ノストラダムス大予言は贋作だった

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 『&bold(){ノストラダムス大予言は贋作だった}』は、[[ジョセフ・サビノ]]によるノストラダムス解釈書。白崎綾子訳で、1992年に株式会社経済界から出版された。スペイン語から直接日本語に訳されたノストラダムス本としては、唯一のものである。 *内容  日本語版の題名にもあるように、ノストラダムス予言は、より前の時代の別の「大予言者」の予言をもとに作られたものに過ぎないという仮説を展開した。  彼の仮説では、真の大予言者は6世紀にアンデスに降り立った異星人アマルで、ノストラダムスは、アマルがラテン語で書き、フランスの洞窟に隠していた予言書を手に入れて剽窃したに過ぎないという。  この仮説を導くにあたり、サビノはヨーロッパ中の図書館を巡り歩いて『予言集』の古版本を探し、以下の版を参照したという。  [[1568年ブノワ・リゴー版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1568年)]]、[[1588年ロフェ未亡人版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ニコラ・ロフェ未亡人、1588年)]]、[[1589年シャルル・ロジェ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (シャルル・ロジェ、1589年)]]、[[1611年頃のピエール・シュヴィヨ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・シュヴィヨ、1611年頃)]]、[[1628年頃のピエール・デュ・リュオー版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・デュ・リュオー)]]、[[1649年ジャック・カイユエほか版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集 (1649年)]]、[[1650年ピエール・レファン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ピエール・レファン、1650年)]]、[[1665年ジャン・バラン版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1665年リヨン)]]、[[1668年ジャン・ジャンソンほか版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ジャン・ジャンソンほか、1668年)]]。  その結果、特にロジェ版の注記や編集内容を重視し、アマルの残した予言は37篇分しか使われておらず、残りの詩篇の要素はごく断片的にしか使われていないと結論付けた。  彼は時間に関する暗号を見つけたと主張し、252年の加算を中心とする計算法によって、様々な事件の起こる年を解釈した。ただし、[[1999年の詩>百詩篇第10巻72番]]はノストラダムスの贋作として取り上げず、真の破局に向かう年は1992年だと主張していた。 *コメント  彼の贋作説はほとんど論評するに値しない。37篇しか残らなかったという割には、70篇以上の詩を解釈しており、根本的に矛盾している。一応、贋作にも本物からとられた要素があると主張していたが、「この部分は贋作だがこの部分は本物だ」 というような区分はほとんど行われておらず、多くの詩の全文をそのまま解釈しており、設定自体があまりきちんと練られていない印象を受ける。  彼が重視した[[1589年シャルル・ロジェ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (シャルル・ロジェ、1589年)]]は正統な流れを汲む版ではなく、その構成や注記にノストラダムスの意図を読み取ることは適切ではない。  また、古版本を多く参照したという割には、彼の主張は書誌的事実と一致していない。例えば、[[百詩篇第5巻92番]]において、多くの版で dix と sept の間に不自然な隙間があると主張していたが、そんな事実はない。それどころか、1568年版など、彼が使った版の半分以上では dixsept と一語で綴られている。  ほかにも、[[百詩篇第8巻61番]]で TAQ という異文が存在すると主張しているが、彼が参照していた版どころか、それ以外の多くの版を見ても、そのような異文はない。  なお、彼はヨーロッパ中の図書館を探したと主張していたが、挙げられている版のうち、1568年版以外は全てロンドンの大英図書館で閲覧可能である (ファクシミリ復刻版を含む)。サビノはロンドンのビジネスマンだった時期があったとのことなので、実際にはビジネスマン時代にロンドン市内で調査しただけだったのだろう。  現代の歴史的・文学的研究の結果、ノストラダムスが過去の予言書からモチーフを転用した可能性は、確かに指摘されるようになっている。しかし、それは『[[ミラビリス・リベル]]』などの中世からルネサンス期にかけての予言文書であって、得体の知れない異星人の文書など、いっさい出る幕はない。 *書誌 :書名|ノストラダムス大予言は贋作だった :副題|隠されていた衝撃の新事実発見 :著者|ジョセフ・サビノ :訳者|白崎綾子 :版元|経済界 :出版日|1992年6月1日 ***外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire) :Titre|Nostradamus daiyogen wa gansaku datta (trad./ Les grandes Prophéties de Nostradamus, c'est un plagiat.) :Sous-titre|Kakusareteita shougeki no shinjijitu hakken. (trad./ on découvre de nouveau la vérité-choc.) :Auteur|Joseph SAVINO :Traducteur|SHIRASAKI Ayako :Publication|Keizaikai :Lieu|Tokyo, Japon :Date|le 1&sup(){er} juin 1992 :Note|Traduction en japonais du livre de J. Savino, &italic(){Nostradamus : Develando el misterio}, Chile, 1989 ---- #comment
 『&bold(){ノストラダムス大予言は贋作だった}』は、[[ジョセフ・サビノ]]によるノストラダムス解釈書。白崎綾子訳で、1992年に株式会社経済界から出版された。スペイン語から直接日本語に訳されたノストラダムス本としては、唯一のものである。 *内容  日本語版の題名にもあるように、ノストラダムス予言は、より前の時代の別の「大予言者」の予言をもとに作られたものに過ぎないという仮説を展開した。  彼の仮説では、真の大予言者は6世紀にアンデスに降り立った異星人アマルで、ノストラダムスは、アマルがラテン語で書き、フランスの洞窟に隠していた予言書を手に入れて剽窃したに過ぎないという。  この仮説を導くにあたり、サビノはヨーロッパ中の図書館を巡り歩いて『予言集』の古版本を探し、以下の版を参照したという。  [[1568年ブノワ・リゴー版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1568年)]]、[[1588年ロフェ未亡人版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ニコラ・ロフェ未亡人、1588年)]]、[[1589年シャルル・ロジェ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (シャルル・ロジェ、1589年)]]、[[1611年頃のピエール・シュヴィヨ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・シュヴィヨ、1611年頃)]]、[[1628年頃のピエール・デュ・リュオー版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・デュ・リュオー)]]、[[1649年ジャック・カイユエほか版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集 (1649年)]]、[[1650年ピエール・レファン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ピエール・レファン、1650年)]]、[[1665年ジャン・バラン版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1665年リヨン)]]、[[1668年ジャン・ジャンソンほか版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ジャン・ジャンソンほか、1668年)]]。  その結果、特にロジェ版の注記や編集内容を重視し、アマルの残した予言は37篇分しか使われておらず、残りの詩篇の要素はごく断片的にしか使われていないと結論付けた。  彼は時間に関する暗号を見つけたと主張し、252年の加算を中心とする計算法によって、様々な事件の起こる年を解釈した。ただし、[[1999年の詩>百詩篇第10巻72番]]はノストラダムスの贋作として取り上げず、真の破局に向かう年は1992年だと主張していた。 *コメント  彼の贋作説はほとんど論評するに値しない。37篇しか残らなかったという割には、70篇以上の詩を解釈しており、根本的に矛盾している。一応、贋作にも本物からとられた要素があると主張していたが、「この部分は贋作だがこの部分は本物だ」 というような区分はほとんど行われておらず、多くの詩の全文をそのまま解釈しており、設定自体があまりきちんと練られていない印象を受ける。  彼が重視した[[1589年シャルル・ロジェ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (シャルル・ロジェ、1589年)]]は正統な流れを汲む版ではなく、その構成や注記にノストラダムスの意図を読み取ることは適切ではない。  また、古版本を多く参照したという割には、彼の主張は書誌的事実と一致していない。例えば、[[百詩篇第5巻92番]]において、多くの版で dix と sept の間に不自然な隙間があると主張していたが、そんな事実はない。それどころか、1568年版など、彼が使った版の半分以上では dixsept と一語で綴られている。  ほかにも、[[百詩篇第8巻61番]]で TAQ という異文が存在すると主張しているが、彼が参照していた版どころか、それ以外の多くの版を見ても、そのような異文はない。  なお、彼はヨーロッパ中の図書館を探したと主張していたが、挙げられている版のうち、1568年版以外は全てロンドンの大英図書館で閲覧可能である (ファクシミリ復刻版を含む)。サビノはロンドンのビジネスマンだった時期があったとのことなので、実際にはビジネスマン時代にロンドン市内で調査しただけだったのだろう。  現代の歴史的・文学的研究の結果、ノストラダムスが過去の予言書からモチーフを転用した可能性は、確かに指摘されるようになっている。しかし、それは『[[ミラビリス・リベル]]』などの中世からルネサンス期にかけての予言文書であって、得体の知れない異星人の文書など、いっさい出る幕はない。 *書誌 :書名|ノストラダムス大予言は贋作だった :副題|隠されていた衝撃の新事実発見 :著者|ジョセフ・サビノ :訳者|白崎綾子 :版元|経済界 :出版日|1992年6月1日 ***外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire) :Titre|Nostradamus daiyogen wa gansaku datta (trad./ Les grandes Prophéties de Nostradamus, ce sont des plagiats.) :Sous-titre|Kakusareteita shougeki no shinjijitu hakken. (trad./ on découvre de nouveau la vérité-choc.) :Auteur|Joseph SAVINO :Traducteur|SHIRASAKI Ayako :Publication|Keizaikai :Lieu|Tokyo, Japon :Date|le 1&sup(){er} juin 1992 :Note|Traduction en japonais du livre de J. Savino, &italic(){Nostradamus : Develando el misterio}, Chile, 1989 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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