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せめて参加者として


「5日で嫁さんを探せと言われてもなー」

ハッサンはガチムチ先住民に勝るとも劣らない鍛え上げた体を貧乏ゆすりしながら悩んでいた。

一人息子としては親父とおふくろが生きているうちに孫の顔ぐらいは見せたいと思う。
しかし自分は残念なことに女の子にモテるタイプの人間ではない。
今までの人生で彼女ができなかったものを、この5日間でなんとかしろといわれても酷な話ではある。
だが嫁を探せなければ自分は一生我が家へ戻れない。
そうなると家業の大工業を継ぐ者もいなくなってしまう。
これは由々しき事態だ。

「Hi!」

苦悩するハッサンの背後から、突然聞き覚えのない女の子の声がした。

「よ、よう!」

ハッサンが振り返ると、ポニーテールの美女がハッサンをじっと見つめていた。
大人びて見えるが自分よりは確実に年下だろう。
バーバラともそれほど年齢が変わらないかもしれない。
美女と言うよりは美少女と称した方が適切そうだ。
その美少女は大した警戒心も持たずにハッサンに微笑みかけた。

「こんばんは。寒くありませんの?」
「ああ、鍛えてるからな」
「素晴らしいですわ! お疲れ様です」
「あんがとよ。ところで姉ちゃんは寒くないのか?」

ただそれだけの会話なのにやけに恥ずかしくてうまく話せない。
戦友であるミレーユやバーバラのおかげで、綺麗な女性と話す時も緊張しなくなったと思っていた。
しかし実際はミレーユとバーバラに慣れただけであり、初対面の女性相手だと気恥ずかしさが先に来てしまう。

「私も平気ですわ。それより私、これからどうすればいいのかわからなくて……」
「姉ちゃんぐらい美人だったら心配しなくても恋人できそうじゃないか?」
「No……。私、好きな人がいるの」
「その男はここにいるのか?」
「I don't know……。まだ彼の姿を見てないの。もしかしたら最初からいないのかもしれません」
「そうなのか……でもこれだけ広い会場にいっぱい集められたんだ。あんたの好きな人もきっといるさ」
「うふふ。そう言って頂けると救われますわ」

そうだよな。これだけ綺麗な姉ちゃんだったら好きな男の一人や二人いるよな。現実的に考えて。
やっぱり世の中は甘くねえな、とハッサンは思った。

「でも、もし彼がここにいてくれたとしても居ても、私、告白する自信も勇気もないんです」
「え? なんで?」
「……もし、拒まれて今までのFriendshipが壊れてしまったらと思うと、怖くて……」
「でも相手だって好きだって言われなきゃ気付かないかもしれねえぜ。それに相手だって関係を壊したくなくてあんたに告白できないかもしれない」
「……そう、ですわね……」
「女なら当って砕けろ! あ、いや、砕けちゃダメだよな。当っても砕けるな!!」
「……貴方って本当に優しい人ですのね」
「わりい。偉そうになっちまったかな?」
「いえ。おかげで元気が出ましたわ。これで彼を探しに行く決心がつきました」
「そいつはよかった。その男が見つかるといいな」
「ええ。もしいなくても、その時はその時で頑張って考えてみますわ!」
「おう! 頑張れ」
「それと……あなたにお願いがありますの」
「お願い?」
「今の話はTop secretでお願いしますね。……他の人に気づかれたら大変ですから」
「任せとけ。誰にも言ったりしねえよ」
「それと……あなたは優しい人だから、わかってくれていると思うけれど、恋に破れてあなたの住む星へ連行された人がいても、
 決していじめたりしないで下さいね。恋に破れるということだけでも悲しいのに、いじめられるなんて、絶対耐えられませんから。
 あなたの星のご家族やお友達にも、あなたからもそう伝えておいてくださいね」
「お? おう。俺はいじめは絶対にしねえけど……」
「Thanks! それでは私は彼を探してきますわ。貴方もお仕事頑張ってね!」
「姉ちゃんも頑張れよ! 上手くいくように応援してるぜ!!」

ハッサンは去っていく少女を優しく見送った。
一人の少女に勇気を与えたハッサン。
それは人として正しい対応だろう。
だがこれが本当にこの恋愛サバイバル空間に於いて正しい対応だったのだろうか。
現にハッサンは今の子の名前すら聞けなかったのだ。
他の参加者に比べて、あらゆる意味で彼は後れをとっているようだ。

そして何よりも気になるのが、後半の彼女の言い回しだ。
『恋に破れてあなたの住む星へ連行された人がいても』
『あなたの星のご家族やお友達にも』
鈍そうなハッサンでも、この二言だけで自分がどんな目で見られているかぐらいわかる。

「もしかして俺、惑星の先住民かなんかと間違えられてねえか?」

恋愛対象として見られるよりも、参加者として見られるように頑張る方が先だとハッサンは痛感したのであった。



【A-3/午前1時】
【ハッサン@ドラゴンクエストⅥ 幻の大地】
 [状態]:健康
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品
 [標的]:まだ未定
 [思考]:1.恋愛対象として認識されるより先に参加者として認識されなくては
     2.俺は惑星のガチムチ先住民じゃねえー!!

【桐島英理子@女神異聞録ペルソナ】
 [状態]:健康
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品
 [標的]:女神異聞録ペルソナの主人公
 [思考]:1.大好きなあの人(ペルソナの主人公)を探しに行く
     2.彼がいなかった時は、その時はその時で改めて次の案を考える
     3.ハッサンを始めとしたガチムチは全員先住民だと信じ切っている(つまり恋愛対象として見ていない)




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