「ミシェル・ノストラダムスの予言集 (ノストラダムス出版社)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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『ミシェル・ノストラダムスの予言集』は1800年頃に[[サロン>サロン=ド=プロヴァンス]]の「ノストラダムス出版社」という名義でも出版された。
【画像】扉((画像の出典:Chomarat [1989] p.205))
*正式名
-LES PROPHÉTIES DE MICHEL NOSTRADAMUS, DIVISÉE EN DIX CENTURIES.
--Nouvelle Édition, imprimée d'après la copie de la première Edition faite sous les yeux de CÉSAR NOSTRADAMUS son fils en 1568.
--A SALON,
--Chez l'Imprimeur de NOSTRADAMUS.
-十巻の百詩篇に分けられたミシェル・ノストラダムスの予言集
--1568年に息子セザール・ノストラダムスの監修で作成された初版本に基づいて印刷された新版。
--サロン、
--ノストラダムス出版社の工房にて。
扉に使われている木版画は[[偽ブノワ・リゴー版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (偽ブノワ・リゴー版)]]と同傾向だが、題名は[[1791年アヴィニョン版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ジャック・ガリガン、1791年)]]などとほぼ同じである。ただし、ノストラダムスに敬称が付いていないこととセザールの綴りが NOSTRADAME → NOSTRADAMUS となっている点で異なっている。
*内容
八つ折版144ページからなる。
扉のあとにノストラダムスの墓碑銘が掲載され、続いて第一序文(セザールへの手紙)、第二序文(アンリ2世への手紙)、百詩篇第1巻1番から第10巻100番までの942篇の順に収録されている。百詩篇補遺、六行詩、予兆詩などは含まれていない。
*特色
多くの詩篇がフランス革命にあわせて改竄されていることで有名な版である([[フランス革命期の偽の百詩篇]]を参照)。詩篇の内容は対外戦争(植民地の反乱を含む)の描写が多い。他方、ヴァンデ戦争やリヨンの反乱といった反革命的な内乱の描写は見られない。
ナポレオンが関わる戦争や事件が多いことから、彼を称賛する目的で偽作されたものなのかもしれないが、殊更に彼を英雄視する表現が見られないのも事実である。
*刊行者
「サロンのノストラダムス出版社」などという業者は実在しない。[[1791年アヴィニョン版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ガリガン兄弟、1791年)]]などと内容が似ていることから、[[ガリガン兄弟]]たちを実際の出版業者と想定する説がある。古くは[[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]が唱えていたし、現代でも[[ロベール・ブナズラ]]はその立場である。
しかし、[[百詩篇第1巻26番]]や[[百詩篇第5巻57番]]などの細かな原文には、[[ガリガン兄弟]]の版よりも[[ボネ兄弟]]の版と共通する要素が見られる。このことから言えば、1790年代にアヴィニョンで出版された版が底本になったのはほぼ疑いないにしても、作者の絞込みはさらに慎重な検討が必要だろうと思われる。
*刊行年
[[ロベール・ブナズラ]]は、差し替えられた偽詩篇のうち、第5巻77番がルヴェルチュールの敗北を描写していることから1802年以降と推測している。その敗北が偽作者の願望なのだとしたらもう少し前倒しできるかもしれないが、それでも1800年以前に遡らせるのは難しいだろう。
*所蔵先
-リヨン市立図書館、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫、マルセイユ市立図書館、ポール・アルボー博物館
-ジュネーヴBPU、ウィーン国立図書館
-ほかにマリオ・グレゴリオが私蔵している。
これらの版は、差し替えている偽詩篇に違いがある。リヨン市立図書館の伝本は10篇(V-77, VI-93, VIII-68a, VIII-75, IX-12, IX-16, IX-35, X-8, X-49, X-96)である。ウィーン国立図書館とグレゴリオの伝本は、VIII-56 を加えた11篇である。
ミシェル・ショマラ文庫の伝本が最も多くの詩篇を含んでおり、VIII-68a が 68b に差し替えられた上でVIII-79, 82 の2篇が追加で差し替えられている。
[[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]がかつて所蔵していた伝本はショマラ文庫のものとほぼ同じだが、VIII-56のみ本来の詩のままで差し替えられていない((以上は Benazra [1990] pp.346-347 による。))。
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#comment
『ミシェル・ノストラダムスの予言集』は1800年頃に[[サロン>サロン=ド=プロヴァンス]]の「ノストラダムス出版社」という名義でも出版された。
#ref(1802salon.PNG)
【画像】扉((画像の出典:Chomarat [1989] p.205))
*正式名
-LES PROPHÉTIES DE MICHEL NOSTRADAMUS, DIVISÉE EN DIX CENTURIES.
--Nouvelle Édition, imprimée d'après la copie de la première Edition faite sous les yeux de CÉSAR NOSTRADAMUS son fils en 1568.
--A SALON,
--Chez l'Imprimeur de NOSTRADAMUS.
-十巻の百詩篇に分けられたミシェル・ノストラダムスの予言集
--1568年に息子セザール・ノストラダムスの監修で作成された初版本に基づいて印刷された新版。
--サロン、
--ノストラダムス出版社の工房にて。
扉に使われている木版画は[[偽ブノワ・リゴー版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (偽ブノワ・リゴー版)]]と同傾向だが、題名は[[1791年アヴィニョン版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ジャック・ガリガン、1791年)]]などとほぼ同じである。ただし、ノストラダムスに敬称が付いていないこととセザールの綴りが NOSTRADAME → NOSTRADAMUS となっている点で異なっている。
*内容
八つ折版144ページからなる。
扉のあとにノストラダムスの墓碑銘が掲載され、続いて第一序文(セザールへの手紙)、第二序文(アンリ2世への手紙)、百詩篇第1巻1番から第10巻100番までの942篇の順に収録されている。百詩篇補遺、六行詩、予兆詩などは含まれていない。
*特色
多くの詩篇がフランス革命にあわせて改竄されていることで有名な版である([[フランス革命期の偽の百詩篇]]を参照)。詩篇の内容は対外戦争(植民地の反乱を含む)の描写が多い。他方、ヴァンデ戦争やリヨンの反乱といった反革命的な内乱の描写は見られない。
ナポレオンが関わる戦争や事件が多いことから、彼を称賛する目的で偽作されたものなのかもしれないが、殊更に彼を英雄視する表現が見られないのも事実である。
*刊行者
「サロンのノストラダムス出版社」などという業者は実在しない。[[1791年アヴィニョン版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ガリガン兄弟、1791年)]]などと内容が似ていることから、[[ガリガン兄弟]]たちを実際の出版業者と想定する説がある。古くは[[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]が唱えていたし、現代でも[[ロベール・ブナズラ]]はその立場である。
しかし、[[百詩篇第1巻26番]]や[[百詩篇第5巻57番]]などの細かな原文には、[[ガリガン兄弟]]の版よりも[[ボネ兄弟]]の版と共通する要素が見られる。このことから言えば、1790年代にアヴィニョンで出版された版が底本になったのはほぼ疑いないにしても、作者の絞込みはさらに慎重な検討が必要だろうと思われる。
*刊行年
[[ロベール・ブナズラ]]は、差し替えられた偽詩篇のうち、第5巻77番がルヴェルチュールの敗北を描写していることから1802年以降と推測している。その敗北が偽作者の願望なのだとしたらもう少し前倒しできるかもしれないが、それでも1800年以前に遡らせるのは難しいだろう。
*所蔵先
-リヨン市立図書館、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫、マルセイユ市立図書館、ポール・アルボー博物館
-ジュネーヴBPU、ウィーン国立図書館
-ほかにマリオ・グレゴリオが私蔵している。
これらの版は、差し替えている偽詩篇に違いがある。リヨン市立図書館の伝本は10篇(V-77, VI-93, VIII-68a, VIII-75, IX-12, IX-16, IX-35, X-8, X-49, X-96)である。ウィーン国立図書館とグレゴリオの伝本は、VIII-56 を加えた11篇である。
ミシェル・ショマラ文庫の伝本が最も多くの詩篇を含んでおり、VIII-68a が 68b に差し替えられた上でVIII-79, 82 の2篇が追加で差し替えられている。
[[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]がかつて所蔵していた伝本はショマラ文庫のものとほぼ同じだが、VIII-56のみ本来の詩のままで差し替えられていない((以上は Benazra [1990] pp.346-347 による。))。
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