あすさんの家庭教師21 - 涙の混浴


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相葉家の風呂はどこにあるのか。
どんな大浴場なのか。
また移動に時間がかかるのか……

あすさんは若干ワクワクテカテカしつつ、執事に案内されて家の中を歩いていた。


あすさん「んっ? さらに上の階へ? ここが最上階で、上には何もないはずでは…」
執事「はい。屋上に素晴らしい露天風呂をご用意しております」
あすさん「屋上に!?」
執事「外は冷え込んでおりますが、きっとご満足いただけると…」
あすさん「77階建てのビルの屋上……地上よりもかなり寒そうだな……」
執事「地下1500mから湧き出る天然の温泉を汲み上げたものでございます。とても温まります」
あすさん「屋上の温泉なんて……誰かに見られるのではないか? プライバシーも何もないような…」
執事「ご安心くださいませ。この建物より高いものは周囲にはございません。誰も屋上を見ることはできないのです」
あすさん「な、なるほど……」

5分ほど歩き、屋上へ出る扉の前までたどり着いた。

執事「aspirinさま、こちらが更衣室になります」
あすさん「更衣室だけで、普通のビル1階分くらいの広さがあるぞ……」
執事「もし迷われましたら、このブザーでお呼びくださいませ。それでは、ごゆっくり」


あまりゆっくりしていては、食事の時間がなくなるのではないか──
この家では、なるべく急いで行動したほうがよさそうである。


あすさんは、安物だが純白の下着を脱いで、無数にあるロッカーのうちの1つに納めた。

あすさん「これだけ大量にロッカーがあったら、どこに入れたのかわからなくなるだろう……。
 いやいや、そもそも3人家族なのに、なぜ無数のロッカーが必要なんだ……???」

更衣室は暖房が効いていて快適であるが、外へ出たら……!
しかも更衣室から外へ出るまでの道が長そうである。

あすさん「出口まで1分半くらいとみた」

しかし3分かかった。
強風が吹き付ける屋上にようやくたどり着いた。

あすさん「うお~~寒いっ!!!で、温泉はどこだ??」

屋上に出ても、すぐには温泉が見つけられないほどの広さである。

雲の中に入るほどの高度ではないため、白い湯気の立ち込めているところが温泉であることはわかったが、
そこまで歩くのにまた数分かかってしまうのである。

あすさん「ここは走り抜けるしかないっ! うおおお! 走ると余計に風が冷たい!」

あすさんが走り出した瞬間、

明海「こらぁ! 走ると危ないよ! あすさん!」
あすさん「あああぁっ!」

グキュッ!
明海が大きな声で注意をしたため、あすさんは驚いて転倒してしまった。

明海「ほらほらぁ! プールでも走っちゃだめって言われたでしょ~!」
あすさん「…あ、明海がいきなり大声を出すから……」
明海「もうっ! 大丈夫?」
あすさん「ああっ! ちょ、ちょっと待って…」
明海「ん~?」
あすさん「あ、あっち向いてるから…先にどうぞ…」
明海「なになに?」

明海はすでに温泉に入っていた。

明海「やだぁ~! あすさん! あたしが裸でいると思ったの???????」
あすさん「……思ったの」
明海「大丈夫! ちゃ~んとタオル巻いてるよ!」
あすさん「びっくりした…」
明海「って……ひゃああああああ!!!!!!!」



あすさんは(略)であった。
リャクサレテルワァ*:.。..。.:*・゚(n;‘∀)η(略



明海「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…」
あすさん「ごめんごめん…。温泉にはタオルを入れてはいけないものだと思ってたから……」
明海「うーーーーー……そりゃそうだけど………」
あすさん「ちゃんと注意書きをしてもらいたいね…」
明海「あすさんの真面目っぷりに驚かされる……」
あすさん「で、でも、ほら……温泉に入ってしまえば気にならない…よね?」
明海「あたしは気にするわよ~~~~っ!」
あすさん「じゃあ…執事を呼んでタオルを持ってきてもら…」
明海「いやー! 余計に恥ずかしいから呼ばないで!」

あすさんの珍事のせいで妙な雰囲気になった混浴の温泉。

あすさん「まいった……」
明海「せっかくの雰囲気が台無しじゃない…」
あすさん「……しょぼん」
明海「……あぁ……でも、あすさんがすごく真面目だってことはよくわかったよ!」
あすさん「………」
明海「ただの真面目じゃなくて……なんていうのかな…究極の真面目? みたいな………」
あすさん「………」
明海「あすさんのようなタイプはいない…っ!」
あすさん「そうなのか……」
明海「そうなのだよ」

あすさん「……ひとつ聞いてもいいかな……」
明海「なーに?」
あすさん「3人で暮らしているのに、ロッカーが無数にあるのはなぜなのかな……」
明海「さあ、なぜでしょう?」
あすさん「本当はもっと大勢で暮らしているのか、家族以外の人も利用するのか…」
明海「ん~……惜しいけど……」
あすさん「……違うのか……」
明海「あすさんなら気づきそうなことだよ」
あすさん「私が気づきそうなこと……?」
明海「そうそう、ほら、なんていうか………」
あすさん「無数のロッカーが意味するものは……」
明海「答えがわかったら…すごいかも……」
あすさん「…すごいものが答え……」
明海「そう、そうだよ……」

30分ほど考え込んでしまうあすさん。
温泉に頭までもぐったり、夜空を見上げたり、食事のメニューを思い浮かべたりしながら考え続けた。

明海「あすさん……そろそろ……答えを出して……のぼせそうだよ……」
あすさん「…………もしかして…………」
明海「なに………」
あすさん「答えは…もう…これしか考えられないのだが……」
明海「なになに……言ってみて……」


30分におよぶ長考であすさんが導き出した答えとは?


あすさん「ロッカーをすべて利用するくらいの大家族にする予定があるのか?」
明海「…………!」
あすさん「正解か?」
明海「………正解」
あすさん「そうだったのか…錬金術ははるか将来を見越していたわけだな……」
明海「でも……」
あすさん「ん?」
明海「現実には、お父さんの跡を継ぐ人がいないの……」
あすさん「そうか……相葉家には男子がいない……。明海が継がないといけないのか……?」
明海「あたしは役者になりたいのに…」
あすさん「私にも無理だ。錬金術といえばゴーレムしか使えない……」


温泉でのぼせそうになりながら、明海は突然、あすさんの目をまっすぐ見つめた。


明海「あすさん……あたしは、あすさんのことを思っているから、この忠告を受け入れてほしいの……」
あすさん「忠告……?」
明海「真剣に聞いてね……」
あすさん「わかった」
明海「お母さんは今後、あすさんに跡を継がせようとあらゆる手を使ってくるはず。
 でもそれは、あたしの知っているあすさんから自由が奪われてしまうのと同じこと…………
 弓で戦いたいのに、武器がシリンダーしかないような状態だよ……
 あすさんがそんなふうになったら悲しい……」
あすさん「…………じゃあ、さっき受け取ったお金には手をつけないようにしなくては…」
明海「こんなことになって…ごめんね……」
あすさん「たったの300万円で自由を奪われて……たまるか!!」
明海「あたしはあすさんと一緒にいたいけど……このまま一緒にいたら……………」
あすさん「……………」
明海「本当にごめんね……」

あすさん「今ここで手を引くこともできるし、そうしたほうが絶対にいいということもわかる。
 ……だが、私がここで立ち去ったら、明海の将来はどうなるんだ? せっかく希望が見えてきた。
 そうじゃないのか? 私だって明海のことを思っている。だから命がけでここまで来たんだ。
 私がいなくなったら、明海はまた以前の状態に戻ってしまうだろう……」
明海「……あす…さん……」
あすさん「……熱い……のぼせそうだ……ちょっと上がろうか……」
明海「はい……」
あすさん「…………あ」
明海「…どうぞ…あたしのタオルを…」
あすさん「おいおいおいお…!!!」
明海「…大丈夫…ほら…下に水着も着てたんだよ…」
あすさん「……用意がいいな……」
明海「ふふふ……」


視力の悪いあすさんは、明海の体を鮮明に見ることができない。

だから心の目で彼女の姿をとらえていたのである。


見た目にとらわれずに判断できる能力こそ、明海がもっとも評価しているあすさんの特質であり、
今まで誰にも感じたことのない魅力があすさんにはあって、夢中になる部分なのである。


温泉に30分も入ったままでいることは危険だから、あまり考え込まないようにしたほうがよい。


その一部始終を明海の母が見ていた。

会話は聞き取れなかったが、水着の明海と腰にタオルを巻いたあすさんの姿をじっと見つめていた。

そして、明海の母の姿を執事が見ていた。


執事「(明海さま、aspirinさま……お二人のお力なら、きっと奥さまのお気持ちを変えることがおできになります…)」





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