「ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ジャン・ウルセル)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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『&bold(){ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集}』(Les Vraies Centuries et Prophéties de Maistre Michel Nostradamus)は、ルーアンの[[ジャン・ウルセル]]によっても出版された。
#ref(oursel.PNG)
【画像】ウルセル版の扉1(左)と扉2(右)((画像の出典:[[http://www.propheties.it/]]))
*正式名
扉1
-LES VRAYES CENTURIES DE MAITRE MICHEL NOSTRADAMUS.
--Où se void representé tout ce qui s'est passé, tant en France, Espagne, Italie, Angleterre, qu'autres parties du monde.
--Revûes & corrigées suivant les premieres Editions imprimées en Avignon en l'an 1556. & à Lyon en l'an 1558. avec la vie de l'Auteur.
--Sur l'Imprimé à AVIGNON.
-ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集
--そこにはフランス、スペイン、イタリア、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。
--1556年にアヴィニョンで、1558年にリヨンで出された初期の版やその他の版に従い、改訂・校正された。著者の伝記とともに。
--アヴィニョンで印刷された版に基づく。
扉2
-LES VRAYES CENTURIES ET PROPHETIES DE MAISTRE MICHEL NOSTRADAMUS.
--Où se void representé tout ce qui s'est passé, tant en France, Espagne, Italie, Allemagne, Angleterre, qu'autres parties du Monde.
--Revûës & corrigées suivant les premieres Editions imprimées à Paris, Roüen, Lyon, Avignon, Troyes, Hollande, & autres.
--Avec la Vie de l'Auteur.
--Sur la Copie imprimée à Roüen en 1649.
--Et se vendent,
-- Chez JEAN OURSEL, ruë Saint Jean, à l'Enseigne de l'Imprimerie.
-ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集
--そこにはフランス、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。
--パリ、ルーアン、リヨン、アヴィニョン、トロワ、オランダ、その他で出された初期の諸版に従い、改訂・校正された。
--著者の伝記とともに。
--1649年ルーアン版に基づく。
--そして販売は
--サン・ジャン通りで印刷所の旗を掲げるジャン・ウルセルの店にて。
扉1で列挙されている国では「ドイツ」(Allemagne)が脱落している。
*内容
ロンドン大火などを描いた口絵に続き、アンリ2世宛ての献辞(題名のみ)、肖像画、略歴がある。そのあとに扉1があるが、続くのは伝記のみで、そのあと扉2がある。
[[ノストラダムスの肖像画>ノストラダムスの肖像画 (アムステルダム、1668年)]]のあと百詩篇第1巻から第10巻、第11巻(2篇)、第12巻(11篇)が収録されている。補遺篇は[[百詩篇第6巻100番]]、[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]、[[同44番>百詩篇第7巻44番]]、同73番以降の4篇、第8巻の補遺篇(6篇)、[[第10巻補遺篇>Adiousté depuis l'impression de 1568.]]が含まれている。
最後に[[予兆詩集]]と[[六行詩集>この世紀のいずれかの年のための驚くべき予言]]が掲載されている。
以上は[[マリオ・グレゴリオ]]が公開している伝本に基づくものだが、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫の伝本では、扉1と扉2の順序が逆で、巻末に解釈集が収録されているという((Chomarat [1989] no.276, Laroche [1999a] pp.18-19))。解釈集は題名も扱われている詩もページ数も[[1689年ルーアン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1689年)]]とほぼ同じだが、それに比べて1篇少ない。
[[ロベール・ブナズラ]]が私蔵する伝本はさらに異質で、扉2が冒頭に来るのはショマラの伝本と同じだが、扉1と伝記は百詩篇集と予兆詩集の間に挟まっているという((Benazra [1990] pp.270-271))。結果として「真の百詩篇集」という題名が伝記、予兆詩、六行詩のみに使われるという、他に例を見ない奇抜な構成になっている。なお、解釈集は付いていないようである。
**特色
1649年ルーアン版に基づいたというだけあり、原文の特色は確かによく似ている。その一方で、そこに含まれていない[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]、[[同44番>百詩篇第7巻44番]]をはじめ、明らかにそれ以外の版も参照した形跡がある。
ただし、「パリ、ルーアン、リヨン、アヴィニョン、トロワ、オランダ、その他で出された初期の諸版」とあるのが事実を語ったものかは何ともいえない。
以下に見る刊行年の議論によるが、「当代の一知識人」の解釈が初めて登場した版なのかもしれない。
*刊行地と刊行年
この版には出版された都市名も刊行年も記載されていない。
刊行地は[[ジャン・ウルセル]]がルーアンの業者であることから、ルーアンと見て全く問題はない。
問題は刊行年である。[[ミシェル・ショマラ]]は1680年頃と推測し、[[ロベール・ブナズラ]]は1691年頃と推測した。双方とも根拠を挙げていない。
ショマラの伝本の解釈集は、[[1689年ルーアン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1689年)]]よりも前に作成されたことを推測させる。[[ノストラダムスの肖像画>ノストラダムスの肖像画 (アムステルダム、1668年)]]にしても、ラテン語の標語が記載されている分、1689年版よりも遡る可能性が高い。
こうしたことから、少なくとも1689年以前に出版されたと推測するのが自然ではないだろうか。
*所蔵先
-リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫
-[[ロベール・ブナズラ]]が自身のグループRAMKATの蔵書として私蔵し、マリオ・グレゴリオも私蔵している。
ショマラ文庫は元々ショマラの私的な蔵書だった。つまり、コレクターが私蔵するものしか残っていないという珍しい版だが、上で述べたように3つの版は相互に食い違っている。
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#comment
『&bold(){ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集}』(Les Vraies Centuries et Prophéties de Maistre Michel Nostradamus)は、ルーアンの[[ジャン・ウルセル]]によっても出版された。
#ref(oursel.PNG)
【画像】ウルセル版の扉1(左)と扉2(右)((画像の出典:[[http://www.propheties.it/]]))
*正式名
扉1
-LES VRAYES CENTURIES DE MAITRE MICHEL NOSTRADAMUS.
--Où se void representé tout ce qui s'est passé, tant en France, Espagne, Italie, Angleterre, qu'autres parties du monde.
--Revûes & corrigées suivant les premieres Editions imprimées en Avignon en l'an 1556. & à Lyon en l'an 1558. avec la vie de l'Auteur.
--Sur l'Imprimé à AVIGNON.
-ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集
--そこにはフランス、スペイン、イタリア、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。
--1556年にアヴィニョンで、1558年にリヨンで出された初期の版やその他の版に従い、改訂・校正された。著者の伝記とともに。
--アヴィニョンで印刷された版に基づく。
扉2
-LES VRAYES CENTURIES ET PROPHETIES DE MAISTRE MICHEL NOSTRADAMUS.
--Où se void representé tout ce qui s'est passé, tant en France, Espagne, Italie, Allemagne, Angleterre, qu'autres parties du Monde.
--Revûës & corrigées suivant les premieres Editions imprimées à Paris, Roüen, Lyon, Avignon, Troyes, Hollande, & autres.
--Avec la Vie de l'Auteur.
--Sur la Copie imprimée à Roüen en 1649.
--Et se vendent,
-- Chez JEAN OURSEL, ruë Saint Jean, à l'Enseigne de l'Imprimerie.
-ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集
--そこにはフランス、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。
--パリ、ルーアン、リヨン、アヴィニョン、トロワ、オランダ、その他で出された初期の諸版に従い、改訂・校正された。
--著者の伝記とともに。
--1649年ルーアン版に基づく。
--そして販売は
--サン・ジャン通りで印刷所の旗を掲げるジャン・ウルセルの店にて。
扉1で列挙されている国では「ドイツ」(Allemagne)が脱落している。
*内容
ロンドン大火などを描いた口絵に続き、アンリ2世宛ての献辞(題名のみ)、肖像画、略歴がある。そのあとに扉1があるが、続くのは伝記のみで、そのあと扉2がある。
[[ノストラダムスの肖像画>ノストラダムスの肖像画 (アムステルダム、1668年)]]のあと百詩篇第1巻から第10巻、第11巻(2篇)、第12巻(11篇)が収録されている。補遺篇は[[百詩篇第6巻100番]]、[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]、[[同44番>百詩篇第7巻44番]]、同73番以降の4篇、第8巻の補遺篇(6篇)、[[第10巻補遺篇>Adiousté depuis l'impression de 1568.]]が含まれている。
最後に[[予兆詩集]]と[[六行詩集>この世紀のいずれかの年のための驚くべき予言]]が掲載されている。
以上は[[マリオ・グレゴリオ]]が公開している伝本に基づくものだが、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫の伝本では、扉1と扉2の順序が逆で、巻末に解釈集が収録されているという((Chomarat [1989] no.276, Laroche [1999a] pp.18-19))。解釈集は題名も扱われている詩もページ数も[[1689年ルーアン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1689年)]]とほぼ同じだが、それに比べて1篇少ない。
[[ロベール・ブナズラ]]が私蔵する伝本はさらに異質で、扉2が冒頭に来るのはショマラの伝本と同じだが、扉1と伝記は百詩篇集と予兆詩集の間に挟まっているという((Benazra [1990] pp.270-271))。結果として「真の百詩篇集」という題名が伝記、予兆詩、六行詩のみに使われるという、他に例を見ない奇抜な構成になっている。なお、解釈集は付いていないようである。
**特色
1649年ルーアン版に基づいたというだけあり、原文の特色は確かによく似ている。その一方で、そこに含まれていない[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]、[[同44番>百詩篇第7巻44番]]をはじめ、明らかにそれ以外の版も参照した形跡がある。
ただし、「パリ、ルーアン、リヨン、アヴィニョン、トロワ、オランダ、その他で出された初期の諸版」とあるのが事実を語ったものかは何ともいえない。
以下に見る刊行年の議論によるが、「当代の一知識人」の解釈が初めて登場した版なのかもしれない。
*刊行地と刊行年
この版には出版された都市名も刊行年も記載されていない。
刊行地は[[ジャン・ウルセル]]がルーアンの業者であることから、ルーアンと見て全く問題はない。
問題は刊行年である。[[ミシェル・ショマラ]]は1680年頃と推測し、[[ロベール・ブナズラ]]は1691年頃と推測した。双方とも根拠を挙げていない。
ショマラの伝本の解釈集は、[[1689年ルーアン版>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1689年)]]よりも前に作成されたことを推測させる。[[ノストラダムスの肖像画>ノストラダムスの肖像画 (アムステルダム、1668年)]]にしても、ラテン語の標語が記載されている分、1689年版よりも遡る可能性が高い。
こうしたことから、少なくとも1689年以前に出版されたと推測するのが自然ではないだろうか。
*所蔵先
-リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫
-[[ロベール・ブナズラ]]が自身のグループRAMKATの蔵書として私蔵し、マリオ・グレゴリオも私蔵している。
ショマラ文庫は元々ショマラの私的な蔵書だった。つまり、コレクターが私蔵するものしか残っていないという珍しい版だが、上で述べたように3つの版は相互に食い違っている。
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