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幸せになろうよ!


リオン・ラファールは今、幸せの絶頂にいた。
今置かれている状況はクリスマスイブ生まれの彼にとっては一足早いクリスマスプレゼントなのかもしれない。
早くも日本人の高校生の少女、白川由美とも意気投合し順調そのもの。
このままなんとか恋愛関係に発展させたいところなのだが……。

「リオン、楽しそうね」
「ああ。今年のクリスマスは初めて父様や母様の束縛から逃れられそうだからね」
「そんなに厳しいんだ?確かにラファール家って世界有数の名家だもんね」
「厳しいなんてもんじゃないよ」

ハリウッドスターともやりあえる甘いルックス。
世界有数の類い稀な財力と家柄。
飛び級で大学に入ったり、格闘トーナメントに出られるだけの能力。
それだけ持っているのにも関わらず、ラファールの呪縛のせいで彼は今まで若者らしいクリスマスを送ってきたことがなかったのだ。
いつしかリオンの中で12月24日から25日にかけての二日間は実家主催のパーティでおエラい中年に媚を売らされ、
興味のない難しい話と自慢話に長々と付き合わされる、めんどくさい日という認識になっていた。
両親にもちゃんとした形で誕生日を祝福された記憶すらない。物品は貰えるが、ただそれだけであり愛情を感じたこともない。
この両親のせいでリオンは18歳にして、まだ誰とも本格的な男女交際を経験していない。
好きな女の子がいたとしても親に「家柄を考えろ」だのなんだのとケチをつけられ、付き合えないのだ。

でも今は違う。ここにはうるさい両親はいない。しかも25日まではずっとここにいられるのだからラッキーだ。
このチャンスを大事にしなくてはとリオンは思っていた。

「あれ?一年生の赤根沢玲子じゃない…」
座って話せる場所を探そうとしてたどり着いたハンバーガーショップの席で、由美は見知った少女の姿を見つけた。

「知り合い?」
「うん。金持ちのお嬢様。男子にコアな人気があるのよ」
「へえ…」

リオンが噂のお嬢様の方を見る。彼女はメガネを外して泣いていた。
彼女と向かい合って座っているのは神妙そうな表情をしている優男。
なぜかハチマキに法被という恰好をしているがフランス人のリオンは、
「へー日本人ってああいうファッションがやっぱり好きなんだ」
とあっさりとした考え方しかできなかった。普通に考えたらハチマキに法被なんて今時ありえないのだが。

「あの優男が玲子を泣かせたみたいね」
由美が細い眉をつりあげ、優男を睨み付ける。
「女の敵だわ」
「ゆ、ユミ!?」

リオンが止める前に由美はその優男めがけてすっとんでいった。
格闘技の達人のリオンですら由美の行動には驚かされるのだからあの優男なんてどうなってしまうのだろう。

「乙女の怒り!メガユミアトミーックお・し・お・きパァーンチ!」
「いきなりなんだ貴様は!」
由美の怒りの鉄拳を食い止めた優男。なよなよした体つきからは想像も出来ないがこの優男もただ者ではなさそうだ。

「ちょっとあんた、あたしの後輩に何をしたのよ!?」
「拙者は何もしてない!」
「嘘つき!玲子が泣いてるじゃない!このイケてる顔で何人の女を泣かしてきたのよ!え!え?」
「やめて下さい。白川さん!違うんです。真田さんは…」
泣き止んだ赤根沢玲子が由美を止める。
「そうだよユミ。せめて話を聞いてからにしなよ」
リオンも続いて止めるがあまり威厳がない。

「何よ!こいつがなんだっていうのよ!どうせ玲子のことをたぶらかす悪い男なんだから庇うことはないわよ」
「あの…真田さんは女の人なんです…」
「え!?マジで!?」
由美が慌てて真田と呼ばれた優男から手をはなした。

「道理で男のわりに細くて綺麗だと思ったらそういうことだったのか…」
すっかりかやの外の扱いになったリオンが呟いた。

「ごめんなさい!」
由美が深々と頭を下げる。

「お主は…いや、あなたは友達が悪い男に傷つけられたと思って拙者に攻撃を仕掛けてきたのだろう?ならば仕方があるまい」
真田は怒っていないようで、由美に顔をあげるように促した。

「でもそれじゃあレイコちゃんは泣いてたの?」
リオンが素朴な疑問をぶつける。

「もしかして玲子、男の人だと思って告白して玉砕したの?」
「違います!真田さんのお兄さんのお話を聞いてたら悲しくなっちゃったんです」
「お兄さん?」
玲子と真田がほぼ同時に頷いた。

「真田さん…香織さんには双子のお兄さん…小次郎さんがいたそうです」
「拙者、いや私と兄上は、いつも一緒にいた。両親を亡くしてからはそれこそずっと夫婦のように寄り添いあって生きてたんだ」

由美もリオンも黙って話を聞いていた。

「兄上は新撰組の組長として務めを果たしていた。しかし私は兄の気持ちも考えずに、
 任務が忙しいあまりに家に帰ってこなくなった兄を次第に恨むようになっていった。
 兄がたまに帰ってきても辛くあたるようになり…本当に私はわがままで愚かな妹だったんだ」
「でもわかるな。僕だって両親に同じような感情を抱いていた時期があったし…今は束縛の方がウザいけどさ」
「…あの日の朝も兄上と大喧嘩をしたんだ。一方的に私が兄上に文句をぶつけただけなんだが。
 『私と任務、どっちが大事なの?どうせ兄上は私よりも任務が大事なんでしょう?』って私が言ったら、
 兄上は、今までにない泣きそうな顔で『今日は早く帰ってくるから』って……」
「それで…真田さんのお兄様は帰ってきたの?」

由美が聞くと、真田は首を横に降った。由美もリオンも言葉を失った。

「真田さんは、それからは本名の香織という名も、女性であることも捨て、『真田小次郎』さんとして新撰組で毎日頑張ってるんです。
 私や白川さんたちの生まれる前の、過去の世界で…」
玲子が真田の代わりに答える。

「仲直りも出来ずに…兄を傷つけたまま終わってしまったから、私は一生を兄に捧げることで罪を償おうと思っているんだ」
「でもそれじゃ恋愛や結婚は?」
「若い頃は幸せな家庭を築くことに憧れていた。だが私にはそんな資格はない」

「そんなのおかしいよ!」

リオンが声をあげる。由美も玲子も真田もリオンの方を見つめた。

「お兄さんは、真田さんに、普通に恋して普通に結婚して幸せになってもらいたいって思ってるはずだよ。
 『幸せになる資格なんてない』なんて妹が思ってるのを知ったら天国のお兄さんも悲しむよ」

リオンの言葉に真田香織の瞳が潤む。

「兄さんの分も幸せにならなくちゃだめだよ。大事な妹の幸せを願わない兄さんなんていないよ」

リオンはなんでここまで本気になってるのか自分でもわからなかった。
それでも言わなければならない気がした。

「あなたには妹さんがいらっしゃるんですか?」
玲子がリオンに聞く。

「いないけど、知り合いですごく妹思いな人がいるんだ。その人は妹の幸せのためならなんだってする人なんだ」

「…でも、世の中そんなに出来たお兄様ばかりじゃありません。
 世の中には、妹がいなくてはダメになってしまう兄もいるんです。
 私の兄がいい例です。真田さんのお兄様やあなたの知ってる方と違って、私の兄は私がいないとダメになってしまうんです。
 だから…今、東京に一人でいるであろう兄を置いて私一人で幸せになることなんて出来ません」
玲子が再び泣き出してしまった。

男勝りのお姉さま・セクシーなギャル・妹系優等生。
タイプの違う女の子三人に囲まれて幸せなクリスマスまでのカウントダウンを過ごせそうなはずだったのに。
早くも自分は女の子を泣かせてしまった。人それぞれ事情があるとは考えずに、わかったような口をきいてしまった。

「それでもやっぱり、誰かのために自分の幸せを犠牲にするなんて変だよ…」

重苦しい雰囲気が漂う深夜のハンバーガーショップで、リオン・ラファールは思った。
真田さんに、レイコちゃんに、ユミ。目の前にいる三人の女の子を幸せにしたい。
恋愛ができれば一番いいけど、恋愛抜きにしても彼女たちを幸せにしてあげたい。
それは自分のエゴなのかもしれないが、自分のまっすぐな気持ちでもあった。

【無人のハンバーガーショップ/深夜二時】

【リオン・ラファール@バーチャファイター5R】
 [状態]:健康
 [道具]:支給品一式・ランダム支給品
 [標的]:ユミ?レイコちゃん?真田さん?それ以外の誰か?
 [思考]1:最高のクリスマスを迎えたい
    2:恋愛の有無は関係無く、三人を幸せにしてあげたい

【白川由美@真・女神転生if…】
 [状態]:健康
 [道具]:支給品一式・ランダム支給品
 [標的]:?
 [思考]1:リオンはもちろん、玲子たちとも出来れば一緒に行動したい
    2:今は玲子と真田さんのことを気遣いたい

【赤根沢玲子@真・女神転生if…】
 [状態]:健康
 [道具]:支給品一式・ランダム支給品
 [標的]:東京に残っている兄(狭間偉出夫)が気になってそれどころじゃない
 [思考]1:イデオを置いて私だけ幸せになることなんて出来ない
    2:真田兄妹の話をイデオと自分と何処かで重ねてしまっている

【真田小次郎(本名:真田香織)@幕末浪漫月華の剣士シリーズ】
 [状態]:健康
 [道具]:支給品一式・ランダム支給品
 [標的]:?
 [思考]1:自分は『真田香織』としての幸せを求めてもいいのだろうか?
    2:兄に対する罪悪感が残っている




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