「七十世紀の大予言」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「七十世紀の大予言」(2016/07/03 (日) 16:16:36) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「&bold(){七十世紀の大予言}」は、[[黒沼健]]の作品。単行本『謎と怪奇物語』(新潮社、1957年)に収録された。日本人によるノストラダムス予言解釈の紹介としては、最古の部類に属する。『雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社)』によると、初出は『探偵実話』第3巻3号(1952年)pp.77-87らしい。ただし、該当する号は国会図書館でも欠番となっているので、詳細不明。
*内容
ノストラダムスが[[リヨン]]の出版業者[[マセ・ボノム]]の元を訪れ、『[[予言集>ミシェル・ノストラダムス師の予言集]]』出版の交渉をするところから始まる。
そのエピソードの後、簡略な伝記や出自に関する紹介がなされ、若き日の[[シクストゥス5世]]に会ったというエピソードなどにも触れられている。
その後、的中例の紹介として、アンリ2世の死を予言したことのほか、詩番号を挙げていないものの、イギリスの繁栄([[第10巻100番>百詩篇第10巻100番]])、ピューリタン革命([[第9巻49番>百詩篇第9巻49番]])、フランス革命([[第9巻34番>百詩篇第9巻34番]])、ナポレオン([[第1巻60番>百詩篇第1巻60番]])など、いくつもの的中例を挙げた。
そして、1940年代の予言について、当たったものも外れたものも一まとめに紹介した後、1999年の詩も取り上げ、空飛ぶ円盤の襲来ではないかとした。
最後に、弟子に自分の死を予言したというエピソードで締めくくっている。
*コメント
予言について好意的な立場からの紹介(しかも最初の紹介)としては、十二分によくまとまっているものといえるだろう。
もっとも、ピエール・ヴァンサンチ・ピオブの解釈書に掲載された図版をノストラダムス自身の図版として紹介したり、ヘンリー・ジェイムズ・フォアマンの解釈を翻案転載するなど、現代の実証的に見た場合には、問題点が少なからず見られることも事実である。
ほかにも、ノストラダムスの最初の妻を[[アドリエット・ド・ルーブジャック]]とするなど、いくつかの謬見が日本で広まる上で、一定の影響を及ぼした可能性もあるだろう。
もっとも、黒沼は盗作よけのために、意図的な創作をまじえることもあったというので((黒沼『予言物語』所収の志水一夫による解説))、ピオブの図柄などにしても、ノストラダムスのものでないことを百も承知の上で引用していた可能性も、否定はできない。
そうした時代的制約および読む上での注意点はあるものの、日本のノストラダムス現象の黎明期を考察する上で、外すことのできない文献という点に異論はないだろう。
**書誌
:文献名|七十世紀の大予言
:著者|黒沼健
:収録文献|謎と怪奇物語(49 - 62ページ)
:版元|新潮社
:出版日|1957年12月5日
:備考|『予言物語』(河出文庫、1987年)などに再録。
***外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire)
:Titre|Nanajisseiki no daiyogen (trad./ Les grandes Prophéties jusqu'au soixante-dixième siècle.)
:Auteur|KURONUMA Ken
:Publication|KURONUMA Ken, &italic(){Nazo to Kaiki monogatari}, Shinchôsha, pp.49-62
:Lieu|Tokyo, Japon
:Date|le 5 décembre 1957
:Réimpression|KURONUMA Ken, &italic(){Yogen monogatari}, Kawade shobô, 1987, pp.67-85 etc.
:Note|Examen des quatrains I-60, V-38, IX-34, IX-49, IX-89, X-72, X-100 etc.
----
#comment
「&bold(){七十世紀の大予言}」は、[[黒沼健]]の作品。単行本『謎と怪奇物語』(新潮社、1957年)に収録された。日本人によるノストラダムス予言解釈の紹介としては、最古の部類に属する。『雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社)』によると、初出は『探偵実話』第3巻3号(1952年)pp.77-87らしい。ただし、該当する号は国会図書館でも欠番となっているので、詳細不明。
*内容
ノストラダムスが[[リヨン]]の出版業者[[マセ・ボノム]]の元を訪れ、『[[予言集>ミシェル・ノストラダムス師の予言集]]』出版の交渉をするところから始まる。
そのエピソードの後、簡略な伝記や出自に関する紹介がなされ、若き日の[[シクストゥス5世]]に会ったというエピソードなどにも触れられている。
その後、的中例の紹介として、アンリ2世の死を予言したことのほか、詩番号を挙げていないものの、イギリスの繁栄([[第10巻100番>詩百篇第10巻100番]])、ピューリタン革命([[第9巻49番>詩百篇第9巻49番]])、フランス革命([[第9巻34番>詩百篇第9巻34番]])、ナポレオン([[第1巻60番>詩百篇第1巻60番]])など、いくつもの的中例を挙げた。
そして、1940年代の予言について、当たったものも外れたものも一まとめに紹介した後、1999年の詩も取り上げ、空飛ぶ円盤の襲来ではないかとした。
最後に、弟子に自分の死を予言したというエピソードで締めくくっている。
*コメント
予言について好意的な立場からの紹介(しかも最初の紹介)としては、十二分によくまとまっているものといえるだろう。
もっとも、ピエール・ヴァンサンチ・ピオブの解釈書に掲載された図版をノストラダムス自身の図版として紹介したり、ヘンリー・ジェイムズ・フォアマンの解釈を翻案転載するなど、現代の実証的に見た場合には、問題点が少なからず見られることも事実である。
ほかにも、ノストラダムスの最初の妻を[[アドリエット・ド・ルーブジャック]]とするなど、いくつかの謬見が日本で広まる上で、一定の影響を及ぼした可能性もあるだろう。
もっとも、黒沼は盗作よけのために、意図的な創作をまじえることもあったというので((黒沼『予言物語』所収の志水一夫による解説))、ピオブの図柄などにしても、ノストラダムスのものでないことを百も承知の上で引用していた可能性も、否定はできない。
そうした時代的制約および読む上での注意点はあるものの、日本のノストラダムス現象の黎明期を考察する上で、外すことのできない文献という点に異論はないだろう。
**書誌
:文献名|七十世紀の大予言
:著者|黒沼健
:収録文献|謎と怪奇物語(49 - 62ページ)
:版元|新潮社
:出版日|1957年12月5日
:備考|『予言物語』(河出文庫、1987年)などに再録。
***外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire)
:Titre|Nanajisseiki no daiyogen (trad./ Les grandes Prophéties jusqu'au soixante-dixième siècle.)
:Auteur|KURONUMA Ken
:Publication|KURONUMA Ken, &italic(){Nazo to Kaiki monogatari}, Shinchôsha, pp.49-62
:Lieu|Tokyo, Japon
:Date|le 5 décembre 1957
:Réimpression|KURONUMA Ken, &italic(){Yogen monogatari}, Kawade shobô, 1987, pp.67-85 etc.
:Note|Examen des quatrains I-60, V-38, IX-34, IX-49, IX-89, X-72, X-100 etc.
----
※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。