百詩篇第4巻18番

「百詩篇第4巻18番」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

百詩篇第4巻18番」(2012/04/13 (金) 21:18:03) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*原文 Des&sup(){1} plus letrés&sup(){2} dessus les faits&sup(){3} celestes&sup(){4} Seront par princes&sup(){5} ignorants reprouués&sup(){6}: Punis d'Edit&sup(){7}, chassés, comme&sup(){8} [[scelestes>sceleste]]&sup(){9}, Et mis à mort la ou&sup(){10} seront trouués. **異文 (1) Des plus : Les plus 1672 (2) letrés : lettrés 1557B 1568C 1568I, lettrez 1588-89 1589PV 1597 1600 1605 1610 1611 1620PD 1628 1644 1649Xa 1649Ca 1650Le 1653 1660 1668 1716 1772Ri, lettez 1665, Lettrez 1672 (3) faits : fars 1627, fais 1644 (4) celestes : cœlestes 1627 1644 1653 1665, Cœlestes 1672 (5) princes : Princes 1588-89 1605 1611 1620PD 1628 1644 1649Xa 1653 1660 1665 1672 1772Ri (6) reprouués : reproués 1557U 1568A 1590Ro (7) d'Edit : d'edit 1572Cr 1649Ca 1650Le 1653 1660 1665 1668 (8) comme : cemme 1620PD (9) scelestes : celestes 1557B 1588-89 1589PV 1620PD 1644 1649Ca 1653 1665 (10) la ou 1555 1557U 1557B 1568A 1590Ro 1672 1840 : la où 1568B 1627, là ou 1605, là où &italic(){T.A.Eds.} **校訂  4行目の la ou は là où となっているべきもの。 *日本語訳 天空の事柄に関して最も学識ある人々の何人かが、 無知な君主たちによって排斥されるだろう。 勅令で罰せられ、罪人として追放され、 発見されたその場所で殺される。 **訳について  山根訳は問題ない。  大乗訳は1行目「天文学者が無知の王子たちの あやまりをみつけ」((大乗 [1975] p.127))は、最初の2行を1行で訳していることも問題だが、1行目の部分冠詞 Des (数えられるもののうちの幾つかを指すときに付けられる)が訳されていないし、plus を使った比較表現も訳に反映されていない。また、学者を迫害する権力者の描写なのだから、prince は「王子」よりも「君主」の方が適切だろう。「あやまりをみつけ」も誤訳。[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳 Shall be found fault with by ignorant princes ((Roberts [1949] p.117))を能動態と勘違いした上で直訳したものだろう。  2行目(本来の3行目前半)「声明で学者を罰し」は、誤訳とまではいえないにしても、édit はこの場合、王令や勅令の意味で理解すべきだろう。 *信奉者側の見解  匿名の注釈書『[[百詩篇集に関する小論あるいは注釈>Petit discours ou Commentaire sur les Centuries]]』(1620年)では、1585年7月18日にアンリ3世が出した、改宗しないプロテスタントの国外追放を宣言した王令についてと解釈されていた((Petit Discours..., p.5))。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、天文学者や占星術師たちへの迫害の様子を描写したものに過ぎないとした((Garencieres [1672]))。  その後、20世紀半ばまでこの詩を解釈した者はいないようである。少なくとも、[[バルタザール・ギノー]]、[[テオドール・ブーイ]]、[[フランシス・ジロー]]、[[ウジェーヌ・バレスト]]、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[チャールズ・ウォード]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]の著書には載っていない。  [[アンドレ・ラモン]]は、第二次世界大戦中の枢軸国内での言論弾圧と解釈した((Lamont [1943] p.174))。  [[セルジュ・ユタン]]は占星術師に対する苛烈な措置の予言としたが、ここまでの勅令を出した国は無いと述べた((Hutin [1978]))。 *同時代的な視点  [[ピエール・ブランダムール]]は、[[セザールへの手紙]]第40節、[[百詩篇第1巻62番]]、[[百詩篇第8巻71番]]などで述べられている占星術師への迫害のモチーフがここでも現われているとした。[[高田勇]]・[[伊藤進]]も支持した((Brind’Amour [1993], Brind’Amour [1996], 高田・伊藤 [1999]))。  [[ピーター・ラメジャラー]]は占星術師への迫害がモデルになっているが、それを特定できないとした((Lemesurier [2003b/2010]))。  ただし、この場合はブランダムールらのように、ノストラダムスが未来に対して抱いていた見通しの一つと捉えて、特に問題がないようにも思える。 ---- &bold(){コメントらん} 以下のコメント欄は[[コメントの著作権および削除基準>著作権について]]を了解の上でご使用ください。 - 地動説擁護で処刑されたジョルダーノ・ブルーノとフォンテーヌブローの勅令によるプロテスタントの排斥とナントの勅令を出したアンリ4世自身が暗殺されたことを予言 -- とある信奉者 (2010-10-18 00:24:00) - 今日の北朝鮮の発射に失敗した責任で処罰される学者や技術者のことじゃね?4月18日に処刑されたりして。 -- 伊織ン (2012-04-13 21:18:03) #comment
*原文 Des&sup(){1} plus letrés&sup(){2} dessus les faits&sup(){3} celestes&sup(){4} Seront par princes&sup(){5} ignorants reprouués&sup(){6}: Punis d'Edit&sup(){7}, chassés, comme&sup(){8} [[scelestes>sceleste]]&sup(){9}, Et mis à mort la ou&sup(){10} seront trouués. **異文 (1) Des plus : Les plus 1672 (2) letrés : lettrés 1557B 1568C 1568I, lettrez 1588-89 1589PV 1597 1600 1605 1610 1611 1620PD 1628 1644 1649Xa 1649Ca 1650Le 1653 1660 1668 1716 1772Ri, lettez 1665, Lettrez 1672 (3) faits : fars 1627, fais 1644 (4) celestes : cœlestes 1627 1644 1653 1665, Cœlestes 1672 (5) princes : Princes 1588-89 1605 1611 1620PD 1628 1644 1649Xa 1653 1660 1665 1672 1772Ri (6) reprouués : reproués 1557U 1568A 1590Ro (7) d'Edit : d'edit 1572Cr 1649Ca 1650Le 1653 1660 1665 1668 (8) comme : cemme 1620PD (9) scelestes : celestes 1557B 1588-89 1589PV 1620PD 1644 1649Ca 1653 1665 (10) la ou 1555 1557U 1557B 1568A 1590Ro 1672 1840 : la où 1568B 1627, là ou 1605, là où &italic(){T.A.Eds.} **校訂  4行目の la ou は là où となっているべきもの。 *日本語訳 天空の事柄に関して最も学識ある人々の何人かが、 無知な君主たちによって排斥されるだろう。 勅令で罰せられ、罪人として追放され、 発見されたその場所で殺される。 **訳について  山根訳は問題ない。  大乗訳は1行目「天文学者が無知の王子たちの あやまりをみつけ」((大乗 [1975] p.127))は、最初の2行を1行で訳していることも問題だが、1行目の部分冠詞 Des (数えられるもののうちの幾つかを指すときに付けられる)が訳されていないし、plus を使った比較表現も訳に反映されていない。また、学者を迫害する権力者の描写なのだから、prince は「王子」よりも「君主」の方が適切だろう。「あやまりをみつけ」も誤訳。[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳 Shall be found fault with by ignorant princes ((Roberts [1949] p.117))を能動態と勘違いした上で直訳したものだろう。  2行目(本来の3行目前半)「声明で学者を罰し」は、誤訳とまではいえないにしても、édit はこの場合、王令や勅令の意味で理解すべきだろう。 *信奉者側の見解  匿名の注釈書『[[百詩篇集に関する小論あるいは注釈>Petit discours ou Commentaire sur les Centuries]]』(1620年)では、1585年7月18日にアンリ3世が出した、改宗しないプロテスタントの国外追放を宣言した王令についてと解釈されていた((Petit Discours..., p.5))。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、天文学者や占星術師たちへの迫害の様子を描写したものに過ぎないとした((Garencieres [1672]))。  その後、20世紀半ばまでこの詩を解釈した者はいないようである。少なくとも、[[バルタザール・ギノー]]、[[テオドール・ブーイ]]、[[フランシス・ジロー]]、[[ウジェーヌ・バレスト]]、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[チャールズ・ウォード]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]の著書には載っていない。  [[アンドレ・ラモン]]は、第二次世界大戦中の枢軸国内での言論弾圧と解釈した((Lamont [1943] p.174))。  [[セルジュ・ユタン]]は占星術師に対する苛烈な措置の予言としたが、ここまでの勅令を出した国は無いと述べた((Hutin [1978]))。 *同時代的な視点  [[ピエール・ブランダムール]]は、[[セザールへの手紙]]第40節、[[百詩篇第1巻62番]]、[[百詩篇第8巻71番]]などで述べられている占星術師への迫害のモチーフがここでも現われているとした。[[高田勇]]・[[伊藤進]]も支持した((Brind’Amour [1993], Brind’Amour [1996], 高田・伊藤 [1999]))。  [[ピーター・ラメジャラー]]は占星術師への迫害がモデルになっているが、それを特定できないとした((Lemesurier [2003b/2010]))。  ただし、この場合はブランダムールらのように、ノストラダムスが未来に対して抱いていた見通しの一つと捉えて、特に問題がないようにも思える。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - 地動説擁護で処刑されたジョルダーノ・ブルーノとフォンテーヌブローの勅令によるプロテスタントの排斥とナントの勅令を出したアンリ4世自身が暗殺されたことを予言 -- とある信奉者 (2010-10-18 00:24:00) - 今日の北朝鮮の発射に失敗した責任で処罰される学者や技術者のことじゃね?4月18日に処刑されたりして。 -- 伊織ン (2012-04-13 21:18:03)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: