 この真っ黒に染まった野郎の心の奥底まで見せたらな)

自分をとことんまで卑下したところで流は自身を襲う強力な睡魔に気が付いた。

「やれやれ……死んだばかりの体はやっぱり休憩が必要みてーだな」




静かな寝息を立てる流のもとに一人の女性が訪れた。

「ああ…よかった。やっと人に会えた。
 あまりにも弱すぎるからこの信号も違うのかと思った……」

胸に手を当てて深呼吸を数度した彼女の名は“ユーゴー・ギルバート”
『天使』の名を冠する高位のテレパシストだ。

「この人……」

寝ている流にそっと近寄る。
……何も来ない。
普段なら無意識のうちに他人の思考を読み取ってしまうのだが、今回は全く流れ込んでくる気配が無い。

「んっ……」

少しだけ集中してみた。あくまでも表層のほんの薄い部分しか読み取れないように。


ブワッ


表層の表層。彼の心理のほんの一部を読み取っただけのはずだった。
なのにユーゴーは震え、白い頬に一筋の涙が伝う。

「この人は……悲しすぎる……」

穏やかな寝顔の内に何を隠しているのだろうか?
それはまだ分からない。
ともかく『悪魔に魂を売った男』と『天使』は出会ったのだ。
神の気まぐれか、悪魔の悪戯によって――――――


【森/午前2時ごろ】
【秋葉流@うしおととら】
 [状態]:健康、睡眠中
 [道具]:基本支給品一覧
 [標的]:なし
 [思考]:1.これから俺はどうしようかね
     2.恋愛には乗り気ではない

【ユーゴー・ギルバート】
 [状態]:健康
 [道具]:基本支給品一覧
 [標的]:なし(高槻涼?)
 [思考]:1.目の前の人が気になる

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おうちへ帰ろう 無題017 しかしなにもおこらなかった

時系列順(キャラクター別)

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初登場 秋葉流 [[]]
初登場 ユーゴー・ギルバート [[]]




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