六行詩15番

「六行詩15番」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

六行詩15番」(2019/12/15 (日) 23:22:43) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

[[六行詩集]]>15番* *原文 Nouueau&sup(){1} esleu [[patron]]&sup(){2} du grand&sup(){3} vaisseau&sup(){4}, Verra long temps&sup(){5} briller le cler&sup(){6} flambeau Qui sert de lampe&sup(){7} à ce grand&sup(){8} territoire, Et auquel temps armez&sup(){9} sous son nom, Ioinctes à celles&sup(){10} de l'heureux&sup(){11} de Bourbon&sup(){12} Leuant, Ponant, & Couchant&sup(){13} sa memoire. **異文 (1) Nouueau : Nonueau 1627Di (2) esleu patron : éleu 1627Di, esleu Patron 1644Hu 1672Ga (3) grand : Geand 1600Mo (4) vaisseau : vaissea 1600Mo, Vaisseau 1672Ga (5) long temps : lon temps 1627Ma 1627Di, long-temps 1644Hu 1649Xa (6) le cler : le clair 1600Au 1600Mo 1644Hu, ie cler 1627Ma, le grand 1672Ga (7) lampe : Lampe 1672Ga (8) ce grand : ce bas 1600Au (9) armez : armee 1600Mo, armes 1627Ma 1627Di 1644Hu, Armées 1672Ga (10) celles : celle 1600Mo (11) l'heureux : lheureux 1600Au, l heureux 1605snc(?) (12) Bourbon : bourbon 1600Mo (13) Couchant : couchant 1600Mo 1627Ma 1627Di (注記)1605sncのl heureux はかなり微かにアポストロフがあるようにも見える。 *日本語訳 新しく選ばれた大きな船の船長は、 長い間、明るい松明が輝くのを見るだろう。 それはその偉大な領土でランプの代わりに使われる。 そしてその時に、その名の下に集う軍隊は、 ブルボンの幸いなる者の軍隊と合流させられる。 日の出の方角にも大西洋にも日の入りの方角にもその記憶が。 **訳について  Ponant と Couchant はどちらも「日の沈む方角」「西」の意味で、Levant の対義語になっている。この場合、あえて訳し分ける必要があるか自体が疑問だが、Ponant は大西洋の意味もあることから、そのように訳した。  [[五島勉]]は「中東も大西洋もアメリカもそれを記憶する」と訳したが((五島『ノストラダムスの大予言V』p.132))、解釈をまじえすぎだろう。Levant は地理的区分として使われるときには近東を意味した。Couchant をアメリカと訳すことの飛躍ぶりは言うまでもない。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]](1672年)は、船をカトリック教会の喩えと見なし、新たな船長はクレメンス8世(在位1592年 - 1605年)で、彼がフランス王国とサヴォワ公国の和平実現に尽力したことと解釈した((Garencieres [1672]))。  [[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]](1980年)は、近未来に起こる世界大戦においてヨハネ=パウロ2世の跡を継ぐ教皇と、王政復古したフランスが同盟を結ぶことになると解釈した((Fontbrune [1980/1982]))。 *同時代的な視点  実証的な研究は蓄積されていないので、当「大事典」としての独断を参考情報として掲載しておく。  この詩が1605年までに偽作されていた事後予言だとすると、候補となる期間はある程度しぼれる。「ブルボンの幸いなる者」はブルボン朝の国王を指しているので、[[アンリ4世]]の即位(1589年)以前には遡れないからである。大きな船の船長はローマ教皇だろうが、この時期に即位したウルバヌス7世(在位1590年9月15日 - 同9月27日)、グレゴリウス14世(1590年 - 1591年)、インノケンティウス9世(1591年)、クレメンス8世、レオ11世(1605年)、パウルス5世(1605年 - 1621年)はいずれもフランス軍と連合することはなかったようである(グレゴリウスはむしろカトリック同盟に肩入れし、改宗前のアンリ4世と対立した)。クレメンス8世はアンリ4世の破門を取り消しはしたが、共同の軍事作戦などは当「大事典」では確認できない。  そこで、この詩はむしろ病弱だったクレメンス8世が近く死ぬことを想定し、新しく選ばれることになる教皇とフランス王アンリ4世ないしその後継者が共同歩調を取って強大な勢力になることを期待したものだったのではないかと考えられる。 *その他  1600Au では12番となっている。 ---- #comment
[[六行詩集]]>15番* *原文 Nouueau&sup(){1} esleu [[patron]]&sup(){2} du grand&sup(){3} vaisseau&sup(){4}, Verra long temps&sup(){5} briller le cler&sup(){6} flambeau Qui sert de lampe&sup(){7} à ce grand&sup(){8} territoire, Et auquel temps armez&sup(){9} sous son nom, Ioinctes à celles&sup(){10} de l'heureux&sup(){11} de Bourbon&sup(){12} Leuant, Ponant, & Couchant&sup(){13} sa memoire. **異文 (1) Nouueau : Nonueau 1627Di (2) esleu patron : éleu 1627Di, esleu Patron 1644Hu 1672Ga (3) grand : Geand 1600Mo (4) vaisseau : vaissea 1600Mo, Vaisseau 1672Ga (5) long temps : lon temps 1627Ma 1627Di, long-temps 1644Hu 1649Xa (6) le cler : le clair 1600Au 1600Mo 1644Hu, ie cler 1627Ma, le grand 1672Ga (7) lampe : Lampe 1672Ga (8) ce grand : ce bas 1600Au (9) armez : armee 1600Mo, armes 1627Ma 1627Di 1644Hu, Armées 1672Ga (10) celles : celle 1600Mo (11) l'heureux : lheureux 1600Au, l heureux 1605snc(?) (12) Bourbon : bourbon 1600Mo (13) Couchant : couchant 1600Mo 1627Ma 1627Di (注記)1605sncのl heureux はかなり微かにアポストロフがあるようにも見える。 *日本語訳 新しく選ばれた大きな船の船長は、 長い間、明るい松明が輝くのを見るだろう。 それはその偉大な領土でランプの代わりに使われる。 そしてその時に、その名の下に集う軍隊は、 ブルボンの幸いなる者の軍隊と合流させられる。 日の出の方角にも大西洋にも日の入りの方角にもその記憶が。 **訳について  Ponant と Couchant はどちらも「日の沈む方角」「西」の意味で、Levant の対義語になっている。この場合、あえて訳し分ける必要があるか自体が疑問だが、Ponant は大西洋の意味もあることから、そのように訳した。  [[五島勉]]は「中東も大西洋もアメリカもそれを記憶する」と訳したが((五島『ノストラダムスの大予言V』p.132))、解釈をまじえすぎだろう。Levant は地理的区分として使われるときには近東を意味した。Couchant をアメリカと訳すことの飛躍ぶりは言うまでもない。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]](1672年)は、船をカトリック教会の喩えと見なし、新たな船長はクレメンス8世(在位1592年 - 1605年)で、彼がフランス王国とサヴォワ公国の和平実現に尽力したことと解釈した((Garencieres [1672]))。  [[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]](1980年)は、近未来に起こる世界大戦においてヨハネ=パウロ2世の跡を継ぐ教皇と、王政復古したフランスが同盟を結ぶことになると解釈した((Fontbrune [1980/1982]))。 *同時代的な視点  実証的な研究は蓄積されていないので、当「大事典」としての独断を参考情報として掲載しておく。  この詩が1605年までに偽作されていた事後予言だとすると、候補となる期間はある程度しぼれる。  「ブルボンの幸いなる者」はブルボン朝の国王を指しているので、[[アンリ4世]]の即位(1589年)以前には遡れないからである。  大きな船の船長はローマ教皇だろうが、この時期に即位したウルバヌス7世(在位1590年9月15日 - 同9月27日)、グレゴリウス14世(1590年 - 1591年)、インノケンティウス9世(1591年)、クレメンス8世、レオ11世(1605年)、パウルス5世(1605年 - 1621年)はいずれもフランス軍と連合することはなかったようである(グレゴリウスはむしろカトリック同盟に肩入れし、改宗前のアンリ4世と対立した)。  クレメンス8世はアンリ4世の破門を取り消しはしたが、共同の軍事作戦などは当「大事典」では確認できない。  そこで、この詩はむしろ病弱だったクレメンス8世が近く死ぬことを想定し、新しく選ばれることになる教皇とフランス王アンリ4世ないしその後継者が共同歩調を取って強大な勢力になることを期待したものだったのではないかと考えられる。 *その他  1600Au では12番となっている。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: