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それは限定ギルドの中に突如として現れた。 無の世界からやってきた招かれざる存在…。 「加入を申し込みます」 加入を申し込みます─。 これは、その人物が自己紹介欄に何も書かないまま加入申請をした際、 あたかも許可を求めているかのように見えてしまうという、 ギルドシステム上の不具合なのである。 つまり、日本語を読み書きできない人物であっても、ギルドストーンをクリックすれば 容易に加入を許してしまうのであった。 だがそのときaspirinをはじめ、限定のメンバーは誰一人として その不具合に気づいていなかった……。 aspirin「加入申請キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!」 キムタカ「ダレ ヽ(゜< ゜ 三 ゜ゝ゜)ノ ダレ」 ライダ「ほ…師匠、それは女性ですか」 aspirin「断る理由はないね??じゃあ( ・∀・)b OK!」 それが悲劇の始まりであった。 aspirin「ドコ く(゚∀゚三゚∀゚)/ ドコ」 キムタカ「キョロキョロ (゚∀゚ 三 ゚∀゚) キョロキョロ」 ライダ「バンホにいたかも」 aspirin「ε===┌(;・∀・)┘イッテミヨ!!」 それはバンホールにたたずんでいた。 彼らは新人を歓迎しようと鉱山の町・バンホールへと向かった。 「………………………………………………………………………」 それは、何も話さない。 ギルドチャット、全体チャット、友達登録、パーティー募集ウィンドウ、 どのようなアプローチにもまったく反応せず、無言のまま立ち尽くしていた。 ライダ「あの、操作わかりますか?」 「…」 aspirin「(^o^)/オーイ」 「…」 キムタカ「放置かな?」 「…」 「…」 「…」 いくら話しかけても、答えない。 aspirin「日を改めようか…」 キムタカ「ゥ─σ(・´ω・`*)─ン…」 ライダ「チャットできないんですかね…」 「…」 だが次の日も、その次の日も、そのまた次の日も、返事はなかった。 ただ無言のまま、時間だけが過ぎていったのである……。 一言も会話を交わさないまま1ヶ月が過ぎたころ、 aspirinに1通のメモが送られてきた。 それを読んだaspirinは鳥肌が立つのを感じた。 「少しお話したいことがあるのですが、よろしいですか?」 それはあるギルドのマスターからのメモで、 何かよくないことを伝えようとしているのではないかと aspirinは震えながら返事を書いた。 aspirin「また何かよくない知らせなのでしょうか…」 「あなたのギルドの一人が、私たちがペットから採集しているときに突然やってきて、  勝手に採集を始めたんです。注意しても一向にやめてくれないんですけど…」 非常事態である。名前を聞かなくとも、それが誰の仕業であるかは明らかであった。 aspirin自身がまったく意思疎通を図れていない人物。 このときはもう、ありのままを話すしかなかった。 「そうだったんですか。そういう人にはメモを送って、すぐ脱退させたほうがいいですよ」 幸いなことに、そのギルドマスターは理解を示してくれた。 そしてaspirinは、物言わぬ亡霊のような存在をギルドから追放したのである。 「マスターさんがよさそうな人でよかったです^^  今度あったときはよい知らせでありますように」 aspirin「申し訳ありませんでした」 それ以来、限定ギルドでは「加入を申し込みます」という紹介文を送ってきた人を 一切受け入れない状態になってしまったという。 物言わぬ存在は脅威なのである……。 ----

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