百詩篇第7巻3番

「百詩篇第7巻3番」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

百詩篇第7巻3番」(2011/01/11 (火) 21:36:07) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*原文 Apres&sup(){1} de France la victoire nauale&sup(){2}, Les [[Barchinons]], [[Saillinons]]&sup(){3}, les&sup(){4} Phocens: Lierre d'or, l'enclume&sup(){5} serré&sup(){6} dedans la basle&sup(){7}, Ceulx de [[Ptolon]]&sup(){8} au fraud&sup(){9} seront consens&sup(){10}. **異文 (1) Apres : Aupres 1627 1644 1653 1840 (2) nauale : Navale 1672 (3) Saillinons : Saillimons 1597 1600 1610 1627 1644 1650Ri 1653 1665 1716 1840, Salinons 1605 1649Xa 1672, Sallinons 1628, Sallinons 1668 (4) les : la 1650Le (5) l'enclume : l'Enclume 1672 (6) serré : serrez 1644 1653 1665 1840 (7) basle 1557U 1557B 1568 1590Ro : balle &italic(){T.A.Eds.} (8) Ptolon : Prolon 1627 1649Ca, Toulon 1672 (9) fraud : frand 1557B (10) consens : confens 1628, contens 1649Ca *日本語訳 フランスの海戦の勝利の後、 ― バルキノ人、サラ人、[[フォカエア人]] ― 黄金の貨幣、鉄床は大包みに仕舞われ、 プトロンの人々がその欺瞞に加わるだろう。 **訳について  2行目の民族名の列挙は、1行目の勝利に貢献した者達と捉えられることもあるが、前置詞がなく文脈が不明瞭なため、とりあえず挿入的なものと見なした。なお、民族名のうち、2つ目の [[Saillinons]]はいくつかの読みの可能性がある。  3行目 lierre は直訳では植物の「キヅタ」(常春藤)のことだが、プロヴァンス語の lièuro に由来する貨幣の意味と理解した[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従った。  大乗訳は2行目「チュニス サール ポースンの人々の上に金の樽」((大乗 [1975] p.203))が不適切。[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳をほぼ忠実に訳したものではあるのだが、[[Barchinons]]をチュニスとするなどは現代では支持できない。  山根訳3行目「黄金泥棒 球に封入された金敷き」は、一応誤りではない。lierre を「泥棒」とするのは、古フランス語からそう読んだ[[エリカ・チータム]]の読み(元祖は[[エドガー・レオニ]])に従ったものである。basle(balle)は「球」の意味も「(行商などに使う)大包み」の意味もある。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、フランスがトルコに海戦で勝つことと解釈し、3行目はそのときに使われる榴弾(Grenade)のこととした((Garencieres [1672]))。  その後、20世紀半ばまでこの詩を解釈した者はいないようである。少なくとも、[[ジャック・ド・ジャン]]、[[バルタザール・ギノー]]、[[D.D.]]、[[テオドール・ブーイ]]、[[フランシス・ジロー]]、[[ウジェーヌ・バレスト]]、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[チャールズ・ウォード]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]の著書には載っていない。  [[マックス・ド・フォンブリュヌ]]は近未来のフランスの戦争の情景と解釈した((Fontbrune [1939] pp.123-124))。彼の解釈では[[Saillionons]]はジュラ県のサラン(Salins)、[[Ptolon]]はギリシャ語に由来する「好戦的な者」の意味とされている。こうした読み方を[[アンドレ・ラモン]]も引き継ぎ、第二次世界大戦中に起こるであろう情景と解釈した((Lamont (1941)[1943]p.283))。  それ以降の信奉者達も、ほとんどは全訳本の中で簡略な解釈が付けられている程度である。 *同時代的な視点  [[ピーター・ラメジャラー]]は出典不明としている((Lemesurier [2003b/2010]))。  [[ジャン=ポール・クレベール]]は、フランスが海戦で勝利した後、貨幣の偽造をする者たちが現れ、そこに「プトロン」の人々も加わることの描写とし、鉄床(かなとこ)は偽造の道具を表現したものとした((Clébert [2003]))。説得的な読み方ではあるものの、モデルとなった事件の特定はしていない。 ---- #comment
*原文 Apres&sup(){1} de France la victoire nauale&sup(){2}, Les [[Barchinons]], [[Saillinons]]&sup(){3}, les&sup(){4} Phocens: Lierre d'or, l'enclume&sup(){5} serré&sup(){6} dedans la basle&sup(){7}, Ceulx de [[Ptolon]]&sup(){8} au fraud&sup(){9} seront consens&sup(){10}. **異文 (1) Apres : Aupres 1627 1644 1653 1840 (2) nauale : Navale 1672 (3) Saillinons : Saillimons 1597 1600 1610 1627 1644 1650Ri 1653 1665 1716 1840, Salinons 1605 1649Xa 1672, Sallinons 1628, Sallinons 1668 (4) les : la 1650Le (5) l'enclume : l'Enclume 1672 (6) serré : serrez 1644 1653 1665 1840 (7) basle 1557U 1557B 1568 1590Ro : balle &italic(){T.A.Eds.} (8) Ptolon : Prolon 1627 1649Ca, Toulon 1672 (9) fraud : frand 1557B (10) consens : confens 1628, contens 1649Ca *日本語訳 フランスの海戦の勝利の後、 ― バルキノ人、サラ人、[[フォカエア人]] ― 黄金の貨幣、鉄床は大包みに仕舞われ、 プトロンの人々がその欺瞞に加わるだろう。 **訳について  2行目の民族名の列挙は、1行目の勝利に貢献した者達と捉えられることもあるが、前置詞がなく文脈が不明瞭なため、とりあえず挿入的なものと見なした。なお、民族名のうち、2つ目の [[Saillinons]]はいくつかの読みの可能性がある。  3行目 lierre は直訳では植物の「キヅタ」(常春藤)のことだが、プロヴァンス語の lièuro に由来する貨幣の意味と理解した[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従った。  大乗訳は2行目「チュニス サール ポースンの人々の上に金の樽」((大乗 [1975] p.203))が不適切。[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳をほぼ忠実に訳したものではあるのだが、[[Barchinons]]をチュニスとするなどは現代では支持できない。  山根訳3行目「黄金泥棒 球に封入された金敷き」は、一応誤りではない。lierre を「泥棒」とするのは、古フランス語からそう読んだ[[エリカ・チータム]]の読み(元祖は[[エドガー・レオニ]])に従ったものである。basle(balle)は「球」の意味も「(行商などに使う)大包み」の意味もある。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、フランスがトルコに海戦で勝つことと解釈し、3行目はそのときに使われる榴弾(Grenade)のこととした((Garencieres [1672]))。  その後、20世紀半ばまでこの詩を解釈した者はいないようである。少なくとも、[[ジャック・ド・ジャン]]、[[バルタザール・ギノー]]、[[D.D.]]、[[テオドール・ブーイ]]、[[フランシス・ジロー]]、[[ウジェーヌ・バレスト]]、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[チャールズ・ウォード]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]の著書には載っていない。  [[マックス・ド・フォンブリュヌ]]は近未来のフランスの戦争の情景と解釈した((Fontbrune [1939] pp.123-124))。彼の解釈では[[Saillionons]]はジュラ県のサラン(Salins)、[[Ptolon]]はギリシャ語に由来する「好戦的な者」の意味とされている。こうした読み方を[[アンドレ・ラモン]]も引き継ぎ、第二次世界大戦中に起こるであろう情景と解釈した((Lamont (1941)[1943]p.283))。  それ以降の信奉者達も、ほとんどは全訳本の中で簡略な解釈が付けられている程度である。 *同時代的な視点  [[ピーター・ラメジャラー]]は出典不明としている((Lemesurier [2003b/2010]))。  [[ジャン=ポール・クレベール]]は、フランスが海戦で勝利した後、貨幣の偽造をする者たちが現れ、そこに「プトロン」の人々も加わることの描写とし、鉄床(かなとこ)は偽造の道具を表現したものとした((Clébert [2003]))。説得的な読み方ではあるものの、モデルとなった事件の特定はしていない。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: