予兆詩第128番

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予兆詩第128番(旧118番) 1566年について *原文 Aux plus grands&sup(){1} mort, [[jacture]] d'honneur, & violence, Professeurs&sup(){2} de la foy, leur estat & leur secte,&sup(){3} Aux deux grandes Eglises&sup(){4}, divers bruit, decadance&sup(){5}, Maux, voisins querellans, serfs d'Eglise&sup(){6} sans teste. ((原文は Chevignard [1999]p.175 による。)) **異文 (1) Aux plus grands : Aux plus Grands 1594JF(p.198), Aux grands 1668P (2) Professeurs : Es culteurs 1589Rec (3) leur secte : leur secte : violence 1605 1649Xa, leur secte violence 1628 (4) Eglises : eglises 1566Br (5) decadance : de cadance 1650Le 1668 (6) Eglise : eglise 1566Br (注記)1566Br は『[[1566年向けの暦>ALMANACH POVR L’AN M. D. LXVI.]]』の異文。この暦書は2箇所ずつ予兆詩が登場しているが、この詩は1箇所のみである。1589Rec は[[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]の手稿『[[散文予兆集成>Recueil des Presages Prosaiques de M. Michel de Nostredame]]』の異文。 *日本語訳 最も偉大な者たちへ死、名誉の喪失、そして暴力。 信仰告白者たち、彼らの身分と彼らの宗派。 二つの大きな教会で様々な騒ぎと退廃。 諸悪が好戦的な隣人に。教会に隷従する者たちは頭がない。 **訳について  4行目前半は前置詞を補って訳している。 *信奉者側の見解  [[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]は、1566年に当てはめているが、最初の2行はその年だけでなく続く年にも当てはまるとした。3行目の「二つの大きな教会」はカトリックとユグノーのことだという。4行目前半の「隣人」はオランダのことで、当時戦いが始まりつつあった状況を予言したという(1568年にネーデルラント独立戦争勃発)。4行目後半の教会の「頭」は指導者たるローマ教皇のことで、1565年12月にピウス4世が逝去し、1566年1月8日に新教皇が選出されるまでの状況に対応するとした((Chavigny [1594] p.150))。  シャヴィニーは1572年8月(つまりサン=バルテルミーの虐殺の時)の項目でも、この詩を引き合いに出している((ibid. p.198))。 *同時代的な視点  1566年の要約として書かれたこの詩は、明らかに宗教対立のみを題材にしている。ノストラダムスがこの詩を書いた1565年前半は、歴史的に見ればユグノー戦争の中休みに当たっていた(1563年に第1次ユグノー戦争終結、1567年に第2次ユグノー戦争勃発)。しかし、小競り合いが続発していたのも事実であり、ノストラダムスはそうした不穏な情勢に強い関心を寄せていたということだろう。  なお、1566年7月2日にノストラダムスは亡くなった。しかし、この年向けの予兆詩には、それを予期させるようなフレーズは見られない。 ---- #comment
予兆詩第128番(旧118番) 1566年について *原文 Aux plus grands&sup(){1} mort, [[jacture]] d'honneur, & violence, Professeurs&sup(){2} de la foy, leur estat & leur secte,&sup(){3} Aux deux grandes Eglises&sup(){4}, divers bruit, decadance&sup(){5}, Maux, voisins querellans, serfs d'Eglise&sup(){6} sans teste. ((原文は Chevignard [1999]p.175 による。)) **異文 (1) Aux plus grands : Aux plus Grands 1594JF(p.198), Aux grands 1668P (2) Professeurs : Es culteurs 1589Rec (3) leur secte : leur secte : violence 1605 1649Xa, leur secte violence 1628 (4) Eglises : eglises 1566Br (5) decadance : de cadance 1650Le 1668 (6) Eglise : eglise 1566Br (注記)1566Br は『[[1566年向けの暦>ALMANACH POVR L'AN M. D. LXVI.]]』の異文。この暦書は2箇所ずつ予兆詩が登場しているが、この詩は1箇所のみである。1589Rec は[[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]の手稿『[[散文予兆集成>Recueil des Presages Prosaiques de M. Michel de Nostredame]]』の異文。 *日本語訳 最も偉大な者たちへ死、名誉の喪失、そして暴力。 信仰告白者たち、彼らの身分と彼らの宗派。 二つの大きな教会で様々な騒ぎと退廃。 諸悪が好戦的な隣人に。教会に隷従する者たちは頭がない。 **訳について  4行目前半は前置詞を補って訳している。 *信奉者側の見解  [[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]は、1566年に当てはめているが、最初の2行はその年だけでなく続く年にも当てはまるとした。3行目の「二つの大きな教会」はカトリックとユグノーのことだという。4行目前半の「隣人」はオランダのことで、当時戦いが始まりつつあった状況を予言したという(1568年にネーデルラント独立戦争勃発)。4行目後半の教会の「頭」は指導者たるローマ教皇のことで、1565年12月にピウス4世が逝去し、1566年1月8日に新教皇が選出されるまでの状況に対応するとした((Chavigny [1594] p.150))。  シャヴィニーは1572年8月(つまりサン=バルテルミーの虐殺の時)の項目でも、この詩を引き合いに出している((ibid. p.198))。 *同時代的な視点  1566年の要約として書かれたこの詩は、明らかに宗教対立のみを題材にしている。ノストラダムスがこの詩を書いた1565年前半は、歴史的に見ればユグノー戦争の中休みに当たっていた(1563年に第1次ユグノー戦争終結、1567年に第2次ユグノー戦争勃発)。しかし、小競り合いが続発していたのも事実であり、ノストラダムスはそうした不穏な情勢に強い関心を寄せていたということだろう。  なお、1566年7月2日にノストラダムスは亡くなった。しかし、この年向けの予兆詩には、それを予期させるようなフレーズは見られない。 ---- #comment

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