ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ジャン・ジャンソンほか、1668年)

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ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ジャン・ジャンソンほか、1668年)」(2010/10/27 (水) 22:33:32) の最新版変更点

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 『&bold(){ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集}』(&italic(){Les Vraies Centuries et Prophéties de Maistre Michel Nostradamus})は、1668年にアムステルダムのジャン・ジャンソンと故エリゼ・ヴェイエルストレの未亡人によっても出版された。 #ref(1668amsterdam.PNG) 【画像】1668年アムステルダム版の口絵と扉((画像の出典:Chomarat [1989] pp. 139, 141)) *正式名 -LES VRAYES CENTURIES ET PROPHETIES DE MAISTRE MICHEL NOSTRADAMUS. --Où se void representé tout ce qui s'est passé, tant en France, Espagne, Italie, Alemagne, Angleterre, qu'autres parties du monde. --Reveües & corrigées suyvant les premieres Editions imprimées en Avignon en l'an 1556. & à Lyon en l'an 1558. & autres. --Avec la Vie de l'Autheur. --à AMSTERDAM. --Chez JEAN JANSSON à WAESBERGE & la vefue de fu ELIZéE [&italic(){sic.}] WEYERSTRAET, l'an 1668. -ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 --そこにはフランス、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。 --1556年にアヴィニョンで、1558年にリヨンで出された初期の版やその他の版に従い、改訂・校正された。 --著者の伝記とともに。 --アムステルダム。 --ヴェースベルジュのジャン・ジャンソンと故エリゼ・ヴェイエルストレの未亡人の工房にて。1668年。  題名は先行した[[1667年アムステルダム版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ダニエル・ヴィンケエルマンス、1667年)]]よりも[[1650年ライデン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ピエール・レファン、1650年)]]とほぼ一致する。  ただし、先行する版では「1556年アヴィニョン版」と「1558年リヨン版」のみに基づいているとされていたのが、「その他の(複数の)版」(autres)となっている点は、字句の変更は些細だが、重要な違いである。 *内容  劈頭を飾るのが上でも紹介した口絵で、チャールズ1世の処刑(1649年)とロンドン大火(1666年)を的中させたことを一目で分からせようとするものである。  題名の記された扉はその後である。  本編の冒頭には簡略な解釈が続いており、チャールズ1世の処刑は[[第9巻49番>百詩篇第9巻49番]]で、ロンドン大火は[[第2巻51番>百詩篇第2巻51番]]で、それぞれ予言されていたということをはじめ、ほかいくつかの同時代事件についての解釈が掲載されている。  その次のページには、書斎に座るノストラダムスと、彼に関するラテン語の標語が掲げられている(下図参照)((画像の出典:Carlo Patrian, &italic(){Nostradamus. le profezie}, 1978, p.11))。 #ref(ego nostradamus.JPG)  ラテン語の標語はこう書かれている。 Vera loquor, nac falsa loquor, sed munere coeli Qui loquitur DEUS est, non ego NOSTRADAMUS 私は真理を語り、虚言を語らない。それは天からの賜りものゆえ、 語り手は神であって、私ことノストラダムスではないのだ。  この標語はノストラダムスが書いたものではないが、のちに[[アントワーヌ・ベソン版の『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (アントワーヌ・ベソン)]]に収録された四行詩([[五島勉]]が「[[二つの顔の護符>ノストラダムスの肖像画 (アムステルダム、1668年)]]」として紹介した詩篇)のもとになった((cf. Bareste [1840] p.54))。  この肖像画と標語に続いて、伝記、第二序文([[アンリ2世への手紙]])、百詩篇第1巻から第10巻、第11巻(2篇)、第12巻(11篇)が収録されている。補遺篇は[[百詩篇第6巻100番]]、[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]、[[同44番>百詩篇第7巻44番]]、同73番以降の4篇、第8巻の補遺篇(6篇)、[[第10巻補遺篇>Adiousté depuis l'impression de 1568.]]が含まれている。  最後に[[予兆詩集]]と[[六行詩集>この世紀のいずれかの年のための驚くべき予言]]が掲載されている。 *コメント  前年に[[1667年アムステルダム版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ダニエル・ヴィンケエルマンス、1667年)]]が出版されていたので、その影響は受けたのだろうが、いくつかの変更点がある。  特に大きな違いは口絵と肖像画の存在、そして第一序文([[セザールへの手紙]])の省略である。  非常に有名な版であり、以下に見るように現存数もかなり多い。口絵の存在などもあって、当時かなりの売れ行きだったと推測される。 *所蔵先 -フランス国立図書館、アミアン市立図書館、リール市立図書館、リヨン市立図書館、ナント市立図書館、ルーアン市立図書館、ストラスブール市立図書館、ヴェルダン市立図書館、ヴェルサイユ市立図書館、アルスナル図書館、[[ポール・アルボー博物館]]、セッカノ・メディア館(Mediatheque Ceccano, アヴィニョン) -ウェルカム医学史図書館、クライストチャーチ図書館(オックスフォード大学)、チューリヒ中央図書館、ベルン大学図書館、ピサ大学図書館、ザルツブルク大学図書館、プランタン・モレトゥス印刷博物館(アントウェルペン)、スウェーデン王立図書館、ウプサラ大学図書館、チェコ国立図書館、ポーランド国立図書館、コペンハーゲン市立図書館、トルン公立図書館(Torun, ポーランド)、ヤギェヴォ大学図書館(ポーランド)、ロシア国立図書館(モスクワ)、アメリカ議会図書館、ボストン公立図書館、ニューヨーク公立図書館、ミシガン大学図書館、カーネル大学図書館、W.A.クラーク記念図(ロサンゼルス)、マギル大学オスラー医学図書館 -かつては[[ダニエル・ルソ]]も私蔵していた。また、[[ヴライク・イオネスク]]が筑波大学で特別講演を行った際に聴衆に見せたというので、彼も持っていたのだろう。ただし、イオネスクがそれを現存最古と紹介したのは((イオネスク [1993] p.238))、明らかに不適切であった。当「大事典」の書誌に明らかなように、これより古い版はいくらでも残っているし、その多くはイオネスクが講演を行うよりも前から、[[エドガー・レオニ]]や[[ダニエル・ルソ]]の指摘によって知られていた。 *復刻  1927-36年頃にピエール・ヴァンサンチ・ピオブが、[[Texte intégral de Nostradamus. Reproduction agrandie en phototypie de L'Edition d'Amsterdam 1668>Texte intégral de Nostradamus (P.V.Piobb)]] (Editions Adyar, Paris, s.d.)という影印版を出版した。  現在では Gallica で公開されている。 ---- #comment
 『&bold(){ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集}』(&italic(){Les Vraies Centuries et Prophéties de Maistre Michel Nostradamus})は、1668年にアムステルダムのジャン・ジャンソンと故エリゼ・ヴェイエルストレの未亡人によっても出版された。 #ref(1668amsterdam.PNG) 【画像】1668年アムステルダム版の口絵と扉((画像の出典:Chomarat [1989] pp. 139, 141)) *正式名 -LES VRAYES CENTURIES ET PROPHETIES DE MAISTRE MICHEL NOSTRADAMUS. --Où se void representé tout ce qui s'est passé, tant en France, Espagne, Italie, Alemagne, Angleterre, qu'autres parties du monde. --Reveües & corrigées suyvant les premieres Editions imprimées en Avignon en l'an 1556. & à Lyon en l'an 1558. & autres. --Avec la Vie de l'Autheur. --à AMSTERDAM. --Chez JEAN JANSSON à WAESBERGE & la vefue de fu ELIZéE [&italic(){sic.}] WEYERSTRAET, l'an 1668. -ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 --そこにはフランス、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。 --1556年にアヴィニョンで、1558年にリヨンで出された初期の版やその他の版に従い、改訂・校正された。 --著者の伝記とともに。 --アムステルダム。 --ヴェースベルジュのジャン・ジャンソンと故エリゼ・ヴェイエルストレの未亡人の工房にて。1668年。  題名は先行した[[1667年アムステルダム版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ダニエル・ヴィンケエルマンス、1667年)]]よりも[[1650年ライデン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ピエール・レファン、1650年)]]とほぼ一致する。  ただし、先行する版では「1556年アヴィニョン版」と「1558年リヨン版」のみに基づいているとされていたのが、「その他の(複数の)版」(autres)となっている点は、字句の変更は些細だが、重要な違いである。 *内容  劈頭を飾るのが上でも紹介した口絵で、チャールズ1世の処刑(1649年)とロンドン大火(1666年)を的中させたことを一目で分からせようとするものである。  題名の記された扉はその後である。  本編の冒頭には簡略な解釈が続いており、チャールズ1世の処刑は[[第9巻49番>百詩篇第9巻49番]]で、ロンドン大火は[[第2巻51番>百詩篇第2巻51番]]で、それぞれ予言されていたということをはじめ、ほかいくつかの同時代事件についての解釈が掲載されている。  その次のページには、書斎に座るノストラダムスと、彼に関するラテン語の標語が掲げられている(下図参照)((画像の出典:Carlo Patrian, &italic(){Nostradamus. le profezie}, 1978, p.11))。 #ref(ego nostradamus.JPG)  ラテン語の標語はこう書かれている。 Vera loquor, nac falsa loquor, sed munere coeli Qui loquitur DEUS est, non ego NOSTRADAMUS 私は真理を語り、虚言を語らない。それは天からの賜りものゆえ、 語り手は神であって、私ことノストラダムスではないのだ。  この標語はノストラダムスが書いたものではないが、のちに[[アントワーヌ・ベソン版の『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (アントワーヌ・ベソン)]]に収録された四行詩([[五島勉]]が「[[二つの顔の護符>ノストラダムスの肖像画 (アムステルダム、1668年)]]」として紹介した詩篇)のもとになった((cf. Bareste [1840] p.54))。  この肖像画と標語に続いて、伝記、第二序文([[アンリ2世への手紙]])、百詩篇第1巻から第10巻、第11巻(2篇)、第12巻(11篇)が収録されている。補遺篇は[[百詩篇第6巻100番]]、[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]、[[同44番>百詩篇第7巻44番]]、同73番以降の4篇、第8巻の補遺篇(6篇)、[[第10巻補遺篇>Adiousté depuis l'impression de 1568.]]が含まれている。  最後に[[予兆詩集]]と[[六行詩集>この世紀のいずれかの年のための驚くべき予言]]が掲載されている。 *コメント  前年に[[1667年アムステルダム版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ダニエル・ヴィンケエルマンス、1667年)]]が出版されていたので、その影響は受けたのだろうが、いくつかの変更点がある。  特に大きな違いは口絵と肖像画の存在、そして第一序文([[セザールへの手紙]])の省略である。  非常に有名な版であり、以下に見るように現存数もかなり多い。口絵の存在などもあって、当時かなりの売れ行きだったと推測される。 *所蔵先 -フランス国立図書館、アミアン市立図書館、リール市立図書館、リヨン市立図書館、ナント市立図書館、ルーアン市立図書館、ストラスブール市立図書館、ヴェルダン市立図書館、ヴェルサイユ市立図書館、アルスナル図書館、[[ポール・アルボー博物館]]、セッカノ・メディア館(Mediatheque Ceccano, アヴィニョン) -ウェルカム医学史図書館、クライストチャーチ図書館(オックスフォード大学)、チューリヒ中央図書館、ベルン大学図書館、ピサ大学図書館、ザルツブルク大学図書館、プランタン・モレトゥス印刷博物館(アントウェルペン)、スウェーデン王立図書館、ウプサラ大学図書館、チェコ国立図書館、ポーランド国立図書館、コペンハーゲン市立図書館、トルン公立図書館(Torun, ポーランド)、ヤギェヴォ大学図書館(ポーランド)、ロシア国立図書館(モスクワ)、アメリカ議会図書館、ボストン公立図書館、ニューヨーク公立図書館、ミシガン大学図書館、カーネル大学図書館、W.A.クラーク記念図(ロサンゼルス)、マギル大学オスラー医学図書館 -かつては[[ダニエル・ルソ]]も私蔵していた。また、[[ヴライク・イオネスク]]が筑波大学で特別講演を行った際に聴衆に見せたというので、彼も持っていたのだろう。ただし、イオネスクがそれを現存最古と紹介したのは((イオネスク [1993] p.238))、明らかに不適切であった。当「大事典」の書誌に明らかなように、これより古い版はいくらでも残っているし、その多くはイオネスクが講演を行うよりも前から、[[エドガー・レオニ]]や[[ダニエル・ルソ]]の指摘によって知られていた。 *復刻  1927-36年頃にピエール・ヴァンサンチ・ピオブが、[[Texte intégral de Nostradamus. Reproduction agrandie en phototypie de L'Edition d'Amsterdam 1668>Texte intégral de Nostradamus (P.V.Piobb)]] (Editions Adyar, Paris, s.d.)という影印版を出版した。  現在では Gallica で公開されている。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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